チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ハイ・ライズ

ベン・ウィートリー監督作「ハイ・ライズ」("High-Rise" : 2015)[DVD]

高階層と低階層の間でそれぞれの住民が分断されたタワーマンションで、新たに入居した男が混沌と頽廃を極める階層社会での暮らしを経験していく様を描くディストピアン・スリラー作品。

 

近現代のロンドン。大学の生理学部に勤める医師ラングは、心機一転を図る為に、ロンドンの一角に立つ40階建てのタワーマンションの25階の一室に居を構える。そのタワーにはスーパーマーケット、ジム、プール、スパなどの他、各種インフラ施設が完備されており、高階層にはエリートが、低階層には庶民がそれぞれ大勢暮らしている。入居間もなく、ラングは真上の部屋に住む社交的なシングルマザーのシャーロットと知り合う。

ラングは生理学部で学生達に開頭の模範を示すが、その際にタワーのエリート住民の息子マンローが失神して倒れる。その夜、ラングはシャーロットの誘いを受け、低階層の住民が集うパーティに参加する。ラングはそこで、二人の子供を育てながら、出産を目前に控えた妊婦ヘレンと出会うと共に、ヘレンの夫でテレビ局に勤務する女癖の悪いワイルダー、歯科矯正医スティール、アナウンサーのコスグローブについて知る。パーティを抜け、帰宅したラングはオーナーの使いシモンズに連行され、専用エレベーターでタワーのオーナー兼設計者ロイヤルが妻アンと暮らすペントハウスに訪れる。ロイヤルはラングを歓迎すると、事故で足が不自由な事を明かすと共に、アンの為に作ったテラスに広がる大庭園を案内し、5棟のタワーを掌に模して建設する構想を語る。ロイヤルはラングとスカッシュの約束を交わすと共に、タワーの住人としきたりを知るために、パーティに来る様にラングに促す。

程なく、ラングはシャーロットと肉体関係を持つ。シャーロットはタワーに厳しい階層社会が存在する事を明かす。ラングはシャーロットの息子トビーと出会う。ラングはスーパーでワインを調達すると、高階層の住民が集まる仮装パーティーに参加するが、住民達に差別的な対応を受けた後、シモンズに追い出される。その直後、低階層で停電が生じる。

ラングはロイヤルとスカッシュに興じる。ロイヤルは停電が初期不良だと説く。ロイヤルはアンが田舎の邸宅育ちで地位を確立しないと気が済まない性分である事を明かすと、金持ちがタワーでの地位にしがみつく余り、逃げ場を失っており、タワーを変化のるつぼにするという自らの思惑が果たせていない事を嘆く。一方、ワイルダーを始めとする低階層の住民達は、停電が復旧しないのは差別だと反発を強める。

ラングはマンローの失神直後の脳の検査結果が深刻な状態だと知ると、それをマンロー本人に伝える。ラングはヘレンの家で催された子供達が集まるパーティを訪ねる。ワイルダーはラングが設計者に釣られた回し者だと詰る。ワイルダーはプールから高階層の住民に子供達が追い出された事を知って憤慨すると、子供達を率いてプールに向かう。友達の輪に入れずに留まったトビーは、父親が「上」にいる事を明かす。ヘレンは低階層の住民達がみな借金まみれである事を明かす。ラングはヘレンに請われ、睡眠薬を与えると、トビーを連れて帰る。一方、ワイルダー達は高階層の住民達が社交場に使うプールに強引に押し入る。コスグローブはワイルダーをテレビ局で働けぬ様にすると脅す。ワイルダーは高階層の住人で女優のジェーンの愛犬を溺死させる。ラングはトビーを送り届けた後、人気の消えたプールを訪ね、犬の死体と慟哭するジェーンを目の当たりにする。

タワー全体に停電が及び、高階層の住民達は夜中にろうそくの火を灯してパーティに興じる。そこへやってきたワイルダーはシモンズに侮辱された事に憤慨し、シモンズを苛烈に痛めつける。ラングはそれを制止し、二人はダンスに耽る。その最中、マンローが高階層から投身自殺を図り、車に直撃して即死する。

タワーにはマンローの死に伴う悲しみが漂う。ワイルダーはマンローが自殺したにも関わらず、警察が捜査にやってこない事を訝ると、ラングにタワーに関するドキュメンタリーを撮る意向を示し、設計者を紹介する様に請う。ラングはそれを無視する。一方、高階層ではコスグローブ、婦人科医パングボーン、シモンズらが集まり、厄介者のワイルダーと低階層の住人達への処遇を協議し、タワー全体を厳しく管理すると共に、低階層の住民に高階層の優位を示す必要があるとの意見で一致する。

ヘレンは家を空けがちなワイルダーに孤独と低階層での暮らしへの不満を訴える。ワイルダーはヘレンを適当にあしらうと、撮影機材を持ち出す。その直後、ロイヤルの愛犬ディグビーが25階に迷い込み、スティールにバットで暴行される。一方、アンはロイヤルとの冷めきった関係に辟易し、出ていこうとするが、ロイヤルはアンを殴り飛ばす。そこへエレベーターで血まみれのディグビーが送りつけられる。タワー内の各種ライフラインと公共サービスが断絶した事に因り、住人達の生活は混沌と化し、俄に暴動が起き始める。一方、ラングはマンローの死に対する自責の念に苛まれる。

