ジャド・アパトー監督作「エイミー、エイミー、エイミー! こじらせシングルライフの抜け出し方」("Trainwreck" : 2015)[DVD]
大酒飲みでセックス好きな独身アラサーのライター女性が、取材で出会ったスポーツ医師の恋に落ち、紆余曲折を経てこじらせまくった人生を改めていく様を描くロマンティック・コメディ作品。
ニューヨークで下世話な大衆雑誌スナッフのライターとして働く29歳のエイミーは、仕事と友人に恵まれ、それなりに充実していた生活を送っている。自由奔放な酒飲みでセックス好きなエイミーは、筋肉バカの彼氏スティーブンがいながら、一晩限りの男との関係を密かに繰り返しているが、絶対に自分のアパートに泊めない事をモットーにしている。エイミーは多発性硬化症を患う父ゴードンを、実家の買い手が無い内に、悪いとは思いながらも高額な老人ホームに移したところだった。
ある日の会議で、エイミーの同僚が名立たるスター選手らを顧客に持ち、国境なき医師団にも参加するスポーツ外科医アーロンの特集記事の企画を提案する。スポーツに関心が無いエイミーは、スポーツとそれを応援する事を軽侮する。編集長ダイアナはエイミーの毒舌ぶりを評価し、有無を言わさず、その企画の担当と更にインターンのドナルドの教育をエイミーに命じる。
エイミーは妹キムと実家の片付けを始める。キムは夫トムとその連れ子のアリスターを同行する。キムはエイミーの意向に反して、ゴードンの愛用していた品々を次々に処分し、更にゴードンを安い施設に移すべきだと主張する。二人は亡き母の写真を見つけて思い出に浸る。エイミーは老人ホームへゴードンに会いに行く。相変わらず無礼で口の悪いゴードンに対し、エイミーは他の入居者達と上手く接するよう諭す。
エイミーはアーロンのオフィスへ、初対面の挨拶と取材日時の調整に訪れる。エイミーはスポーツにまるで疎く、上司に押し付けられたのだと弁解する。夜、エイミーはスティーブンと映画を観に行く。エイミーがマリファナを吸いに離席している内に、スティーブンはエイミーの携帯を切ろうとして、エイミーが他の男達と破廉恥なやり取りをしているのを見つける。スティーブンはエイミーに他に男がいるのか問い質す。エイミーは何人かいる事を認めながらも本命はスティーブンだけだと弁解する。スティーブンはエイミーにプロポーズするつもりだった事を明かすと、結婚して田舎に引っ越し、子供を作った後で筋トレ界の王になる夢を語る。エイミーはラリっている為に日を改めたいと訴える。スティーブンはエイミーに愛想を尽かして去る。
後日、エイミーはキムと会ってそれを伝える。キムはエイミーに生き方を変えて家庭を持ってみるよう勧めると、妊娠している事を打ち明ける。エイミーはキムを連れて老人ホームを訪ね、ゴードンにそれを報せる。ゴードンは初孫ができた事を甚く喜ぶが、キムはアリスターも愛する孫だと非難する。ゴードンは継孫と本当の孫とでは喜びが違うと主張する。気分を害したキムはゴードンを詰って帰る。
エイミーはアーロンの取材を始め、病院での診察やリハビリ施設でロードランナーの体験に臨む。その最中、キムからゴードンを安い施設に入れたいとメールが入る。エイミーは過呼吸を起こし、アーロンに介抱してもらう。それを機に二人は一緒に夕食に出かける。アーロンはエイミーの過去の記事を評価する。その後、二人はバーに移動し、意気投合する。エイミーはアーロンの家を訪ねると、自ら誘ってアーロンとセックスする。添い寝を嫌うエイミーは帰ろうとするが、アーロンは泊まっていくよう促し、エイミーは渋々アーロンとの間に枕を挟んで寝る。
翌日、エイミーはドナルドの質問に片手間で答える。ダイアナはエイミーの人柄と仕事ぶりを評価し、編集委員に推薦する意向を示す。エイミーは親しい同僚ニッキーに、アーロンの家に泊まった事を報せる。ニッキーはアーロンがまともな人間か心配する。その時、アーロンからまた会いたいと連絡が来る。エイミーは明日の取材で話すと答える。アーロンと親しいNBAのレブロンは、アーロンに数年ぶりに彼女ができそうな事を喜び、目標に向かって突き進むよう励ます。
エイミーはアーロンが執刀するヒザの手術を見学し、そのグロさに嘔吐する。術後、アーロンはエイミーを夕食に誘うが、エイミーはプロらしくありたいという理由でそれを拒む。アーロンは互いに好きなら付き合うべきだと主張する。その時、老人ホームからゴードンが転倒したとの連絡が入り、二人は直ちにホームに向かう。アーロンはゴードンが額に負った怪我を縫合する。エイミーはナースからゴードンが鎮痛剤を買い渋っていると聞く。ホームを出ると、エイミーはアーロンに感謝し、口づけを交わす。後日、エイミーはキムに会うと、アーロンへの好意に反して、怖れを感じている事を伝える。キムはそれが本気の恋だからだと説く。エイミーはこんなに関係が続くのが初めてでボロが出そうだと憂慮する。
