チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち

ブラッド・アンダーソン監督作「アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち」("Eliza Graves" : 2014)[DVD]

実地研修の為に人里離れた精神科病院に赴任した男が、意中の患者の女を救う為に、謎に満ちた院長による策謀の究明に奮闘する様を描くサイコ・スリラー作品。

 

1899年、クリスマス・イブ。ニューゲートはオックスフォード大学精神科医を学んでおり、最後の実地研修を行う為に、人里離れた霧深い丘の上に立つ、ストーンハースト精神科病院を訪ねる。ニューゲートは門前に現れた警備責任者フィンに対し、数週間前に手紙を送った事を伝える。フィンは良家の出身ばかり200人の患者が入院しているという病院内へニューゲートを案内する。院長ラムはオフィスでニューゲートを歓迎すると、精神科医を志す理由を尋ねる。ニューゲートは異常な思考に興味あり、また存在意義や威厳、更に魂まで奪う残酷な精神病から患者を救いたいと望んでいる事を明かす。

ラムは早速、回診にニューゲートを随行させ、諸々の特異な症状を抱える患者達を紹介すると、鎮静剤を乱用せずに自然に暮らさせる様に努めている事を明かす。回診の最後に、ラムはピアノ演奏に興じる美しいグレーヴス夫人を紹介すると、彼女の夫が莫大な資産を持ちながら、異常な趣味の持ち主である事、夫人が婚約後にヒステリーの症状を悪化させ、夫の耳を噛みちぎり、目をくり抜いた為に父親に入院させられた事、夫が夫人を必ず治して帰らせる様に脅迫めいた手紙を送ってきた事を明かす。

グレーヴス夫人に好意を抱くニューゲートは、グレーヴス夫人に接触を図り、自己紹介する。ラムは軍医だった頃に下士官を夕食に招いて絆を深めたのに倣い、病院でも同じ様に患者を扱っている事を明かし、ニューゲートを交えて皆で夕食を取る。ニューゲートは六歳で両親を失くした後、孤児院で育ったという身の上話をすると、孤児院での惨めな暮らしが、不幸で孤独な人々に希望と温もりを与える様な職に就きたいという信念に繋がった事を明かす。ニューゲートはミッキー・フィンという名に酒に薬を盛るという意味がある事を指摘し、フィンと一触即発の事態を招く。フィンは気を取り直して、絆を深める為にニューゲートに酒を注ぐ。ニューゲートがそれを口にしようとした矢先に、真向かいのグレーヴス夫人がニューゲートの足を蹴ってそれを阻止する。グレーヴス夫人はニューゲートを厨房へ連れ出すと、着替えに行った様に見せかける事で馬に乗って出ていく様に促す。ニューゲートはその理由を問い質そうとして、グレーヴス夫人の体に触れる。グレーヴス夫人はたちまちヒステリーの発作を起こしてその場から立ち去る。

その夜、ニューゲートは自室の通気口から響く鈍い打擲音に気付く。ニューゲートはその音の源を辿って、地下のボイラー室を訪ね、その先に繋がる地下牢を発見する。そこに監禁された無数の病院の職員達は、口々に自分が正常だと訴え、助けを求める。ニューゲートは困惑して立ち去ろうとする。寮母パイクはニューゲートから手紙が届いた後に投獄された事を明かす。本物の院長ソルトは、ラムが異常者だと指摘すると、麻酔薬を盛られた際に医師と看護師らが殺された事を明かすと、このままでは長く持たない事から、町へ行って助けを呼んで来る様にニューゲートに請う。

ニューゲートはその足でグレーヴス夫人の部屋を訪ねると、ソルト達に会って異常者が病院を支配していると知った事を明かし、一緒に馬を盗んで町へ行く様に請う。グレーヴス夫人は手遅れだと説き、自らもまた異常者の一人だと明かす。そこへラムがフィンを率いて現れ、ニューゲートの行動を訝る。グレーヴス夫人は部屋を案内していると欺き、その場をやり過ごす。ラムはニューゲートに怪しまれない様にと、グレーヴス夫人に釘を刺す。グレーヴス夫人は企てが病院への訪問者によっていずれ見つかる事への危惧を露わにする。ラムは自分達が世間に見捨てられた邪魔者であり、誰も気には止めないと説く。グレーヴス夫人は夫はその限りでは無いと心配するが、ラムはここにいれば安全だと諭す。

