チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ラプチャー -破裂-

スティーヴン・シャインバーグ監督作「ラプチャー -破裂-」("Rupture" : 2016)[DVD]

普通のシングルマザーの女が得体の知れない集団に拉致・監禁され、ある特異な目的の為に恐怖体験を強いられる実験体となる様を描くSFホラー・スリラー作品。

 

ミズーリ州カンザスシティ。レネーは夫トミーと離婚した後、一人息子のエヴァンと平穏に暮らしていた。レネーはエヴァンが数学嫌いで堪え性に欠ける点を心配しており、トミーにもその解決に協力するよう要請していた。また、レネーは蜘蛛を何より嫌っていた。

週末、レネーは会社の友人にスカイダイビングに誘われ、エヴァンをトミーに預けて車で出発する。後方から一台の車がレネーの車を尾行する。程なく、タイヤが予め仕掛けられていた装置でパンクさせられ、レネーは停車を余儀なくされる。そこへ後方から二人の修理業者が乗ったバンがやってくる。男はスペアタイヤへの交換の手伝いを申し出る。レネーが作業を始めようとした矢先に、男達はレネーをスタンガンで麻痺させ、顔をテープで巻きつけて、バンの中に監禁する。そこへ中年の女ナイマンが入ってきて、レネーのジーンズを脱がせ、用足しのバケツを置いて出ていく。尾行してきた車とバンはレネーの車を連れて走り出す。レネーは容易に拘束が解けない事を知ると、出かける前にジーンズのポケットに作業用のカッターを入れた事を思い出し、脚でそれを手繰り寄せてブーツの中に忍ばせる。

夜、バンは給油所に立ち寄る。ナイマンはレネーに睡眠薬入りの水を飲ませる。レネーは間もなく眠りに落ちる。バンは長時間の走行の末に何処かの施設に到着する。レネーはストレッチャーに拘束具で繋がれた状態で施設に搬入され、同様に連れてこられた男と一時的に二人きりにされる。その男は「利用される、"G10-12X"を忘れるな」とレネーに告げた後、施設の者に運ばれていく。レネーもまた施設内の手術器具などが並べられた一室に収容され、部屋は腕輪で開閉するドアで施錠される。

程なくやってきた男アインは、レネーの顔のテープを剥がすと、他の実験体を動揺させぬ為に騒がぬよう命じる。アインはレネーの肌を擦って興味深い肌だと説くと、レネーに対して死を伴う実験が行わる事を示唆する。部屋の通気孔からは別室にいる被験者の悲鳴が轟く。アインが去ると、レネーはブーツからカッターを出し、ストレッチャーを揺らして手元に持ってこようと試みる。その音を聞いて、隣室のブレイクと称する被験者がレネーに呼びかけてくる。ブレイクは被験者が監視されており、それぞれの嫌な物を持ってくる事を伝える。レネーは"G10-12X"について尋ねるが、ブレイクは知らないと答える。ブレイクは自らがネバダ州から連れてこられ、他にも大勢が拉致されてきている事、レネーがいる部屋から誰かが解放された事を明かす。その直後、ブレイクは施設の者から目に何かを施されて悲鳴を上げる。

レネーはカッターを手で掴み取ると、手首の拘束を切り裂こうと企てる。そこへスキンヘッドの男とダイアンと称する女が入ってきた為、レネーはカッターを隠す。二人は目にスコープを装着すると、レネーをライトで照らし、血圧測定を始める。レネーは二人に目的を問い質し、協力するから帰らせて欲しいと哀願する。二人は視力検査に続いて問診を始める。レネーは二人が自宅を監視していた事を知り、エヴァンの身を案じる。二人はレネーが蜘蛛を恐れている事を確認すると、最後に血液採取を行う。スキンヘッドはレネーと頬を擦り合わせると、某かの確信を得る。

