チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ハッピーエンドが書けるまで

ジョシュ・ブーン監督作「ハッピーエンドが書けるまで」("Stuck in Love" : 2012)[BD]

離婚した妻との復縁を切望する男、両親の離婚を機に愛を拒絶する娘、内向的な性格故に愛を知らぬ息子、彼らの抱える問題が解きほぐされていく様を描くロマンチック・コメディ・ドラマ作品。

かつて文学賞を受賞した著名な小説家ビルは、妻エリカが自分を捨て、若い男マーティンと交際しているのを知りながら、二年間エリカが戻ってくるのを待ち続けている。ビルは離婚以来、新作の執筆が滞っており、ビーチサイドの屋敷で息子ラスティと共にしどけなく暮らす傍ら、近所に住む既婚者トリシアとセフレ関係にある。ビルはエリカの家を密かに訪ね、覗き見し、エリカとマーティンの関係が芳しくない事に歓ぶ。屋敷を離れて暮らす娘サマンサは、小説家を志望する大学生である。サマンサはエリカがビルを裏切って離婚した事が原因で、愛を避ける事をモットーとするリアリストとなり、特定の相手との交際を拒み、後腐れの無い一晩限りのセックスに興じている。弟ラスティもまた小説家を志望する高校生で、スティーヴン・キングを尊敬し、強く影響を受けている。ラスティはサマンサとは正反対の内向的な性格で、クラスメイトのケイトに密かに思いを寄せている。

感謝祭に合わせてサマンサが帰省すると、ビル、ラスティと共に食事を囲む。その場でサマンサは自分の書いた本が出版される事を報告する。ビルは一旦喜ぶが、自分が助言と校正に協力した作品では無く、サマンサが内緒で書いていた新作だと知ると、落胆して席を立つ。エリカを忌み嫌うサマンサは、ビルが来るはずのないエリカの席を用意している事に不満を抱く。

ラスティはそんなサマンサを尻目に一人でエリカの家を訪ね、マーティンとの食事に同席する。ラスティはエリカにサマンサの出版の件を伝える。ラスティは知性を感じさせない体育会系のマーティンへの嫌悪感をエリカに訴える。エリカはサマンサとの関係の正常化を切望していながら、一年以上も会話すらできない事を嘆く。

サマンサはビルの協力を得て書いた作品が、他人の物の様に思えた事を告げ、ビルに詫びる。サマンサはビルが未だにエリカに執着している事を振り回され過ぎだと非難する。

ラスティはサマンサにケイトへの思いを打ち明ける。サマンサはロマンチストとリアリストの違いについて説くと、女を抱けるのはリアリストだと忠告する。

翌日、ラスティは授業で自作の詩を発表する。授業後、ケイトからその詩を評価されるが、ケイトには交際相手グレンがおり、ラスティは悶々とする。

ビルは、作家にとって尤も多感で重要な時期に、ラスティが部屋に篭りがちな事を心配し、経験が足りないとラスティに諭すと、ケイトに気持ちを伝える様に促す。

ラスティは一念発起すると、グレンの家で学生を集めて開かれるパーティに、親友ジェイソンと共に赴く。ラスティは、ケイトがグレンと共にトイレに隠れ、コカインを吸っているのを目撃して動揺する。その直後、ケイトがグレンと口論を始め、帰ろうとすると、憤慨したグレンがケイトを突き倒す。ラスティは勢いに任せてグレンを殴り飛ばすと、ケイトを車で連れ出し、手当をする為に自宅へ向かう。

その頃、エリカは突然ビルの元を訪ね、サマンサに無視されたままの生活が耐え切れない事を訴える。エリカはビルにも責任があると告げ、女を作って幸せになる様に促すが、ビルはエリカとマーティンの不仲を指摘し、待ち続ける意向を示す。

同じ頃、バーで意中の男を探すサマンサは、上級小説創作コースのクラスメイトのルイスに声をかけられる。サマンサはルイスが自分に好意を抱いていると察すると、辟易してルイスの前から去る。

ビルは、ラスティが連れ帰ったケイトが意中の子だと知り、奥手なラスティの代わりに気持ちを代弁する。ケイトはラスティの自分への好意を知る。ラスティはケイトを自室に泊める事にし、作家志望だと伝えると、ケイトに誘われ、初めてのキスをする。

翌日、サマンサは授業でルイスの存在に気付く。一方、ラスティはケイトとより親密になっていく。トリシアはエリカに執着するビルを慮り、先の人生を見据え、相手を見つけて再婚する様に促す。

夜、サマンサがバーで意中の男に持論を説いていると、そこにルイスが現れる。サマンサは興味が無い事をルイスに伝えるが、ルイスは意に介さず、強引にサマンサをカフェに連れ出す。ルイスは同じ作家として、好きな作品を挙げ合う事を提案する。ルイスが愛読する作品を挙げた途端、サマンサは逃げる様にして店を飛び出す。サマンサは付き纏う理由を問い質し、ルイスはサマンサの事を知りたいだけだと訴えるが、サマンサはこれ以上関わらぬ様に告げて、ルイスを拒絶し、その場を後にする。ルイスは途方に暮れる。

クリスマスにケイトがラスティの元を訪ねる。ケイトはプレゼントが自分自身だと告げ、ラスティはケイトと自室で初めての関係を持つ。サマンサは授業にルイスが出席していない事を心配し、密かに自宅を訪ねる。サマンサはそこでルイスが脳腫瘍で寝たきりの母親に本を朗読している様子を目の当たりにする。サマンサに気付いたルイスは屋内へ招き入れる。サマンサはルイスの母親としばしの時間を費やした後、ルイスと和解すると、自著を贈り、休暇明けのデートの約束をする。

