マックG監督作「ラストミッション」("3 Days to Kill" : 2014)[BD]
重病で余命を宣告されたCIAエージェントが、試薬と引き換えに最後のミッションに挑む様を描くアクション・スリラー作品。
CIAエージェントのヴィヴィは、CIAが10年追っていた武器商人ウルフを始末する様に命じられる。ウルフは世界中のテロ組織に核兵器を売っており、彼の部下アルビノがベオグラードで核爆弾を売るという情報を得た事で、CIAは買い手を始末し、アルビノを捕らえ、爆弾を確保する作戦を立案したのだった。ヴィヴィは現地で生え抜きのエージェント、イーサン・レナーと連絡を取り合う様に指示される。
イーサンはチームと共に、アルビノの逮捕と爆弾の確保に向けた作戦に取り掛かるが、咳が止まらないのが気掛かりだった。取引の行われるビルで作戦を遂行中、1人のエージェントの面が割れ、アルビノ達はビルを爆破し、その隙に逃走を始める。その日はイーサンの高校生の娘ゾーイの誕生日であり、電話で連絡を取ろうとした矢先の出来事だった。アルビノの手下達と銃撃戦となるが、イーサンは撃退する。ところが、アルビノを追い詰めたところで、イーサンは意識が朦朧とし始め、そのまま気絶し、取り逃してしまう。
病院で目覚めたイーサンは医師に、悪性膠芽腫が脳から肺に転移し、余命3ヶ月から5ヶ月と宣告される。CIAから現場を退く様に促されたイーサンは、別居中の妻クリスティンとゾーイが暮らすパリに戻る。ところが、パリのアパートには不法入居者のジュールらの家族が住み着いていた。不法入居者には半年間の保護期限があり、追い出せない事を知ったイーサンは、妊娠中のジュールの娘が無事出産するまでは居候させる事を約束する。
イーサンは残り僅かな時間を家族で過ごすつもりで、クリスティンに会って症状を伝える。クリスティンは、危険な仕事の為に家庭を顧みなかったイーサンに不信感を抱いており、CIAから足を洗う事を条件にゾーイと会う事を許す。イーサンはゾーイに病気の事を伏せる様に、クリスティンに求める。イーサンはゾーイとの5年ぶりの再会に喜ぶが、ゾーイは距離を置こうとする。イーサンは紫色の自転車をプレゼントするが、ゾーイに拒絶されてしまう。
市場を訪れたイーサンの前にヴィヴィが現れる。イーサンの症状と家庭の事情を持ちだした上で、ベオグラードの現場にいたイーサンなら、ウルフを特定できるとし、寿命の伸びる試薬を報酬に、自分と組む様に要求する。手始めにイーサンは、ウルフの帳簿係を見つける様に命じられる。手違いで始末する事になったものの、ヴィヴィから5万ドルの報酬、100万ドルの生命保険が約束され、試薬を注射される。
家族の元に戻ったイーサンは、3人で共に時間を過ごすつもりだったが、クリスティンが翌日からロンドンへ出張する為、3日間ゾーイを預かる事になる。夜中、イーサンの体に異常が顕れる。試薬には心拍数が上がると、幻覚を催す副作用があるとイーサンは知る。
翌日、イーサンの前にヴィヴィが現れ、15万ドルの報酬を手渡し、アルビノの帳簿を粉飾しているイタリア人を探すように命じる。手掛かりはハイヤー会社オーナーのミタットだった。イーサンはミタットを拉致するが、そこへゾーイの通う高校から呼び出しの連絡が入る。イーサンはゾーイを交えて校長と面談し、ゾーイが友達に暴力を振るった事を知る。その後、ミタットから帳簿係について聞き出す。イーサンはゾーイと遊園地で遊んだ後、食事を共にし、和解する。ゾーイは夕方から友人と課題を仕上げると告げる。ゾーイと別れた後、イーサンはアルビノの仕向けた刺客に襲われるが撃退する。その男がクリスティンとゾーイの写真を携えていた為に、イーサンはゾーイの身を案じ、街に探しに向かう。ゾーイは友人宅では無く、クラブへ遊びに行っている事が分かり、イーサンはそのクラブのトイレで、不良達に襲われそうになっているゾーイを救出する。
イーサンは自分がプレゼントした自転車に乗って行くように促すが、ゾーイは教わる人がいなかった為に、自転車に乗れないと打ち明ける。イーサンは自転車の乗り方を教え、ゾーイへの愛を真摯に伝える。ゾーイを学校へ送り出すと、イーサンは帳簿係のグイドを拉致し、帳簿を奪う。イーサンから帳簿を受け取ったヴィヴィは、破産したアルビノがウルフの元へ向かうであろう事を告げる。
イーサンがアパートに戻るや否や、ジュールの娘が出産する。ジュール達は郊外で静かに暮らす事を希望しており、約束通り出て行くと告げる。子には感謝の意を込めてイーサンと名付ける。
ゾーイが卒業プロムの前夜パーティで、恋人のヒューとダンスを踊る事になり、イーサンが手取り足取り教える。そこへクリスティンが帰宅し、3人は食事を囲み、一家団欒を楽しむ。クリスティンはイーサンに病気を話す時だと告げる。
アルビノは予想通り、ウルフと合流する。ウルフを特定したイーサンはカーチェイスと銃撃戦の末、ウルフを地下鉄駅に追い込むが、そこへ副作用の幻覚が襲い、辛うじてアルビノを殺すものの、ウルフには逃げられる。イーサンはヴィヴィに救出される。ウルフは計画を変更し、パリから脱出する為に、パートナーに協力を仰ぐ。
イーサンはクリスティン、ゾーイと共にパーティ会場を訪れる。ところが、偶然にもヒューの父親がウルフのパートナーだった為、イーサンとウルフは思わぬ再会をする。一触即発の事態をクリスティンが察知し、足を洗っていなかった事を詰る。イーサンはウルフ一派と銃撃戦を繰り広げ、再びウルフを追い詰めるが、またしても幻覚に襲われる。そこへヴィヴィが手助けをし、任務を完遂する様に命じるが、イーサンは家族の為にもう殺しはしないと拒否する。結局、ヴィヴィがその手でウルフを射殺する。
その後、命を長らえたイーサンは、迎えられないと思っていたクリスマスを、別荘で家族と共に過ごす。イーサンは生き長らえて再び一緒に暮らしたいとクリスティンに告げる。イーサン宛に包みが届いており、中身はヴィヴィからの試薬のプレゼントだった。
なんだろうなぁ、この残念な仕上がりは。リュック・ベッソンのダメな部分がハッキリでちゃった感じ。枯れ気味のおっさんエージェントが哀愁を漂わせながらも、ベテランぶりを発揮して悪を退治するという、王道といえば王道のアクション・スリラー。余命を宣告された事もあって、肝心のミッションよりも家族愛の方に軸が置かれており、それはまだ許せるとしても、そこへどういうワケかちょい寒なコメディのノリが随所に散りばめられ、これが作品の緊張感を見事に殺してしまっている。シリアス路線で纏めると、同じくベッソン組の96時間シリーズと作風が丸かぶりしてしまうから、辛気臭くならない様に配慮したんだろうか。ケビン・コスナーがスベっている様で可哀想だ。アンバー・ハード演じるヴィヴィは、エージェントとして面割れをしない配慮なのか、メイクがドギツくてなんだかなぁ。別にイーサンに頼らなくても、余裕でウルフもアルビノも始末できたんじゃないのっていうお高くとまった感じが、これまた緊張感を失わせてるよなぁ。