クリスティアン・ディッター監督作「ワタシが私を見つけるまで」("How to Be Single" : 2016)[BD]
軽い気持ちで恋人と距離を置いた女が、思いがけず別れを告げられる事になり、人生初めての独り身生活に苦慮しながらも、自立した女に成長していく様を描くロマンチック・コメディ作品。
大学卒業を控えたアリスは、入学直後から寮で同棲してきた恋人ジョシュとの関係にマンネリを感じ、独りの時間を作ってやってみたい事がたくさんあるという理由から、お互いの為に一時的に距離を置く事を一方的にジョシュに提案する。ジョシュはそれに反発するが、アリスは卒業と同時にニューヨークへ移り、歳の離れた姉メグのアパートで暮らし始める。産科医のメグはキャリアの為に男との交際を拒絶し、長らく独身生活を続けているが、内心では自分の子供を切望している。一方、プレイボーイで特定の彼女を作らないトムが営むバーの上の階の部屋には、結婚願望が人一倍強いルーシーが暮らしており、デート用アプリで日夜、意中の恋人探しに腐心している。
程なく、アリスはウォール街の法律事務所にパラリーガルとして入所すると、先輩社員で気ままに独身生活を満喫する太っちょなロビンと親しくなる。ロビンはアリスから事情を聞くと、馴染みのトムの店へと夜遊びに連れ出し、独身の心得を説く事で男遊びする様に促す。アリスはそこでトムと出会い、その数日後に後腐れの無い関係を前提としてセックスをする。アリスはこれまで彼氏を切らした事が無く、独身が初めてだと明かす。
それから程なく、アリスはジョシュと再会すると、一緒にいられる自信を得たと説き、よりを戻す事を提案する。ジョシュは新たに彼女ができた事を明かすと、身勝手なアリスを非難する。途方に暮れたアリスは、一生独身のまま終えるのでは無いかという悲観をメグに示す。メグは独りになれば仕事に集中できると励まし、色んな人と会って交流する様に勧めるが、アリスはメグと同じ様な仕事一色の人生は嫌だと詰ってしまう。一方、ルーシーはトムの店で結婚を祝うかつての女友達と遭遇し、独り身だと打ち明けるのを躊躇う。そこでトムが機転を利かせて、ルーシーの彼氏を装う。
メグは精子提供を受け、体外受精で出産する決意をアリスに示し、アリスはそれに賛同する。アパートの管理組合に、部屋に連れ込んだロビンの破廉恥な行為が発覚した事が災いし、アリスはメグの元から退出を余儀なくされる。アリスはブルックリンに新たにアパートを借り、気ままに初めての独り暮らしを始める。
ある晩、アリスのアパートにジョシュがアリスの私物を届けにやってくる。ジョシュは彼女と同棲する事を明かす。アリスはジョシュを失う事の寂しさを露わにするが、ジョシュはアリスの元を去る。ロビンはそんなアリスに、未練を断ち切って、次の出会いを探す様に促す。アリスは大学の同窓生が集うイベントに参加し、そこでデベロッパーで娘がいるというデビッドと出会う。程なく、メグは体外受精に成功し、妊娠に至る。
クリスマスの時期が到来すると、ルーシーはトムの店を訪ね、アプリを通じて出会ったポールと交際している事を明かす。一方、アリスはロビン、メグと共に事務所のパーティに参加する。アリスは受付係のケンをメグに引き合わせる。ケンはメグよりかなり年下でありながら、メグに好意を寄せる。気を良くしたメグはケンを部屋に連れ込んでセックスする。
ルーシーはクリスマス休暇直前に、ポールから交際三週間目にして遊びだった事を告げられ、破局を迎える。不貞腐れたルーシーは、書店における子供達への絵本の読み聞かせ会で悪態を付いて台無しにしてしまうが、逆にそれが書店を営むジョージに気に入られ、交際に発展する。
