チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ブラック企業2 「虐待型管理」の真相

今野晴貴 著「ブラック企業2 「虐待型管理」の真相」(2015)

前作に比べると、本書は社名(たかの友梨やワタミユニクロなど)と実例を挙げて、更にブラック企業の本質に肉迫する内容になっており、こう言ってはなんだが非常に読み応えがある。ブラック企業が計画的・戦略的に新入社員を使い潰し、躍起になって利益を上げる構図を窺い知る事ができ、世も末だと自覚せざるを得ない。とくに著者がブラック士業と称して強く批判する、ブラック企業に肩入れする弁護士や社会保険労務士が跋扈している為に、被害者が騙されたり、丸め込まれたり、脅迫まがいの行為を受けたりし、泣き寝入りするケースが後を立たないそうだ。ブラック企業そのものが、一つのビジネスモデルとして確立してしまっているのである。若者は若者で、一社会人として克己すべきとひたすらに頑張る余り、疑念を抱く余裕すら与えられぬまま、ブラック企業の無限の要求に応じてしまう。真面目であればあるほど、ブラック企業に付け入られ、利用され、その挙句、ボロ布の様に捨てられてしまうのだが、人材を使い潰せばそれだけ利益が上がるスキームを構築しているから、ブラック企業にとってはそれが短期的に最善の策というワケだ。当然そこに長期的な展望など無く、ましてや国の行く末なんて知ったことではない。極めて利己的な経済活動に基づく阿漕な存在、それがブラック企業とその界隈で甘い蜜を吸うブラック士業達なのである。ブラック企業を論じる際に忘れてはならないのが、嫌なら辞めれば良いという単純な問題では無いという事だ。まずこの点だけは誰しもが理解すべきだと思う。若者を苛虐の末に過労死や自殺に追い込む事で、成長の糧を得ている様な鬼畜な企業は絶対に野放しにしてはならない。