チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

逆殺館

アラステア・オア監督作「逆殺館」("House on Willow Street" : 2016)[DVD]

身代金強奪を企てる犯行グループが、標的の家から誘拐した女に取り憑いていた悪魔に逆に標的にされ、襲われゆく様を描くホラー作品。

 

両親を火事で亡くした後、孤児院で育ったヘーゼルは長らく犯罪を生業としてきたが、追われ続ける暮らしから抜け出すべく、恋人エイドとそのいとこジェームズ、孤児院仲間マークらと一攫千金の犯行を企図する。ヘーゼルは大量のダイヤを売買する元締めハドソンの家から、一人娘のキャサリンを誘拐して人質にする事で、身代金代わりにダイヤを要求する計画を考案する。マークとジェームズは準備に十分な時間を割くべきだと主張するが、ヘーゼルは六週間で実行する意向を示す。保釈中で裁判を間近に控える身のエイドは、直ちに国外へ高飛びする必要に迫られており、ヘーゼルを支持する。

六週間後の深夜。一行は標的のハドソン家の傍にバンを停める。武装したエイドとジェームズはそれぞれ正面と裏口から家への侵入を企てる。エイドは正面玄関が開放され、更にセキュリティが解除されている事を訝りながらも、キャサリンの寝室へ向かう。エイドはキャサリンのクローゼットの奥に刻まれた不気味なシンボルを見つける。その時、背後に傷だらけで異様な風貌のキャサリンが現れる。エイドとジェームズは直ちにキャサリンをバンに運び込む。一行はそこから程近い場所にある無人の廃工場の地下にキャサリンを連行し、鎖に繋がった首枷を付けて監禁する。マークは別室のモニターでキャサリンの様子を監視すると共に、警察無線を傍受する。

ヘーゼルはキャサリンが傷だらけな理由を測りかねるが、計画を続行する。キャサリンは自分を解放する方が互いの為だと説く。ヘーゼルは抵抗するキャサリンに、傷つけるつもりは無く、ハドソンが奪った物を償ってもらうだけだと説き伏せると、脅迫ビデオの撮影を始め、300カラット相当のダイヤをハドソンに要求する。ヘーゼルはマークにビデオを送信させると、ハドソン家に電話をかける。しかし、誰も電話に出ない為、痺れを切らしたヘーゼルは、マークらに家に戻るよう命じる。マークは罠の可能性を疑い、難色を示す。エイドは長引かせる事を嫌い、ジェームズと共に再びバンでハドソン家に向かう。その矢先に、工場の電気が落ちる。ヘーゼルは地下にあるブレーカーの確認に向かうが、その際に幻覚を見る。キャサリンは自分を解放しなければ全員が死ぬと警告する。ヘーゼルはブランケットを与える為にキャサリンに近づく。キャサリンはヘーゼルに掴みかかり、ヘーゼルが子供の頃に歌っていた歌を口ずさむと、自分が誘拐された理由を知っていると説き、ヘーゼルが火事で両親を亡くして自分だけが生き延びた事に罪悪感を抱えていると看破する。ヘーゼルは激しく動揺する。

エイド達はハドソン家に侵入するや、最初にはなかった腐敗の状況を目の当たりにする。ジェームズは地下に、エイドはハドソン夫妻の寝室に向かい、それぞれ工具で惨殺された二人の神父と、ベッドで切り裂かれて死んでいる夫妻の死体を見つける。エイドはかつて自らの過ちで事故死させた仲間ジョージーの死霊と遭遇するなど、不可解な出来事に翻弄される。二人は直ちに家を脱出し、バンで逃走する。森を抜ける途中、エイドは再びジョージーの死霊に幻惑され、運転を誤って横転事故を起こす。一方、マークは少女の泣き声を聞き、様子を観に行く。マークは背を向けて泣いている少女を見つけると、それがかつて亡くした娘サラだと悟り、呼びかける。少女は振り返り、悍ましく変形した顔を露わにする。マークは驚愕して少女に発砲するが、その姿は忽然と消える。ヘーゼルはマークを捜す最中に焼け爛れた母の死霊と、火災の中に閉じ込められる幻覚に惑わされる。そこにマークが駆け付け、自らもサラを見た事を明かす。

先に目覚めたジェームズは助けを呼びに行く。遅れて目覚めたエイドはジェームズを捜しに行く。ジェームズは森の中で母の死霊と遭遇する。死霊は口から伸びた悍ましい舌をジェームズの口から体内に押入れ、魂を奪う。間もなく、エイドは錯乱するジェームズを発見すると、廃工場に連れ帰る。ジェームズは泡を吹いて正気を失い始め、別室に留め置かれる。エイドはハドソン家と森で見た異常な出来事をヘーゼルらに伝えると、家に悪魔祓いの形跡と神父の死体があった事から、元凶がキャサリンだと説き、持ち帰ったビデオテープを差し出す。ヘーゼルらは「キャサリンの記録」と記されたそのテープを再生する。

