チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ブラック・ビューティー

ソフィア・タカール監督作「ブラック・ビューティー」("Always Shine" : 2016)[DVD]

女優として片や成功を収め、片や不遇を強いられる友達同士の二人が、女子旅に出かけた山奥で仲違いし、憎しみに駆られて争い合う様を描くサイコ・スリラー作品。

 

ロサンゼルスで女優として活動するベスは、温厚で控えめな性格ながら、ヌードになる事も厭わず、次々と仕事を獲得する。一方、ベスの友人で同じく女優のアンナは、その上昇志向に反して仕事に恵まれずにウェイトレスとして働かざるを得ず、また気性の荒さが災いして恋人ヘンリーと破局を迎えるなど、不遇を強いられる。ベスは新作の撮影を控えた週末に、アンナと街を離れて山へ三泊四日の女子旅へ行く意向を恋人ポールに伝える。出発直前、ベスは同じ山へキャンプへ行くという友人で映画監督のマットと出会す。マットは自らの作品にアンナを起用しようと考えているものの、予算が少ない為に依頼を躊躇っている事を明かす。ベスはアンナなら応じるはずだと答え、山での再会を約束する。

程なく、アンナが車で迎えにやってくる。二人は山に向かう途中でレストランに寄り、昔話に花を咲かせる。その最中、客の婦人が女優のベスに気付き、アンナそっちのけでサインと写真撮影をベスに求める。その後、二人は携帯の電波が入らない眺望の高所に、森に覆われてひっそりと立つ、アンナのおばから借り受けた瀟洒なロッジに到着する。

二人は傍の水辺を散策し、ロッジに戻る。ベスは仕事が順調に舞い込んでくる現状をアンナに報せる。アンナはベスのバッグに入っていた雑誌に、ベスがモデルとして掲載されているのを見つけると、黙っていた事を詰る。ベスは大した事では無いと弁解する。アンナは三十歳を迎える前に女優業を軌道に乗せる事への焦りを吐露すると、ベスの成功を羨む。

夜、二人は車でバーを訪ねる。ベスはCM出演の実入りの良さを明かすと、自らが支払う意向を示す。ベスはアンナが破局していた事を知らず、支えてやれなかった事を詫びると、大好きなアンナと一緒に週末を過ごせる事を喜ぶと同時に、アンナは今が試練の時でも才能に富んでおり、上手くいくはずだと励ます。アンナは店内に魅力的な年上の男を見つけると、その男ヴィックを交えて三人で飲む。アンナは前のめりになってヴィックと談笑に興じるが、すぐにヴィックが自分よりベスに興味津々だと悟る。ベスが離席すると、ヴィックも支払いを済ませて出ていく。ベスは店の外でポールに留守電を残す。ヴィックはベスを見つけると、日を改めてロスでの食事に誘う。ベスはそれを快諾し、連絡先を教える。アンナはその様子を目の当たりにする。アンナはロッジに戻ると、自室に篭って号泣する。ベスはアンナに声をかけるのを遠慮する。

翌朝、アンナはバルコニーでエクササイズに努める。ベスは撮影を控えたホラー映画の台本を持ち出す。アンナはその内容について詮索する。ベスは代理人アデルが薦めた酷い作品で、主役でありながらまた脱ぐ役だと明かす。アンナは娼婦の気分かと尋ねる。ベスはアデルにアンナの映像へのリンクを送った事を伝える。アンナは本読みへの協力を買って出るが、ベスの演じ方を批判し、それが故に役が偏るのだと詰る。アンナは自ら手本を演じてみせ、鬱憤を晴らす様にベスを圧迫する。

