デヴィッド・イェーツ監督作「ターザン:REBORN」("The Legend of Tarzan" : 2016)[BD]
かつてジャングルの王者ターザンと称された英国貴族が、再びジャングルに赴き、奴隷労働により植民地支配を企てる男の謀略を阻止すべく、奮闘する様を描くアクション・アドベンチャー作品。
1884年、ベルリン会議で欧米の列強諸国はコンゴの植民地支配について合意し、ベルギー国王レオポルド二世は象牙と資源が豊富なコンゴ盆地の領有権を得る。それから五年後、国王はこの植民地開拓により巨額の負債を抱え込んだ事で、遂には軍隊へ支払う給料も滞る。追い詰められた国王は、秘境オパールのダイヤモンドを求めて、腹心レオン・ロムを派遣する。小隊を率いてコンゴ入りしたロムは、原住民を駆逐しながらオパールに侵攻するが、ムボンガ率いる強力な部族の返り討ちに遭う。そこでロムはムボンガに交渉を持ちかける。ムボンガはダイヤモンドと引き換えにターザンを連れてくる様に要求する。
かつて、植民地省のジョン・クレイトン二世とその妻アリスは船の難破により、赤子と共に野生のジャングルに放り出された。程なくアリスが亡くなり、ジョンもまた凶暴な猿の一族マンガニの手にかかって命を落とした。残された赤子ジョン・クレイトン三世は、一頭の雌猿により保護されると、その愛情を受けながら、ジャングルで野生児として育てられた。成長したジョンは動物達の支配者「ターザン」と称され、森に棲む亡霊として内外に恐れられる様になった。ある時、ジョンはクバ族の村に両親と共に移住してきた米国人の娘ジェーンと出会った。ジョンは仲間を殺した人間を敵視していたが、マンガニのボスとの闘争で敗れたジョンをコバの族長が温かく迎え入れた事で、人間と親交を深める様になった。ジョンとジェーンはやがて恋に落ち、結婚した。ジョンはジェーンと共にロンドンに移住すると、父の後を継いでグレイストーク卿として貴族入りし、邸宅で裕福に暮らしながら今に至るのだった。
ある日、ジョンの元に英国首相がレオポルドからのコンゴへの招待状を持参し、ジョンにコンゴ視察を要請する。首相は、レオポルドが立てた学校と教会を訪ね、反奴隷政策の成果を確認するという視察の趣旨を明かすと共に、レオポルドが債務不履行に陥り、ビジネスパートナーを探している事から、英国が進出する好機だと説く。同伴した米国人ウィリアムズ博士は、人気者ターザンのお墨付きを得て、英国が借金を支払い、米国人が儲かるという打算を説き、視察への同行を希望する。ジョンは要請を丁重に断る。ウィリアムズは自らが大統領の特命を受けているものの、視察を希望する本当の目的は米英政府とは異なり、レオポルドがコンゴに進出して七年を経て、全財産を投じて鉄道を建設した後、コンゴ入国を禁止した理由に奴隷労働の存在を疑っており、それを探る為だと明かすと、ジョンに改めて招待を受ける様に要請する。ジョンは故郷の仲間の身を案じ、要請に応じる。それを聞いたジェーンは同行を希望する。ジョンは流産して間もないジェーンを慮り、置いていこうとするが、ジェーンの熱意に折れ、同行を許可する。
ジョンはジェーン、ウィリアムズと共にコンゴへ渡る。その際、ジョン達は一計を案じ、招待されたボマ港の手前で降りて、故郷クバへ向かう。此度の招待の裏を引くロムは、ジョン達に裏をかかれた事を知ると、ベルギー傭兵部隊のオーナーのフラムに銀行への返済を急かされるも、一欠片のダイヤをフラムに提供し、時間稼ぎをする様に命じる。フラムは残りのダイヤと引き換えに傭兵を送る意向を示す。
