チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

選挙の勝ち方教えます

デヴィッド・ゴードン・グリーン監督作「選挙の勝ち方教えます」("Our Brand Is Crisis" : 2015)[BD]

失意の末に一度は引退した米国人選挙戦略家の女が、ボリビア大統領選挙の泡沫候補の陣営に協力を請われ、敵陣営の因縁のライバルを打倒し、候補者を勝利に導くために奮闘する様を描くコメディ・ドラマ作品。

 

米国の選挙戦略家ジェーンは常にスキャンダルに晒され、批判と論争の渦中に置かれた事から「カラミティ・ジェーン(疫病神)」と揶揄されてきたが、候補者の敗北が相次いだ事でいよいよ選挙から遠ざかり、山奥で孤独に隠居生活を六年続ける。そんな折、ボリビア大統領選挙に立候補しながらも劣勢を強いられる、保守派でグローバル化の旗手と称される元職カスティーヨの陣営が、かつて泡沫候補を大勝させた事のあるジェーンの辣腕に望みをかける。陣営は米国から招いた陣営参謀ベンとジェーンの知己ネルをジェーンの元へ派遣する。二人はジェーンに、日和見主義でポピュリストの敵対候補リベラが支持率トップで最有力視されている一方で、米国出身で15年前に大統領に選出されるも、国営企業の民営化で人気を失ったカスティーヨは泡沫視されており、支持率で28ポイントの大差が付いている状況を伝え、協力を要請する。ジェーンは心の平安を取り戻しつつある事を明かし、選挙の世界に戻る事を拒否する。ネルはリベラ陣営がジェーンにとって因縁の宿敵パットを雇った事を明かし、ジェーンが自分自身に打ち勝つチャンスだと諭す。

ジェーンは米国人の選挙参謀リッチ、ベン、ネルと共にラパスへ渡るも、高山病に罹ってダウンする。投票日まで90日、リベラの支持率36%に対し、カスティーヨは8%に留まっている事から、カスティーヨ陣営は有権者に嫌われているカスティーヨのイメージを刷新すべく、早速事務所で対策を協議する。ネルはカスティーヨが企業の手先では無く、市民の仲間である事を売り込むべきだと主張するが、ジェーンはカスティーヨが勝てないと悟る。

メディア担当のリチャードが主導し、陣営はCM撮影を行う。ジェーンはそれに加わらずに傍観する。CMはカスティーヨが市民に寄り添うイメージを全面的に押し出すも、有権者の不信感を払拭できずに失敗に終わる。ベンはジェーンに意見を求めるが、ジェーンはカスティーヨのよそよそしさを指摘し、諦観を示す。

六人の候補者による討論会が開かれる。ジェーンは会場のステージ裏でパットと再会する。ジェーンは早々に帰国する意向を示す。パットはカスティーヨが高慢だと指摘し、リベラこそが大統領に最適だと説く。ジェーンはパットの余裕ぶりに憤慨し、帰国を翻意する。その直後、カスティーヨは会場の外で市民と交流している最中に、飛び出した男に生卵をぶつけられ、咄嗟にその男を殴り飛ばす。ジェーンはそれがパットの策略だと確信すると、陣営に謝罪文を出すのは敵の思う壺だと諭す。ジェーンは、高慢で冷淡なカスティーヨにとって、優しさや笑顔といった従来の理想像では無く、襲ってきた男に容赦せず戦う男、不屈の精神、豊かな経験こそが売るべき要素だと説き、激動のボリビアが歴史上最悪の「危機」を迎えている事を有権者に訴える事で、経験も理念も無い日和見主義と戦時の指導者の対比を演出すべきだと主張する。それを受け、陣営はカスティーヨのイメージを従来の優等生志向から勇ましいリーダーへと一新すべく、戦略を転換する。

ジェーンは滞在先のホテルの吹き抜けを隔てた真向かいの部屋にパットが宿泊している事を知り、威嚇だと悟る。陣営に参加する青年エドゥアルドは、幼い頃に当時大統領だった頃のカスティーヨに会いに行き、抱き上げてもらって以来、敬意を抱いている事をカスティーヨに伝える。

カスティーヨは有権者に対して危機との戦いを強く打ち出す。それ以降、俄に支持率低下に歯止めがかかり、陣営は手応えを感じる。ジェーンはそれに満足せず、他の候補者を抑える為のネガティブキャンペーンを提案すると、対立候補リサーチ要員のサラを呼び寄せる。カスティーヨの秘書ペドロは、ネガティブキャンペーンボリビアでは受け容れられない事から難色を示し、ベンも不安視するが、カスティーヨはリベラに対する調査を認める。ジェーンはサラにカスティーヨの調査から始めさせる一方、エドゥアルドに記録係を任せる。ジェーンは陣営スタッフに、たったひとつの間違いは負ける事だと説き、発破をかける。

サラの調査の結果、リベラ陣営に公金の不明な流れがあった事が判明する、カスティーヨ陣営はそれをリベラ陣営の横領の疑惑として喧伝しようとする。パットは機先を制して、リベラが双子を儲けた事を報じさせ、疑惑を打ち消す。ジェーンは勝つ為にはリスクを覚悟で攻撃あるのみだと主張するが、カスティーヨはネガティブキャンペーンを中止させる。ジェーンはサラの調査で判明したカスティーヨの不倫疑惑を、さもリベラ陣営の仕業であるかの様に装って喧伝する事で、カスティーヨに翻意を促し、ネガティブキャンペーンを再開させる。カスティーヨ陣営はリベラが血税を紛失させた疑惑を大々的に喧伝する。その直後、パットはジェーンに連絡し、自らがカスティーヨ陣営に匿名でジェーンを推薦した事を明かし、それがジェーンを鍛える為だと説く。