アンナはベスをハイキングに連れ出す。道中、二人はマットと遭遇する。マットは直前にベスと話した短編映画のロケハン中だと明かし、アンナへの出演依頼の件について言及する。アンナはベスが自分を出演させない為に黙っていたのかと詰ると、出演を快諾する。ベスは唐突にポールがマットの作品を褒めていた事を明かし、出演できるアンナはラッキーだと説く。アンナは嫌悪感を剥き出しにしてアンナを凝視する。ベスはアンナにマットとの会話を中断させ、二人きりで話をする事を求める。ベスはアンナの自分への態度を非難すると、友達だと思っていたアンナがいかに自分を嫌っているか分かったと説く。アンナはベスを置いてその場から立ち去る。

ベスは日が落ちて暗い林道を一人で歩いて帰る。そこへ一台の車が通りかかり、男がベスを心配して送っていく意向を示す。ベスはロッジまで送り届けてもらうと、アンナが戻っていない隙に乗じて、バルコニーでロッジの電話を使ってポールに連絡する。ベスはアンナに故意で裏切ったと誤解されて憎まれている事、アンナがアデルに映像を見せたがっていたが、アデルと組んで日が浅い為にまだ早いと思って送らずにいたところ、アンナに捲し立てられて送ったと言ってしまった事を明かし、悪し様にアンナを非難する。ポールはベスを心配し、迎えに行く意向を示すが、ベスはそれを拒み、ホテルに移ると応える。ベスはアンナが友人の成功を喜ぼうとしない事への不満を訴えると、アンナより自分の外見が皆に好かれているだけなのだと主張する。そこへ、傍で話を聞いていたアンナが現れ、ベスは純真そうに振る舞っていながら無力な振りをしている嘘つきだと詰ると、自分に勝っているつもりなのかと問い質して、ベスの髪を掴み上げる。更にアンナは、ベスが嘘つきでナルシシストでスター気取りの最悪の女だと罵る。ベスはアンナに唾を吐きかける。アンナは森の中を逃げるベスを追いかけて捕まえ、争い合う。ポールはベスを心配し。ロッジへと車を走らせる。

翌朝、アンナはロッジのベスの部屋で目を覚ます。アンナはベスの服を着て、ベスの様に振る舞いながら外出する。夜、アンナはバーを訪ねると、修道士を自称するバーテンダーのジェスに泳ぎに誘われて出かける。アンナはベスの幻影に惑わされながらも、ジェスとのセックスに興じる。翌日、アンナはジェスと共に海岸に出かけ、絵を描くジェスのモデルになる。その後、二人はカフェを訪ねる。アンナはベスになりきり、ホラー映画の撮影が控えている事を明かす。その最中、アンナは自分の服を纏ったベスの幻覚に動転して店を飛び出す。ジェスはアンナを気遣うと、パーティに連れて行く意向を示す。二人と行き違いでポールが車で店を訪ねる。

アンナはロスが酷い場所だと説き、戻る事を忌避する。ジェスは自分と一緒に山に留まるよう促す。その夜、ジェスはアンナを友人夫妻宅の食事会へ連れて行く。気さくな夫妻はアンナを歓迎する。アンナは家の裏口へ自らワインを取りに行く。そこにベスが現れ、アンナの腕を掴み、娼婦の気分かと問い質す。アンナはキッチンで腕についた血痕を洗い落とす。そこへ心配したジェスが様子を見に来ると、アンナはガラスの破片で切ったのだと伝える。ジェスはアンナを車で拾った際には高飛車だと思ったが、その後、バーに来てくれて嬉しかったのだと説くと、アンナを褒めそやして好意を露わにする。その後、ジェスはアンナを仮装パーティに連れ出し、ダンスに興じる。アンナはベスの姿に翻弄され、その場から逃げ出す。アンナは森の中でベスに襲われ、自らがロッジでベスにそうした様に悪罵された後、首を絞められる。アンナは抵抗の末に、立場を逆転させ、ベスの首を絞めつける。間もなく、ベスの姿は消える。

翌朝、アンナは霧深い森の中で目を覚ますと、歩いてロッジへ戻る。アンナはロッジの前に駆け付けた警察、聴取を受けるポール、更に遺体が搬出される様を目の当たりにして落涙する。

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