チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ビッグゲーム 大統領と少年ハンター

ヤルマリ・ヘランダー監督作「ビッグゲーム 大統領と少年ハンター」("Big Game" : 2014)[BD]

専用機を撃墜され、山中に不時着した米国大統領が、少年ハンターの協力を得て、テロリスト達に対峙する様を描くアクション・アドベンチャー作品。

フィンランドの山奥の集落に暮らすオスカリは、13歳の誕生日を迎えるにあたり、一族に一人前の男として認められる為に、山中で一昼夜を過ごして獲物を仕留めるという、代々受け継がれてきた通過儀礼を行う事になる。オスカリはかつてクマを倒した事で尊敬される父タピオに、助言と激励を受ける。出発直前、オスカリは弓を受け取るが、未熟さ故に満足に矢を射る事さえ敵わず、大人達はオスカリには無理だと察する。タピオはしきたり通りにオスカリを送り出す様に仲間達に請う。オスカリは小型ビークルに乗り、山奥へ出発する。

米国大統領ウィリアムは、ヘルシンキで行われるG8会議に出席する為に、護衛機F18に伴われながら、エアフォースワンで現地に向かう。ウィリアムは支持率の低下により、レームダック化が報じられている事を嘆く。かつて身を挺してウィリアムを危機から守った事のある、シークレットサービスのモリスは、ウィリアムの身を慮り、ウィリアムもまたモリスに全幅の信頼を寄せる。

狩猟目的と欺き、民間ツアーヘリで山腹に降り立ったハザル率いるテロリスト四人組は、その目的が旅客機を撃墜する為だとパイロットに明かすと、地対空ミサイルの試射でパイロットを殺害する。一方、テロリストに通じるモリスは、エアフォースワンの防衛システムを秘密裏に解除する。その直後、エアフォースワンはF18共々ロックオンされる。モリスは脱出プロトコルを発動すると、ウィリアムを脱出ポッドに乗せ、地上へ降下させる。その後、モリスは機内の職員達を殺し、自らはパラシュートで脱出を図ると、機体がミサイルに撃墜される。獲物を捕らえようと意気込むオスカリは、機体の墜落を目の当たりにする。

ペンタゴンは遭難信号を受信した後、ウィリアムがポッドで機外に脱出した事を把握するが、通信が断絶する。緊急指令室に副大統領と陸軍大将が集うと、CIA長官はかつて最も有能なCIAエージェントで、現在、対テロ情報部門の長であるハーバートを呼び、対策を練る。ハーバートは墜落がテロだと即断すると、犯行グループが5から10人であり、携帯式地対空ミサイルを使用した事、機内に内通者がいた事を推測する。

森に降り立ったモリスは、ハザルに計画を進める様に命じる。オスカリは墜落現場から程近い場所でポッドを発見するが、宇宙船だと誤解し、警戒する。ウィリアムが窓越しに暗証番号を伝えると、オスカリはハッチを解錠する。ウィリアムは訝るオスカリに米国大統領と自己紹介し、身分を証明すると、助けを請う。ポッドの位置を把握した指令室は、特殊部隊を現場に送るが、外されたビーコンのみが発見され、手掛かりを失う。ハーバートは、犯人の特性を信念に基づく一匹狼と推測し、その行動は予測不能で目的も不明だと説くと、暗殺以外の目的、すなわち人質にするつもりだと察知する。

モリスはハザル達と合流する。ハザルは大物狩りを目論んでいる事を明かし、ポッドを開けるが、大統領がおらず、逃亡した事を知る。オスカリと共にビークルに辿り着いたウィリアムは、一番近い町へ向かわせる様に請うが、オスカリが自らの任務を優先する意向を告げ、ウィリアムは已む無く同行を余儀なくされる。モリスは足跡から子供が逃走の手引をした事を察知すると、ハザルの手下二人を射殺する。モリスは弱腰の大統領を庇い、心臓の傍に残った弾の破片のせいで、余命が僅かな事を明かし、予定通り送金する様にハザルに釘を刺す。

指令室ではハーバートの助言により、ヘリで現地入りした狩猟チームが検索され、また、ロシアの監視衛星を使用し、現地のライブ映像を確認する。オスカリ達はタピオが地図に示した、見晴らしが良く狩りに最適な地点に到着し、野営する事を決める。二人は互いの素性について語り合いながら、親交を深める。

翌朝、意気揚々と狩りの準備を始めたオスカリは、野営地点から程近い場所でフリーザーを発見し、その中にタピオが残した鹿の頭部と、共に添えられた誕生日を祝うメッセージを発見する。オスカリはタピオが自分の未熟さを案じて獲物を残したのだと悟り、悲嘆する。一方、ウィリアムは落下した職員の死体の数々を発見すると、パラシュートが開かない様に細工されているのを見て、墜落がテロだと確信する。ウィリアムは、職員の携行する機関銃を手に取った矢先に、モリス達が接近して来るのを発見する。

