チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

奪還者

デヴィッド・ミショッド監督作「奪還者」("The Rover" : 2014)[DVD]

ディストピア的な近未来の荒野で、男がならず者達に盗まれた車を奪還すべく、執拗に追跡する様を描くドラマ作品。

 

世界が経済破綻して10年後のオーストラリア。国内にはならず者が蔓延り、軍が秩序の維持を図っている。ヘンリー、ケイレブ、アーチー、ヘンリーの弟レイの4人は、砂漠の荒野をトラックで移動中に兵士と交戦し、その際に兵士とレイが致命傷を負い、3人は逃走を図る。ケイレブとアーチーはレイを死んだものとして諦める様に諭すが、ヘンリーはそれを拒み、引き返す様に求める。両者で啀み合いが生じ、車内で取っ組み合った末にアーチーが運転を誤り、トラックは道路沿いの資材に嵌まり、動かせなくなる。3人は近くに停めてある車を奪って、走り去る。その側の建物で休憩していた孤独な世捨て人エリックは、自分の車が盗まれた事に気が付くと、ヘンリー達が乗り捨てたトラックを強引に動かし、車を追跡する。

ヘンリー達はエリックが追いかけてくる意図が掴めず、トラックに発砲して脅しをかけるが、エリックは執拗に追尾する。ヘンリー達は停車し、エリックに目的を尋ねると、エリックは車の返却を要求する。ヘンリー達は銃を突きつけ、それを拒否するが、エリックは返すまでどこまでも追うと告げる。エリックはアーチーに飛びかかると、ヘンリーに銃で殴りつけられ昏倒する。一方、腹部に深手を負ったレイは、兵士の軍用車両に乗ってレイ達の後を追う。

エリックは放置されたトラックの傍で目を覚ますと、車の捜索を始める。エリックは小さな集落に辿り着くと、雑貨商、少年を売る老婦、中国人とつるむ小人の男らに3人の乗った車について尋ねるが、手掛かりが掴めず不振に終わる。エリックは小人の男に銃を所望し、男に購入を促されるが、金が無いエリックは銃を奪って男を射殺し、持ち出す。

エリックがトラックに戻ると、そこにレイが現れ、それが兄の車だと指摘し、どこに向かったのか尋ねる。エリックは逆にヘンリーがどこにいるのか問い質すが、レイはその場で意識を失う。エリックは雑貨商から医者のいる場所を聞き出すと、トラックにレイを乗せ、医者の家に向かう。

夜、エリックは医者の家に辿り着くと、レイの傷の手当を依頼する。そこに暮らす医者ドロシーは、金が無くとも充実した生活はできると説き、無料でレイの手当を行う。エリックは別室でケージに入れられた無数の犬達を目の当たりにする。ドロシーは飼い主の身勝手な事情で捨てられた犬達を、食べられぬ様に保護しているのだと説く。

翌朝、エリックは回復したレイに銃を突きつけ、ヘンリーの居場所を問い質す。レイはヘンリー達が南に行った事を明かし、そこまで連れて行き、会わせる事を提案する。エリックは有無を言わさず、レイを連れ出そうとする。そこへエリックを追ってきた3人の中国人が車で到着し、ドロシーの同居人の男を射殺する。エリックはドロシーからライフルを借り、3人を射殺すると、悲嘆するドロシーをその場に残し、レイを連れて出発する。

エリック達は荒野の一本道を南へひた走り、途中のモーテルに宿泊する。エリックは改めて目的地を問い質し、レイはカールーンだと明かす。エリックはレイの所持する銃を弾を抜いて部屋に置いていく。レイはモーテルの中国人女からカールーンまでの道程を聞くと、エリックに具体的にはどこに行くのかは明かさず、自分を連れて行く様に請う。エリックはヘンリーと鉱山で働くために砂漠に来た事を明かすが、急いでいた理由については口を噤む。エリックはレイがヘンリーに見捨てられたのだと指摘する。レイはそれを否定し、ヘンリーが自分を待っているはずだと主張するが、戸惑いを隠せず、部屋に篭もる。

レイは隠し持っていた弾を銃に装填すると、その矢先にモーテルの前に兵士が到着するのを目撃する。程なく部屋のドアがノックされると、レイはドア越しに発砲する。それは毛布を持ってきた少女で、レイは自分が少女を殺した事にショックを受ける。途端に兵士が銃撃を始めると、レイはそれに応戦する。エリックは銃声に気付くと、部屋の前に駆けつけ、兵士を背後から射殺する。二人はモーテルから逃走し、カールーンを目指す。

翌夜、二人は野宿する。レイはヘンリー達が人を待っており、会うのが二週間後だと明かす。エリックは農民だった事を明かすと、レイは思い出話を始めるが、エリックはそれを遮る。レイは殺した少女の事が忘れられないと嘆く。エリックは常に考え続けるべきであり、苦しんで当然だと諭す。

レイが用足しに離れた後、エリックは寝込みを兵士に見つかり、捕縛され、軍用地に連行される。責任者の将校はシドニーへ護送する事をエリックに伝える、エリックは自分が終わった人間であり、殺す様に促すが、将校は司令部の命令に従うだけだと応える。エリックは10年前に妻とその浮気相手を殺し、二人を埋めて家に帰り、逃げなかったにも関わらず、警察は自分を捕まえに来なかった事を明かすと、殺人が問題にならない現在の状況を嘆く。将校はそれが嘘だと指摘し、エリックの不可解な言動に困惑する。その時、敷地内にレイが侵入し、兵士達を殺した後、エリックを救出する。

二人は再びカールーンを目指す。道中、レイが傷の痛みを訴え、エリックが介抱する。また、米ドルを所持していない為に支払いに窮したエリックに代わり、レイがガソリンとエリックの分まで弾丸を調達する。二人はカールーンに到着すると、ヘンリー達が身を寄せる年寄りのゴードンの家を確認し、早朝に不意を突いて侵入すべく、近くで野宿する。レイはヘンリーを殺す意向をエリックに伝える。

翌朝、二人は家に忍び寄り、エリックはそこで盗まれた車を発見する。エリックは屋内の様子を覗い、二部屋に二人ずつ分かれて寝ている事を確認すると、手前と奥で二手に分かれて侵入を企てる。エリックは居間で眠るケイレブとアーチーに銃を突きつけ、抵抗せぬ様に命じる。レイは寝室のヘンリーに銃を向け、呼び起こす。エリックはヘンリーとゴードンを居間に連れてくる様に命じる。レイの注意が逸れた隙に、ヘンリーは傍の銃を手に取り、レイに向け、意図を問い質す。レイが自分を置き去りにした事を責めると、ヘンリーは死んだと思ったのだと諭し、二人は互いに銃を下ろす様に命じあう。レイが勢い余って意図せず発砲すると、ヘンリーは咄嗟に反撃してレイの首を撃ち抜く。エリックは即座にアーチーとケイレブを射殺し、レイの傍に近づくが、レイは絶命する。エリックはヘンリーに銃を向ける。ヘンリーはレイに何をしたのか問い質すが、エリックは何もしていないと応え、迫ったヘンリーを射殺する。エリックはゴードンに銃を向けるも殺さず、しばし悲しみに暮れた後、4人の死体を屋外へ運びだすと、火に焚べて燃やす。

エリックは車で走り去った後、荒野で停車すると、トランクに積んでおいたスコップと犬の死体を担ぎ出し、埋める為の穴を掘り始める。

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