アンソニー・ルッソ,ジョー・ルッソ監督作「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」("Captain America: Civil War" : 2016)[BD]
国際世論の批判に晒され、存続の危機を迎えたアベンジャーズが、姿なき敵の策謀により内側から崩壊していく様を描くスーパーヒーロー作品。
ソコヴィアでのウルトロンとの戦いからおよそ一年。アベンジャーズはその活躍を評価される一方で、自分達の正義を押しつけ各地で暴れまくっているとの国際的な批判の高まりを受け、親善活動に専念し始める。スティーヴ、ナターシャ、サム、ワンダの四人は、ラムロウ率いるテロリスト集団によるラゴスの感染症研究所の襲撃阻止に乗り出す。ラムロウ達は研究所から生物兵器を強奪すると、市民がごった返す市街地に逃げ込み、スティーヴ達を翻弄する。スティーヴ達は兵器の奪還に成功するものの、ラムロウが失踪中のバッキーについて言及し、スティーヴがそれに動揺した事でラムロウに自爆を許す。ワンダは超能力でそれを抑え込む際に、意図せず傍のビルの破壊を招いてしまい、ワカンダ人11名が犠牲となる。一方、トニーはMITにおける講演で、罪滅ぼしと称し、あらゆる学生を給付対象とする奨学金基金を発表する。ステージを降りて間もなく、トニーの前にソコヴィアで息子を喪ったという女が現れ、トニー達のせいだと詰る。
ワカンダ国王ティ・チャカは国連で演説し、犯罪行為を止めるべき者達による無謀な行動がラゴスの一件を招いたのだと非難する。ワンダは自責の念に苛まれるが、スティーヴは全員は救えないのだと説き、慰める。アベンジャーズ本部に訪れた米国国務長官は、アベンジャーズが国連監視下に置かれ、認められた時のみ出動する組織へと移行するソコヴィア協定に117国が同意し、三日後にウィーンの特別会議で正式に調印される運びとなった事を伝えると、一同に同意の署名を迫る。一方、謎の男ジモはかつてヒドラでウィンター・ソルジャー計画を主導していた男から、洗脳コードを記したノートを強奪する。
トニーはアベンジャーズに意思決定プロセスが無い事を認め、協定に同意する。ナターシャもそれを支持するが、スティーヴはアベンジャーズとしての選択の権利が奪われ、また責任の転嫁にも繋がりかねない事への懸念を示し、協定に反対する。その矢先に最愛のペギーの訃報が伝えられ、スティーヴはサムと共にロンドンの葬儀へ赴く。スティーヴは、ペギーの姪でCIAエージェントのシャロンが弔事で言及した、ペギーの生前の言葉を聞き、アベンジャーズの独立への決意を新たにする。ナターシャはトニー、ローディ、ヴィジョンが同意し、自らは逡巡している事を伝えると、スティーヴが反対する事に一定の理解を示す。
ナターシャはアベンジャーズを代表してウィーンの特別会議に出席する。ティ・チャカに同行する王子ティ・チャラは協定に賛成しながらも、ナターシャの憂慮に理解を示す。ティ・チャカの演説中、爆破テロが発生し、ティ・チャカを含む複数名が犠牲となる。監視カメラの映像により、主犯はバッキーだと判明する。ティ・チャラは自らの手で敵を討つ意向を示す。ナターシャはスティーヴに関わらぬよう釘を刺すが、スティーヴは自分にしかバッキーを止められないと応える。スティーヴはシャロンからもたらされた情報を頼りに、バッキーが潜伏するブカレストのアパートを訪ね、バッキーと再会する。バッキーは自らのテロへの関与を否定する。そこへドイツの特殊部隊が急襲する。二人は部隊を退け、アパートから離脱する。その矢先に、王位を継いだティ・チャラ扮するブラックパンサーが立ちはだかり、バッキーの殺害を図る。二人はサムの援護を受け、ブラックパンサーの執拗な追跡から逃れようとするが、駆け付けたローディと警察部隊に包囲され、拘束される。一方、ワンダは本部でヴィジョンの監視の下、軟禁状態に置かれる。
スティーヴ達は武器を没収され、ベルリンの施設に護送される。トニーはスティーヴに和解を申し出、署名への説得を試みるが、スティーヴはワンダの軟禁を知って頑なに署名を拒否する。バッキーはCIAによって堅牢な檻の中に拘禁され、精神鑑定を受けた後、米国へ送還される運びとなる。担当の精神科医に成り代わったジモは、バッキーに対する尋問を始める。間もなく、発電所がジモによって仕組まれたEMPで破壊され、街全体が停電に陥る。ジモは混乱に乗じて洗脳コードでバッキーを服従させ、情報を聞き出す。バッキーは凶暴化して檻から脱出する。ジモはスティーヴに「帝国の崩壊」を目論んでいる事を示唆し、逃走する。トニー、ナターシャ、ティ・チャラ達はバッキーの制圧を試みるが、武器を使えない為に退けられる。バッキーはヘリで逃走を図る。スティーヴはそれを阻止し、川に沈んだバッキーを救出すると、サムと共に姿を消す。ジモはモスクワへと発つ。
