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チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。4年目。

追憶の森

ガス・ヴァン・サント監督作「追憶の森」("The Sea of Trees" : 2015)[BD]

米国人の男が最愛の妻の死後、自殺の名所と知って青木ヶ原樹海を訪ね、そこで自殺を企てた日本人の男と出会い、一緒に森を彷徨う内に人生を見つめ直していく様を描くドラマ作品。

 

大学で講師を務める科学者アーサーは、最愛の妻ジョーンの死から2週間後、米国から東京を経て、青木ヶ原樹海へやってくる。アーサーは入り口から鬱蒼と生い茂る森の中に入ると。林道に備わる、自殺を思い留まらせようとする趣旨の看板の数々を通り過ぎ、立入禁止区域へと足を踏み入れる。程なく、アーサーは自殺を図った遺体や遺留品の数々を目の当たりにする。アーサーは手頃な岩に座ると、持参したジョーン宛の封筒と水、更に睡眠薬をコートから取り出す。アーサーは薬を1錠、また1錠と口にしていく。すると、目の前に血の付着したスーツ姿で、酷く疲れ果てた様子の日本人の男が現れ、泣きながら崩れ落ちる。アーサーはその場に封筒を置いたまま、男の元に駆け寄る。自殺を図るも叶わず、帰り道を探して彷徨い続けているその男は、アーサーに助けを求める。アーサーは男にコートと水を与えると、帰り道の方角を指し示して見送る。しかし、アーサーは自分がいた場所が分からなくなり、途方に暮れる。

間もなく、アーサーは先程の男と再び遭遇する。アーサーは、家族の元へ帰りたいと嘆くその男を導いてやる事にし、男の手首の傷痕を介抱する。男は仕事でミスをした為に、いわゆる追い出し部屋に飛ばされ、会社に居場所を失い、家族を養わなければならない身でありながら、生きたくなくなって、樹海にやってきた事を明かす。アーサーはその考え方を否定するが、男は文化の違いだと説く。道中、どこからともなく動物の様な鳴き声が森に響き渡る。男はそれが魂であり、森はいわゆる煉獄だと主張する。アーサーは自らが科学者である事を明かし、神を否定する。男はそれではなぜ死にたいのかと尋ねる。アーサーは観光に来たと答えるが、男はコートに入った薬を突きつけ、所持している理由を尋ねる。アーサーはそれを振り切り、朦朧とする意識で歩き始めた矢先に、崖から転落し、全身を打ち付けると共に、腹部に枝が刺さって重傷を負う。

夜が更け、2人は尚も彷徨い続ける。男は自らの名タクミと、妻キイロ、娘フユについて明かす。間もなく、2人は沢を見つけ、喉を潤した後、休息を取る。タクミは横になると、日本語の歌を口ずさむ。その後、2人は沢の下流の方向を目指し始める。その途中、タクミは岩石の上に咲きかけの一輪の小さな花を見つけると、霊があの世へ行くと花が咲くという言い伝えを聞かせる。やがて沢が途絶えると、2人はその傍の木に、首を吊った遺体を見つける。2人は寒さを凌ぐ為に、その遺体から服を貰い受ける。アーサーはタクミに、沢で口ずさんでいた歌について尋ねる。タクミはその「楽園の階段」がジーン・ケリーの映画の歌の一節だと明かし、楽しい日々を思い出すのだと目を細める。程なく、豪雨が降り始めると、2人は傍に岩穴を見つけ、身を寄せる。その直後に岩穴に洪水が押し寄せ、2人は下方へ押し流される。アーサーは意識を失ったタクミを蘇生させる。2人はその傍にテントを見つけると、中に横たわるミイラ化した遺体から服を貰い受け、濡れた服を着替える。アーサーは遺留品からトランシーバーを見つけると、助けを呼ぶも不振に終わる。

雨が止むと、アーサーは焚き火を起こし、タクミと共に暖を取る。タクミは何かの理由で森に招かれ、引き留められているのだと主張すると共に、道標にパンくずを落とす「ヘンゼルとグレーテル」の話について触れる。タクミはアーサーが樹海に来た理由が、妻との離縁に関係している事を悟り、話を向ける。アーサーはジョーンについて述懐する。