二人が去ると、レネーは再び拘束を裂き始めるが、途中でカッターを床に落としてしまう。そこへ先の二人に加えてラクスレンがやってくる。ラクスレンもまたレネーと頬を擦り合わせ、資質の高さに感嘆すると、スコープを付けてライトで照らし、レネーにプロセス加速の促進剤を注射で投与する。ラクスレンは新たな人生へと背中を押してくれると説く。間もなくレネーは意識を失う。

レネーは目を覚ますや、その部屋から移送される。その途中、"G10-12X"について教えてくれた男セスのストレッチャーとすれ違う。セスは施設の者に婚約者に会わせて欲しいと哀願する。別室に移されたレネーは、右腕に透明のケースを装着され、その中に一匹の毒蜘蛛が投入される。レネーは恐怖の余り、泣き喚く。スキンヘッドは全てはレネー次第であり、抗わぬよう諭す。間もなくレネーは禁断症状を起こす。スキンヘッドは実験が失敗だと判断し、蜘蛛を回収すると、レネーを元の部屋に戻す。スキンヘッドは再び、全てがレネー次第だと説くと、必ず「破裂」するとの確信を示す。それを受けてダイアンは、苦痛を乗り越えれば新しい自分になれると説き、レネーに休息を与える意向を示す。

二人が去ると、レネーは即座に拘束を解き、通気孔から逃走を図る。その途中、レネーは別室の被験者が高所から繰り返し落下させられたり、父親の写真を見せ続けられたりする様子、また促進剤の貯まった槽に沈められるセスの姿を目の当たりにする。レネーはトイレに辿り着き、用を足すと、鉄格子が付いた窓から外の様子を窺う。そこへアインがもう一人の男と入ってきて、ブダペストで女が破裂に成功した事、47人が破裂に成功していながら、24人の女全員が妊娠能力を備えていない事などを話す。レネーは再び通気孔に戻り、屋上に繋がるはしごを昇るも、鉄格子が付いており、逃げられないと悟る。

レネーはブレイクの部屋に辿り着くと、一緒に逃げるよう促す。ブレイクは最後の挑戦中でもうすぐ出られる見込みを示すと、自らが"G10-12X"を持っていると言われ、それが肌に関係する何からしい事を明かす。ブレイクの体に蛇が這い始める。そこへスキンヘッドらがやってきて、レネーは咄嗟にストレッチャーの下に隠れる。ラクスレンはDNAの変異まであと一歩のところで成功しなかった事を明かすと、家に帰す前に鎮静剤を投与する意向を示す。帰還を担当するというコレットは、自宅付近で目を覚ましたブレイクが世界観を変えたこの経験を思い出し、人々の長年の謎に答えてやるのだと諭し、ブレイクをストレッチャーで部屋から運び出す。レネーはドアがロックされる前に密かに通路に出ると、エレベーターに乗り込むが、腕輪が無いと作動しないと知って諦める。

レネーは近くのオフィスに忍び込むと、そこに保管されている腕輪を持ち出そうとする。そこへアインが戻ってきた為、レネーは咄嗟に部屋を出る。レネーはアインがコンタクトを外した瞳の様子を見て、それが人間では無いと悟り、逃げ出す。間もなく、レネーは通路で皮膚が腐ったセスの遺体を目の当たりにする。そこへスキンヘッドら四人がやってきた為、レネーは傍の部屋に身を隠す。スキンヘッドらはセスの実験の失敗を受け、ダイアンにレネーの担当を命じる。レネーは自分への実験が始まると知ると、通気孔から元の部屋に戻り、ストレッチャーの拘束具を付け直し、何事も無かった様に振る舞う。

