チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ゾンビ ディレクターズカット版

ジョージ・A・ロメロ監督作「ゾンビ ディレクターズカット版」("Dawn of the Dead" : 1978)[DVD]

ゾンビの蔓延る都市を脱出し、郊外のショッピングセンターに身を寄せた男女が、ゾンビや強盗団と繰り広げる攻防戦の行方を描くホラー作品。

世界各地の都市にゾンビと化した人間が蔓延る様になり、三週間が経過する。米連邦政府に設置された緊急対策会議は、市民に対し自宅を退去して市の中心部に移動すると共に、遺体の処理を州兵の特殊部隊に委ねる様に命じる。戒厳令下のフィラデルフィアでは市民が都市から脱出を始める。事態の悪化に伴い、テレビ局のスタッフ達が生放送中にも関わらず、我先に職務を放り出して逃亡を始めると、リポーターのスティーブンはヘリでの脱出の算段を付け、恋人のフラニーを連れ出そうとする。フラニーは責任を放棄する事に難色を示すが、スティーブンに生き延びる事が先決だと諭され、局を離れる意志を固める。

一方、ゾンビが屯するアパートから、住民を救出する作戦に従事していた警察隊のピーターとロジャーは、ゾンビ達の目を覆うような惨状に嫌気が差し、逃亡を画策する。ロジャーは友人スティーブンのヘリで街を脱出する計画にピーターを誘うと、その場の対処を州兵達に任せ、アパートを離れる。

スティーブンの操縦するヘリは、放棄された巡視艇基地でロジャー達を拾うと、街を離れる。ヘリは夜を徹して飛行し、ハリスバーグを超え、ジョンズタウンへ進路を向ける。眼下には州兵や武装した市民達がゾンビを掃討する光景が広がる。給油の為に、ヘリが農場のガソリンスタンドに着地すると、四人はゾンビ達と遭遇し、これを撃退する。ガソリンと持ちあわせた物資は乏しく、更に行き先も決まらない為、四人は今後に不安を募らせていく。

やがてヘリは、放棄されてゾンビが彷徨うだけとなった大型ショッピングセンターに差し掛かる。地上から昇れない屋上にヘリを止めると、四人は天窓から内部の様子を覗い、モールエリアから独立した倉庫を発見して侵入する。四人はそこで一時の休息を取り、疲れを癒やす。

モールに潤沢な食料と物資がある事を知ったピーターとロジャーは、倉庫から機関室、更に管理室へと抜け、ゾンビ達の彷徨うモールへと向かう。二人は管理室で大音量の音楽をかける事で足音を消し、ゾンビを退けながら、ガラスで間仕切りされた店に到着する。二人は物資を調達すると、二階から一階へ巧みにゾンビを誘導し、退路を確保しようとする。一方、スティーブンもフラニーを倉庫に残して、ピーター達の後を追うが、途中でゾンビと遭遇する。スティーブンは辛うじてゾンビを撃退すると、ピーター達と合流する。

ピーターはセンターから急いで離れる必要が無く、ゾンビを隔離した上でしばらく留まり、ラジオで状況を窺う事を提案する。三人はエレベーターシャフトからエアダクトを通り抜ける事で、ゾンビの彷徨くモールを介さずに倉庫へ移動できる事を知る。その頃、フラニーの待つ倉庫へゾンビが現れ、危ういところにピーター達が駆け付け、撃退する。

スティーブンはピーター達にフラニーが妊娠している事を明かし、出産か中絶かの判断に苦慮する。スティーブンの迷いを察知したフラニーは、カナダ行きの約束を反故にし、センターに執着する事を批難し、早く離れるべきだと主張する。スティーブンはゾンビがどこにでもおり、また当局に捕まれば更に事態が悪化すると説き、センターに留まる事の理解を求める。

ピーターとロジャーは、正面入口をトラックで塞ぎ、外部からのソンビの侵入を阻止する計画を立てる。フラニーは足手まといにされ、疎外される事を嫌気し、ヘリの操縦と銃の扱いを覚える事を希望する。

ピーターとロジャーがそれぞれトラックを運転し、スティーブンがヘリで監視、フラニーが銃でトラックを援護する事で、計画は始まる。ピーターとロジャーは意気揚々とトラックを運転し、一台を難なく入り口前に止める事に成功すると、二台目に取り掛かる。ところが作業中のロジャーの元へゾンビ達が集まり始める。スティーブンが機転を利かせ、ゾンビの襲来を察知させようとするも、ロジャーは窮地に陥り、既のところでピーターがゾンビを銃撃し、ロジャーを救う。その後、フラニーの援護射撃も奏功し、ロジャーは二台目を止めるが、三台目に取り掛かる前に二台目のトラックに工具バッグを置き忘れてきた事に気付き、再び入り口に戻らざるを得なくなる。ピーターはロジャーに気を引き締め直す様に命じる。ロジャーはトラックからバッグを回収し、戻ろうとした矢先に、ゾンビの襲撃に遭い、腕と脚をそれぞれ噛み付かれてしまう。