ジョン達はクバで族長ムヴィロを始めとする部族の仲間達と再会し、歓迎される。その夜、盛大に宴が催される。ジョンはムヴィロから奴隷商人が村人を攫っているという噂を知る。宴が終わり、皆が寝静まった後、ロムは公安軍の部隊を率いて村に奇襲を仕掛ける。ロムはムヴィロを射殺した後、駆け付けたジョンを部隊に捕縛させると、家屋に火を放って引き揚げる。南北戦争で辣腕を奮った射撃の名手ウィリアムズは、村の戦士達と共に部隊に応酬し、ジョンを救出する。ロム達はジェーンとワシンブを始めとする村人数名を捕らえ、川で待機していた船で連れ去る。
夜が明けると、ジョンとウィリアムズ、5人の戦士達は、船に追いつくべく、森を抜け、山から飛び降りて、列車に飛び乗る。ジョン達は貨車にすし詰めにされて移送される奴隷労働者達を発見すると、客車の軍隊を撃退し、列車を奪取する。ロムの命令で軍隊の為の橋の建設を担っている男は、間もなく川と鉄道でコンゴ全域が三日以内に移動可能になる事、既に要塞が完成しており、給料が支払われ次第、二万人の傭兵部隊が到着する事、全ては総督就任を目論むロムの計画である事を明かす。ジョン達はロムがコンゴ中の部族を奴隷にしようと企てているのだと悟る。
ジョンとウィリアムズは列車を止めると、車内で回収した奴隷労働の証拠となる台帳を部族の戦士達に託した後、マンガニの群れが縄張りとするジャングルを通って、ロムの船を目指す。道中、マンガニの群れが立ちはだかり、かつて兄弟分だったアクートがジョンに一対一の戦いを挑む。ジョンはそれに応じるが、格闘の末にアクートに敗れ、負傷する。ウィリアムズはジョンを介抱した後、自らがかつてロムの傭兵の様に金の為に戦争に参加し、インディアンを虐殺した過去への悔悟を吐露する。
翌日、ジェーンは兵士の不意を突いて船から脱出すると、囚われのワシンブを解放し、一緒に逃走を企てる。森へ逃げ込んだ後、ジェーンはワシンブに助けを呼びに行く様に命じて別れるが、間もなくマンガニの群れと遭遇する。そこへロムが部隊を率いて駆け付けると、マンガニの群れを駆逐し、ジェーンを連れ去る。ジョンはジェーンの悲鳴を聞いて、森へ駆け付け、アクートの危機を救うと、マンガニの群れに加勢して部隊を追い払う。
ロム達はジェーンを連れてオパールへ向かう。ジョンはオパールへ乗り込むと、ムボンガを闘争の末に破り、刃を突きつける。ムボンガは一人息子を殺したジョンを責めるが、ジョンはその子に母猿を殺されたのだと説く。ロム達はその隙に乗じて採掘したダイヤを船に積み込み、逃走を図る。やがてウィリアムズとマンガニの群れが駆け付ける。ウィリアムズはムボンガ達がロムに利用されているだけであり、いずれ皆殺しにされると説き伏せる。
ボマ港では要塞が築かれ、傭兵部隊の到着を待つ。ロムはフラムへのダイヤの引き渡しに備える。程なく、フラムが傭兵部隊を率いて船団でやってくる。ジョンはライオンにバッファローの大群を駆り立てさせ、ボマ港を急襲する。ロムはジェーンを連れて船に逃げ込もうとする。ジョンはジェーンを救出すると、ロムの後を追って船に向かう。ウィリアムズは敵の機関銃でロムの船を掃射し、乗員を駆逐する。ジョンは船に乗り込むと、ダイヤを回収しようとするが、背後からロムがクモの糸でできたネックレスで襲いかかり、ジョンを窒息させる。ロムはダイヤを奪うと、フラムを呼び寄せ、引き渡そうと企てる。ジョンは求愛の鳴き声で港湾内に屯するワニをおびき寄せると、ネックレスを断ち、ロムを水中に落としてワニの餌食にする。間もなく、ボイラーが破裂し、船は大破する。フラムはダイヤを諦めて船団を撤収させる。ジョンは生還し、ジェーン、ウィリアムズと勝利を喜ぶ。部族はその様子を見守り、快哉を叫ぶ。
1890年7月、ウィリアムズはレオポルドへ公開書簡を発出し、コンゴ人を奴隷にし、虐待していた事について調査し、裏付けとなる証拠を入手している事を伝える。一年後、ジェーンは再建したクバの村で出産し、ジョンは仲間達の祝福を受ける。ジョンは再びターザンとしてジャングルに君臨する。