チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

オキュラス/怨霊鏡

マイク・フラナガン監督作「オキュラス/怨霊鏡」("Oculus" : 2013)[DVD]

人を死に追いやる魔力を秘めた鏡に両親を奪われた姉弟が、時を経て復讐を企てるも、鏡に翻弄されていく様を描く超常ホラー作品。

過去4世紀の間に、45人以上の死に関わってきたとされるラッサーの鏡。その出自は不明で、1754年にラッサー伯爵が入手し、暖炉の上に飾ったところ、翌年、彼は暖炉で焼死。その後、鏡は競売にかかった後、英国から米国へと移り、戦争で紛失した後も各地を転々とするが、その都度、所有者は不可解な死を遂げる。

2002年、フリーランスでソフトウェア開発を営むアラン・ラッセルは妻マリー、12歳の長女ケイリー、10歳の長男テディと共に新居に移る。アランは新たにアンティークの鏡を購入し、自分の書斎に据え付ける。当初、家族の関係は良好だったが、一家が新居で生活を始めると、やがてアランは鏡の魔力に翻弄され始め、屋内の観葉植物は全て枯れる。ケイリーは書斎でアランが見知らぬ女と一緒にいるのを目撃し、それをアランに尋ねるが、アランはそれを否定する。程なく、アランは書斎の本が床に整然と並べられているのを見つけ、姉弟の仕業だと疑って叱りつけるが、姉弟はそれを否定する。不信感を募らせたアランは護身用の拳銃を購入するが、マリーはその意図を疑う。

マリーは鏡による幻聴に惑わされ、アランに愛人の存在を疑う様になり、夫婦関係は悪化する。マリーは次第に精神を蝕まれ始め、アランの外出中に暴れる愛犬メイソンを書斎に閉じ込める。その後、メイソンは病気を患い、殺処分される。マリーは書斎で女の声を聞き、植物を枯らしたのも女と仕業だと考える様になり、アランに事実を執拗に問い質す。

マリーは書斎にマリソルという女が潜んでいると妄信する様になる。アランの外出中、鏡の魔力に取り憑かれたマリーは、ティムに襲いかかるが、ティムはケイリーと共にマリーを振りきり、子供部屋に逃げ込む。そこへアランが帰宅し、マリーを昏倒させると、鏡に操られマリーを鎖で寝室に拘禁する。アランはマリーが病気だと姉弟に告げ、寝室から姉弟を遠ざける。

アランが書斎に引きこもる様になると、空腹に窮した姉弟は食事を要求し、マリーを医者に見せる様にアランに訴える。アランが取り合わない為、ケイリーは寝室のマリーに直訴しに向かうが、悍ましいマリーの様子に慄いて、立ち去る。アランは約束を破った事を咎め、姉弟に外出禁止を命じる。

姉弟は電話で外部の者に助けを求めるが、どこに電話しても同じ人物が出て、父親が掛け直す様に要求する。姉弟は二人だけでなんとかする必要があると決意する。屋内が停電に見舞われると、姉弟は書斎のアランを訪ねるが、そこにマリソルが現れ、姉弟を退ける。アランが銃を取り出し、弾を込め始めるのを察知した姉弟は、アランのゴルフクラブを手に取り、鏡を壊しに向かうが、マリソルと遭遇し、再び子供部屋に逃げ込む。

アランがマリーを解放すると、マリーは子供部屋の前にやってくる。姉弟はマリーを退け、部屋から脱出するが、ケイリーはマリーに襲われ、絞め殺されそうになる。そこへ現れたアランが発砲してマリーを退けると、姉弟は次々に出現する悪霊達から逃れ、書斎に向かう。アランはケイリーを射殺する。姉弟は鏡をクラブで叩き割ろうとするが、幻覚に惑わされ、割ることができないと悟る。そこにアランが現れ、ケイリーに銃を突きつける。ティムが銃を叩き落とすと、アランはケイリーを絞め殺そうとするが、ティムは奪った銃をアランに突きつける。アランはケイリーを開放すると、ティムに自らを殺す様に促し、引き金を引かせる。アランが死ぬと、姉弟の周りを鏡に殺された悪霊達が取り囲む。姉弟はこれが現実じゃないと泣き叫ぶ。

程なく、警察が到着すると、ケイリーは大人になって強くなったら、両親の為に決着を付けようとティムと誓い合う。ティムはアランを殺害した容疑で連行され、姉弟は離れ離れになる。移送される直前、ティムは窓際に立つ両親の霊を目撃する。

11年後、夫マイケルと共に競売業を営むケイリーは、尚も鏡を夢に見ては魘され続ける。ケイリーは鏡が競売で売られた先を探し当て、遂に所在を発見する。鏡が自社の競売にかかり、落札されると、ケイリーは落札者に渡すまでに修復すると偽り、移送の手配を行う。一方、精神療養施設で21歳の誕生日を迎えたティムは、責任を認め、妄想を克服したと医師に判断され、退院を果たす。ケイリーはティムを迎えに行くと、鏡を発見した事を明かし、約束した通りに鏡を葬る計画を明かす。

翌夕、ケイリーは、売れずに残っていた実家にティムを呼ぶと、鏡をかつてと同じ部屋に運び込む。ケイリーは一部始終を記録する為のカメラ3台、固定電話と携帯電話、定時に鳴るアラーム、各部屋に温度検知器、更に観葉植物と犬を予め持ち込んでおり、戸惑うテディをそっちのけで実験を始める。ケイリーはカメラに向かって実験の目的を語り始めると、二人が一時間毎に食事を摂る事にし、更にマイケルには定時に連絡させ、応答が無ければ警察に通報してもらう様にしてある事を明かす。次にケイリーは、実験の目的が鏡に魔力があると証明する事だと明かし、鏡に関わった者達が不可解な死を遂げた記録を時代を遡って列挙していく。