モリスの裏切りを知ったウィリアムは、オスカリに事情を伝えに行くが、オスカリは自分が役立たずでタピオにさえ信頼されていない事を告げ、涙する。ウィリアムは自分を守ってくれた証として、大統領のカフスをオスカリに与えて励ますと、テロリストが迫っている事を伝え、遠くへ逃げる様に促す。そこにモリスが現れ、ウィリアムの健闘ぶりを労うと、その手腕をホワイトハウスでも発揮すべきだったと告げる。ウィリアムは銃をモリスに向けるが、扱い方を知らず、奪い取られる。モリスはウィリアムを傷めつけ、オスカリを退ける。オスカリは離れた場所で身を隠し、様子を窺う。

ハザルの乗ったヘリが接近すると、指令室は衛星でそれを捕捉し、ウィリアムの生存を確認する。ハーバートは、リーダのハザルがアラブで最も裕福な石油王の息子で、政治、思想、宗教いずれとも無縁なサイコパスだと指摘する。ハザルは大統領を記念として剥製にする意向を明かし、フリーザーが運搬に好都合だと告げる。剥製の件を関知していなかったモリスはハザルを詰るが、ハザルは1000万ドルの送金を済ませた事を伝える。

ウィリアムはフリーザーに押し込まれ、ヘリで運搬される事になる。オスカリは意を決して離陸直前のフリーザーに飛び乗る。ハザルはオスカリを振り落とそうとするが、オスカリはロープを切って、フリーザーを落とすと、崖を転落させ、川を流れて湖の真ん中へ出る。

二人は湖上に浮かぶ墜落したエアフォースワンの機体を発見する。ウィリアムは機体内部へ身を隠し、特殊部隊を待つ事にする。ハザルは黒幕から計画を変更し、ウィリアムを殺す様に命じられる。水中を潜って内部に着いたウィリアム達は、浸水していない二階へ身を寄せるが、程なく、機体が爆薬で破られ、ハザルが現れる。

ハザルは時限爆弾を仕掛けると、大統領を捕らえ、監禁の様子を映像に収めた後、七日後に殺す予定だった事と、その結果、世界が恐怖し、テロとの戦いが続くのだと認識させるのが目的だった事を明かす。更にハザルはテロリストでは無く、米国サイドの者だと明かし、モリスに引き上げる様に命じるが、モリスはロープを切り落とし、ハザルは機内に取り残される。

ハザルがウィリアムに襲いかかると、オスカリが不意を突いてハザルを退け、ウィリアムの窮地を救う。ウィリアムはハザルから機関銃を奪取し、ハザルを射殺する。モリスが上空から銃撃を仕掛けると、ウィリアムとオスカリはコックピットから射出座席で脱出する。オスカリはモリス目掛けて矢を放つも、威力が及ばず、モリスの胸を小突く程度に留まる。しかし、その瞬間、モリスは心臓に激痛が走り、ヘリから落下する。その直後、爆弾が爆発し、爆風で湖が消し飛び、ウィリアム達のパラシュートも吹き飛ばされる。

オスカリの帰りを待つタピオ達の元に、特殊部隊が到着するが、指令室の面々は爆発によりウィリアムの死を悟る。ハーバートは副大統領に就任宣誓を促し、副大統領は応じる構えを見せる。程なく、パラシュートが降下し、ウィリアムとオスカリの無事が確認される。タピオがオスカリの元へ駆け寄ると、オスカリはウィリアムを紹介する。ウィリアムはオスカリが凄腕で勇敢な息子だと称え、タピオはオスカリの成し遂げた偉業を喜ぶ。

指令室にウィリアムの無事が伝えられると、ハーバートと副大統領は揃って姿を消し、トイレに向かう。ハーバートは計画が失敗し、15年の付き合いで、誰より優秀で忠実なエージェントのハザルを失った事を嘆く。副大統領は大統領になり損ねた事を嘆くと、自分達の身が安全か尋ねる。ハーバートは副大統領を転倒させて殺すと、滑って事故死した様に偽装し、真相は闇の中だと告げて、姿を消す。

その後、オスカリには名誉勲章が与えられ、一族の偉業の一つとして掲げられる。

 

 

一見、ハリウッド大作の様に見えてフィンランド発の作品なのだが、B級とは思えないくらいに完成度の高いアクション作品だった。大統領役のサミュエル・L・ジャクソンと未熟なハンター役の少年との、凸凹で軽妙なやり取りが微笑ましく、また、要所要所のアクションシーンの演出も低予算の割には頑張っていて、かなり見応えがある。脚本はシンプルでありながら、笑いあり感動ありで、更に意表を突く展開が愉快だし、素直に感心してしまった。大自然の景観を随所に効果的に織り込んでいるのも良い。しかし、エアフォースワンってこんなに簡単に撃墜できるのだろうか。実際にオバマがこんな境遇に陥ったら、と考えると不謹慎ながら笑ってしまうよな。

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