チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

シャドー

ダリオ・アルジェント監督作「シャドー」("Tenebrae" : 1982)[DVD]

著名な推理作家が訪問先で、自らの著書を模倣した連続殺人事件に巻き込まれ、事件を解決に導くべく犯人探しに乗り出す様を描くミステリー作品。

 

ニューヨークに居を構える著名な推理作家ピーターは、新作「暗闇」の発刊に伴い、ローマへと赴く事になる。空港に到着したピーターは、カウンターで疎遠になっている恋人ジェーンからの連絡を受け、二ヶ月間連絡しなかった事を弁解すると、翌日にかけ直す約束をして切る。

ローマに到着したピーターは「暗黒」のベストセラーを受け、空港に集まった記者達の取材を受ける。ピーターの知己の記者ティルダは、「暗闇」の内容が女性蔑視だと辛辣に批評する。ピーターのエージェントのブルマーは、改めてインタビューの場を設け、そこで掘り下げる様にティルダに促し、取材を終える。ピーターは、取材陣の中で隅にいて何も発言しなかった記者についてブルマーに尋ねる。ブルマーはそれがワイドショーの書評家で、ピーターの大ファンのベルティであり、番組へのピーターの出演も決定している事を明かす。その後、ピーターは恋仲にある秘書アンと、ベルティがローマでのピーターの助手に雇ったジャンニと合流する。ピーターは持参したバッグの中身が、いつの間にか荒らされている事に気付く。

ローマの事務所に着いたピーター達を、ローマ市警の警部ジェルマニとその部下アルティエリが待ち受ける。ジェルマニは5時間前に、エルザという若い女がカミソリで喉と胸を刺され、更に口の中に「暗闇」のページが詰め込まれ、窒息状態で殺された事を明かすと、「暗闇」における殺人も同じくカミソリである事から、著者であるピーターに事情を聴こうとする。ピーターはエルザと面識が無いどころか、ローマに到着したばかりで、関知していないと応える。ジェルマニは更に、事務所で見つけたピーター宛の封筒を手渡す。その中には「暗黒」の一節、「怒りを鎮める方法は一つだけ」と記されており、ジェルマニはまた手紙が来たら連絡する様にピーターに求める。ピーターはバッグの件をジェルマニに伝えようとするが、その矢先に犯人と思しき男から電話が来る。その男は、「暗闇」の中の「殺人によって不安と恐怖が消える」という一節がその通りだったと説き、自分と一緒に殺人を楽しむ様にピーターに促す。事務所の入るビル前の公衆電話から掛けてきた男は、刑事がいる事を察知すると、慌ててその場を後にし、ジェルマニ達は男を取り逃がす。

数週間経ったある夜、レズビアンのティルダと恋人マリオンが住む家に、何者かが侵入し、二人を刃物で惨殺する。翌日、犯人の男は再びピーターの事務所ビルに忍び込み、部屋に封筒を投入する。それに気付いたピーターは犯人を取り逃がし、封筒の中の「レズビアンに滅びを」の一節を確認する。ティルダとマリオンの検死の結果、エルザと同様にカミソリによる殺害だと判明する。

程なく、ピーターはベルティの番組に出演する為にスタジオ入りする。ベルティは、「暗闇」の犠牲者が同性愛者であり、犯人の目的が堕落の一掃では無いかと指摘する。スタジオを訪ねたジェルマニは、犯人が「暗闇」を模倣している事から、些細な事でも連絡をする様にピーターに要望する。その後、ジャンニが事務所ビルの管理人の娘マリアと二人で遊びに行く。一方、アンは事務所ビルの前で車を運転するジェーンを目撃すると、電話でニューヨークに不在を確認する。アンはピーターに付き纏いを続けるジェーンが、ピーターを追ってローマに来たのだと確信し、バッグの件もジェーンの仕業だと疑う。

その夜、マリアはジャンニと喧嘩別れした後、帰路に就く途中で犬に襲われる。マリアは民家の敷地内に逃げ込み、助けを求める。屋敷のドアに鍵が付いたままになっていた為、マリアは犬を閉め出して屋内に身を寄せる。マリアは無人の屋内の一室で、殺害した女達を撮影した写真や、女達に関わる資料の数々を発見し、そこが連続殺人犯の住処だと悟る。マリアはそれらの資料を持ち出し、通報しようとした矢先に、犯人の男が現れ、マリアに襲いかかる。マリアは逃走を試みるも、男に斧で殴り殺される。

その後、再びピーターの事務所に手紙が届く。その中で男は「腐敗した人間を尽く殺す。最大の腐敗者も。」と主張する。ピーターはその腐敗者が自分を指しているのだと悟る。ジェルマニはピーターに親しいマリアが殺された事から、外出を控える様にピーターに促す。しかし、ピーターは自ら犯人を推理し、逮捕に繋げる事で、本の売上を図ろうという野心を抱く。ピーターは、「暗闇」を堕落した人間について描いた作品だと評したベルティに疑いを抱き、ジャンニを連れてベルティの屋敷に赴く。その直後、アンは事務所ビル前から車で走り去るジェーンを目撃する。

