チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ダーク・プレイス

ジル・パケ=ブランネール監督作「ダーク・プレイス」("Dark Places" : 2015)[BD]

幼少時に家族を惨殺された女が、四半世紀を経て事件を再調査する事になり、トラウマと葛藤しながらも、兄が犯人だと証言した当時の曖昧な記憶と向き合い、真実を探索していく様を描くミステリー・スリラー作品。

 

1985年10月、カンザス州キナキーの農家が夜間に何者かに襲撃され、母と二人の子が殺害される。カンザス一家惨殺事件として世間を震撼させたその事件は、生き残った末っ子リビーの証言が決め手となり、警察に反抗的な態度を示し、アリバイが無く、更に悪魔崇拝に傾倒していたとされる長男ベンの殺人罪が確定する。ベンは刑務所に収監され、28年の月日が流れる。リビーはトラウマに苛まれ続ける一方で、事件の直前に母パティが告げた「愛している、絶対に忘れないで」という言葉の真意を測りかねていた。寄付金と自叙伝の収益に恵まれたリビーは、働こうとはせず、カンザスシティで孤独に荒んだ暮らしを送っていたが、いよいよ生活費に事欠くほどに窮乏する。そんな折、リビーはライルという男から連絡を受け、報酬と引き換えに、独自に犯罪を捜査しているという殺人クラブの会合への参加を要請される。リビーはライルが事件について疑っていると知り、反発するが、金の為に渋々その会合に出向く。ライルはクラブに元刑事や探偵、弁護士などが集まり、事件を解決に導いている事を明かすと、リビーの事件に興味を抱くグループを紹介する。グループの面々はパティの離婚した夫でリビーの実父ラナーの犯行を疑っており、パティに借金を断られて逆上した事を理由に挙げると、ベンの冤罪を主張する。ライルは事件の証拠資料があと三週間で廃棄処分される事を明かし、それまでに新たな証拠を提出するか、リビーが証言を撤回する必要性を説く。リビーはベン自身も上訴していないと主張するが、グループの面々はベンが上訴する希望すら失っているのだと反論し、リビーを嘘つきだと罵る。リビーは憤慨し、その場を後にする。

(後段の過去パートと適宜交錯しながら進行する)

その後、リビーはライルと再び会い、金の為にグループに協力する見返りに新たに報酬を求める。ライルはラナーを捜し出す事と、ベンに会う事をリビーに求める。リビーはそれに応諾するが、グループの間違いを証明する意向を示す。リビーは早速刑務所を訪ね、事件後初めてベンと窓を隔てて面会する。リビーはラナーが行方不明で、伯母のダイアンが死んだ事を伝える。ベンはリビーを恨んでおらず、会えた事を喜ぶと、高卒資格を取得した事を明かし、大学を卒業する意欲を見せる。ベンはかつて飼っていた馬に関する他愛もない雑談を始める。リビーはその意図を測りかね、ラナーの居場所について尋ねる。ベンはグループホームから手紙が来て、ラナーに金を無心された事を明かす。また、ベンは結婚するつもりだった女の名を彫ったタトゥーを見せ、リビーが面会に来てくれた事を感謝するが、犯行を否定する。リビーは嘘の塊と詰ってその場を後にする。

ライルはリビーに調査記録一式を手渡し、目を通して不審な点を探す様に促すと、かつてベンと親しかったクリシー父親に暴行罪で服役した前歴がある事から、事件の犯人と疑っている事を明かす。リビーは記録を元に、曖昧な記憶を辿り始め、自らの証言への確信が揺らいでいく。

リビーはクリシーの母に素性を偽って連絡し、クリシーがストリップクラブで働いている事を聞き出すと、ライルと共にそのクラブを訪ねる。クリシーはベンに淫行と悪魔への宣誓をさせられ、殺される思いをした事への恨みを吐露し、父がベンを見つけていたら殺したはずだと説く。リビーはクリシーに請われて金を貸すと、名前と連絡先を書き残してその場を後にする。

リビーは詮索好きだった長女ミシェルが綴った日記を読み、ベンと悪魔崇拝で繋がっていたディオンドラを貶していた事を知る。間もなく、リビーはラナーが有毒廃棄物捨て場にいる事を聞きつけると、浮浪者の屯する捨て場を訪ね、打ち捨てられた工場の中で暮らすラナーと遭遇する。リビーはラナーに真相を話す様に求める。ラナーはベンが先住民のトレイとつるんでいた事を明かすと、パティの保険金がどこに行ったのか問い質す。リビーはベンの弁護費用に充てられた事を明かすと、パティに金をせびった末に喧嘩になったのでは無いかと問い質す。ラナーはディオンドラが妊娠していた事を明かし、悪魔崇拝の儀式に則れば妊婦や胎児を殺すはずだと説く。