ジェーン達はエドゥアルドが暮らす郊外のスラムのアパートに立ち寄る。エドゥアルドは両親を事故で亡くし、親友二人と生計を立てている事を明かす。親友達はカスティーヨがIMFへの加盟を希望している事から、国が支配される事を危惧しており、エドゥアルドがカスティーヨ陣営で働いている事を批判する。その夜、ジェーンはエドゥアルド達とバーで酒を飲み交わした後、ホテルに招いて馬鹿騒ぎし、親交を深める。その最中、ジェーン達はパットの部屋に悪ふざけを行う。ジェーンは通報で駆け付けた警官を引っ叩いた為に留置所で夜を明かす。

その結果、ジェーンは精神病の治療を受けていた事がパットを通じて巷に暴露される。かつて、ジェーンが新人の頃に担当した市長選挙の敵陣営にパットがおり、ジェーンは相まみえる事になった。敵候補者の娘がコカイン中毒という噂が流れ、娘が耐えきれずに自殺すると、皆はそれをジェーンの仕業だと考えた。ジェーンの候補者は非難を浴びて敗退したのだった。ジェーンは半年間精神病院で療養し、うつ病と戦っている事をカスティーヨに打ち明けると、それでも自分にはカスティーヨに無い、戦う意志と激しい怒りがあるのだと主張し、辞任を拒む。その後、ジェーンはリベラの演説でパットと接触を図る。パットの宣戦布告にジェーンは応じる。

カスティーヨは各地を遊説に回る。その最中、カスティーヨにカルト教団の信徒疑惑が巷で取り沙汰される様になる。ジェーンはそれがパットの仕業だと確信すると、カスティーヨを生放送のトークショーに出演させる。カスティーヨはジェーンの指示に従い、疑惑をユーモアで切り返すと共に、息子が信徒だと認め、政治家は批判の対象にされてもやむを得ないが、息子には息子の人生があるのであり、問題を抱えていても愛しているのだと訴え、カメラ目線で涙する。その様子は有権者の心に響き、支持率が急上昇する。

投票日まで24日、リベラの支持率30%に対し、カスティーヨは19%とその差を縮める。カスティーヨは精力的に遊説をこなす。ジェーンは一計を案じ、元軍人のリベラの軍服写真とクラウス・バルビーの写真を並べて張り出す事で、実際には無関係にも関わらず、有権者に悪印象を与える。リベラは釈明に追われ、支持率が低下する。

カスティーヨ陣営は遊説先の地方で抗議デモの集団に遭遇し、バスが投石を受ける。カスティーヨはジェーン達の制止を無視してバスを出ると、集団との対話に応じる。集団は憲法改正を行って自分達に同等の権利を付与する事と、IMF加盟の前に国民投票でその是非を問う事を要求する。カスティーヨはそれを約束する。その後、カスティーヨはエドゥアルドに対し、指導者は国民の父だと説き、父は子に対して時に厳しく当たらねばならないのだと諭す。

パットはジェーンと接触すると、因縁の市長選について、嘘の噂を流して候補者の娘の命を奪ったのが、他でもないジェーンだと指摘する。ジェーンはパットに打ち勝つ決意を新たにすると、リベラの票を二番手のベラスコに分散させる策を講じる。ジェーンはネルの隠し持つコネを利用する事で、国務省に根回しし、反コカイン対策の中止を打ち出すベラスコへの対抗措置として、あらゆる方法でコカイン輸入を阻止するという声明を出させる。それを受け、ボリビア有権者反米感情に火が付き、ジェーンの思惑通りにリベラの支持率がベラスコに回る。

投票日まで8日、リベラの支持率26%に対し、カスティーヨは22%まで肉迫する。選挙戦終盤になり、カスティーヨはジェーンの強引な方針に反発する。ジェーンはなんとしても勝利させると躍起になる。リベラ、ベラスコ、カスティーヨによる討論会の直前、パットはジェーンに対し、早々と勝利を宣言する。ジェーンはゲッベルスの生前の弁を、ゲーテファウストの一節としてパットに吹き込む。討論会ではリベラの完璧な言動がカスティーヨを圧倒するが、引用した一節がゲッベルスのものだと報じられると、リベラは一気に窮地に陥る。

投票日が訪れ、尚もリベラが有力視される中、カスティーヨは得票率23.5%対22.8%の僅差でリベラを破り、新大統領に選出される。程なく、ジェーン達は帰国の日を迎える。カスティーヨは有権者との約束を反故にし、早速IMFを官邸に招く。エドゥアルドは官邸を訪ねた際にそれを知り、カスティーヨに失望すると、その足でジェーンの元を訪ねる。ジェーンはそれが政治の世界であり、不可抗力なのだと説く。エドゥアルドは涙すると、ジェーンにこの先どうするのか問いかけて、抗議デモに向かう。

ラパスでは市民による大規模な抗議デモが始まる。迎えの車が来られなくなり、ジェーン達はやむを得ず、パット達の車に同乗して空港へ向かう。抗議デモは次第に勢いを増し、軍が鎮圧を始める。渋滞に巻き込まれると、ジェーンは意を決して車から降りる。ベンはジェーンを呼び止めるが、その決意を悟ると、握手してジェーンを見送る。ジェーンは群衆の中で抗議の雄叫びを上げるエドゥアルドと再び出会う。その後、ジェーンは南米連帯ネットワークの活動に身を投じる事で、新たな人生を切り開いていく。

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