チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

アバウト・シュミット

アレクサンダー・ペイン監督作「アバウト・シュミット」("About Schmidt" : 2002)[DVD]

定年退職を迎えた男が、妻の死と娘の結婚を経て、人生の意義を模索する様を描くコメディ・ドラマ作品。

ウォーレン・シュミットは、オマハで妻ヘレンと2人で暮らす平凡なサラリーマン。保険会社ウッドメンに勤務し、部長代理まで務め上げたウォーレンは、めでたく定年退職を迎える事になった。同僚らはウォーレンの為にパーティを開き、彼の功績を労った。ところが、仕事人間だったウォーレンには趣味らしい趣味も無く、すぐに空いた時間を持て余す様になった。一方、ヘレンはそんな夫の苦悩はお構いなしにマイペースだった。

ある時、ウォーレンは、途上国の子供を支援するチャリティ団体「チャイルドリーチ」のCMをテレビで見かけ、軽い気持ちで申し込む。後日、資料が届き、その中には手続きの書類等と一緒に、ウォーレンが扶養する事になるタンザニアに住むンドゥグという男の子の写真が添えられていた。寄付に当たって、ンドゥグにプライベートな手紙を書くように勧められたウォーレンは、自分の人となりやヘレン、娘ジーニーの結婚の事について認め、22ドル分の小切手を添えて送信する。

結婚42年目のヘレンとは、付かず離れずの生活を送っていたウォーレンだったが、彼なりに不平不満を募らせていた。ある日、ウォーレンが外出先から帰宅すると、台所で倒れているヘレンを発見する。脳梗塞による突然死だった。デンバーで暮らすジーニーと婚約者ランドールが駆けつけ、しめやかに葬儀が執り行われる。ランドールはウォーターベッドを売る小さな会社を営んでいる男で、ウォーレンはその人柄を快く思っておらず、ジーニーとの結婚にも反対だった。ウォーレンは一切の家事をヘレンに任せっきりだった為に、自分の世話すらままならず、ジーニーに戻ってくるように頼む。しかし、ジーニーはウォーレンが選んだ棺が安物だった事を怒り、ヘレンへの感謝が足りない事を責める。

ジーニーらがデンバーに帰って行くと、ウォーレンは途端に身持ちを崩し始め、荒んでいく。ウォーレンがヘレンの遺品を整理していると、生前の大昔にウォーレンの旧知の同僚レイと交わしたラブレターを発見する。激怒したウォーレンはレイの元へ赴き、絶交を言い渡す。ヘレンの不貞を知ってしまったウォーレンは自暴自棄になり、荒れ放題の自宅を投げ出し、妻と折半で購入した真新しいキャンピングカーに乗ってオマハを飛び出す。ジーニーの暮らすデンバーの家で世話になろうと考えたウォーレンは、途中のスタンドから彼女に電話をかけるが、拒否されてしまう。踵を返したウォーレンは、ネブラスカの生家や卒業した大学などを当て所無く周る旅を始める。その途中、ンドゥグへの寄付と手紙を認める事は欠かさなかった。とあるキャンプ場に寄ったウォーレンは、そこで愛想の良い夫妻と出会い、歓待されるが、魔が差して妻にキスをしてしまい、追い出される。孤独なウォーレンは星空の下、ヘレンがいかに大切な存在で、自分がどれだけ迷惑をかけてきたかを思い知る。

ジーニーの結婚式が近づき、ウォーレンはデンバーにあるランドールの実家を訪れる。ランドールの母ロバータは気前の良い女で、ウォーレンを暖かく迎え入れるが、ウォーレンは彼女を含め親族の事を下品に感じ、快く思えなかった。ウォーレンはジーニーに結婚を止める様に説得を試みるが、口論になる。その夜、ウォータベッドで寝る事になったウォーレンは、翌朝、寝違えて右肩を痛めてしまう。ジーニーは結婚式目前で、準備に追われる最中の父のその体たらくに呆れる。ウォーレンはロバータに強力な鎮痛薬をもらい、痛みをなんとかやり過ごすが、効きすぎて酩酊状態になる。夜になり、ウォーレンはロバータに勧められるままに風呂に入る。離婚しているロバータは、ジーニーの結婚に太鼓判を押す。ウォーレンはロバータに誘惑され、そそくさと退散する。

翌日、結婚式は滞り無く行われ、ロバートも反対の意を押し殺して、2人を祝福した。オマハの自宅に戻ってきたウォーレンは、ジーニーとランドールの結婚の件は忘れ、気持ちを新たに生活を始める。しかし、ウォーレンはこれから誰のためでもなく、長生きする事の意義を自問自答していた。そんな矢先、団体から手紙が届く。それはンドゥグの面倒を見ている修道女が、読み書きのできないンドゥグに変わって代筆した手紙で、心からの御礼の気持ちが綴られていた。更にンドゥグの描いた絵が同封されていた。その絵を見たウォーレンは、堰を切ったように涙を流すのだった。

 

ジャック・ニコルソンのおとぼけぶりが冴え渡るワンマンショー的なコメディ・ドラマ。家庭を顧みなかった仕事人間が、引退後をどう過ごすべきか、深く考えさせられる内容である。文化の洋邦を問わず、妻がいないと右も左も分からなかったり、子供との意思の疎通が苦手だったりする男は多いだろう。そんな男はこのウォーレンの様に、立処に居場所を失い、孤独と暇に苛まれる事になるんだな。そのままだと生きる意義を失い、廃人まっしぐらだが、そこでウォーレンは貧困国の孤児を支援するという喜びに出逢うと。身勝手でどうしようもないおっさんにも、救いがあって良かった。それにしても、キャシー・ベイツのヌードには焦った(笑)。

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