ピーター・デイヴィス監督作「ハーツ・アンド・マインズ/ベトナム戦争の真実」("Hearts and Minds" : 1974)[DVD]
ベトナム戦争の現地取材や当事者へのインタビューにより、戦争に至った背景や被害の実態を描き出す、ドキュメンタリー作品。
およそ40年前の作品。アカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞したそうで、古臭さは否めないものの、画の持つ力は感じる。当時の米国に漂う強烈な反共意識が、戦争ムードに火を付け、国民をベトナム戦争へと駆り立てていった経緯が見て取れる。しかし、帰還兵が戦地での事実を曝け出し、政府当局の欺瞞が明らかになると、国民の厭戦の気運は一気に高まっていく。そんな最中に、本作は制作された様だ。半世紀近くが経過し、手軽に各種の情報にアクセスできる今となっては、当時の息吹を感じる以上の思いしか抱けないのだが、逆に自分がいかに無知かを知る良いきっかけとなる。近年の作品では自主規制されがちな部分にも、しっかりと焦点を当てており、一見の価値ありかなと。