チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

天王寺おばあちゃんゾウ 春子 最後の夏

人見剛史監督作「天王寺おばあちゃんゾウ 春子 最後の夏」(2015)[DVD]

2014年の夏に66歳で永眠したアジアゾウ「春子」と、飼育を担ったスタッフ達の最後の1年を追ったドキュメンタリー作品。

 

2014年7月30日、天王寺動物園の象徴的存在として来園者に愛されてきた、アジアゾウの春子が66歳で永眠した。人間の年齢に換算すると90歳に相当するという。春子は1950年4月14日に2歳でタイから来園した。春子の正確な誕生日が不明な事から、園では毎年4月14日の来園記念日を誕生日として祝ってきた。園では同じアジアゾウで、46歳のラニー博子が別々に飼育されていたが、春子が警戒心が強く、慎重派であるのに対し、博子は気性が荒い為、二頭は柵越しに小競り合いをする程、仲が悪かった。2003年、園はゾウ舎を新設し、二頭の引っ越しが滞り無く行われた。旧ゾウ舎では明け方に横になって寝る事が多かった春子だが、引っ越し後は警戒を解かず、立ったまま眠る様になった。晩年、春子は右目に白内障を患い、視力を失っていた。

2013年の夏は猛暑だった。春子は炎天下の運動場に出るのを拒む様になった。春子は博子と違ってプールに入るのを嫌う為、飼育員が折を見ては水浴びをさせてやっていた。しかし、春子は暑さに疲弊し、日陰を見つけてはその場から動かない様になった。飼育員達には春子の衰えが目に見えて分かった。2014年、開園100周年まであと1年となった。春子はその前の年末から、ゾウ舎に入る度に行う係留の鎖を拒む様になった。飼育員達はその原因が、直前の博子との闘争により傷つけられた事によるショックにあると推察した。春子は見る見る内に老化の症状を呈していったが、食欲が健在である事から、飼育員達は春子が開園100周年を迎える事に希望を見出していた。

2014年春、来園記念日を迎え、飼育員達は駆け付けた来園者と共に、春子の66歳の誕生日を祝った。程なくして、春子の動きは急激に鈍り始め、6月下旬には運動場に出なくなった。春子には口元の引きつりと左目の視力の悪化が顕著に見られる様になった。7月30日午後1時、春子はいよいよ好物の餌すら残すようになった。また、足腰が弱った事で踏ん張りが効かなくなり、春子は柵にもたれて立っているのがやっとの状態になった。その日、春子は遂に堪えきれずに倒れた。春子は自力で起き上がろうとし、飼育員達は春子の体を鎖で吊り上げる等して、懸命に春子を支えようとした。しかし、春子は脚を思う様に動かせず、やがて体力が尽き、倒れてから3時間半後に飼育員達の見守る中で息を引き取った。その後、春子は骨格標本となり、第二の生涯を歩んでいる。

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