交際から六週目。エイミーはアーロンに連れられ、レブロンの主催するバスケのイベントを観に行く。レブロンはエイミーにアーロンを傷つけるなと釘を差す。その後、エイミーはアーロンとラブラブな日々を過ごす。ゴードンは見舞いに来たエイミーに対し、スポーツ医学を侮辱し、エイミーが筋肉バカと別れた反動で頭でっかちな男と付き合っているだけですぐに捨てるはずだと詰る。エイミーは自分の幸せを願って欲しいと請うが、ゴードンは後から悔やむだけだと言い放つ。エイミーは気分を害して帰る。後日、エイミーはアーロンを連れてキムのベビーシャワーパーティを訪ね、アーロンを親類知人に紹介する。
程なく、ゴードンが急逝し、エイミーは薬の節約が祟った為だと知る。エイミーはアーロンと葬儀に出席し、参列客の前で、ろくでなしだったが誰よりも熱く生きていた最高の父だったという旨の弔辞を読む。葬儀の後、エイミーは些細な事でキムと口論になり、ゴードンを嫌っていたキムが家庭を作って逃げ出した為に、自分が一人で面倒を見てきたのだと詰る。キムは家庭を持つのは普通の事だと反論する。二人は仲違いしたまま別れる。
エイミーは悲しみに打ちひしがれたまま数日を過ごす。ダイアナはそれを戒めると、アーロンの特集記事が退屈という理由で、他の記事と差し替えるよう命じ、従わなければ昇進の話を無しにすると言い渡す。NBA選手アマレの選手生命を賭けたヒザの手術の前日、アーロンはエイミーを同伴し、国境なき医師団の慈善パーティに出席する。アーロンは最優秀賞を受賞し、スピーチに臨む。その矢先に、エイミーはダイアナから仕事の連絡を受け、やむを得ず会場から退席する。アーロンはスピーチを終えると、エイミーに退席への不満を伝える。エイミーはクビになりそうだったと弁解するが、アーロンは電話を切っておかないのは失礼だと詰る。エイミーは大酒飲みで経験人数も多い自分と別れれば良いと反駁する。口論はエイミーのアパートに戻ってからも続く。アーロンは話し合いで解決する事を望む。エイミーは思いの丈を長時間ぶちまけ、アーロンは寝不足のまま翌日を迎える。
アマレは手術直前にアーロンの不調を心配し、手術の延期を要求する。アーロンは帰宅すると、明後日に延期された手術が終わるまで別々に過ごす事を提案する。エイミーは関係の終わりを告げると、記事がボツになったから好都合だと強がる。アーロンはエイミーの元から去る。エイミーは憂さ晴らしに同僚達とクラブに繰り出す。エイミーは酔った状態でドナルドの屋敷に招かれ、勢いに任せてドナルドとセックスしようとする。ドナルドは変態プレイを好み、顔面を叩いて欲しいと要求する。エイミーは渋々それに応じるが、ドナルドは女々しいと詰ってエイミーに平手打ちを浴びせる。憤慨したエイミーはドナルドの顔面を拳で殴る。ドナルドは悲鳴を上げ、駆け付けた母親に乱暴されたと訴える。エイミーはそこで初めてドナルドが16歳の未成年だった事を知らされる。
翌日、エイミーはダイアナからクビを告げられると共に、ニッキーが編集委員になった事を知らされる。エイミーとアーロンはそれぞれ寂しい日々を過ごす。アーロンはアマレの手術を無事成功させる。その後、アーロンはレブロンにリハビリ施設に呼び出される。レブロンは他の患者達と共に、アーロンとエイミーの仲裁に入る意向を示すが、アーロンはレブロン達の一方的な説諭に反発する。一方、エイミーはキムの元を訪ね、葬儀の日の件について心から詫びると、キムを妬んでいたからだと弁解し、自分はダメ人間だと気付いた事を明かす。エイミーはキムと和解すると、これまでの生活を改め、アーロンの原稿をヴァニティ・フェア誌に持ち込む。程なく、アーロンは掲載されたその記事を読む。
後日、マディソン・スクエア・ガーデンでアマレの復帰試合が開催され、アーロンは会場でアマレの全快ぶりを確認する。試合後、アーロンはチアリーダーにコートへ呼ばれる。そこへエイミーがチアガールズに混じって登場し、アーロンが手術中に流しているビリー・ジョエルの「アップタウン・ガール」に合わせてパフォーマンスを披露する。エイミーとアーロンは互いの非を詫び、口づけを交わして和解する。エイミーは更にトランポリンジャンプでシュートを決めようとし、派手に失敗してマットに沈む。エイミーは自らが努力も挑戦もする、怖れない女だと知って欲しかったのだと説く。二人はマットの上で愛を伝え合い、チアガールズらに祝福される。