チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ミッドナイト・スペシャル

ジェフ・ニコルズ監督作「ミッドナイト・スペシャル」("Midnight Special" : 2016)[BD]

神秘的な超能力を宿す事で、宗教団体に預言者として利用されていた子を、実の父が連れ去り、真の目的を果たす為に奔走する様を描くSF作品。

 

ロイは、かつて所属していたテキサス州アンジェロの宗教団体「牧場」の代表カルヴィンの元で、養子として育てられていた自らの八歳の息子アルトンを、幼馴染で警察官のルーカスの協力を得て連れ去り、モーテルに身を隠す。間もなくそれは誘拐事件として報道され、ロイは指名手配される。ロイ達はアルトンに関わる重大な目的を果たすべく、日暮れを待ってモーテルを出発すると、州外を目指して夜道を直走る。アルトンは光を遮る為に目をゴーグルで覆う。一方、カルヴィンは側近のドークにアルトンを四日以内に連れ戻す様に命じる。カルヴィンが施設内の信者達を集めて説教を始めるや否や、ミラー捜査官が率いるFBIと軍の特殊部隊が突入する。FBIはカルヴィンを逮捕し、教団の家宅捜索を始める。信者達はバスで最寄りの高校へ移送される。ミラーは「牧場」が大量の武器を入手した事を察知して監視していた事をカルヴィンに明かすと、NSA通信部門のポールを呼んで尋問を始める。ポールはカルヴィンが説教で引用した数字の組み合わせの中に、厳重に暗号化され、解読不可能なはずの極秘情報が含まれている事を指摘し、その入手先を問い質す。カルヴィンはロイに連れ去られたアルトンが、しばしば発作を起こし、その際に話す色んな言葉が神の啓示だと確信し、経典にしていたのだと答える。ポールは三月六日に何が起こるのか尋ねるが、カルヴィンはポール達が何も分かっていないと突き放す。

ロイ達はルイジアナ州に出ると、元信者のエルデンの家に身を寄せる。エルデンはアルトンの為に窓をダンボールで塞いで迎え入れる。誘拐事件は全米ニュースに規模が拡大し、ロイ達がテキサス州からルイジアナ州に移動した事が察知される。翌朝、エルデンはロイに無断でアルトンに接触を図る。アルトンは発作を起こし、目元から強烈な光線を発すると共に、超常現象を引き起こして家の一部を破壊する。一方、ポールはアルトンの能力について信者達に聴取する。信者達はアルトンの能力が成長と共に強力になった為に、昼間は寝かせて夜に起こす様になった事、アルトンは目から光線を発する事、三月六日は審判が下る日であり、アルトンが「牧場」にいれば皆の罪が許されると考えられている事を証言する。信者達は聴取の後、解放される。ドークとリーヴァイは施設内に隠していた銃火器を持ち出し、アルトンの捜索に向かう。

ロイはエルデンに、アルトンに接触した理由を問い質し、エルデンはどうしても力が見たかったのだと弁解する。夜、ロイ達はエルデンを置き去りにし、車をエルデンのバンに乗り換えて出発する。ロイ達は給油所に寄る。ロイは自宅で到着を待つ妻のサラに連絡を入れる。アルトンは空を眺めながらバンを離れる。ロイはそれに気付いてアルトンを窘める。その直後、軌道上の人工衛星が破裂し、破片が火球となって給油所に降り注ぐ。ロイ達は直ちにバンで走り去る。アルトンは鼻と耳から出血を催し、俄に衰弱する。程なく、ロイ達はサラの待つ家に到着する。サラはアルトンとの二年ぶりの再会を喜ぶと、アルトンを寝室で休ませる。ロイは三日以内にアルトンを目的地へ連れて行く決意を改めて示し、サラもそれに同意する。一方、ドーク達はサラの母親の元を訪ねる。

翌日、ポールは火球が直撃した給油所に訪れる。ミラーは核爆発の探知を目的とする軍事衛星が落ち、その直前に撮られた画像にアルトンが映っていた事を明かすと、アラバマに新たに設けた専門の支部の担当にポールを任命する。報道では火球の件について気象衛星が墜落したと報じられる。一方、ルーカスは自らが牧場の人間では無く、幼馴染のロイが三日前に突然訪ねてきて助けを求められた事、アルトンの目から発せられる強烈な光を見て、それに応じた事をサラに明かす。

その夜、サラを加えたロイ達は、バンからSUVに乗り換えて出発する。アルトンは給油所の件についてロイに問われ、警察に監視されており、自分を捜索していると気付いたからだと答える。一方、ドーク達は一足遅くサラの家に辿り着く。程なく、アルトンは突然発作を起こし、ロイは路肩に車を止めさせる。アルトンは目から光を発した後、電子機器が異常を示す。ルーカスはアルトンを病院に連れて行くべきだと主張するが、ロイは目的の為だと説き、それを拒む。アルトンは「彼ら」が来るから行かなければならないと説き、空を指差すと、ルーカスにサラを連れて車で戻る様に促す。