スティーヴ達は廃倉庫に身を寄せる。正気を取り戻したバッキーは暗号で洗脳される事を明かす。スティーヴ達はジモがバッキーと接触する為に、テロの濡れ衣を着せたのだと悟る。バッキーは自らがかつて捕まっていたシベリアの研究所の正確な場所をジモが知りたがっていた事、ウィンター・ソルジャーは自分だけでは無く、ヒドラがバッキーをも凌駕する最強の暗殺部隊を作り出した事を明かす。スティーヴは「帝国の崩壊」について測りかねる。一方、事態を重く見た国務長官は、スティーヴ達の殺害をも辞さない意向をトニーに伝える。トニーはスティーヴ達の確保に36時間の猶予をもらうが、不在のハルクとソーに頼れぬ為、ナターシャと仲間集めに着手する。
トニーはニューヨークにおばと暮らす高校生ピーターの元を訪ね、スパイダーマンとして半年前から街の平和を独りで守っているその能力と、正義感の強さを見込んで協力を要請する。ナターシャはティ・チャラに協力を要請する。一方、スティーヴから協力の要請を受けたクリントは、引退生活から復帰し、本部へワンダの救出に訪れる。クリントは逡巡するワンダを行動で償うよう説得する。ワンダは引き留めようとするヴィジョンを制圧し、クリントと共に本部を発つ。
スティーヴ達はシャロンの決死の協力を得て、武器を取り戻すと、ライプツィヒ空港でクリント、ワンダ、更にサムにスカウトされたアントマンことスコットと合流し、ヘリへ向かう。トニー、ローディはヘリを破壊し、スティーヴ達の行く手を阻むと、バッキーの引き渡しを要求する。スティーヴは真の敵がジモだと訴えるが、トニーはそれを聞き入れず、アベンジャーズはスティーヴ陣営(スティーヴ、サム、クリント、ワンダ、スコット)とトニー陣営(トニー、ローディ、ティ・チャラ、ヴィジョン、ピーター)に決裂し、闘争を余儀なくされる。スティーヴ達は格納庫にクインジェットを見つけ、奪取を企てるが、トニー達はそれを妨害する。スティーヴとバッキーは仲間達の援護に加え、ナターシャの寝返りによって、ジェットに辿り着き、シベリアへ向けて飛び立つ。トニーとローディはその後を追い、サムは二人の排除を企てる。ヴィジョンはサム目掛けて光線を放つが、サムが躱した事でそれはローディを直撃する。地上に墜落したローディは半身不随の重傷を負う。ナターシャはトニーに間違っていると訴えるが、アベンジャーズを追われる身となる。
間もなく、トニーはベルリン警察からの情報で、国連が派遣した精神科医が、ソコヴィアの情報員にして秘密暗殺部隊を指揮していたジモ大佐にすり替わった事、ウィーンのホテルで精神科医の遺体と変装に使われたバッキーのマスクが見つかった事を知る。一方、ジモはシベリアのヒドラ研究所に到着すると、ポッドの中で冬眠状態の兵士達を発見する。トニーはサム、クリント、ワンダ、スコットらが収容された、洋上に浮かぶラフト刑務所を訪ねると、国務長官にジモが主犯だと訴えるが、長官はそれを無視する。トニーはサムに自らの間違いを認め、スティーヴの行方を聞き出すと、長官には報せずにシベリアへ急行する。ティ・チャラはジェットでトニーを追尾する。
研究所へ到着したスティーヴとバッキーは、駆け付けたトニーと合流すると、冬眠ポッドで射殺された兵士達を目の当たりにする。ジモはミサイルにも耐えうる司令室から、自らの目的が兵士達では無く、ソコヴィアで喪った家族の意趣返しだった事を明かすと、端末の画面に1991年12月16日撮影のビデオを見せる。それにより、洗脳されたバッキーが夜間に林道を移動中のトニーの両親の車を襲撃し、二人を殺害した後、超人血清を奪取した事実が明らかとなる。スティーヴはトニーに問い質され、真実を知っていて黙っていた事を認める。憤激したトニーは、我を忘れて二人に襲いかかる。スティーヴはバッキーの逃走を援護しながら、トニーの説得を試みるが、それが無理だと悟ると、バッキーと二人がかりでトニーの制圧を図る。
ティ・チャラは研究所の外でジモを追い詰める。ジモは力では敵わないアベンジャーズを内側から崩壊させるという目的を達した事に満足し、拳銃自殺を企てる。ティ・チャラはそれを阻止し、生きて償うよう命じる。スティーヴとバッキーは死闘の末にトニーのスーツを機能停止に追い込む。バッキーはその過程で義手を失う。スティーヴはバッキーを連れ去る。その際、スーツはトニーに命じられ、盾を置いていく。
ジモはCIAの管理下で拘禁される。トニーは本部でローディのリハビリに付き添う。そこへスティーヴから手紙と携帯が届く。その中でスティーヴはアベンジャーズがトニーにとっての家族だと説き、トニーを傷つけた事を詫びると、今は互いに信じる道を進み、必要な時には必ず駆け付ける意向を示す。スティーヴはラフト刑務所から囚われの四人を救出する。ワカンダのラボで手当を受けたバッキーは、自らの意志に基づき、洗脳を解く方法が見つかるまで冬眠状態に入る。