チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

アレクサンダーの、ヒドクて、ヒサンで、サイテー、サイアクな日

ミゲル・アルテタ監督作「アレクサンダーの、ヒドクて、ヒサンで、サイテー、サイアクな日」("Alexander and the Terrible, Horrible, No Good, Very Bad Day" : 2014)[BD]

12歳の誕生日を迎えた少年アレクサンダーの家族が、ひょんなことから次々に騒動に見舞われ、最悪な1日を乗り切ろうと奮闘する様を描くコメディ作品。

アレクサンダーは、父ベン、母ケリー、兄アンソニー、姉エミリー、弟で幼子のトレヴァーと暮らす平凡な少年。12歳の誕生日を翌日に控え、いつもの様に朝を迎えるが、立て続けについてない事ばかり起きる。学校で人気者のフィリップが、誕生日パーティを突然、アレクサンダーと同じ日に行う事をメールで知らせて来た為に、アレクサンダーは自分のパーティに人が集まるか心配する。出版社に勤めるケリーは、そんなアレクサンダーの心配を聞くのもそこそこに出勤していく。航空業界で働いていたものの、リストラされ、再就職活動中のベンは、多忙のケリーに変わって、トレヴァーの世話に専念する。その一方、アンソニーは翌日にプロムを控え、運転免許を取得し、恋人セリアの前でキメてやろうと意気揚々としており、またエミリーは翌日の演劇で主演を務める事になっており、稽古に余念がない。

アレクサンダーは、好意を抱くベッキーの家族の車に相乗りして学校へ向かう。車内で、ベッキーの弟エリオットに撮られ、コラ加工された画像がメールで校内に出回り、朝から笑いものにされる。更に、親友のポールさえもフィリップのパーティに行くと告げ、アレクサンダーは本当に自分のパーティに誰も来ないのでは無いかと危機感を抱く。ベンはママ友達とのヨガに参加している最中、あるゲーム会社から翌日の面接の連絡を受け、更にその直後、トレヴァーが初めての言葉を喋った事で大喜びする。ケリーは、自身が手がけた絵本の出版を翌日に控え、その評価が上々で予想以上の売上が見込める事から、上司に評価され、副社長への昇進が打診される。

アレクサンダーは授業で「世界の国々のレポート」を課されるが、大のオーストラリアファンであるアレクサンダーの希望に反して、ジブチ共和国に決まり、更にフィリップがオーストラリアに決まった事で、意気消沈する。化学の授業で、アレクサンダーはベッキーと二人一組で実験を行う事になり、早速、自身のパーティに誘うが、ベッキーもまたフィリップの方に行くと告げる。その直後、アレクサンダーは不注意でベッキーの実験ノートをバーナーで燃やし、危うく火事を起こしそうになる。アレクサンダーは、帰り際に教師から、週末に留守にする為にモルモットを預かって欲しいと頼まれる。帰宅後、アレクサンダーはトレヴァーのオシャブリをうっかり排水口に流して、壊してしまう。

その後、家族全員で食事を囲み、各々が人生の順調ぶりを語る。アレクサンダーは誕生日パーティに誰も来そうに無い事を嘆き、最悪な出来事ばかり起きる自分と、完璧な家族との違いを訴える。その夜、エミリーはケリーの車に篭って、演劇の練習をする。アンソニーは、セリアとの電話中に、アレクサンダーについた悪態を誤解され、嫌われる。ケリーはアレクサンダーを慮り、家庭が慌ただしすぎる事をベンに漏らす。深夜、日付が代わり誕生日を迎えたアレクサンダーは、アイスにろうそくを立て、家族にも最悪な1日が分かって欲しいと訴え、火を吹き消す。

翌朝、家族はみな寝坊する。ケリーは命運を賭けた日に遅刻する事になり、大慌てで支度を始める。エミリーは風邪を引き、アンソニーは額に大きなニキビができる。トレヴァーは泣きじゃくり、ベンが対処に追われる。エミリーがケリーの車のバッテリーを上げてしまった為、ベンの車をアンソニーが運転し、家族全員相乗りする。アンソニーは学校に着くと、セリアの誤解を解こうとするが、冷たくあしらわれる。会社に遅刻したケリーは、絵本の印刷ミスによるトラブル対応を迫られる。絵本は出版差し止めとなるが、セレブ向け朗読会で著名なディック・バン・ダイクによる子供達への読み聞かせが決まっており、ケリーが中止させるべく、自転車に乗り、大急ぎで会場へ向かう。アレクサンダーは、学校に着くや否や、フィリップが水疱瘡にかかり、パーティが中止となった事を知る。皆が自分のパーティに集まると期待するアレクサンダーは、早速ベッキーを誘い、ベンにパーティの準備を伝える。

