チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

シークレット・オブ・モンスター

ブラディ・コーベット監督作「シークレット・オブ・モンスター」("The Childhood of a Leader" : 2015)[DVD]

ある癇癪持ちの男が独裁者へと変貌を遂げる端緒となった、子供時代の出来事を描くミステリー・ドラマ作品。

 

1914年に勃発した第一次世界大戦は、四年余りの激戦の末にドイツが降伏した事により、連合国と中央同盟国との間で休戦協定が締結される。1919年1月18日より、パリに世界各国の首脳が集まり、講和会議が始まる。ウィルソン大統領の来仏に合わせ、国務次官補の男がフランス人の妻と幼い息子プレスコットを連れてフランスに赴任する。一家は開戦と同時に去った男の義理の姉から継いだ田舎村の屋敷を住処にし、先代から仕えるメイドのモナが家族の世話を担う。敬虔なカトリック教徒の母はプレスコットに信仰を強要するが、プレスコットは何かにつけ癇癪を起こす為、躾に苦慮する。その一方で、プレスコットは柔和で温厚なモナを慕う。

屋敷での暮らしが始まって程なく、プレスコットは教会で催される、子供達による降誕劇に参加する為、稽古に臨む。その後、プレスコットは教会に集った村人達目掛けて石を投げつける。村人がそれに気付いて追いかけると、プレスコットは茂みに逃げ込んだ末に転倒して怪我をする。母はプレスコットを自宅へ連れ帰る。期せずして父を車に乗せてきた知己の記者チャールズが屋敷に居合わせ、母と再会する。チャールズが辞去すると、父はチャールズが旅行中に妻を亡くした事を明かす。その夜、プレスコットは怖い夢を見て寝小便する。

翌日、母はプレスコットを連れて教会に神父を訪ね、投石の件を詫びる。神父は投石の理由をプレスコットに尋ねる。プレスコットの返事が要領を得ない為、母が詰問すると、プレスコットは露骨に悪態をつく。母はプレスコットが事情を理解できていないのだと弁解する。神父は日曜のミサに集まる教区の皆に直接謝る様に促す。

母は新たにエディットをメイドに雇い、またプレスコットの家庭教師に、仏語と英語を話す村の娘アデレイドを雇う。アデレイドはプレスコットを散歩に連れ出し、雑談を交わす。その際、アデレイドがプレスコットの長い髪を切る様に勧め、髪に触れた途端、プレスコットはその手を払い除け、不快感を示す。

一家は日曜のミサに参加し、プレスコットは降誕劇を演じる。その後、プレスコットは神父に伴われ、訪れた村人一人ひとりに謝罪を強いられる。その最中、プレスコットはその風貌から女児と誤解されて反発する。プレスコットは帰宅するや否や、自室に駆け込み、嘔吐する。

新年を迎える。プレスコットはアデレイドの指導の下、フランス語の学習に勉める。アデレイドは上達ぶりを評価する。プレスコットはひょんな事から、パリから帰宅したばかりの父がアデレイドと部屋で二人きりでいるところを目の当たりにする。食事時、プレスコットは母の前でその事を父に指摘する。父はしらを切る。プレスコットはエディットの用意した不味い料理に不満を露わにする。母は食べ残しを許さず、モナにプレスコットが食べ終わるまで付き添う様に命じる。モナはプレスコットに同情し、料理を捨てて、食べた事にしてやる。

