チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

神作品「この世界の片隅に」で「のん」こと能年玲奈はあまちゃんのイメージを完全に超越した。

昨日は劇場で片渕須直監督作「この世界の片隅に」を観てきた。「のん」こと能年玲奈が声優として主演する、戦争を題材にしたアニメ作品である。実は一週間ほど前まで、トム・クルーズ主演の「ジャック・リーチャー」の新作の方を観るつもりでいたのだが、予告編からしてアクション・スリラーとしての凡作感が垣間見えてしまったので、どうしたものかしらんと考えていたところに、丁度公開時期が重なる「この世界の片隅に」が目に止まったのである。絵柄的にややヌルそうな印象だったから、私は受け付けないのでは無いかという心配もあったが、扱うのが戦争だし、主演が能年玲奈ならそれなりに楽しめるだろうというくらいの軽い動機で即決した。実際に鑑賞してみて、その決断は完璧に正しかった。一人の普通の少女が成長し、嫁に行き、やがて戦争の災禍に否応無く巻き込まれていく様を活写しているのだが、のほほんとした展開が淡々と続く序盤と、抗えぬ戦争の悲喜こもごもが生じ始める中盤以降のギャップに見事に心を揺さぶられてしまった。おっとりとしていながらも、毎日を気丈に生きようと頑張る、主人公すずのその健気な様は、まさに能年のイメージに合致しており、文字通りハマり役だと思った。私は彼女の女優としての力量についてどうこう言える様な身分では無いが、兎にも角にも彼女の余人をもって代え難い感はハンパない。私は本作を観て、心が洗われた気持ちになったが、多くの人も同じ様な体験をするのでは無いだろうか。本作はイデオロギー色が排除されているから、日本に留まらず、海外にもリーチする内容だと思うし、実際にそうであって欲しい、まさに神作品である。