チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

カッコーの巣の上で

ミロス・フォアマン監督作「カッコーの巣の上で」("One Flew Over the Cuckoo's Nest" : 1975)[BD]

精神病院へ詐病で入院する事になった男が、職員に反抗し、患者らと親交を深めていく内に、やがて大きな事件を引き起こしていく様を描く社会派ドラマ作品。

暴行や淫行などの常習犯マクマーフィは、服役中の更生農場での労働から逃れる為に、精神病を患っているフリをすることで、鑑定を受ける事になり、精神病院に送致される。院長との面談を終えたマクマーフィは、そのまま入院する事になる。マクマーフィの入る病棟には、病気の種類や症状の異なる18人の患者がおり、彼らは看護師長ラチェッドの管理する厳格な日課に基づいて、入院生活を送っていた。マクマーフィは粗暴な性格柄、職員らに反抗しがちであった為に、ラチェッドは初日からマクマーフィを注視する様になる。マクマーフィは、チーフというろう者と親しく接しては、楽しみを共有する様に促す。

ある日、毎日ラチェッドが患者らと行うミーティングの場で、マクマーフィはワールドシリーズの観戦を要求する。ラチェッドの提案で多数決で可否を判断する事になるが、患者達は自分の意見を主張する事に消極的で、賛成少数となる。マクマーフィは患者達に檄を飛ばし、翌日、再び決を採る事になる。過半数に達しそうになったところで、ラチェッドはミーティングを打ち切り、要求は退けられる。マクマーフィは納得できなかったが、その事がより一層彼と患者達との結束を強めていく。

マクマーフィは職員達に一泡吹かせようと考え、チーフの協力でフェンスを超え、1人で病院の敷地外へ出る。患者達の外出時間になると、盗んだバスで患者達と女友達のキャンディを乗せ、港へ向かい、そこからボートで海へ繰り出すのだった。沖へ出ると、マクマーフィはチェズウィックに舵を任せ、皆には釣りを教え、自分はキャンディと遊び時間を過ごす。大物を釣り上げ、帰還した彼らを、病院関係者や警察が物々しく迎えた。

騒動を踏まえ、院長は専門医らと協議をし、マクマーフィは精神病ではない旨の所見で一致するが、判断を求められたラチェッドは入院の継続を提案するのだった。マクマーフィは看守から、院長の判断次第でいつまでも入院が続くという事実を知らされ、憤慨し、その事がきっかけで暴力沙汰の騒動を起こしてしまう。騒動の発端となったマクマーフィ、チーフ、チャドウィックは別棟に送られ、特別な処置を受ける事になる。処置を待つ間に、チーフは密かにろう者のフリをしている事を打ち明け、マクマーフィは甚く感服する。2人はカナダへの脱走について語り合う。処置の番が来たマクマーフィは処置室に入り、そこで頭部への電気ショックを行われる。

クリスマスの夜、ラチェッドや看守らが退勤した後、マクマーフィはキャンディとローズを電話で呼びつける。当直職員のタークルを酒と女で言葉巧みに懐柔すると、マクマーフィは深夜の病棟で患者達とどんちゃん騒ぎを始める。マクマーフィは、酒を呷り寝入ったタークルから窓の鍵を盗み、チーフと2人で病院から脱出を図ろうとするが、直前になってチーフは翻意してしまう。脱出直前になり、マクマーフィはビビットがキャンディに好意を寄せている事を知り、仮眠室で2人きりにさせる。マクマーフィは2人の行為が終わるまで窓際で待つ事にしたが、そのまま寝入ってしまう。

翌朝、看守、次いでラチェッドが出勤し、病棟内の惨状を目の当たりにする。ラチェッドは事の重大さに憤り、ビビットに対して、親友である彼の母親に報告すると言い放つ。泣いて許しを請うビビットに、ラチェッドは聞く耳を持たず、彼は看守に連行される。その直後、ビビットは自殺を図る。マクマーフィは激昂し、ラチェッドの首を締め、殺そうとする。しかし、看守に取り押さえられ、隔離される。

後日、マクマーフィのいなくなった病棟内は、彼が入院してくる前の雰囲気に戻っていた。患者達の間では、マクマーフィは脱走したという噂が実しやかに囁かれていた。夜になり、患者達が寝静まった病棟内に、マクマーフィが看守に連行されてやって来る。すかさずチーフが駆け寄り、再会を喜ぶ。チーフはマクマーフィと共に脱出する決意を固めていたが、マクマーフィは別人の様に生気が無かった。チーフはマクマーフィの頭部にロボトミー手術の痕を発見し、状況を理解する。チーフは、そんなマクマーフィの姿を見るに忍びなく、窒息死させると、窓を割り、1人で病院から脱出する。その音で目覚めた患者達は、一斉に沸き立つのだった。

 

往年の名作だが観たことがなく、他で紹介されていた記事を拝読し、この度鑑賞。カッコーの巣というのは精神病院の蔑称らしく、原題が本作の結末を示唆している。詐病で入院しているのはマクマーフィだけでは無く、チーフがもう1人の主役だったのだ。マクマーフィには衝撃的な結末が待っているが、彼が動機付けたチーフは、見事に羽ばたいていったという点で爽快感がある。マクマーフィの大胆で気性の荒い性格とは正反対の、ラチェッドの感情を押し殺したような無表情ぶりが不気味で、病棟のシーンには常に緊張感が漂っているのが良い。アラホーのジャック・ニコルソンは若々しく、喜怒哀楽を豪快に演じ分ける様が愉快。患者を演じる役者達の、さも本当に疾患を持っている様な演技も凄い。こういうのは当時だからこそ、許容される演出なのかも知れないな。

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