チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

エクトプラズム 怨霊の棲む家

ピーター・コーンウェル監督作「エクトプラズム 怨霊の棲む家」("The Haunting in Connecticut" : 2009)[BD]

末期がんを患う少年が通院の為に家族と移り住んだ曰く付きの屋敷で、死霊のもたらす怪奇現象に襲われゆく様を描くスーパーナチュラル・ホラー作品。

 

1987年6月、コネティカット州。サラは末期がんを患う息子マットに抗がん剤治療と放射線治療を受けさせる為に、自宅から車で片道数時間かかる距離の送迎を担っていたが、副作用に苦しむマットの身体的負担を見かね、病院の近くに引っ越す事を夫ピーターに提案する。ピーターは家のローンが残っている事に加え、次男ビリー、姪姉妹のウェンディとメアリーを養わねばならず、また自らの事業にも資金が必要な事から難色を示すが、サラの熱意と他ならぬマットの負担軽減の為に同意する。

サラはマットの治療中に物件を探し回る内に、売りに出されたばかりの手頃な物件を見つける。その屋敷は二階建てで地下室もあり、家族で住むには十分な広さを備えている事から、サラは甚く気に入るが、家主から曰く付きである事を伝えられる。サラは早速ピーターに連絡すると、その家に纏わる詳細は伏せ、理想的な家を見つけたとのみ報せる。その夜、病院からの帰り道で、サラはマットが副作用に苦悶する姿を見かね、屋敷の購入を即決して早速泊まる事にする。二人は居間にマットレスのみを持ち込んで眠りに就く。マットは、地下室にある閉ざされた扉の窓に、爛れた少年の顔が浮かぶ悪夢を見る。

翌日、サラは早速、屋敷の掃除を始める。マットは地下室を自分の部屋に選ぶ。間もなく、ピーターがトラックに子供達と家具を乗せてやってくる。家族は屋敷での生活を始める。マットは不可解な幻覚に苛まれる様になるが、疲れているだけだと判断する。その夜、マットは地下室の扉の向こうで、男が死体に文字を刻み、まぶたを切除する悪夢を見て目を覚ますと、その扉を開けようとしてドアノブに触れた途端に火傷する。

マットは治療の経過が良好だと診断される一方で、幻覚に苛まれ続ける。程なく、悪夢の中で開かずの扉が開放されると、目を覚ましたマットは誘われる様にその奥の死体処置室に入る。マットはそこで男が棺に砂袋を詰め込む幻覚を見る。ピーターはその部屋の様子を見るや、家賃が安い理由に納得し、本当の事を話さなかったサラを詰る。サラは条件に見合うその家がどうしても必要だったのだと弁解する。ピーターは子供達にその家がかつて葬儀場だった事を伝えると、マットの治療が済むまでの仮住まいだと説き、一致団結するよう促す。夕食前の祈りの際、マットはかつてそこで行われた降霊会に参加した少年に同期して狼狽える。家族はマットの不穏な様子を見て心配する。程なく、マットは病院で同じく末期がんを患う牧師ポペスクと知り合う。マットは存在しないはずのものが見える事を打ち明ける。ポペスクはそれに理解を示すと、霊魂を恐れぬ様に諭し、連絡先を伝える。一方、ピーターはかつてアル中だった頃の習慣が抜けきらず、飲酒への衝動に駆られ始める。

ある日、サラが仕事へ出かけた後、マットはビリーとメアリーの隠れんぼに付き合う。その最中、マットは逃げようとして男に捕まる少年の幻覚を見る。マットは処置室に閉じ込められた後、全身に文字が刻まれ、まぶたが切除された無数の死体に囲まれ、ウェンディに助けを求める。ウェンディ達が処置室に駆け付けた途端、マットは我に返る。マットはポペスクに連絡する。ポペスクはすぐに駆け付け、話を聞くと、少年が何を求めているのかが問題だと説く。その夜、一人で留守番するマットの前に、焼け爛れた少年の死霊が現れる。マットは何が望みなのか尋ねる。間もなく帰宅したサラ達は、爪が剥げ落ちる程に壁を引っ掻き回し、蹲っているマットを見つける。翌日、サラとピーターは主治医のブルックスに所見を求める。ブルックスはマットの脳に腫瘍が見当たらず、治療の経過が良好である事から、原因を生活態度に求める。ピーターは大切にしていた新車のトラックを売ってローンの支払いに当てた事をサラに明かす。サラはマットの回復をひたすら祈るが、ピーターは密かに酒に手を出し始める。