父は数日間パリに滞在する運びとなり、屋敷を母に任せて出発する。プレスコットは勉強中、不意にアデレイドの胸を触る。気分を害したアデレイドは、プレスコットに謝罪を命じ、手を叩く。復活祭当日、父は閣僚と大勢の職員を連れて突然屋敷に戻ると、講話の条件に関する協議が難航しており、内々の会議を開く必要を迫られた事を母に伝え、理解を求める。プレスコットはアデレイドを探して、会議の場に立ち入り、そこで女児に誤解される。プレスコットは自室に戻った後、裸にガウンだけを羽織った姿で戻ってくる。それを目にした父は驚き、他の者に気付かれぬ内に部屋に戻る様に命じる。プレスコットは父に悪態をつき、自室に戻る。父はモナを叱責し、直ちにプレスコットを着替えさせる様に命じる。プレスコットは自室に篭ったきり、出て来なくなる。モナは食事と、プレスコットに頼まれた童話「ライオンとネズミ」を部屋に差し入れる。

程なく、会議が終了し、閣僚と職員達はパリへ引き上げる。父はパリに赴く直前、母にプレスコットを躾直す様に促すと共に、新たにもう一人、女児を儲ける事を希望する。母はプレスコットの出産で死にかけた事を理由に挙げ、難色を示す。母はプレスコットが着替えて出て来るまで食事を抜く様にモナに命じる。アデレイドが勉強を教えに訪れると、プレスコットは三日後に来る様に頼む。母はそれに従う様にアデレイドに命じると、父との関係についてそれとなく疑いをかける。

モナは母の言いつけを破って、プレスコットに食事を与える。母はそれを見つけると憤慨し、モナを部屋から追い出す。プレスコットは激昂し、母を部屋から閉め出す。モナは独り身で17年間仕えてきたと弁解し、母に許しを乞うが、母は小切手を手渡し、有無を言わさずモナを辞めさせる。モナは一家を破滅させる事に残りの人生を懸けると告げて屋敷から出ていく。母は同時にエディットも辞めさせる。

三日後、アデレイドが再びやってくる。プレスコットはアデレイドと母を部屋に入れると、「ライオンとネズミ」を流暢なフランス語で朗読してみせる。アデレイドが称賛すると、プレスコットは自分だけで勉強を続ける意向を示し、アデレイドは不要だと言い放つ。母はそれを受け、小切手を渡してアデレイドを辞めさせる。その際、母は父とニューヨークで出会い、何度も求婚された事をこれ見よがしに聞かせる。母はプレスコットに仲直りを提案するが、プレスコットはそれを邪険に扱う。

程なく、屋敷に戻った父は、期せずして居合わせたチャールズが母と二人きりでいるのを目の当たりにする。父は条約の起草が始まり、帰国の目処が立った事を明かす。母はモナを解雇した事を報せる。父はドアを開けようとしないプレスコットに憤慨し、父親に対して敬意を示す様に命じると、ドアを押し破る。父は抵抗するプレスコットを、ヴェルサイユに連れて行く為に強引に着替えさせようと押さえつける。プレスコットは右腕を骨折し、悲鳴を上げる。

6月28日、ヴェルサイユ条約が調印される。一家はパリの新居で盛大な祝賀会を開く。チャールズは記者の妻ローラと出席する。治って間もない腕を抱えるプレスコットは、母に空腹を訴えるも蔑ろにされる。プレスコットは庭に出て、石を拾い集める。集まった客が食卓を囲むと、父は母にスピーチを促す。母は代わりにプレスコットに祈りの言葉を任せる。プレスコットは癇癪を起こし、椅子の上に立って「もう祈りを信じていない」と何度も繰り返し叫ぶ。母は止める様に命じるが、プレスコットはそれを拒み、近寄ってきた母の頭を拾ってきた石で殴打する。母はその場に崩れ落ちる。父とチャールズは逃げ回るプレスコットを追いかける。プレスコットは階段を昇りきったところで転倒し、痙攣を起こす。

長い年月の末、新しい時代を迎え、何処かの社会主義国家の隆盛が示唆される。それはかつてプレスコットが見た怖い夢の世界そのものである。官邸前に集まった国民はその国の指導者に熱狂的な声援を送る。剃髪した頭、髭を蓄えた風貌のプレスコットが、今まさに車から降り、国民の前に姿を現す。

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