翌朝、ニューゲートは密かに食料と薬を盗んで地下牢に差し入れると、フィンの見張りが強まった事で町へ行けなくなった事を明かし、ラムとの師弟関係を続けて、いずれ説得する意向を示す。ソルトは患者のラムがかつて冷酷な方法で兵士を殺した事を明かす。ニューゲートはラムの診療記録の在り処を尋ねる。ソルトはファイルの隠し場所を伝えると、ラムに裏切りが気付かれたら容赦なく殺されると警告する。

ラムは重度の患者が隔離されている病棟へニューゲートを随行させると、人食い鬼と称される大男アーサーの包帯替えを任せる。ニューゲートは凶暴なアーサーに殺されそうになるが、首尾よく信頼関係を築き、難を逃れる。グレーヴス夫人は医務室でニューゲートを手当てし、ソルト達が性的暴行とも言える様な野蛮で恐ろしい実験を治療と称して行っていた事を明かす。ニューゲートは自らの体に残る無数の傷跡を見せ、人間の冷酷さへの理解を示すと、誰からもグレーヴス夫人を苦しませない事を誓う。グレーヴス夫人はなぜ自分に興味を持っているのか尋ね、ニューゲートはグレーヴス夫人を閉じ込めた連中の思考が許せないからだと答える。

その夜、地下牢の医務部長スワンウィックが鉄格子を外す事に成功し、同室の管理人パクストンと共に脱獄する。同じ頃、ニューゲートは院長のオフィスに侵入し、ラムの診療記録を収めたファイルを見つける。フィンはラムの命令を受け、手下を率いてスワンウィック達を追いかける。間もなく、スワンウィック達は断崖絶壁に追い詰められる。パクストンはその場で身投げし、スワンウィックは死体で病院に戻る。フィンは襲ってきたスワンウィックに馬が驚き、蹴り殺したのだと釈明する。ニューゲートは死体の背中に無数の刺し傷を発見するが、ラムはそれを不問に付す。ニューゲートはラムに対して狂っていると詰る。ラムは憤慨し、ニューゲートが職務を果たさない為に二人が死んだのだと主張する。グレーヴス夫人が諌めた途端、ラムは過去の記憶がフラッシュバックした事により当惑し、その場を後にする。

ニューゲートはソルトによるラムの診療記録に目を通し、1891年の入院当初から、ソルトが狂気の本質を理解して制御する為にラムに虐待を伴う治療を施し続け、9年近く経ってもそのラムの悩みの真因が明らかにならなかった事を知る。一方、ラムは地下牢にソルトを訪ねると、自らの主導する治療がいかに成果を上げているかについて説く。ソルトはそれらに反論すると、ラムの抱えるトラウマについて論う。ラムは憤慨し、ソルトへの処置を決断する。

ニューゲートはグレーヴス夫人に、春が来るまで地下牢の職員達が持たない見込みを示すと共に、ラムの実験が破綻していると説く。グレーヴス夫人は妹の様な存在で看護師役を務めるミリーが、ラムの方針に従って回復していると反論する。ニューゲートは病院から逃れ、スペインかイタリアの様な晴天に恵まれた地に移って、人生をやり直す事を提案する。そこへフィンが現れ、ニューゲートを処置室へ招く。ラムはソルトが妄想で院長だと思い込んでいるのだと説くと、ソルトに対する電気療法の助手をニューゲートに強要する。ソルトは繰り返される電気による衝撃で記憶を失う。

新年前日を迎え、ラムは患者達にパーティの準備を行わせる。ニューゲートは地下牢を訪ねると、ラムがソルトで試した電気療法を職員達に実行しようと企てている事を明かし、夜に皆を地下牢から解放する意向を示す。パイクはラムの心にも善があるものの、狂気がそれを壊してしまうのだと説くと、ラムを理解して治癒する為に、患者だと思って闇に包まれた心を思いやりの光で照らす様にニューゲートに促す。