ティムはアランの濡れ衣を晴らすのがケイリーの真の目的だと指摘し、当時は子供だったから事実を認めず、作り話に逃げたが、事実は警察の発表通り、精神を病んだアランがマリーを拷問して殺し、自分がアランを射殺したのだと主張する。ケイリーはアランが異常では無かったと反論する。ティムは因果関係と相関関係の違いを説き、好都合な事例を選んでいると主張する。ケイリーは誰にも責任が無く、皆が鏡の魔力の犠牲者である事を証明したいと応える。ティムは鏡を壊せば良いと提案するが、ケイリーはかつて鏡を壊そうと企てた者が自殺を図った事を明かし、鏡に自衛能力があると説く。ケイリーは10キロの錨に10キロのバーベルを付け、ストッパーをタイマーに接続した時限装置をセットしており、30分毎にリセットする様にティムに告げると、鏡が二人を生かしておかないとリセットできずに30分で割れる仕掛けだと明かす。

ティムは未だに植物が枯れていない事を指摘する。ケイリーは目印は植物だけでは無く、犬もその一つだと告げ、犠牲者のペットは姿を消していると明かす。ティムはケイリーの記憶の混同を指摘し、メイソンは病気でいなくなったのであり、植物はその排泄物に混じったウィルスで枯れたのだと主張する。ケイリーはティムが施設で洗脳されていると反論する。ティムは確信を持って言えるのが両親の口論を見たと言う事だけだと告げ、ケイリーが自分の汚名を雪ぎたいだけだと主張すると、ケイリーの制止を振り切って犬を屋外へ解放する。ティムは、植物にも犬にも変化が無く、おかしいのはケイリーだけだと主張すると、ケイリーが孤独を募らせて病んでしまったと考えて慮り、実家を離れてマイケルに助けを求めるべきだと諭す。

再び鏡の部屋に戻った二人は、カメラの位置が変えられ、植物が枯れているのを目の当たりにする。ケイリーは録画を再生し、二人が知らぬ間にそれを行っている様子を見て驚愕する。当惑したティムは屋外に出て、電話で連絡を取ろうとするが不通となる。しかし、気付くと屋外へは出ていなかった事を知り、更に混乱する。

その直後、屋内に設置した電灯が消え始める。ケイリーは魔力に翻弄され、食料の林檎と間違えて電球を口にするも、それが幻覚だった事を知る。更に、ケイリーは不意に鏡の前で錨が作動するのを待つ自分に気付き、慌ててリセットする。その時、アラームが誤作動を起こし、屋内の電灯が全て消える。ケイリーは予め設置しておいた非常用電灯を付けて回り、その際に床に散らばる鉢の破片が幻覚によるトリックだと気付く。振り向きざまにマリーの幻覚が現れると、ケイリーは握りしめた破片で首を一突きして殺す。しかし次の瞬間、ケイリーはそれがマイケルだった事を知る。そこへマイケルから定時の連絡が来る。ケイリーは幻覚によるトリックだと主張するが、ティムにもマイケルが見えており、ケイリーは本物のマイケルを殺したのだと確信して愕然とする。

ティムはケイリーと共に屋外へ逃げ出し、警察と救急に連絡する。ティムはそのまま放置すれば、錨が自動的に作動し、鏡を破壊すると主張する。その時、屋内の電気が復旧し、二人は屋内で鏡の前に立つ自分達の姿を目の当たりにし、虚実の判別が付かなくなる。再度通報を試みたティムは、当時に通報した際に出た人物が、同じ声で父親に掛け直させるように告げるのを聞き、それが魔力の仕業だと悟る。再び鏡の前に戻った二人は、そこに現れたマリソルと遭遇し、過去の記憶と現実を混同し始める。

不意にアラームが鳴り、ティムは鏡の前で我を取り戻す。一方、ケイリーは幻覚に惑わされ、過去の自分の姿で鏡の中のケイリーに抱擁される。ティムは鏡の前に誰もいないのを見計らって、錨を作動させる。次の瞬間、ティムは鏡の前で錨が突き刺さったケイリーに気付き、自らの手で殺してしまった事を知って愕然とする。

程なく、警察が到着すると、ティムは逮捕されるが、鏡の仕業だと主張する。移送される直前、ティムは窓際に立つ両親とケイリーの霊を目撃する。

 

 

子供の頃、両親を鏡に殺された姉弟が、11年の時を経て鏡の所在を掴み、実験と称して鏡の真実を明らかにしようと企てる。ストーリー自体はオーソドックスで正統派ホラーな印象だが、見せ方に趣向が凝らしてあり、予想以上に面白かった。過去の記憶と現実に起こっている事を巧みにシャッフルさせ、観ている者にも記憶の混同ぶりを追体験させる様な仕掛けとなっているのである。これから何が起きるのかという視点と、過去に何が起きたのかという視点が同時に進行していくので、双方の結末が明らかとなる終盤まで、なかなかどうしてスリリングだった。更に姉と弟で考え方も記憶も異なるので、両者が経験する事にも違いが生じ、混乱ぶりが増すのも良かった。子供時代の姉役の女の子が弟思いで可愛かったな。

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