チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ハングリー・ハーツ

サヴェリオ・コスタンツォ監督作「ハングリー・ハーツ」("Hungry Hearts" : 2014)[DVD]

菜食主義と潔癖主義に基づき、独善的な手法で赤子を育てようとする妻と、赤子の発育不良を危惧する夫が、育児の在り方を巡って激しく衝突し合う様を描くドラマ作品。

 

ニューヨークに住む技術者のジュードと大使館勤務のイタリア人ミナは、中国料理店のトイレのドアが壊れて、中に閉じ込められるという運命的な出会いの末に交際を始める。二人はアパートで同棲生活を始めるが、程なく、ミナに転勤の話が浮上する。ジュードは転職をしてニューヨークに留まる様に促すが、ミナは難色を示す。そんな折、ミナに予定外の妊娠が発覚した為、二人はそれを機に結婚する。二人はビーチ沿いのレストランで結婚パーティを開き、大勢の親類縁者に祝福される。ジュードの母アンは、ミナが早くに母親を亡くし、高齢の父とは疎遠になっている事を知ると、ミナを実の娘の様に甚く気に入る。

完全菜食主義者のミナは食欲不振に陥り、またパーティを開いたレストランの前で、ハンターに鹿が撃ち殺されるという旨の不可解な夢を何度も見る様になる。ジュードは気にしない様にミナを諭す。ある日、ミナは出先で気を失って倒れ、病院に搬送される。検査の結果、医師はミナの食欲不振を知ると、赤子に発育不良の傾向が見られる事を明かし、栄養を十分に摂取する様に促す。その後、占いに傾倒したミナは、体調不良の原因は体が毒素を体外に排出し、子供を守っているからだと主張する。ジュードは医師の指示に従うべきだと説くが、ミナは自然療法や代替療法を希望し、医師による検査を拒む。

やがてミナは病院で出産に臨むが、栄養不足が災いして羊水が少ない事が判明し、また陣痛が不安定に生じる為、医師は母体が危険だと判断し、帝王切開を勧める。ミナは頑なにそれを拒むが、ジュードはミナが眠っている間に帝王切開で赤子を取り出してもらう。ジュードは目覚めたミナに理解を求める。ミナは検査中で保育器に入った状態の赤子を抱きたいと哀願する。医師はやむを得ずそれを認める。ミナは赤子を抱き上げ、涙する。

出産から数ヶ月後。ミナは仕事から遠ざかり、更に友人との関係も断ち、アパートに篭って付きっきりで赤子を世話する。ミナは赤子を無用なリスクに曝す事を忌避する余り、室内に転落防止用の安全柵を設け、屋上に設えた小さな温室で育てた有機野菜のみを赤子に与え、外出後に赤子に触れる前には手洗いを強要する。ジュードはミナの赤子に対する接し方に心労を募らせる。

ある時、赤子の発熱が続いて収まらない事から、ジュードは医者に見せるべきだと訴える。ミナは医師に毒を飲まされると主張し、反対する。ミナは体に自分を守る事を覚えさせて強くするのだと説き、母親たる自らの育児方法を絶対視し、それを信じる様に請う。ジュードは赤子の為にもミナに外出する様に促す。ミナは赤子が回復したら一緒に外出させると答える。

翌日、ミナが一人で外出すると、ジュードはその隙を見計らって、赤子を医師に見せに行く。医師は発熱の原因が栄養不足に因るものだと説くと、顕著な発育不良を指摘する。ジュードは赤子が生まれて以来一度も小児科医に掛かっておらず、ミナの母乳が止まって以来、ミルクも与えず、ミナが集めた情報に基づき、自己流で食事を与えている事を明かす。医師は赤子の発育遅延などを危惧し、早急に必要な栄養を与える様に指示する。ジュードはその足で動物性の栄養を買い求め、早速赤子に食べさせる。帰宅したミナはその様子を見るなり、ジュードを咎める。ジュードは赤子が餓死するのを見過ごせないと、怒気を込めて叱り飛ばす。ミナは浴室に篭もる。日が暮れた後、浴室から出てきたミナは、好きな様に食べさせるのを認め、怒鳴らない様に請う。

それ以後、ミナは浴室で赤子に毎食後、何かを飲ませる様になる。ジュードはそれを訝り、ミナに問い質す。ミナはそれが消化を良くするオイルであり、食事はジュードの望む様に与えていると答える。ジュードは赤子の体重が増えない事を心配し、医師に再び見せる様に促すが、ミナはそれを拒む。ジュードはミナが眠っている家に、浴室のオイルを探し当てる。翌日、ジュードは医師に連絡し、そのオイルの名称と、ミナが赤子に毎食後与えている事を報せる。それが栄養の吸収の妨げになっていると知ったジュードは、赤子を殺すつもりなのかとミナを叱り飛ばす。ミナはジュードが赤子に毒を食べさせていると反駁する。ジュードは衝動に駆られてミナを引っ叩く。二人の関係は更に冷え込む。