ビルはモールでエリカと偶然遭遇した様に見せかけ、サマンサへ贈るPCを一緒に選ぶ様に勧める。ビルは関係を修復したい意向を伝えるが、エリカは自分の為に才能を無駄にすべきでは無いと諭すと、自らも色んな葛藤を抱えながら暮らしている事を打ち明ける。

休暇に合わせてサマンサは実家に帰省する。サマンサはラスティがケイトと交際している事を知って喜ぶと同時に、ビルが明るくなった事を察知する。ビルは新年の誓いが先に進む事だと告げる。ラスティはケイトの家を訪ね、愛読書であるキングの"It"を贈る。

休暇明け、サマンサはルイスとレストランでデートをする。ルイスはサマンサの著書に対する感想を述べ、評価しながらも、サマンサの持つ結婚や恋愛に対する価値観について尋ねる。サマンサは母親がビーチで男と浮気する現場を目撃した描写が事実と認め、母親が家族にバレても構わないと男に話していた時の胸中を明かす。その後、二人は車内で互いの好きな曲に付いて語り合う。ルイスがお気に入りの曲をかけると、サマンサは真剣に愛した時に傷つく事への恐れを涙ながらに打ち明け、二人は初めてキスをする。

以後、サマンサとルイスは恋仲となる。ビルはトリシアの助言に従い、出合い系パーティに参加して手応えを感じる。その直後、ビルはエリカの家を密かに訪ね、前に進む為に窓際に指輪を置いて立ち去ろうとするが、エリカが自分の代表作を読んでいる姿を覗き見し、翻意する。

後日、サマンサの出版記念パーティが盛大に開かれ、ルイスやラスティ、ケイトらも招かれる。サマンサはケイトに薬物中毒の経歴がある事を知らず、密かに酒を振る舞う。ビルは執筆に関するスピーチを行い、サマンサを祝福する。サマンサがサイン会を行っている間に、ルイスに誘われたエリカが会場に訪れる。ビルはサマンサが強がっているだけだと説き、勇気を出して会いに行く様にエリカの背中を押すが、サマンサはエリカを拒絶し、エリカは失望する。

ケイトがいなくなった事に気付いたラスティは、サマンサが酒を飲ませた事を知り、ケイトの抱える事情を伝え、心配する。ビル達は客からケイトを連れ出した男について聞き出すと、家族揃って男の住所に向かう。ビルとエリカが男の部屋に押し入り、昏睡したケイトを救出する。ラスティはケイトの惨状にショックを受ける。その後、ケイトは更生施設に入る事になる。

サマンサはエリカを断りなく呼んだルイスと疎遠になる。ラスティはケイトと別れた事で酷く落胆し、大麻に耽って、自分の殻に篭もる様になる。ある時、ラスティはスーパーでグレンと遭遇し、意趣返しにこっぴどく殴られ負傷する。ビルはラスティの窮状を見かねて、外出を禁止し、失恋の経験を執筆に向ける様に命じる。

ビルは帰省したサマンサにエリカの愛がいかに深いかを説く。ビルはサマンサが赤子の頃に自分の方が先に浮気をし、エリカが半年間待った後、戻った自分を許してくれた事、更に、エリカが過ちを犯したら待つという約束をした為に、エリカが戻ってくるのを待っている事を明かす。サマンサは当惑し、三年待っているビルが既に約束を果たしたと主張するが、ビルはエリカが戻ってくる見込みを伝える。一方、ラスティは部屋に篭もり、執筆に専念する。

程なく、サマンサはルイスから母親の訃報の連絡を受ける。サマンサはショックを受けながらも、急遽、ルイスの元に駆け付け、葬儀に参列する。その後、サマンサはエリカの元を訪ね、和解する。

後日、ラスティは敬愛するキングから直々に連絡を受ける。キングはサマンサが送ったラスティの作品を読み、それが最高だったと評価すると、雑誌に原稿を送っておいた事を明かす。ラスティは舞い上がりながらも、いかにキングに影響を受けてきたかを伝える。

感謝祭を迎え、サマンサはルイスと共に帰省し、皆は一同に介する。そこにエリカも訪ねてくる。エリカは居場所があるなら戻りたいと告げ、ビルは歓迎し、皆は食事を囲む。ラスティが原稿が売れた事を報告すると、エリカの音頭で皆はラスティに乾杯する。

 

原題の通り、愛でそれぞれにスタックしている家族の様子を面白おかしく描いた作品。自分は恋愛未経験なおっさんのくせに、なぜかこういう作品を好んで見てしまう。作品を通して色恋沙汰を疑似体験したいのかもしれない。小説家一家らしく、かなり裕福な家庭でやや浮世離れしている感はあるのだが、その分、登場する人物はお洒落で何かと見栄えは良い。サマンサのツンデレぶりがハンパなく、「愛などいらぬ」ばりにツンケンしていたかと思えば、途端に恋愛モードになってしまうのが笑える。このキャラにリリー・コリンズがよくハマっている。しかし、小説家という職業が作品のコアになっている割には、執筆に纏わる苦楽が全くと言っていいほど描かれなかったのは物足りなさが残る。サマンサが執筆に臨むシーンは片時も無かったから、これで出版と言っても説得力に欠ける。

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