シモンズ、パングボーン、コスグローブは物資を調達する為に、強奪が進んだスーパーを訪ねる。ワイルダーは作業用エレベーターを探して設計者に会いに行こうと画策するが、その際にシモンズ達と遭遇し、意趣返しにリンチされ、駐車場に捨てられる。一方、ラングは店内に残ったペンキを持ち帰ると、部屋の壁をグレーに塗り替える。ヘレンは子供達を預けるとラングの部屋を訪ね、二人は肉体関係を持つ。

シモンズ達を始めとする高階層の住人達はロイヤルのペントハウスに集い、乱交に興じる。ロイヤルはそれに憤慨し、シモンズを解雇するが、シモンズはそれを無視する。ロイヤルはアンを探して一階ロビーを訪ね、そこで戻ってきたワイルダーと遭遇し、誰何されるも白を切る。その後、ロイヤルはスーパーで住民達に虐げられるアンを救出する。アンはロイヤルに許しを請う。一方、ワイルダーは設計者の元へ行く方法を聞く為に、ペントハウスの清掃を担うヒルマン夫人の部屋に押し入る。ヒルマンはトビーが設計者の息子だと仄めかし、シャーロットと話す様に促すと、ワイルダーに拳銃を与える。

ラングはヘレンとの逢瀬を楽しみ、今のままで幸せだと説く。ヘレンはシャーロットがラングをタワーで最高の備品と例えていた事を明かす。ヘレンは帰り際にシモンズ達に連れ去られる。ワイルダーはシャーロットを部屋で待ち受け、設計者との関係を知った事を明かし、シャーロットを暴虐する。

ロイヤル、シモンズ、パングボーンらはワイルダーの処遇を協議する。シモンズはラングを利用してワイルダーロボトミー化する事を提案する。ラングは手紙でその打診を受け、ワイルダーの精神鑑定をしたい旨返答する。ロイヤルはロボトミー化の如何は自らが決める事だと主張する。シモンズはロイヤルがヘレンを寝取ったが為に、ワイルダーに狙われているのだと説き、ヘレンを連行してきた事を明かす。パングボーンはワイルダーを排除し次第、中下層の住人を争わせ、タワー全体の植民地化に着手し、ロイヤルが低階層の大規模リフォームを行う事を提案する。ロイヤルはアンの愛馬を食料に供する事に賛成し、アンは反発する。その直後、コスグローブがテレビ局からタワーに戻った際に低階層の住人に拉致される。

ラングはシャーロットの部屋を訪ね、ワイルダーと出会す。ワイルダーはシャーロットを見ていないと偽ると、タワーに住むには黙って従い、節度を持つという特殊な習性が必要であり、その点で自己完結型のラングはタワー暮らしの心理的な重圧に鈍感でいられるのだと説き、大気中の進化した新種の様だと表現する。

その後、ラングは自らの部屋を片付けた後で立ち去ろうとした矢先に、シモンズにペントハウスに連行される。ラングはワイルダーがタワーで唯一まともな男だと説くと、ロボトミー手術を拒否する。シモンズとパングボーンはラングをタワーから投げ落とそうとするが、そこへロイヤルが現れ、それを阻止する。一方、ヘレンは産気付き、ペントハウスの一室で出産の準備に入る。

ラングはロイヤルと会食する。ロイヤルは一連の事件を経て、タワーに何かが足りないのでは無く、多く入れすぎたのが問題であり、その失敗が新たな生活へ逃避する手段が実行された事を住人達に教えたのだと説き、未来の発展の実例になる事を希望する。ラングとシャーロットは調理した馬の肉を貪る。隣の部屋でヘレンが無事に出産を終える。

間もなく、ワイルダーは通気口からペントハウスに進入する。ロイヤルが囲う女達はタワー再建の策を練る。ワイルダーはヘレンを探す途中でロイヤルと遭遇し、ロビーで会った時に認めなかった事を詰る。ロイヤルはワイルダーを無視するが、ワイルダーはヘレンを連れて行った理由を問い質す。ロイヤルはワイルダーに侮辱された事に憤り、殴り掛かる。ワイルダーは咄嗟に拳銃でロイヤルの腹部を撃ち抜くと、自分の行いを反省する様に言い放つ。そこへロイヤルの女達が集まり、ワイルダーを滅多刺しにして殺す。その様子をトビーが万華鏡で覗き込む。

ラングはすっかり精神を病み、殺したシモンズ、パングボーン、コスグローブら高階層の住人達をプールに放置し、その中にロイヤルの亡骸を沈める。多くの住人がいなくなり、頽廃したタワーの長に君臨したラングは、強力な理論に基づき、住人を服従する術を模索する。ラングは残った犬を食料にしながら、二つ目のタワーの開発が失敗するのを待ち、その住人を自らのタワーに歓迎しようと企てる。傍らに寄り添うシャーロットは、ラングが独り言を呟いている事を指摘する。一方、屋上ではトビーがラジオを通じて、サッチャーによる国家資本主義には政治的な自由が無いという旨の演説を聞く。

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