キャサリンは自撮りでその家に関して判明した事を伝える。地下室でサインを見つけたのを機に調べたところ、その家では1900年代から不可解な死が続いており、1920年代には教会の調査も行われた。1941年、メアリーが孫と二人で移り住んだ二週間後に、孫の喉を裂いて殺した。1960年代に住んだドン一家においては、妻が毒殺した二人の子供の横で自らの眼球をえぐり出した。更にその後、ハドソンの共同経営者ジョンとその妻娘においては、火事に遭って娘ヘーゼル以外が死んだのだという。

ヘーゼルはエイドらに対し、両親の死後、ハドソンが父の事業と家を乗っ取り、自らは施設に入れられた事を初めて明かすと、復讐を否定する。

続けてキャサリンは、メアリーとドンがそれぞれ息子を失っており、ジョンがダイヤ強盗に兄弟を殺されていた事実を列挙し、誰かを亡くした後にその家に住むと危険であり、禍々しい姿をしたトラングールが傷を抱えた魂を奪うのだと訴えると、自らも3週間前に秘密裏に赤子を堕ろした事を明かす。キャサリンは心に語りかける声に指図され、従わざるを得なくなるのだと説く。

ヘーゼルらはもう一本のテープ「悪魔祓いの記録」を再生する。

キャサリンの両親に対し、事態が切迫していると訴える二人の神父は、バチカン教皇庁図書館に所蔵されている、神が記したとされる最古の聖書写本「バチカン写本」が霊的な力を発し、バチカンと同じ緯線上に集まる悪魔の活動を阻んでいるが、距離が離れるほどその力は弱まり、その家が写本から最も遠い陸地にあるのだと説いた後、キャサリンを地下室に隔離し、椅子に縛り付ける。神父らはトラングールが人間の恐れを具現化し、そこに漬け込んで相手を乗っ取る事、その目的が自身の実体化であり、四人の生きた魂を奪う事で地獄から地上へ解き放たれる事、退治する唯一の方法は燃やし尽くすしかなく、魂を得る毎に力を倍増させる事を明かすと、手遅れになる前に食い止める必要性を訴え、両親の制止を振り切り、キャサリンにガソリンをかけて火を放とうとする。キャサリンは念動力でそれを阻むと、部屋中の工具を操って神父と両親らを惨殺する。

その一部始終を目の当たりにし、ヘーゼルらは自分達も皆、身内を亡くしている事から標的にされると確信する。ヘーゼルはキャサリンを置き去りにする事を躊躇うが、マークは脱出した後に警察に通報するよう促す。その時、ジェームズが苦悶の悲鳴を上げ、廃工場から出ていこうとするが、キャサリンの送る力に阻まれ、宙に投げ飛ばされる。エイドは上の階にジェームズを捜しに行く。ヘーゼルは地下のキャサリンの元へ向かう。トラングールの本性を現したキャサリンは、逃げても無駄であり、魂をもらうと告げる。マークはヘーゼルにエイドらを捜しに行くよう命じると、キャサリンに発砲を繰り返す。キャサリンはそれを物ともせず、マークを制圧すると、ヘーゼルとエイドの魂を渡せばマークを解放し、サラに会わせてやると唆す。

エイドはジョージーの死霊に、ヘーゼルは母の死霊に幻惑される。間もなく、エイドはトラングールに取り憑かれたジェームズを見つけ、やむを得ず銃撃で退ける。そこへヘーゼルが駆け付け、二人はマークを捜しに行く。マークは二人の前に現れると、銃で脅してキャサリンの元へ連行する。マークはヘーゼルから首枷の鍵を奪い、キャサリンを拘束から解き放つと、約束を守るよう求める。キャサリンはエイドとヘーゼルを宙吊りにし、舌を伸ばして二人の魂を奪おうとする。それを見て翻意したマークは、キャサリンを鎖で制圧すると、身を挺してヘーゼルとエイドを逃がす。キャサリンはマークの魂を奪う。

ヘーゼルらは出口を捜して逃げ惑い、通気口を見つける。そこへキャサリンが追ってくる。ヘーゼルはショットガンを放つがキャサリンはそれを跳ね除ける。間もなく、マークとジェームズもやってくる。エイドはヘーゼルだけを通気口の中に入れ、一人で逃げるよう促すと、キャサリンに銃撃を繰り返す。キャサリンはそれを弾き飛ばし、エイドの体を貫く。エイドは頭を撃ち抜いて自殺する。ヘーゼルは通気口を抜けて森へ出ると、横転したバンに逃げ込む。追ってきたキャサリンらはヘーゼルを取り押さえ、魂を奪おうとする。その時、何者かの力でジェームズとマークが弾き飛ばされ、窮地を脱したヘーゼルはパイプレンチでキャサリンを殴りつけ、手錠で車内に拘束する。ヘーゼルはバンの外で、母の死霊がジェームズとマークを掴み上げて焼き殺す様を目の当たりにする。その隙に乗じて、キャサリンは拘束から逃れ、森へ逃れる。ヘーゼルはそれに気付くと、後を追ってヘーゼルを取り押さえ、バンに閉じ込めた後、ガソリンをかけて火を放つ。キャサリンは炎上する車内で断末魔の悲鳴を上げる。ヘーゼルは警察が駆け付ける前にその場から逃走する。

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