その夜、ピーターとジャンニはベルティ邸の庭に忍び込み、屋敷の様子を窺う。ジャンニは窓際まで近づき、ベルティの姿を確認する。その時、室内の明かりが消え、そこに現れた男が「私が皆を殺した」と告げた後、斧でベルティの頭を割って殺す。ジャンニは当惑してピーターの元へ逃げ戻るが、そこで後頭部を石で殴られて負傷したピーターを発見する。ジャンニはピーターを連れて事務所へ帰る。ピーターの怪我は大事に至らずに済むが、ジャンニは暗くて男の姿を確認できず、証拠も無い事から、ピーターは警察へ通報しない意向を示す。アンはしばらくニューヨークに戻る事を提案する。

翌日、ピーターはパリに移る事をブルマーに打診する。ブルマーは100万ドルの契約が間近に迫っている事から翻意を促すが、ピーターは命の危険を説き、難色を示す。その後、ブルマーは密かに愛人関係を結び、ニューヨークから呼び寄せていたジェーンと広場で落ち合う約束をする。

ピーターはジェルマニに呼ばれてベルティ邸に赴く。ジェルマニは凶器がマリア殺害と同じ斧であり、ベルティがピーターに妄執していた事を明かし、ピーターの元に新たに手紙が来ない事を訝る。ピーターはこの事件に信じられない真実が隠されており、それを探せば犯人が分かるはずだと説く。程なく、ジェーンの滞在する貸家に、赤いハイヒールが届く。一方、広場でジェーンを待つブルマーの前に男が現れ、白昼堂々、ブルマーを刺殺して逃走する。ハイヒールを履いて駆け付けたジェーンは踵を返して貸家に戻る。

ピーターはジェルマニを欺き、アンに先んじてパリへ発つ事を決める。別れ際、ジャンニはベルティ邸が事件の鍵だとピーターに告げる。その夜、ジャンニは改めてベルティ邸を訪ね、現場でベルティ殺害の瞬間を回想する。そこでジャンニは「私が皆を殺した」という言葉が、ベルティ自身の発したものだと思い出す。車に戻ったジャンニは、待ち伏せていた男に絞殺される。男は庭に隠しておいた斧を持ち出す。

パリへ発つ身支度を急ぐアンの元にジェーンから連絡が来る。ジェーンは自分のした事を全て話すと告げると共に、犯人に殺される事を危惧して助けを請う。アンは貸家の場所を聞くと、車で急行する。一方その頃、署にブルマーの家政婦がやってくる。ジェルマニはアルティエリに対応を任せ、ジャンニの殺害現場へ向かう。家政婦はブルマーが殺される前に愛人といた事を証言する。

ジェーンは銃で身を守り、アンの訪れを待つ。そこへ男が襲撃を企て、アンを斧で殴り殺す。そこへアルティエリが駆け付けると、男は不意を突いてアルティエリをも斧で殺す。程なく、ジェルマニがアンを連れて到着し、ピーターと二人の遺体を目の当たりにする。ジェルマニはブルマーの家政婦が、ジェーンがピーターの婚約者だと証言した事を明かす。ピーターはベルティが殺人犯だと知り、忌々しいジェーンとブルマーの殺害を閃いた事を明かす。ジェルマニはピーターを連行しようとするが、ピーターはその矢先にカミソリで自らの喉を掻っ切り、自殺を図る。ジェルマニは車から署に連絡すべく、悲嘆するアンと共にその場を後にする。

署とのやり取りで、ジェルマニは国際警察からの情報として、ピーターが少年の頃に交際相手の少女が殺されるも、犯人が分からずに事件が迷宮入りしていた事を知る。ピーターはその少女に赤いハイヒールで足蹴にされ、屈辱を味わった事を根に持ち、少女をナイフで惨殺した後もそのトラウマに苛まれていたのである。ジェルマニはピーターが犯人ならずっと悩み続けていたはずだと推察し、「暗闇」の一節「不安も恐怖も消え、楽になった。彼を苦しめた屈辱感は一掃された。その為の手段こそ殺人だった。」との符号を指摘すると、様子を確認すべく、再び貸家の中に戻る。しかし、そこにピーターの姿は無く、ジェルマニは残されたカミソリが血糊の吹き出す細工を施した偽物だと知る。その時、背後からピーターが忍び寄り、ジェルマニを斧で殴り殺す。その際、ジェルマニは鋭い飾りの付いたオブジェにぶつかり、オブジェはドアに倒れかかる。そこへ異変を察知したアンが駆け付け、ピーターは斧でアンに襲いかかろうとするが、アンがドアを強引に押し開けた反動でオブジェの飾りが外れ、ピーターの体を貫く。アンの悲鳴が轟く中、ピーターは絶命する。

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