アリスはロビンと共にジョシュの家のパーティに招かれる。アリスはジョシュのいとことしてミシェルに紹介されるが、ジョシュとミシェルの仲睦まじい様子を見て居た堪れなくなり、男を見つけたロビンをその場に残して、独りでロックフェラーのツリーを観に行く。その途中、アリスはデビッドと偶然再会する。デビッドは娘がいながら、独身である事を明かすと、アリスをツリーを見られる特上の場所へ案内し、二人はキスをする。一方、メグは病院の前でケンと再会する。ケンはメグとの関係の進展を望むが、メグはその内に気持ちが薄れ、現実が見えてくるはずだと説き、交際に難色を示すと、本意とは裏腹に同年代の女性を探す様にケンに促す。それでもケンは諦めず、帰宅したメグをツリーを持参して待ち受け、メグはケンの気持ちに応える。
三ヶ月後。デビッドと交際を続けるアリスは、ある時、自宅に訪れ、幼い娘フィービーと対面する。妻とは離縁では無く、死別したデビッドは未だに悲しみを引きずっており、とりわけフィービーへの対応に配慮している事から、アリスが必要以上にフィービーに親しげにしている様子を見て母親面していると非難する。アリスは他意が無いと弁解するが、破局を強いられる。アリスはメグの元を訪ね、慰めを貰う。アリスはメグの大きくなった腹は隠しきれないと説き、遠ざけているケンに事実を話す様に促す。
聖パトリックの祝日が訪れると、ルーシーはトムにジョージを紹介する。一方、アリスはロビンと一緒に夜遊びを繰り返す傍ら、予てから挑戦したかった護身術や料理の教室に通い始める等、日々の暮らしを満喫する。ある日、アリスは行きつけのカフェでジョシュと両親に遭遇し、ジョシュが経営学大学院に入学する事を知る。
メグは子供用品店を訪ねた際に、店の前を偶然通りがかったケンに妊娠を知られる。メグは自分の子供だと誤解して喜ぶケンに、事実を打ち明ける。ケンはそれでも構わない意向を示すが、メグは意に反してケンの頼りなさを論い、交際の継続を拒む。一方、トムはルーシーへの好意を募らせるが、連絡する事を躊躇い、アリスを呼ぶとルーシーへの思いを吐露する。アリスもまたジョシュと別れた事への悔悟を吐露すると、酒に酔った勢いで再びトムと後腐れの無いセックスをする。
程なく、アリスは男の事を忘れて楽しもうと企て、友人を大勢招いて誕生日パーティを盛大に催す。ロビンは密かにジョシュ、デビッド、トムを招き、やってきた三人が一堂に会する様子を見て面白がる。ルーシーはトムにジョージと結婚する意向を示す。トムは好意を示して翻意を促すが、遊び相手に対する普段の口説き文句と誤解される。アリスは自分の人生を茶化すロビンに憤りを露わにし、傷つく程に人と関わった事が無いからだと詰る。ロビンはアリスが自分と遊びに出かけるのは、男に捨てられ、励まされたい時だけだと応酬し、酒を飲んで男と寝ても良い相手は探せないと説く。二人のやり取りを見ていたジョシュが見かねてアリスを慰めに行く。アリスはジョシュを部屋に連れ込み、セックスに応じようとする。ジョシュはミシェルと婚約しているが、アリスが恋しくて堪らず、別れるべきでは無かったと吐露する。アリスはジョシュが区切りとしてのセックスを望んでいるのだと知り、反発するものの、未練がある自分も悪いのだと悟ると、恋している状態に執着する余り、自分を失っていたのだと説き、改めて独りになる意向を示してジョシュと決別する。
アリスは帰路に就こうとした矢先にロビン、メグと遭遇する。メグはその場で破水を起こし、アリスはロビンと共にメグをタクシーで病院へ運ぶ。ロビンはアリスに自分がいなくてももう大丈夫だと告げて去る。メグは女児を無事出産する。間もなく、ケンがアリスからの連絡を受けて病室に駆け付ける。ケンは改めてメグへの愛を示し、メグはそれに応える。
その後、アリスは独り暮らしを続けると共に、ジムでトレーニングを重ねる。ある日、アリスはロビンの自宅を訪ね、久しぶりの再会を果たすと、再び親友としての絆を取り戻す。アリスは実は医学部出身だったロビンが、意外にも金持ちだった事を知る。それからもロビンは気ままに独身生活を続ける。トムはプレイボーイとしてのこれまでの生き方を改める。ルーシーはジョージと結婚する。デビッドはフィービーに母の病死を打ち明け、前進する。アリスは長らく心に抱いてきた、元日の夜明け前から独りでグランドキャニオンに登り、初日の出を見るという目標を達成し、人生の輝きを実感する。