リビーは再びベンに面会し、赤子の行方について尋ねる。ベンは今もなお嘘を付くリビーを咎め、リビーもまた牢獄にいる憐れな身なのだと詰る。その後、リビーはディオンドラが事件後に行方不明になっている事を知る。程なく、クリシーがリビーを訪ねてやってくる。リビーは当時、年上のベンに好意を抱いて付き合い始め、キスをしたが、ベンからデートを断られた事に腹を立て、淫行されたと嘘を吹聴した事を明かす。

ライルは事件の矛盾点が見えてきた事を踏まえ、再審請求するのは当然だと主張する。リビーはベンがディオンドラの事で嘘を付いていると反駁する。ライルは、犯行を見たというリビーの証言も嘘では無いかと指摘する。リビーはライルがそこまで事件に拘る理由を尋ねる。ライルはリビー、ベン、クリシー、三人の子供が大きくした事件が興味深いのだと答える。ライルはかつてサンバーナディーノで発生した山火事について、自分が火を着けた事を明かし、嘘の証言をしたのでは無いかと改めてリビーに尋ねる。

二人は工具店を営むトレイと会い、ラナーについて尋ねる。トレイはラナーが賭けで自分に借金していた事を明かす。更にトレイは、ベンが金持ちで甘やかされ、家出を繰り返していた女ディオンドラにぞっこんだった事、ディオンドラがポルノネームを使用していた事を明かす。リビーはその名前がベンのタトゥーと同じ事に気付き、検索の結果、ディオンドラがミズーリ州カーニー在住だと判明する。

リビーは一人でディオンドラの家を訪ね、真相を求めてきた事を伝える。ディオンドラは事件当夜、ベンと一緒にいたが、ベンが金を取りに家に帰ったきり戻って来なかった為、怖気づいたのだと思い、泣きながら寝た事、翌朝、事件を知ると、父に書き置きして町を出た事を明かし、警察に名を伏せて守ってくれたベンへの謝意を示す。ディオンドラは真実を受け入れればリビーも心の安寧が得られると諭すと、ベンを愛しているものの、ベンには社会に馴染めない要素があり服役は正解だと説く。そこへディオンドラがベンとの間に儲けた娘クリスタルが姿を現し、ディオンドラから話を聞き、リビーの自叙伝を読むなどして、事件を全て知っている事を明かす。リビーは激しく動揺し、トイレに入る。そこへライルが連絡を寄越し、クラブにおける捜査の末に、「負債者の天使」と称される破産した元農民ディールが、以前から偽装自殺を請け負っている連続殺人犯であり、パティもまたディールを雇っていた事を報せる。リビーはライルに迎えに来る様に請う。その直後、リビーは洗面台に掛けられたパティの十字架のネックレスを見つけ、持ち出す。リビーはディオンドラに外で迎えを待つ意向を示す。ディオンドラはベンと共犯だと疑われている事への懸念を示し、内緒にする様にリビーに請う。リビーはディオンドラに殺人現場にいたのか問い質すが、その矢先に背後からクリスタルに頭部を殴られ、気絶する。

ディオンドラ達は拳銃を探しに行く。リビーはその隙に地下室に逃げ込み、通気口から脱出を図ると、ディオンドラ達の追跡を躱し、茂みに身を隠す。リビーは失われた記憶を取り戻し、パティの最後の言葉の真意を悟る。そこへライルが駆け付け、リビーを保護する。

間もなく、ディオンドラはミシェル殺害の容疑でテキサスで逮捕されるが、クリスタルは失踪する。一方、ディールは殺人許可という書類にサインさせた上、遺書を書かせ、50人以上を自殺を装って殺していた事が判明する。リビーは容疑の晴れたベンと面会する。ベンはまだ見ぬ娘についてその印象をリビーに尋ねる。リビーは屈折した性格だと説くが、ベンは自分の手で娘を捜し出す意向を示す。リビーはこれまで正しいと思ってきた事が間違っていたのだと説き、クリスタルを訴える気が無い事を伝える。リビーはベンが嘘を付いてきた事を非難するが、ベンは28年間、娘の為に口を閉ざしてきた事を自負する。リビーは自分もまた嘘を付いてきた事に鑑み、おあいこだと説く。リビーは家族の記憶は事件の夜に消え去り、ベンが他人の様に思えるものの、それでも兄だと説くと、事件に振り回されず、普通に暮らす事を望む。ベンはリビーに許しを請い、涙する。ベンは間もなく、釈放される。リビーは事件を通じてベンだけが許す事を学んだのだと悟る。帰り道、リビーはかつて暮らした農場に寄ると、当時の家がそのまま残り、他の家族が暮らしている事を知る。リビーは、パティが遺書で有益な人生を送る事を子供達に願ったが、自分は普通の人生で十分であり、それが今やっと始まったのだという展望を抱く。

 

(過去パート)

1985年10月、パティは両親から継いだキナキーの農場を女手一つで経営し、四人の子供達ベン、ミシェル、デビー、リビーを育てていた。しかし、収益が悪化した事で、パティは住宅局に農場の差し押さえを通告され、窮地に立たされる。一方、長男ベンは付き合いのあるトレイに感化され、悪魔崇拝に傾倒すると同時に、交際していた年上の少女ディオンドラを妊娠させる。