(アーサーの追憶)不動産業を営んでいたジョーンは、アーサーがかつての勤務先で犯した浮気を突き止め、退職を迫った。それ以後、2人の仲は険悪となり、事あるごとに口論が生じた。また、ジョーンは酒に溺れ、酔う度にアーサーに絡む様になった。ジョーンはアーサーが非常勤講師の職に甘んじて、稼ぎを増やす為の転職を考えない事への不満をぶつけたり、浮気を蒸し返したりした。アーサーはそれに苛立ちを募らせ、遂には離婚を考える様になった。そんな折、ジョーンに脳腫瘍が見つかり、それを境に全ての諍いは保留となった。リスクの伴う腫瘍切除手術を翌日に控えた夜、ジョーンは殺風景な手術室で医者達に看取られて死ぬ事への不安を吐露した。ジョーンはアーサーに、死ぬ時は病院では無く、理想の場所を見つける様に強く促し、アーサーはそれを約束したのだった。

アーサーは何が大切か気付いた時にはもう手遅れだったと嘆くと、樹海に来たのは絶望や悲しみからでは無く、罪の意識からだと明かす。タクミは死後も愛する人が霊となって傍におり、森が呼び寄せるのだと説く。アーサーはジョーンのいない人生を悲嘆し、ただただ許しを請うと、焚き火の中に薬の小瓶を投げ入れる。

翌朝、目覚めたアーサーは焚き火が消えている事に気付くと、体力を消耗し、動けなくなったタクミを起こそうとする。タクミはアーサーに自分を置いて行くように促す。アーサーは助けを呼んで必ず戻ると約束し、タクミは世話になったと謝意を示す。アーサーはタクミにコートをかけて、その場に寝かせたまま、トランシーバーを片手に帰り道を探しに行く。間もなく、無線が反応し、アーサーは助けを求めるが、その直後に岩から滑り落ちる。山岳レスキュー隊は遭難者と思しき通報を受け、捜索を開始する。昏睡から目覚めたアーサーは、レスキュー隊の呼びかけに必死で応答しようとするも、日本語が話せない為に苦慮する。その時、アーサーは目の前に見える階段を、タクミから教わった様に「カイダン」と伝える。レスキュー隊はそれを聞き取り、おおよその居場所を掴む。アーサーは階段付近から張り巡らされたリボンを伝う事で、最初に通った林道に辿り着く。レスキュー隊は助けを呼ぶか細い声を聞きつけ、力尽きて倒れたアーサーを発見する。アーサーは森の中に男を残して来たと呟きながら、救急車で病院に搬送される。

(アーサーの追憶)手術を無事乗り切ったジョーンは、腫瘍が良性だった事から危機を脱し、転院して療養する運びとなった。アーサーはジョーンを搬送する救急車の後ろを車で追いながら、ジョーンと電話で談笑していた。その際、2人は互いに基本的な事について知らないという事に改めて気付いた。その時、救急車にトラックが衝突し、ジョーンはアーサーの目の前で帰らぬ人となった。ジョーンの葬儀の後、アーサーは棺の前で、ジョーンの好きな色、好きな季節、好きな本など基本的な事を知らないと吐露し、嘆いた。葬儀屋の男はジョーンの姉妹が童話を送った事をアーサーに伝えた。程なく封筒が届き、アーサーはジョーンが童話を愛していた事を知った。その後、アーサーはジョーンに促された様に、自殺に理想の場所を検索し、青木ヶ原樹海について知ったのだった。

救出から12日を経て、アーサーは治療の後、カウンセラーと面談し、森に残して来た男を探しに行く意向を示す。カウンセラーは森の入り口の監視カメラにはそれらしい男が映っていない事、レスキュー隊の捜索でも男を発見できなかった事を明かし、アーサーの話に疑義を呈す。アーサーは男とその妻子の名がそれぞれタクミ、キイロ、フユだと伝え、それが事実だと主張する。

退院後、アーサーは再び樹海を訪ねると、今度は戻ってこられる様に持参した糸を張ってタクミを探し始める。程なく、アーサーは置き忘れたジョーン宛の封筒を見つける。やがて糸が無くなると、アーサーはノートの切れ端を丸め、目印代わりに残しながら、更に歩みを進め、遂に潰れたテントを見つける。アーサーはその傍にタクミに託したコートを見つけ、駆け寄る。コートの下の岩には生前のジョーンが愛したランが咲いており、アーサーはタクミの言葉を反芻すると、封筒の中の「ヘンゼルとグレーテル」の本を取り出し、森に導かれたのだと悟る。アーサーはそのランと本を携え、帰国する。

アーサーが大学に出勤すると、日本語を理解できるという1人の学生が、アーサーが「ヘンゼルとグレーテル」に挟んだメモに記した「キイロ」と「フユ」に気付き、それぞれ黄色と冬を意味する事を指摘する。そこでアーサーは森での出来事の真意を初めて知る。その後、アーサーはかつてジョーンが愛し、楽園と称したレイクハウスを訪ねると、持ち帰ったランを鉢に移し、他の花々と一緒に並べる。

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