夜、グレーヴス夫人はミリーに部屋に留まる様に言いつけ、ダンスパーティーが催される広間を訪ねる。ニューゲートは決着を付けに行くと称して、広間を後にすると、パイクから得た助言に従い、封鎖された監禁病棟に向かう。一方、グレーヴス夫人は地下牢へ向かい、ミリーは言いつけを破って部屋を出たところで、錯乱したフィンに絞殺される。ニューゲートはかつてラムが過ごした部屋を訪ね、壁の中に押し込まれた一枚の写真を見つける。間もなく、ミリーの死体が発見される。ラムは胸膜炎と診断すると、より良い世界に逝ったのだと説く。悲嘆するグレーヴス夫人は、ここが良い場所になる約束だったはずだとラムを非難する。

0時を目前に控え、ラムは皆を屋外へ連れ出す。ニューゲートはその隙に乗じて、貯蔵されたシャンパンに薬を盛る。それをフィンが見つけ、ニューゲートにナイフを構える。ニューゲートは所持していた拳銃を発砲した後、格闘の末にフィンを退け、石炭庫の中へ突き落とす。ニューゲートはシャンパンを庭に運び出し、患者達は0時に合わせた祝杯の準備を始める。0時直前にフィンが駆け付け、祝杯を制止する。ラムはニューゲートを殴って気絶させると、院内へ連れ込み、処置の準備に取り掛かる。

グレーヴス夫人はニューゲートの所持品の懐中時計の中に忍ばせた自らの写真を見つけ、拘束された状態で処置を待つニューゲートに対し、病院に来たのは夫の差し金では無いかと問い質す。ニューゲートは半年前に大学の講義で、ヒステリー患者の症例として、見世物小屋の様に扱われるグレーヴス夫人の姿を見て憤慨し、探し出すと誓った事を明かす。グレーヴス夫人は、ニューゲートが夫や家族、主治医と同じ様に、自分を物の様に扱い、所有する事に執着する点では同じだと主張する。ニューゲートはそれを否定し、グレーヴス夫人が自分を所有するのだと説く。

その後、ラムは患者達が見守る中で、ニューゲートを同志にする為に更生させるのだと称して、電気療法を施そうとする。ニューゲートは最後の願いと称して、ポケットに忍ばせたグレーヴス夫人の写真を本人に渡す様に請う。ラムはそれに応じ、ポケットから写真を取り出す。それは先程、ニューゲートが見つけたラムがかつて殺した兵士の写真であり、ラムはそれを見た途端に記憶がフラッシュバックして錯乱し、その場から立ち去る。フィンがその後を引き継ごうとすると、グレーヴス夫人がそれを阻止し、フィンに電極を握らせて感電死させる。フィンの体が炎上すると、傍の油に引火し、たちまち建物に燃え広がる。ニューゲートはグレーヴス夫人に皆の避難誘導を任せ、ラムを探しに行く。

ラムは彷徨い歩く内に封鎖された病棟に辿り着くと、負傷した兵士達を銃で皆殺しにした記憶を取り戻し、自殺するイメージに囚われる。そこへニューゲートが駆け付けると、ラムは苦しんでいる兵士達を自分が助けてやったのだと弁明する。ニューゲートはそれに理解を示すと、戦争は終わったのだと諭し、ラムを抱きしめる。ニューゲートはラムを屋外へ連れ出すが、ラムは正気を失う。皆の避難が終わって程なく、朝が訪れる。ニューゲートはグレーヴス夫人に一緒に病院を出て行く事を提案する。グレーヴス夫人は自分が正常では無い為に、ここ以外では暮らせないと説く。ニューゲートは自らも正常では無いと説き、グレーヴス夫人にキスをすると、これまで伏せていた重大な真実を打ち明ける。

後日、オックスフォード大学精神科の教授がグレーヴスと共に夫人を引き取りにやってくる。ソルト、ラムらを交えた患者達が平穏に過ごす中、責任者を務めるパイクは、ニューゲートの指示に基づき、三週間前に夫人が退院した事を明かす。教授は自らが本物のニューゲートである事、自分を騙った男は二ヶ月前まで自らが治療を行っていた事、その男は講義で入れ違う際に夫人を見て、虜になり、その後、自分の所持品を盗んで逃走した事を明かし、その男は稀に見る虚言症患者で治療は不可能だと説く。パイクはそれを否定し、男が治療法を見つけたと説く。その頃、男と夫人は、イタリアのトスカーナにあるサンタ・クリスティーナ精神科病院に移り、ラム夫妻を騙って穏やかな暮らしを送る。

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