翌日、ビリーとメアリーは再び隠れんぼを始める。メアリーは屋根裏部屋の腐った床に足を取られ、駆け付けたマット達に助け出される。その際、マットは床下に隠された箱とノートを見つける。箱の中には無数の遺体の写真と何かの欠片を納めた小箱が入っており、マットは写真の一枚に映る、口から悍ましい物体を放出している様に見える少年を毎晩夢に見る事をウェンディに明かす、ウェンディはその箱を隠した者とその理由を探る為に図書館を訪ねる。調査の結果、その家ではかつて、霊魂の研究に没頭していたエイクマン博士が、助手の少年ジョナを霊媒にして降霊会を主催していた事、ジョナは死者と話すだけでは無く、エクトプラズムを放出して降霊のパワーを高める方法を見つけていた事、霊魂と交流できると知った人々が国中から降霊会に集まったが、ある日の降霊会の後、四人の参加者が死因不明の遺体で発見され、ジョナだけが姿を消し、その後目撃されていない事、1950年代に墓地を横切る道路の拡張工事が行われた際に、死体を移し替える為に棺を掘り起こしたところ、あるはずの数百の死体が無く、代わりに砂袋が詰まっていた事が判明する。

マットは再びポペスクを呼び、調査の結果を報せる。ポペスクはジョナが強力な霊媒であり、小箱に収められていた欠片が遺体から切除されたまぶただと説くと、エイクマンが行っていたのは黒魔術で死体の一部を使って死者を操るネクロマンシーであり、遺体のまぶたを切除したのは監視させる為では無いか、またエイクマンは遺体を降霊の力を高める増幅器として使っていたのでは無いかと推測し、死んだ哀れな霊魂の為に祈るよう促す。その時、マットは降霊会のジョナに同期し、口からエクトプラズムを放出する瞬間を追体験して苦悶する。そこへ帰宅したサラは、面識の無いポペスクに出ていくよう命じる。ポペスクは屋敷に忌まわしいものがいて、死後も留まり、マットを求めているのだと警告する。その夜、サラとウェンディはそれぞれ死霊の幻覚を目の当たりにした為、家中の電気を付けっぱなしにしていると、そこへ泥酔したピーターが帰宅し、家族に当たり散らす。サラは憤慨し、ピーターを追い出す。その後、家族が寝静まった後に電気が瞬断を繰り返すなどのポルターガイストが発生した為、サラはポペスクを呼ぶ。

直ちに駆け付けたポペスクは、彷徨っているジョナの霊魂と交信する為に、念の在り処を探して地下室へ向かい、処置室にそのジョナの姿を確認すると、解放してやると呼びかける。その途端、屋敷全体に激しいポルターガイストが発生する。ポペスクはジョナの遺骨が焼却炉の中に眠っていると悟ると、裏手に回って炉内から遺骨を集めて持ち出す。ポルターガイストが収まると、ポペスクはサラに平穏が訪れるだろうと説き、屋敷を後にする。ところがその直後、マットの全身にネクロマンシーの文字が刻まれる。サラはマットを救急搬送させる。

病院に収容されたマットの前に焼け爛れたジョナが姿を現し、降霊会の顛末を追体験させる。一方、ポペスクの運転する車の後部座席にも同様にジョナが現れる。ジョナは降霊会で強力なエクトプラズムを放出し、そのエネルギーで参加者四人とエイクマンを焼き殺した。エイクマンは死に際に、霊がジョナの後を追うと警告した。ジョナは死霊に追われ、屋内を逃げ惑う内に焼却炉に閉じ込められ、生きたまま焼かれたのだった。ポペスクは自らの判断が誤っていた事に気付くと、サラの家の留守電に、死体からまぶたを切り取ったのは人目から死体を隠す呪術であり、消えた死体と哀れな霊魂はまだその家の中にいる事、ジョナは死者の霊を救い出そうとしていた事を伝え、今すぐに家から出るよう促す。その頃、家の全ての食べ物が腐敗し、ウェンディはシャワー中に死霊に襲われるも辛うじて逃れる。

間もなく、ピーターが病院に駆けつける。ブルックスは検査の結果、マットの体内でがん細胞が増加しており、絶望的だとサラとピーターに伝える。マットは病室の窓を破って逃げ出し、家に戻ると、ウェンディ達を閉め出し、家の壁を斧で破って、埋まっている夥しい死体を曝け出す。マットが死体に薬品を撒いて火を放つと、死霊達はマットを取り囲む。そこへパトカーと共にサラとピーター、更にポペスクが駆けつける。サラはマットの悲鳴を聞いて燃え盛る家の中に押し入ると、昏睡したマットを抱きかかえ、祈りを捧げる。間もなく、死霊は消滅し、救急隊が二人を救出する。マットは蘇生の際に口からエクトプラズムを放出する。ポペスクはジョナの霊と対面するが、マットにはそれが見えなくなる。その後、マットはがん細胞が消えた事で完全に健康を回復する。エイクマンの屋敷は再建の後に転売される。その後の居住者達が心霊現象に悩まされる事はないという。

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