翌日、帰宅したジュードはミナと赤子がいない事に気付き、探しに行く。程なく、ジュードは赤子を抱えて通りを歩くミナを見つける。ミナは家族だから一緒にいて欲しいと請う。ジュードは協力してやっていけると諭し、ミナを連れ帰る。

程なく、二人が一向に連絡を寄越さないのを心配して、アンが買い物ついでにアパートに訪ねてくる。アンは携帯の電波が害だと指摘され、また手洗いを強要された事で、直ちにミナの異変を察知する。ジュードはアンを駅まで送るついでに、赤子を散歩に連れ出す。アンはミナと赤子が痩せ細っている事を心配し、ジュードに事情を問い質す。ジュードは教会に入ると、赤子にハムを与える。ジュードはミナが赤子にろくな食事を与えない事を明かし、今はこうやって凌ぐしか無いのだと説く。アンはミナがまともでは無いと指摘し、助けが必要だと説くが、ジュードは家族で解決する問題と答える。

ジュードはミナとの関係を修復しようと苦慮する。ミナはジュードが信頼では無く、支配しようとしていると指摘する。間もなく、ミナはジュードが赤子に肉を与えている事に気付く。ジュードは弁護士に相談し、ミナの異常な育児方針で赤子が発育不良を来たしている現状を伝え、それに抗おうと苦慮しているものの、このままでは殺されてしまうと訴える。弁護士はミナが問題を抱えているという客観的な証拠が必要だと説く。ジュードは赤子の状態から一目瞭然だと主張するが、弁護士はそれでは十分な証拠にはならないと答える。ジュードは諦めて引き揚げようとする。弁護士は一計を案じ、裁判を覚悟の上で赤子を安全な場所に移す様に勧め、ミナの承認を求める書類を手渡す。

ジュードはミナが目を離した隙を見計らって赤子を連れ出すと、迎えに来たアンに預ける。ジュードは弁護士の書類をミナに提示すると、今は自分に任せて少し休むべきだと諭す。ミナは悲嘆する。数日後、ミナは列車に乗って、アンが暮らすジュードの実家を訪ねる。ミナは部屋を飾る鹿の剥製の数々とライフルを見渡し、不快感を抱く。ミナはしばらく赤子を抱き締めた後、ジュードに食事を勧められるもそれを拒んで出ていく。ジュードはミナを引き止めると、赤子が元気になっていると説き、今しばらくの時間を求める。ミナはジュードの実家が良くない場所だと説き、三人だけで暮らしたいと請う。ジュードはそれが無理だと諭す。ミナは一人で帰路に着く。アンはミナが赤子にオイルを飲ませた事に気付き、もう来させるべきでは無いと説く。

程なくして、ミナは再びアンの元に訪れる。アンは赤子への虐待は許さないと説く。ミナは赤子を抱えて出ていこうとする。そこにジュードが帰ってきて、ミナから赤子を取り戻そうとする。ミナは家に連れ戻すのだと訴えるが、ジュードと揉み合いになった末に跳ね飛ばされ、壁にぶつかって口元を怪我する。ミナはそのまま無言で立ち去る。その夜遅く、実家に警察の児童福祉課がミナの要請を受けてやってきて、裁判所命令を提示する。アンはミナに赤子を渡すのは危険だと訴える。ジュードはミナの暴行の訴えは誤解だと主張し、ミナに話し合いの機会を求めるが、ミナはそれに応じず、赤子と一緒にパトカーに乗って走り去る。ジュードは直ちに弁護士に連絡し、発育不良を証明できる医学的な証拠がある事を伝えるが、弁護士はそれが証拠たりえず、赤子を取り戻すのは無理だと答える。

ミナは赤子と二人きりで平穏な時間を過ごす。ミナは結婚パーティを行ったレストランの前のビーチに赤子を連れて行く。その夜更け、アパートに何者かが侵入し、ミナをライフルで射殺する。ジュードはその報せを受け、赤子が預けられた警察署に駆けつけると、赤子を抱き上げて慟哭する。収監されたアンは檻の中で、赤子が餓死しても、ミナが捕まっても、誰も幸せにはならず、ジュードが許さなくてもこれしか術が無かったのだと供述する。

ジュードが五歳になった子供とビーチで歩く様子から、子供を一人で育てていると示唆される。

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