チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ボブという名の猫 幸せのハイタッチ

ロジャー・スポティスウッド監督作「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」("A Street Cat Named Bob" : 2016)[DVD]

薬物依存症からの更生中で、路上演奏で糊口を凌ぐ孤独な青年が、一匹の野良猫との出会いをきっかけに、人生の再起を図っていく様を描く伝記ドラマ作品。

 

クリスマスが近づくロンドン。20歳でホームレス生活を余儀なくされるミュージシャンのジェームズは、長年患った薬物依存症からの更生を図りながら、ギター一本による路上演奏で糊口を凌いでいた。ある晩、ジェームズは寝床を探して歩き回る内に、同じく薬物依存症の旧友バズが見つけた無施錠の車に乗せてもらうと、勧められるままにヘロインを使用する。翌朝、車の所有者が戻ってくると、バズはそそくさと退散するが、ジェームズは中毒症状を起して意識を失っており、病院に搬送される。ジェームズの更生を支援しているソーシャルワーカーのヴァルは病院に駆け付けると、ジェームズの弁解を聞き入れず、代替薬メタドンの投薬中にヘロインを使用する事の危険性を説き伏せる。ヴァルは退院したジェームズに毎日のメタドンの服用と二週間ごとの面会を命じると、服薬を怠ると過剰摂取の傾向が強まると釘を刺す。

ジェームズは路上演奏を再開する。ヴァルは支えのないジェームズをまず路上から救ってやるべく、役所に掛け合って支援住宅の一室を用意してもらう。ジェームズは早速その部屋に入居し、ヴァルに必ずや更生すると誓う。その夜、ジェームズは茶トラの野良猫がキッチンの窓から忍び込んで、シリアルを漁っているのを見つける。ジェームズは人懐こいその猫にミルクを与えると、窓から帰してやろうとするが、猫が出ていこうとしない為、一晩だけ泊めてやる。

翌朝、ジェームズは猫の飼い主を探して近隣を訪ね歩くが、見つからない為に外に猫を放してやる。ジェームズは路上演奏と服薬を続ける。ある日、ジャックは街でクリスマスの買い物帰りの実父ジャックと再婚相手のヒラリーと遭遇する。ジェームズは困惑するジャックに更生中だと明かすと、クリスマス・ディナーに招いて欲しいと請う。ヒラリーはジェームズに対する嫌悪感を露わにし、ジャックはジェームズに僅かばかりの小遣いを与えると、新年には呼べるかも知れないと告げて立ち去る。帰宅したジェームズは部屋の前で怪我をして戻ってきた猫を見つける。ジェームズは同じ階で犬と暮らすベティに助けを求める。ベティは猫に応急処置を施すと、化膿している事から抗生物質の投与が必要だと説き、無料で診てもらえる福祉動物病院を紹介する。その際、ベティは猫がやってきたのは理由があると説き、その名をボブと呼ぶ。

ジェームズは早速ボブを病院に連れて行くが、混んでいる為にやむを得ずヴァルの面会をすっぽかす。ボブは大事に至らず、ジェームズは父から貰ったなけなしのカネを薬代に支払う。ボブは投薬を嫌がり、ジェームズは手慣れたベティに手伝ってもらう。ベティは去勢が必要だと説く。ベティはドラッグを嫌悪しており、依存症患者には近寄らない様にしている事を明かすと、ジェームズの人となりについて尋ねる。ジェームズは更生中の身である事を伏せ、イギリスとオーストラリアで育った事、子供の時に両親が離婚した事、父は仕事と飛行機恐怖症の為にイギリスに残った事などを明かす。

翌日、ジェームズはヴァルと面会し、すっぽかすに至った経緯を釈明する。ヴァルはジェームズが感情を持て余している事から、新しい人間関係を築くには早いと警告する。その後、ボブはベティの協力を得て去勢手術を済ませる。ジェームズはボブを外に放したまま、バスで街へ演奏に出かける。ボブはジェームズを追ってバスに飛び乗る。ジェームズはボブに即製の首紐を付け、肩の上に乗せて街を連れ歩く。待ち行く人々はその姿に興味を示し、ジェームズに声を掛けたり、写真撮影を求める様になる。更に弾き語りにはこれまでにない程の人々が集まり、カネを払っていく。ジェームズは上機嫌で帰路に着き、ボブにハーネスを買う。バズはその様子を見て密かにジェームズの後をつける。

翌朝、ジェームズはベティと再会し、彼女が肉食に反対しており、家畜を解放する運動に身を投じている事を知る。その直後、街からジェームズを追ってきたバズが現れ、助けを求める。ジェームズは食事代に使うよう約束させ、渋々カネを渡すと、二度と来ないよう命じる。ジェームズの路上演奏にはより多くの聴衆が集まる。ボブは常連の老婦エルシーからマフラーと餌を貰う。夕方、ジェームズはビーガンのベティに食事に招かれ、談笑する。

翌夕、帰宅したジェームズは、部屋の近くでヘロインを過剰摂取して意識を失っているバズを見つけ、助けを求める。駆けつけたベティは蘇生を施すが、その甲斐虚しくバズは搬送後に死亡する。ベティはかつてシェフィールドで獣医の勉強をしていた頃に、最高の画家でありながら依存症だった兄が部屋のバスルームで死んだ事、兄の傍にいたくてその部屋に住んでいる事、兄は薬と手を切ろうと努力する一方で絶望していた事を明かす。ジェームズはその話に触発されて断薬を決意すると、ヴァルに断薬してまともな生活を送りたいと申し出る。ヴァルは焦りは禁物だと諭し、クリスマス後まで待つよう促す。