パティは姉ダイアンに差し押さえの件を明かす。ダイアンはパティの身を慮ると同時に、ベンがボランティアで手伝っている美術クラスの生徒クリシーが、ベンの淫行を吹聴し、警察沙汰になっている事をパティに伝える。一方、ディオンドラは、詮索好きで嫌悪しているミシェルによって、妊娠の件が厳格な父に密告される事を恐れる。ディオンドラはその前に一緒に町を出る事をベンに提案し、大麻を捌いているラナーから資金を融通してもらう様に請う。

パティはダイアンと共に警察署を訪ね、ベンの件で話を聞く。警察は少女達がベンに淫行され、更に儀式に参加させられたと主張している事を伝えると、虐待が家庭から始まると説き、妹達にも被害が及んでいる可能性を指摘する。パティ達はその足でクリシーの家を訪ね、家族と被害を受けた少女達と対面する。クリシーはパティが来た事に当惑する。クリシーの母はパティの身の上を罵り、クリシーはベンが地獄へ行くべきだと訴える。

パティは自分のせいでベンが道を誤ったのだと嘆くと、自殺を仄めかし、ダイアンに子供達を引き取る様に請う。帰宅したパティをラナーが待ち受け、金をせびる。パティはベンの弁護費用が必要になる事を伝えるが、ラナーはパティのなけなしの金を奪うと、更にパティが親から受け継いだルビーをあしらった十字架のネックレスを奪おうとする。パティがそれを拒むと、ラナーは悪態をついて立ち去る。パティはショットガンを持ち出す。

その夜、ラナーはバーでトレイに借金の返済を求められる。その際、ラナーはベンがディオンドラを妊娠させ、金を必要としている事を知る。ラナーはベンに、金持ちの女が貧乏な男の相手をする理由を考える様に諭す。トレイ、ディオンドラ、ベンはバーからの帰り道に寄った農場で、ドラッグで高揚した勢いで悪魔崇拝の儀式に臨む。ベンはトレイとディオンドラに唆され、一緒になって生贄の為に牛を惨殺する。

ベンが帰らずにパティは心配を募らせる。ミシェルはベンが悪事に手を染めている事への嫌悪感を示す。パティはミシェルにベンの淫行について尋ねる。ミシェルはそれを否定するが、ベンの部屋は不気味な物ばかりだと明かす。パティはベンの部屋に無断で立ち入り、悪魔崇拝に傾倒するノートの中に、淫行の被害者達の名が綴られているのを見つける。更に、パティはベッドの下に隠された女児用の服の数々を見つけ、それらを全て暖炉で焼却する。その直後、パティは住宅局から電話を受け、問題を解決する為の特別な手段について教わる。それを受け、パティは人気の無い場所で元農夫と称する男と落ち合う。その男ディールは良い弁護士を雇わないと、ベンが犯罪者になると諭すと、家族を救う手助けができると説き、パティに一筆書かせる。パティは帰宅すると、男への報酬を準備する。

ベンはディオンドラの家で自分が警察に捜索されている事を知る。ディオンドラはベンへの心からの愛を訴えると、父が子供を産ませてから自分を殺すつもりでいる事を明かし、一緒に町を出ようと請う。深夜、ベンは荷物と金を取りに密かに帰宅するが、そこへディオンドラも付いてくる。ベンは自室に誰かが入った事を悟り、赤子へのプレゼント用の服が消えている事に気付く。その矢先に夢遊病を患うリビーがパティの寝室に移動する。ディオンドラはミシェルが服を盗んだのでは無いかと疑う。そこへ盗み聞きしていたミシェルが入ってくる。ディオンドラは激昂し、ミシェルを押さえつけて首を絞める。ベンはそれを制止するが、騒ぎを聞いてデビーが目を覚ます。その最中、ディールが家の中に侵入し、報酬を回収する。パティは物音を聞きつけ、寝室から出た矢先にディールに腹部を刺される。デビーはミシェルの助けを求めにパティの元へ向かうが、それに気付いたディールがパティの猟銃でデビーを射殺し、更にパティをも射殺した後、姿を消す。ベンは様子を覗いに行き、パティとデビーの死体を見つける。その隙にディオンドラはミシェルを絞殺する。ベンは警察に連絡しようとするが、その矢先にリビーが逃げ出す音を聞く。ディオンドラは、儀式の後に家族が殺されたのは偶然では無いと説くと、保険金で一緒に暮らす事を提案し、その為に自らの手でリビーを殺す意向を示す。ベンはそれを拒み、リビーを探しに行く。ディオンドラはパティの死体から十字架のネックレスを奪って立ち去る。ベンは物置の中で泣きながら蹲るリビーに気付くと、そこでじっとしている様に命じてその場を離れる。夜が明ける頃、リビーは家の中に戻り、惨状を目の当たりにする。

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