計画を終えると、一同は倉庫に戻り、ロジャーの手当を行う。ピーターとスティーブンは中にいるゾンビの対処を協議し、モール内にあるガンショップで武器を大量に調達して掃討する事を画策する。一同はそれぞれ手分けして、モール内外の全ての鍵を施錠すると、中に彷徨うゾンビ達の掃討を完了する。

倉庫に戻った一同はロジャーの治療を行うが、症状は徐々に悪化する。ピーターとスティーブンは、警察や略奪者の襲来を想定し、倉庫への侵入を阻止する措置を講じる。フラニーはつわりに苛まれるも、気遣うスティーブンを拒絶する。ピーターとスティーブンはゾンビの腐敗を懸念し、全てを冷凍庫へ搬入する。

その後、一同は店内の現金や贅沢品などの物資を持ち出し、飲食や遊びに放蕩の限りを尽くす。やがてロジャーの症状が更に悪化し、薬が効かなくなると、ロジャーはゾンビになるのを拒み、死んだら頭を撃ちぬく様にピーターに請う。程なく、ロジャーがゾンビと化すと、ピーターが引導を渡し、モール内の庭に埋める。その後、三人は店内の服で正装し、晩餐を楽しむ。スティーブンは指輪を携え、フラニーにプロポーズするが、フラニーは実感が持てないという理由で断る。

その後、三人は思い思いに贅沢でしどけない生活を送り、数週間が過ぎる。テレビ放送が止まると、三人にはやがて鬱憤が募り始める。スティーブンはフラニーに請われた通り、ヘリの操縦を教える。それから間もなく、数十人からなる武装した強盗団が、センターの存在を察知する。

強盗団はピーター達に無線で連絡を寄越し、独占が気に食わないと告げる。その夜、強盗団は総出になってセンターに急襲を仕掛ける。ピーターとスティーブンは、無線機で連絡を取り合いながら、シャッターを閉め、守りを固めていく。強盗団はゾンビの群れを駆逐し、トラックで閉ざされた入口とは別の搬入口を開け、侵入する。ピーター達はゾンビを足かせに利用しようと図るが、強盗団はゾンビを退けながら、店内の金品や商品を漁り始める。ピーターは強盗団に察知されぬ様に、二階で様子見する様にスティーブンに命じるが、スティーブンは自分達の占拠したモールが荒らされる事に憤慨し、攻撃に転じてしまう。強盗団に察知され、銃撃戦が始まると、ピーターも已む無く攻勢に出る。

強盗団は金目の物を奪取し、逃走を図り始めるが、次第に夥しいゾンビの群れの餌食になっていく。ピーターはダクトに逃げ込み、天井から強盗団を狙撃する。一方、スティーブンはシャフト内で強盗団に銃撃を受け、負傷する。ピーターはスティーブンに倉庫に戻る様に命じるが、スティーブンはゾンビ達の襲撃に遭う。倉庫に戻ったピーターは、フラニーに様子見を促す。ゾンビ達は逃げ残った強盗団を貪り食う。

数時間が経過し、フラニーはスティーブンが死んだと悟り、ピーターにセンターからの脱出を促す。程なくして、ゾンビと化したスティーブンがピーター達の前に現れる。ピーターはスティーブンを殺すと、自らはセンターに留まる決意を告げ、フラニーを屋上へ逃がす。ヘリに乗り込んだフラニーは、ピーターの翻意を信じて待つ。

ゾンビが目前に迫ると、ピーターは自害すべきか悩んだ末に翻意し、ゾンビを退けて屋上へ向かう。離陸寸前のヘリにピーターが乗り込むと、フラニーの操縦でヘリは夜明けの空に飛び立つ。

 

 

言わずと知れたゾンビ作品の原点的作品だが、僕は今回初めて鑑賞した。ザック・スナイダーによるリメイク作品「ドーン・オブ・ザ・デッド」の方を先に見ていたので、両者の違いを楽しもうと思っていたが、随分趣向の異なる作品だと思った。本作は複数のバージョンがあり、それぞれ編集や音楽が変更されているらしく、どれを観るかによって得られる経験が変わってきそうだ。このディレクターズカット版は、オリジナル公開版とどの程度変更点があるのか分からないのだが、四人がショッピングセンターに到着してゾンビを閉め出してからは、センター内でのまったりしたシーンが続き、緊張感が失せてしまうので、純ホラーというよりコメディホラーに近い印象を受けた。この時代のゾンビは走ったり跳びかかったりという身体特性を備えていないから、派手な怖さも無い。しかし、終盤のゾンビが内臓をもぎ取ったり、手足を食いちぎるシーンは予想以上に生々しくて良かった。ロメロ作品はこれまで避けて来てしまったから、ここからぼちぼち観ていこうと思う。

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