チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

奇跡の2000マイル

ジョン・カラン監督作「奇跡の2000マイル」("Tracks" : 2013)[DVD]

若い女がラクダ四頭と愛犬を連れて、オーストラリア中央部から歩いて過酷な砂漠を渡り、インド洋に到達するまでの旅の過程を描くドラマ作品。

 

クイーンズランド州ダーリングダウンズの農場で生まれ育ったロビンは、干ばつによる農場の廃業、母の自殺に伴う叔母の家への移住などの不遇を強いられ、常にどこへ行っても居場所が無い感覚に苛まれ続ける。都会の生活や人間関係に辟易し、仕事も勉強も中途半端で本気になれずにいたロビンは、かつて東アフリカのカラハリ砂漠を歩いて旅した父の影響を受け、砂漠の持つ純潔さや広大さに惹かれていた事もあり、調教したラクダを連れてアリス・スプリングスから歩いて砂漠を横断し、西はインド洋を目指すという、半年間で2000マイルの行旅を企図する。

1975年、ロビンは愛犬ディギティと共にアリス・スプリングスに到着すると、ラクダを調達すべくポゼル・ラクダ牧場を訪ねる。ロビンから事情を聞いた牧場主のポゼルは、八ヶ月間の無給働きと引き換えに、調教を教え、ラクダをニ頭譲るという条件で、ロビンを雇い入れる。ところがポゼルは、八ヶ月の間、ラクダの世話や雑用でロビンをこき使った後、約束を反故にし、それを非難したロビンを解雇する。途方に暮れるロビンは、放棄された廃屋に身を寄せる。

ロビンは、多数のラクダを管理、育成し、ラクダ使いを営むサリーの元を訪ね、事情を明かす。サリーはロビンの旅の計画が無謀だと指摘するが、ラクダ一頭と引き換えに給与半分の条件で、ロビンを雇い入れる。程なく、ロビンの廃屋に親友ジェシカが友人達を連れてやってくる。その中の一人、カメラマンのリックは、旅にとにかく金が必要だと訴えるロビンに対し、雑誌に助成金がある事を明かすと、自らが推薦する意向を示す。

一方、ロビンがサリーから譲り受けるラクダのゼリーに妊娠が判明する。また、ポゼルが牧場を売り、新しい牧場主がラクダに無知で、ラクダを持て余した事から、ロビンは若い雄のドゥーキーとボブの二頭を譲り受ける。程なく、ゼリーはメスのゴライアスを産むと、ロビンはナショナルジオグラフィックに支援を要請すべく、旅程に加え、自らの素性や過酷な旅への意気込みを手紙に認めて送付する。

ロビンはラクダ達と共に手紙の返事を待つ。サリーはドゥーキーとバブの去勢を行うと、発情期の雄の危険性を説き、野性のラクダが迫ってきたら迷わず撃ち、ゼリーを守る様にロビンに諭す。程なく、ロビンの元にナショナルジオグラフィック協会から返事があり、資金援助の条件として、カメラマンのリックを派遣する事が伝えられる。ロビンは援助に喜ぶ一方で、旅に他人が介入する事に不満を抱く。

出発を目前に控え、ロビンの父が姉とその子供達を連れて見舞いにやってくる。そこにリックも駆け付け、拒むロビンに無線機を持っていく様に促す。サリーはロビンにライフルを提供する。1977年4月9日、ロビンは家族の見送りを受けながら、荷物を分乗させた四頭のラクダ達とディギティを率いて、長旅に出発する。

出発早々、待ち受けていたリックは、マイペースで撮影を始め、ロビンは不満を募らせる。リックが去った後、ロビンは一ヶ月足らずでエアーズロックを望むオルガ山国立公園に到達するが、聖地という理由でラクダの入園が拒まれる。程なく、リックがやってきて撮影を始める。ロビンはリックを疎ましく思うと同時に、俄にキャメル・レディと称され、観光客の冷やかしに遭う事に辟易する。

