チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

美女と野獣

ビル・コンドン監督作「美女と野獣」("Beauty and the Beast" : 2017)[BD]

薄情さゆえに魔女に呪いをかけられて野獣の姿と化した王子と、呪いを解く鍵となる美しい村の娘との、城を舞台にした愛の行方を描くロマンティック・ファンタジー作品。

 

昔々、フランスの美しい城に若く麗しい王子が住んでいた。望むものを全て手にした身勝手で薄情な王子は、村人に美しい物だけを献上させ、宴には美しい人々だけを集めた。ある嵐の夜、宴の途中で見窄らしくやつれた老婆がやってきた。老婆は寒さを凌がせて欲しいと望み、王子に一輪のバラを差し出した。王子はそれを拒み、老婆を冷酷に突き放した。老婆は「外見に騙されてはいけない、美は内面に宿るのだ」と諭すと、美しい魔女へとその姿を変えた。王子は直ちに謝ったが、魔女は王子の愛の無い心を見抜き、罰として王子を醜い野獣に変え、全ての家来達と城にも呪いをかけた。魔女は人々から記憶を消し去り、やがて王子達は世間からすっかり忘れ去られてしまった。魔女は城に魔法のバラを残し、その最後の花弁が散るまでに王子が愛し愛される事を学べば呪いが解け、それが叶わぬなら永遠に野獣のままだという条件を課したが、王子は時が経つにつれ希望を失っていくのだった。

田舎の小さな村ヴィルヌーブ。美しく聡明で心優しい娘ベルは、無類の読書家であり、本で世界を旅する夢想に耽っては、いつか運命の王子と出逢う事を願いつつ、芸術家の父モーリスと穏やかに暮らしていた。そんなベルを村人達は変わり者と揶揄し、中には疎ましく思う者もいた。容姿端麗でありながら横柄でガサツな剣士ガストンは、ベルに甚く惚れ込み、素っ気なくあしらわれてもベルを娶ろうと躍起になる。

ある日、モーリスは自作の工芸品を携え、愛馬フィリップの引く荷車で市場へ出発する。ベルは例年の様にバラを土産に希望し、モーリスを送り出す。ベルはモーリス譲りの画期的な方法で洗濯したり、村の子供に読み方を教えるなどして村人達の顰蹙を買う。ガストンは村人が新しい考えを受け入れないと説くと、改めてベルに結婚を申し入れるが、ベルは頑なにそれを拒む。ガストンはモーリスが死んでベルが独身女になれば、村で物乞いする女アガットの様になってしまうと牽制する。

一方、モーリスは森の中で迷った末に、6月にも関わらず雪が降る小道に迷い込む。モーリスはそこで狼の群れの襲撃を受けて馬車を失うが、フィリップに乗って辛うじて逃げ切り、雪に覆われた暗鬱な雰囲気の漂う城に辿り着く。モーリスは体を休める為に城の中に入り、主の姿を探す内に何かの気配を感じ取る。モーリスは暖炉で体を温めると、食堂に用意された料理に口をつけるが、そこに現れた喋るティーカップに驚いて城から退散する。モーリスは城の庭に白いバラを見つけると、ベルへの土産に持ち帰るべく一輪摘み取る。その時、巨躯の野獣がモーリスに襲いかかり、フィリップは城から走り去る。

翌日、フィリップが村に逃げ戻ると、ベルはモーリスに何かが起きたと悟り、フィリップに城へと案内させる。ベルは城に忍び込むと、人の気配を察知し、燭台を手にして上の階へ登る。間もなく、ベルは牢に監禁されたモーリスを見つける。モーリスは城が生きていると訴え、見つかる前に逃げるよう命じる。そこに野獣が現れ、モーリスが盗人だと非難する。ベルはバラを頼んだ自分を代わりに罰するよう望むが、モーリスはそれを拒む。ベルはモーリスと最後の別れをさせるよう訴え、野獣に牢を開けてもらう。野獣は閉じたら二度と開かないと警告する。モーリスは自分を忘れて生きるようベルに諭すが、ベルはそれを拒み、モーリスを牢の外へ押し出して扉を閉める。野獣はモーリスを外へ連れ出す。モーリスは必ず助けに来ると約束する。