アンソニーはセリアと和解し、予定どおり、一緒にプロムに参加する約束を取り付けるが、舞い上がった勢いで、トロフィー棚を壊してしまい、停学処分となる。ケリーは会場の書店に到着し、ダイクの朗読を阻止しようとするが、事情が上手く伝わらず、結局、ダイクは誤植された下品な言葉("jump"→"dump" うんこ)を繰り返し朗読させられ、憤慨する。ベンはシッターを見つけられず、トレヴァーを連れたまま面接に臨む。訪れた会社は社員が若者だけのゲームメーカーで、代表のグレッグはスペースステーションを舞台にしたゲームを作る意向を明かす。ベンは自分が適任だと主張するが、トレヴァーがマジックペンをしゃぶって遊び始め、面接は度々中断し、ベンは不振に終わったと感じる。

面接の帰り道、ベンはアンソニー、アレクサンダー、エミリーを拾うと、エミリーの咳止めを買う為に薬局に寄る。ケリーはベンに連絡し、仕事で大失敗した為に、クビになるかも知れないと伝えると、トレヴァーが油性インクを飲んだ事を心配し、家族の元に急行する。ベンは誕生日パーティの秘策を業者に依頼する。

家族は運転免許試験場に到着し、アンソニーが試験に臨む。家族全員に、最悪な出来事が立て続けに起こる事を察したアレクサンダーは、アンソニーが事故を起こすのでは無いかと心配し、制止するが、アンソニーは車に乗り込む。厳しい試験官が睨みを利かせる中、アンソニーが運転を始めると、途中でセリアから電話が入る。運転に集中するアンソニーは試験官のひっかけで、電話に出てしまい、たちまち怒られる。動揺してよそ見をした途端、対向車と衝突しそうになり、車道から外れ、駐車メーターをなぎ倒し、車を破損させ、失格となる。その後、家族はそれぞれの出来事の責任を互いに擦り付け合う。その時、アレクサンダーは、最悪な1日の気分を味わって欲しいと、自分が呪いをかけたからだと打ち明ける。家族は一笑に付し、今日はまだ終わっておらず、これから良くしようと団結する。

アンソニーの発注したタキシードは手配ミスで他人に渡り、代わりにブルーのタキシードを受け取る。エミリーは演劇の会場に到着するも、咳止めの飲み過ぎでハイになり、劇をめちゃくちゃにしてしまい、落胆し、更にベンのシャツに嘔吐する。そこへグレッグから連絡があり、もう一度会いたいと、日本食店「ナガマキ」に誘われる。アレクサンダーは楽屋から海賊シャツを見つけ、汚れたシャツの代わりに着る様にベンに勧める。

家族はボロボロの車に乗り合わせ、途中でセリアを迎えに行き、その足でナガマキに向かう。ナガマキでグレッグらゲーム会社の面々と同席したベンは、体を張って場を盛り上げるが、その最中、調理場の火がベンのシャツに飛び移り、危うく炎上しそうになる。店中の客を白けさせたベンは、不採用を確信し、意気消沈して店を出る。アレクサンダーは、いつでも前向きで楽観的でなくても良いとベンを慰め、悪い日があるから良い日に感謝できると訴え、家族でその思いを分かち合う。アンソニーはセリアに家族を詰られた事で、決別し、プロムに参加せず、アレクサンダーの誕生日パーティに付き合う事を決める。

家族は故障寸前の車に乗って帰宅し、ドアを開けるや否や、ワニが現れ、一同は驚愕する。それはベンが依頼したふれあい動物園から逃げ出したワニだった。ベンとケリーは、アレクサンダーの為に、オーストラリアのアウトバックの夜を演出しようと考えていたのだった。家族はそれぞれ持ち場に付き、準備に取り掛かる。ベンは囲いから逃げ出したカンガルーを捕まえに向かうが、追い詰めたところで蹴り飛ばされる。

準備が整い、夕暮れ時になると、大勢が集まり始める。そこへベンにグレッグから連絡が入り、採用が伝えられる。ベンは時間が自由に使える会社である事を喜ぶ。同時にケリーにも会社から連絡が入り、朗読会の動画がネットで広まり、絵本のヒットが間違い無い事を伝えられ、ベンと共に喜びを分かち合う。程なくして、パーティにベッキーも訪れる。家族と集まった客に見守られ、アレクサンダーはケーキの火を吹き消す。パーティは大いに盛り上がり、家族にとって最悪な日は最高の日となる。

 

 

インパクト大のタイトルがイケてるのだが、内容も負けず劣らずのクオリティで、底抜けに明るいほのぼのしたコメディ。そこそこ裕福な家庭で暮らす少年アレクサンダー。誕生日を前にして不運が続いた為、軽い気持ちで家族の不運を願ったら、何故か本当に家族全員が災難が降りかかり、最低で最悪な1日になってしまうのだ。最後は家族が一致団結して、逆境を跳ね除け、文字通り大団円で終わるのが爽快で心地良い。脚本事態も優れているが、登場するのがみな魅力的な演者ばかりで、より一層作品を見応えある物にしている。ジェニファー・ガーナーはこんな面白い役もできるのだと認識を新たにした。奇天烈な日本の鉄板焼屋が登場する意図は良く分からなかったが、向こうではあんな店が認知されているのだろうか?とまれ、コメディのお手本だといっても過言では無い傑作だと思う。日本のコメディもこれくらいのクオリティを目指して欲しい。

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