そんな折、ロビンはリックと共に砂嵐に見舞われる。ロビンは、ラクダに荷物を乗せ一日に20マイル歩いては、荷物を降ろす事を繰り返すだけの旅が無意味だと嘆き、また、リックに付き纏われて写真を撮られる事への不快感を露わにする。リックがロビンを慰めると、ロビンは勢いに任せてリックと肉体関係を持つ。翌日、リックは素っ気ないロビンと五週間後の撮影の約束を交わして去る。ロビンは心機一転して旅を再開する。

出発から二ヶ月余り。ロビンはアボリジニの部族の村に到着し、リックと落ち合うと、宿泊用の小屋を借りる。ロビンは部族と交流する。一方、仕事本位のリックは、部族が早朝に行う秘密の儀式を密かに撮影し、ロビンはそれを非難する。ロビンは女の立ち入りが禁じられている聖地を通過する為に案内人が必要な事を知るが、リックの撮影が災いし、アボリジニに同行を拒まれ、160マイルの遠回りを強いられる事になる。

リックと六週間後にウォーバートンで落ち合う約束をしたロビンは、村を出発する。程なく、ロビン達が休憩している元へ、発情した雄ラクダ三頭が走り寄ってくる。ロビンはサリーの教え通り、ライフルでラクダ達を撃退する。その後、ロビン達の元へアボリジニの老人達が駆け付け、ヒッパラジャラまでの案内人としてエディが同行し、聖地を通過する事が認められる。

その後、ロビンは、英語がほとんど通じないながらも、陽気で頼りがいのあるエディと旅を続ける。道中、ゴライアスが足の裏を熱で負傷したり、通りすがりの無礼な観光客に撮影を求められたりしながらも、エディの協力を得てやり過ごす。ロビンは電報でリックに依頼し、エディに猟銃を提供する。

ヒッパラジャラに到着すると、案内人がいないと危険だと説くエディに対し、ロビンはその先を一人で進む意向を示す。リックは二ヶ月間、不毛の砂漠が続く事からロビンの水の心配をし、自らが遠回りになって仕事に支障をきたしても、途中で水を置いていくと約束する。ロビンはエディにお守りの石を貰い、別れると、険しい砂漠に足を踏み入れる。

道中、ロビンは父から譲り受けた母のコンパスを落とした事に気付き、ラクダ達をその場に残してディギティと探しに戻る。間もなく、ロビンはコンパスを見つけるが、今度はラクダ達の居場所が分からなくなり、ディギティがそれを探し当て、旅を再開する。

出発からおよそ四ヶ月。灼熱の砂漠の下で水が尽きた事で、ロビンは死を意識する。それから程なく、ロビンはリックが置いていった水のタンクを見つける。やがてロビンは一軒の民家に辿り着き、親切な老夫妻に歓迎される。ロビンは老夫妻の世話になり、一泊する事で一時の休息を得る。

老夫妻の家を出発して程なく、夜中にディギティがロビンの元を離れ、廃棄されていた毒物ストリキニーネを口にする。ロビンはディギティの中毒症状に気付くも時既に遅く、ディギティをライフルで安楽死させ、苦痛から解放させる。ロビンは無二の親友を失い悲嘆する。それはロビンが幼い頃、叔母の家に移住する際に、連れていけない愛犬ゴールディを安楽死させざるを得なかった記憶と重なる。

出発からおよそ五ヶ月後。ロビンは喪失感の余り、旅を続行できない心理状態に陥る。そんな折、ロビンを探して各国のプレス記者達がやってくる。そこへリックが駆け付け、ロビンを保護し、プレス記者達を遠ざける。ロビンは旅への後悔を吐露し、ディギティを失った寂しさを訴える。リックはロビンの心の支えとなり、ロビンは旅を完結させる決意を新たにする。リックは記者達と会いたくないというロビンの為に、記者達を欺き、カナーボンで待つ意向を示す。

出発から195日目。ロビンはインド洋に面するカナーボンに到達し、リックに迎えられる。1700マイルの旅を終え、ロビンが執筆した記事は、リックの写真と共に、ナショナルジオグラフィック誌に掲載される。その大反響を受け、ロビンが執筆した書籍"Tracks"は世界的ベストセラーとなる。

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