野獣が去ると、家来の一人で燭台に変えられたルミエールが牢の扉を開ける。更にそこに置き時計に変えられたコグスワースも現れる。両者は狼狽えるベルを導き、城の中を案内すると、東の塔に設えた美しい部屋へと招く。ルミエール、コグスワース、はたきに変えられたプリュメット、衣装だんすに変えられたマダム・ド・ガルドロープ、ポットに変えられたポット夫人、その息子でティーカップに変えられたチップらは、ベルこそが魔女の呪いを解く鍵だと考え、王女になってもらおうと画策し始める。一方、ベルに袖にされて落胆するガストンは、村の酒場で子分同然の相棒ル・フウに励まされ、村人達と宴に興じる。そこへ城から戻ったモーリスが現れ、森の奥に隠れた冬の城に恐ろしい野獣が住んでおり、ベルが幽閉されたと訴え、ガストンらに助けを求める。ガストンはそれを好機と考え、協力を買って出ると、モーリスに案内を命じる。

野獣はルミエールらがベルに部屋を与え、更に晩餐の準備までしている事を知って憤慨する。ルミエールはベルこそが呪いを解く鍵かも知れないと訴える。野獣は卑しい盗人の娘だと詰る。ポット夫人は父親でその人を判断してはいけないと窘める。野獣はルミエールらに促され、紳士的な態度でベルを晩餐に呼びに行く。ベルは囚人にしておきながら晩餐に呼ぶのはおかしいと反発する。野獣は気分を害し、ベルに食事を与えぬよう家来達に命じる。そうこうしている内にバラの花弁は散っていき、それに連れて城は徐々に崩壊し、家来達の変化も進んでいく。

家来達はモーリスを心配するベルを元気づける為に、野獣の命令に背き、食堂に晩餐を用意する。マダムの夫でハープシコードに変えられたマエストロ・カデンツァの調べに乗せ、家来達は饗宴で晩餐を演出し、ベルを楽しませる。晩餐の後、ベルは部屋に向かわず、秘密があると悟った西の塔へ向かい、荒みきった王子の部屋に辿り着く。ベルはバルコニーにガラスで覆われた一輪のバラを見つけ、触れようとする。そこに取り乱した野獣が現れ、ベルに出ていくよう命じる。ベルは家来達の制止を振り切って、フィリップに乗って城から出ていくが、森に入るや狼の群れに襲われる。そこに野獣が駆けつけ、身を挺して狼を撃退し、ベルの窮地を救う。ベルは傷ついた野獣を城に連れ帰る。

モーリスは森にガストンとル・フウを連れて行くが、城に通じる道を見失って困惑する。ガストンはモーリスの訴えを戯言だと一蹴し、村に戻る意向を示す。モーリスはガストンの目的がベルとの結婚だと知ると、絶対に結婚させないと言い渡す。ガストンはモーリスを殴り飛ばすと、狼の餌食にする為に縄で縛って森に置き去りにする。一方、ベルは野獣を部屋で介抱するが、粗野な野獣の態度に反発し、家来達に野獣に仕える理由を尋ねる。ポット夫人は、元来優しかった王子が幼くして母を亡くし、無慈悲な父にそんな風に育てられた事を明かす。ベルは野獣達に協力する事を決意する。

翌朝、モーリスは森で暮らすアガットに助けられ、介抱される。野獣はベルが読書好きだと知ると、夥しい蔵書を収めた書庫へベルを招き、ベルはそれに感嘆する。その後、ベルは本を通じて野獣と心を通わせていき、意地悪で粗野だと思っていた野獣が、実は繊細で理知的な男なのだと知る。野獣はベルとなら愛し愛される関係になれるかも知れないと希望を抱き始め、家来達もまた呪いが解かれる期待を膨らませていく。