アルトンはロイを連れて森の中へ入る。間もなく、アルトンは茂みの中に洞穴を見つけるが、憔悴して倒れる。アルトンはロイに昼間の日差しの下で起きていたいと懇願する。ロイは死んでしまうと諭すが、アルトンはそれが必要な事だと訴える。一方、支部に戻ったポールは経典の情報の分析に苦慮する内に、それが意味する目的地の座標の解読に至る。ドーク達はバンの所有者を調べる事で、エルデンを突き止める。サラとルーカスはモーテルに身を寄せる。サラはロイ達の帰りを信じて待つが、ルーカスはそれを悲観する。サラはロイの意志の強さを説く。

ロイはアルトンを抱えて朝を待つ。日の出と同時にアルトンは目から強烈な光を発する。その途端、爆発的な現象が生じ、巨大なドームが生成される。程なく、ロイはアルトンを連れてサラ達の元へ戻る。サラはロイが回復し、昼間でも支障なく過ごせる様になった事を知る。アルトンは初めて日の出を見て自分の事が分かったのだと説き、この世界の上には別の世界が存在し、自分の仲間が住んでいる事を明かす。サラはロイに対し、それがアルトンの住むべき世界だと説き、アルトンを手放す覚悟を決める様に促す。

ロイ達はモーテルを出ようとした矢先に、ショットガンと拳銃で武装したドークとリーヴァイの襲撃に遭う。アルトンは連れ去られ、ロイ達はその場に縛り付けられる。ロイ達は拘束を断つと、直ちにドーク達の後を追うが、アルトンは軍のヘリで移送される。ロイ達は途方に暮れ、夜を迎える。軍事施設に監禁されたアルトンに対し、児童カウンセラーがFBIや軍の立会の下で聴取を始める。アルトンは初対面のポールを名指しし、一対一で話す事を希望する。アルトンは機器をハッキングしてセキュリティを解除すると、ポールを室内に招き入れる。ポールは「牧場」が主張する通り、アルトンが救世主なのかと尋ねる。アルトンはそれを否定し、自らが別の世界から来た者であり、仲間がこちらの世界を長い間観察している事を明かすと、その世界に帰る意向を示す。

程なく、ロイ達のいる給油所の公衆電話が鳴り始め、ロイが応答する。アルトンの要請を受け、密かにアルトンを連れ出したポールは、ロイにアルトンを連れて行く意向を示し、待ち合わせ場所の座標を伝えると、アルトンを車に乗せて施設を離れる。その直後、遮断されていた施設の全電力が復旧する。軍は直ちに出動し、アルトンの捜索に乗り出す。

ロイ達は指定されたフロリダ州外れの沼地でアルトンを待つ。そこにポールがアルトンを連れてやってくる。ポールは経典を解読した事で、既に軍が目的地を把握しており、道が封鎖されて辿り着けないと警告する。アルトンは自らの力で対処する意向を示す。ポールは同行を希望するが、ロイに拒まれ、その場に留まる。

ロイはアルトンに防弾チョッキを着せて万一に備える。アルトンは自分の心配はもう必要無くなると説く。ロイは親だからこれからも心配すると答える。ロイとサラはアルトンと抱き合い、別れを惜しむ。ロイはルーカスに家族だけで目的地を向かう意向を示すが、ルーカスは最後まで見届ける事を希望する。ロイ達は目的地へ向けて車を疾駆させ、軍がバリケードと車両で封鎖する道に全速力で侵入し、車体を半壊させながらも突破する。ロイは途中でアルトンとサラを降ろし、軍の追手を引きつける。

アルトンとサラは林を抜け、周囲が開けた湿地帯へ出る。アルトンは目と両掌から光を放ち、力を解放する事で、超巨大な光のドームを生成する。その中に荘厳な異世界の建造物の数々が出現し、多くの人々がそれを目撃する。一方、ロイ達の車は走行不能に陥り、横転して停止する。間もなく、アルトンと同じ様に光を放つ夥しい異世界の住人が姿を表し、アルトンの傍に集い始める。アルトンはサラに向かって微笑み、頷くと、目を閉じる。その途端、アルトンと共にドームは跡形も無く消滅する。大事を免れたロイとルーカスは、その場に駆けつけた軍の部隊に確保される。

収監されたルーカスに対し、捜査官が取調べを行い、アルトンとサラの行方を問い質す。ルーカスはアルトンに関する真実をありのままに伝え、サラの居場所については知らないと答える。捜査官は埒が明かないと判断し、ポールを呼んで尋問を任せる。ポールは初対面を装ってルーカスに挨拶する。一方、トラック休憩所に身を寄せたサラは、髪を短く切って染める事で、変装を図る。ロイは頭部に脳波測定様の電極を付けられた状態で収監される。空を見つめるロイのその瞳が、微かに光を放つ。

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