チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

獣は月夜に夢を見る

ヨナス・アレクサンダー・アーンビー監督作「獣は月夜に夢を見る」("Når dyrene drømmer" : 2014)[DVD]

小さな漁村に暮らす少女が、母の患う奇病に通じる病変を自分の体に認め、苦悩と共に忌むべき姿へと変貌していく様を描くミステリー・ホラー作品。

 

デンマークの小さな漁村。少女マリーは商店を営む父トールと共に、車椅子で生活する半身不随の母を介助しながら暮らしている。しかし、マリーは母の病気の詳細についてトールから知らされておらず、トールが治療の経過について隠している事に不満を抱く。ある時、マリーは胸元に小さな病変を見つけると、医師ラーセンの診察を受ける。ラーセンは患部の他、爪や歯、背中の様子を調べると、問題が無い事を明かし、一ヶ月後に再診する意向を示す。

程なく、マリーは地元の水産加工会社に入社し、従業員フェリックスに作業を教わる。初日の勤務を終えて帰宅したマリーは、トールの依頼を受け、母の注射痕の炎症を診察に来たラーセンと出会う。マリーは母の視線に促され、ラーセンのバッグから書類の詰まった封筒を盗み出すと、それを自室に隠す。その日、マリーは浴室でトールが母の背中の毛を剃っている様子を盗み見る。

マリーは会社で従業員の好青年ダニエルと親しくなる。その一方でマリーは、不愉快な態度を示すエスベンに母について詰られ、悪態を付く。その日の作業後、マリーはエスベンとビャーネの陰湿ないじめに遭う。その直後、マリーは胸元の病変が悪化し、そこから不可解な毛が生えている事に気付き、自らの体に生じる変化を自覚し始める。

マリーは八つ当たりする様に、母にぞんざいな食事の与え方をする。トールがそれを咎めると、マリーは母が何の病気なのか問い質し、自らの胸元の病変を見せる。その後、マリーは胸元の毛を剃ると、ラーセンの資料から病気の手がかりを探ろうと試みる。トールはラーセンを呼ぶと、マリーに該当する症状が揃っている事を伝え、もう隠してはおけないと訴える。マリーは二人の会話を盗み聞きする。ラーセンはマリーを呼び寄せると、体の異変が病気のせいであり、母の症状に鑑みて、体が徐々に変化し、全身が毛深くなり、攻撃になる事を明かすと、マリーに薬を飲む事を勧める。マリーはそれを頑なに拒否する。

マリーは資料に添付された写真を手がかりに、港に捨てられたままになっている廃船に侵入する。マリーは船倉の出入り口の扉に、内側から無数の引っ掻いた痕を見つけると、その足でフェリックスの元を訪ね、廃船について尋ねる。フェリックスはその廃船が現在は帰国しているロシア人の物だと明かす。マリーは更に、母の乗船の有無について尋ねるが、フェリックスはマリーの母が怖れられていたとだけ明かすと、首を突っ込まぬ様に諭し、マリーをクラブに連れ出す。

マリーはクラブで踊り耽り、遊びに来ていたダニエルに抱いて欲しいと請う。マリーはダニエルを、隠れ家にしている海岸沿いの廃墟に連れて行く。ダニエルはマリーの服を脱がせた後、背中の体毛に気付いて怯む。マリーはダニエルを突き放し、帰る様に促すが、ダニエルはマリーを受け入れ、セックスする。マリーの体は感情の昂りに伴い、更に変化が進行する。

マリーが深夜に帰宅すると、トールはラーセンを呼び、眠っているマリーに薬を強引に注射しようとする。その時、凶暴化した母がラーセンに襲いかかり、咬み殺す。母は再び車椅子に座ったままとなり、トールはラーセンの死体を庭に埋める。マリーは、廃船を所有するロシア人も母に手を出したが故に殺されたのかとトールに問い質し、トールはそれを認める。

翌日、会社の代表イブはラーセンの失踪を知り、ビャーネ、ジョナと共にトールの家を訪ねるが、トールは白を切る。イブ達はそれを訝り、母の服を脱がせ、皮膚、爪、歯の異変の有無を調べるが、確証を得られず、マリーの事も見張っていると告げて立ち去る。

それから間もなく、会社から帰宅したマリーは、家のドアが開いたままになっており、母が浴槽で死んでいるのを発見する。マリーは悲しみに打ちひしがれるが、葬儀におけるトールとビャーネのやり取りから、不信感を募らせる。また、マリーは爪が出血を伴って生え変わろうとしている事に気付き、それを弔問に訪れた客達の前で曝す様な奇行を演じる。

マリーは顕著になった体の多毛を自覚しながらも、出勤しようとする。トールは外では守ってやれないと説き、家に留まる様に命じるが、マリーはそれを振り切って出勤し、多毛を曝して作業に臨む。業務後、マリーはロッカーに大量に詰め込まれた魚を片付ける為に、一人だけ夜まで居残りを強いられる。工場から出たマリーは、待ち伏せしていたエスベン達の襲撃に遭い、バイクと車で追い掛け回される。マリーはフェリックスの家を訪ね、助けを求めるが、フェリックスは居留守を使う。

マリーは人気のない畦道で、追ってきたエスベンを襲い、咬み殺すと、夢現の状態で隠れ家に辿り着き、眠りに落ちる。間もなく、そこへダニエルが駆け付ける。マリーはエスベンを殺した事を覚えておらず、当惑する。ダニエルは一緒に逃げる事を提案し、船を用意して迎えに来るまで待つ様に命じる。

マリーは自宅に荷物を纏めに戻る。トールは血まみれのマリーを見て、事情を察すると、綺麗だと告げ、馬鹿な真似はせぬように諭す。マリーは無言で家を出ていく。マリーは隠れ家に戻るも、ビャーネとフェリックスの待ち伏せに遭い、殴られて気絶する。

イブ、ビャーネ、ジョナ、フェリックスはマリーを漁船に連れ込み、船倉に監禁する。一足遅く隠れ家に戻ったダニエルは、マリーが漁船に連れ込まれる様子を目撃し、出発間際の漁船に忍び込むと、船倉の扉を開放する。獣の姿と化したマリーは、様子見に来たジョナを殺すと、操舵室に侵入してイブを殺す。ビャーネとフェリックスは逃走を図る。ダニエルはビャーネを船室に閉じ込める。ビャーネは電話で救助を要請するが、そこにマリーが現れ、ビャーネを殺し、続けて甲板に隠れていたフェリックスを殺す。そこへダニエルが近づき、マリーを抱き寄せる。夜が明けると、マリーは甲板で目を覚ます。ダニエルはマリーの手を握り、傍にいると告げる。

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