クリスマス、ジェームズはベティを部屋に招いてささやかに祝い、二人は心を通わせる。大晦日の夜、ジェームズはジャックの家をアポなしで訪ねる。ジェームズはヒラリーが二人の娘に自分の事をジャンキーなどと吹き込んでいる事を知る。ジャックは只々困惑する。娘の一人は猫アレルギーの為、ボブを見るなり大騒ぎする。驚いたボブは部屋中を逃げ回ってヒラリーの母の花瓶やツリーを壊してしまい、ジェームズは直ちに追い出される。

その後もジェームズは淡々と路上演奏を続けるが、犬を連れた男がジェームズのバッグに小便させ、ジェームズがそれを非難したのを皮切りに、聴衆の間で小競り合いが生じ、ジェームズは駆けつけた警察官に逮捕される。明くる日、防犯カメラによってジェームズは巻き添えを食っただけだと判明して釈放されるが、路上演奏を禁止される。身柄の引き受けに駆けつけたヴァルは、メタドンが一日抜けてしまった事で逆戻りだとジェームズを叱り、投薬を続けるよう命じる。ジェームズは直ちに薬局に駆け込む。そこに偶然居合わせたベティは、ジェームズが嘘を付いていた事に憤慨する。ジェームズは更生中だと弁解し、警察に預けられたボブの身を案じる。ベティはそれどころでは無いはずだと詰る。

ジェームズはボブを取り戻すが生活費に困窮し、ビッグイシューの事務所を訪ねる。ジェームズは自転車を借りてボブと一緒に街に出かけ、ビッグイシューの販売を始める。ハイタッチする猫を肩に乗せて雑誌を売るその姿は、街の人々の興味を引き、ジェームズは俄に人気者になっていく。ある時、ジェームズは他の販売人の縄張りで写真撮影を請われ、そのついでに意図せず雑誌を売ってしまう。ジェームズの人気ぶりが面白くない販売人はそれを事務所に訴え、ジェームズは縄張り荒らしの廉で一ヶ月間の販売禁止処分を科される。

ジェームズはカネを稼げず、失意の内に暮らし続け、やがてボブの餌にも事欠き始める。 ジェームズは炊き出しやゴミ漁りなどでやり過ごそうとするが、それにも耐えかね、路上で演奏を始める。そこに居合わせたベティはルール違反を非難し、過去にも同じ様な目に遭っている事からもう繰り返したくないと訴え、ジェームズを拒絶する。ジェームズは一ヶ月を耐え、雑誌の販売を再開するが、その矢先にボブを買い取りたいという婦人と口論する。そこに集まってきた人の連れた犬が吠えると、ボブは驚いて逃げ出す。ジェームズはボブを必死で追いかけるが見失う。

ボブは二晩見つからず、心配するジェームズはヴァルに自責の念を吐露する。ヴァルは一人になったジェームズを案じ、ジャックの家に泊まるよう促すが、ジェームズは部屋でボブが戻るのを待つ意向を示す。その頃、出版社で編集を担うメアリーは、路上演奏を何度も見ていたジェームズが新聞で扱われ、また動画サイトやSNSで反響を呼んでいる事を知る。

ジェームズはボブの帰りを待つ間、ヘロインを買う衝動に襲われるも堪える。そんな折、ボブはひょっこりと戻ってくる。安堵したジェームズは一念発起し、ヴァルに断薬を申し出る。ヴァルはそれを認め、メタドンを断つのはヘロインを断つより辛いと諭す。ジェームズはボブと一緒に雑誌を売っている時に、昔なら避けられていた様な人達から声を掛けられ、ボブのおかげで別の人生があると気付いたのだと説き、ボブと一緒なら乗り越えられると自信を示す。ジェームズはベティに断薬の決意を伝えに行き、依存症について隠していた事を謝罪する。ベティはそれを受け入れる。

ジェームズはベティの協力を得て、ボブと部屋に篭って断薬に挑む。ジェームズは数日間の激しい離脱症状を克服し、遂に断薬に成功する。ジェームズは心機一転、雑誌の販売を再開し、またヴァルとの最後の面会を終える。程なく、ベティは実家へ戻る運びとなり、ジェームズのおかげで自分の人生を歩き出せる事への謝意を示すと、自らの連絡先を教え、同時に断薬の間に代わりに受け取っていた出版社からの手紙を渡す。ジェームズは早速出版社を訪ねる。メアリーはジェームズとボブの物語を本にする事を提案し、ジェームズはそれに応じる。ジェームズはジャックの家を訪ね、断薬した事を伝えると、長らく会う度に薬でハイになっていた事を詫び、ジャックが自分を見捨てた事に理解を示す。ジャックは肌身離さず持っていたジェームズの昔の写真を見せると、見捨てたわけでは無く、父親のあり方が分からない自分を恥じ、飛行機恐怖症だと偽って会わなかった事を明かして詫びる。

その後、ジェームズは自伝の出版に伴い、書店でイベントを催す運びとなり、ベティ、ヴァル、エルシー、ジャックらが駆け付ける。ジェームズは集まった客達の前でスピーチを行い、支えてくれる人に恵まれたからこそ、チャンスを手にする事ができたのだと語る。2012年に出版された自伝はベストセラーとなった。ジェームズは路上演奏と雑誌販売を卒業すると、支援住宅を出て自宅を購入した。現在、ジェームズはボブと一緒に、ホームレスや動物の為の慈善活動に従事している。

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