野獣はベルが村で変わり者扱いされ、自分と同じ様に孤独を感じていると知ると、魔女が残した逃避の為の本を紹介する。野獣は自らには外の世界に居場所が無くとも、ベルにはそれがあると説き、本の中に描かれた地図に向かって、行きたい場所を心の目で見るよう促す。ベルは野獣と共に、モーリスが母とパリで過ごしたホコリだらけの屋根裏部屋に訪れる。ベルはモーリスが母について何も話してくれなかった事を明かす。野獣は部屋に置かれた防毒マスクを見つけ、母がペストを患っていたのだと指摘する。ベルはモーリスが母に促され、赤子だった自分を連れてパリを離れたのだと知る。

森から酒場に戻ったガストンとル・フウは、先に戻っていたモーリスと対面する。モーリスはガストンが自分を狼の餌食にして殺そうとしたと村人達に訴える。村人はその証拠を求めるが、アガットもル・フウもガストンに圧迫されて口を噤む。憤慨したモーリスはガストンに殴りかかろうとして取り押さえられる。ガストンはモーリスが正気では無いと見做し、村人達にモーリスの拘束を命じる。

一方、家来達は野獣にベルが運命の人に相違なく、思いを告げるべきだと強く勧める。夜、野獣とベルはそれぞれに正装を施し、ホールでダンスに興じる。野獣はいつかベルの愛を得たいと告白する。ベルは自由が無ければ幸せは得られないと説き、モーリスへの心配を吐露する。野獣は魔法の鏡でモーリスの様子を見せてやる。ベルはモーリスが村人達から酷い仕打ちに遭っている事を知る。野獣はベルに村に戻るよう促し、自分を思い出す為に魔法の鏡を持たせる。ベルは後ろ髪を引かれる思いで城を離れ、フィリップに乗って村へ急ぐ。家来達は皆一様にベルが去った事に落胆する。野獣は真実の愛に気付くのが遅すぎた事を悔い、ベルが戻るのを願いながら暮らす事を決意する。

モーリスは精神病棟行きの馬車に閉じ込められる。そこへベルが戻り、野獣がいるというモーリスの話は本当だと訴え、魔法の鏡でその姿を村人達に見せる。村人達はそれに恐怖する。ガストンはベルも呪いをかけられており、野獣に知らせられたら村が危険だと説き、ベルをモーリスと一緒に馬車の中に閉じ込める。ガストンは村人達を焚き付け、総出になって城へ野獣殺しに出発する。程なく、家来達はガストンらの襲撃を受け、城の扉にバリケードを施して抵抗する。一方、ベルはモーリスに、パリの屋根裏部屋を訪ねて母について知った事を明かすと、モーリスが母を置き去りにせざるを得ず、これまでそれを話さなかった事に理解を示す。モーリスはベルの髪留めで馬車の鍵を開ける。ベルはフィリップに乗って城へ向かう。

ガストンらは扉を破って城の中に突入する。家来達はそれぞれの得意技でガストンらを迎え撃つ。窮地に陥ったル・フウはガストンに助けを求めるが、ガストンはル・フウを見捨てて野獣の元へ向かう。ル・フウはガストンに愛想を尽かし、家来達の方に寝返って村人達と戦う。ガストンは塔を駆け上がり、意気消沈する野獣を見つけると、ベルが自分を送ったと欺き、野獣の背後から銃撃する。野獣は転落しながらもガストンから逃れる。そこへベルが駆け付ける。野獣はベルが戻った事を知って奮起すると、ガストンを捕まえて圧倒する。野獣は命乞いするガストンを殺さずに解放する。ガストンは逃げると見せかけて野獣に銃撃を浴びせ、致命傷を与えるが、その直後に城の崩落で転落死する。ベルは倒れた野獣に駆け寄り、二度と離れないと誓う。野獣は最後に一目だけ会いたかったと告げて息絶える。その時、バラの最後の花弁が落ちる。家来達は意志を失い、完全に停止する。ベルは野獣に愛を告げ、額にキスをする。そこにアガットがやってきて、魔女の姿と化すと、魔法で野獣を王子の姿に戻して、蘇生させる。王子とベルはキスを交わす。城にかかった呪いは解け、朝日が昇り、雪を溶かし、世界は彩りを取り戻す。家来達は元の姿に戻り、記憶を取り戻した人々達との再会を歓ぶ。その後、王子とベルは宴で人々と幸せを祝う。モーリスは王子とダンスに興じるベルを絵に描く。

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