間もなく、ラクスレンとダイアンがやってくる。ラクスレンはレネーに期待していると告げて部屋を出る。ダイアンは注射を準備すると、抵抗しなければずっと楽になり、死の先まで恐怖を感じて欲しいと説く。ダイアンはレネーの肌を弄り、エヴァンに関する問題は全て解決すると説く。ダイアンは"G10-12X"が遺伝コードで、実験の目的はそれを破裂させる事、恐怖が骨まで達するとレネーが根底から変わる事を明かし、恐怖を受け入れて自分を解放するよう促すと、その一助にすべく本当の自分を見せる意向を示す。レネーはダイアンが離れた隙にストレッチャーに置いた注射器を手中に収める。ダイアンはコンタクトを外して頬ずりすると、顔が悍ましく膨らみ歪む様を見せ、再び元の姿に戻る。レネーは近づいたダイアンの首元に注射器を差すと、ストレッチャーにダイアンを乗せてエレベーターに駆け込み、腕輪で作動させて二階から一階へ降りる。

レネーはダイアンを置き去りにしてラボに忍び込むと、そこに並べられた被験者達のDNAサンプルの数々を目の当たりにする。間もなくラクスレンがスキンヘッドを連れてやってくる。ラクスレンは興奮した様子で、レネーの卵子が他の女の卵子とは違うと説き、スキンヘッドに顕微鏡で確認を促す。ラクスレンは人間の精子がレネーの卵子の細胞膜を破れない事から、自分達のDNAだけを受け入れる可能性を指摘する。レネーはラボから動力室の方へ逃れる。それを察知したスキンヘッドは、レネーが突き当りの部屋に入るや、遠隔操作でガラスのシャッターを降ろし、催眠ガスでレネーを眠らせる。

レネーはこれまでとは別の部屋のベッドで目を覚ます。そこへリーダーのテレンス、ナイマン、ダイアン、スキンヘッドがやってくる。テレンスは生存本能が強く、逞しいタイプは好ましいと説き、レネーが逃走を図った事を評価する。テレンスはレネーの聴力と視力が上がっている事を確認すると、レネーに内側からの更なる変化を促すが、レネーはそれを拒む。テレンスは「破裂」すれば恐怖を忘れて進化する事ができ、人間の下らない感情と決別できるのだと諭す。レネーは家に帰りたいと哀願する。テレンスは監視カメラの映像でエヴァンの様子を見せると、「破裂」すれば人間としての愛を忘れると説く。ナイマンはレネーの医療情報を調査し、"G10-12X"が破裂しそうだと知った事を明かす。テレンスは人類が全てを破壊するウィルスであり、自分達は地上に秩序を取り戻す救世主だと主張すると、レネーも「破裂」すればそれを理解し、使命に協力するはずであり、「破裂」しなくても生き延びれば帰してやると説く。テレンスは実験を開始させる。レネーは椅子に拘束され、頭部に透明な密閉マスクを装着させられると、その中に無数の蜘蛛が投入される。拘束を解かれたレネーは絶叫し、悶え苦しみ、マスクを叩きつけて割ろうとする。間もなく「破裂」が起こると、レネーの顔は醜く膨らんで歪み、マスクが外れ、再び元の姿に戻る。

週が明け、レネーはこれまでとは別人の様に華美な雰囲気で家に戻り、テレンスに指示された通りにエヴァンの前で振る舞う。ブレイクはテレビ番組のインタビューでUFOに拉致されたと証言する。レネーは蜘蛛に対する恐怖を無くすが、エヴァンに対する愛は保ち続ける。エヴァンはレネーの変わりぶりを気味悪がる。程なく、テレンスらがエヴァンを引き取りにやってくる。テレンスはレネーが「破裂」しても妊娠できる事を喜び、レネーの遺伝子を継ぐエヴァンに対する期待を示す。レネーはエヴァンの身を案じる余り、逃走を手引きする。テレンスは逃げたエヴァンを追いかけようとせず、人間としての感情は簡単には薄れないものだと理解を示すと、それも直に消え去るのだと説く。テレンスはレネーが自分達の為に子供を産む新世代の母になり、人間が知る世界は永遠に姿を変えるのだと説くと、頬をすり合わせ、ずっと待っていたレネーをようやく手に入れたと告げる。レネーの人間としての感情が失われていく様子が示唆される。

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