チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ホーンズ 容疑者と告白の角

アレクサンドル・アジャ監督作「ホーンズ 容疑者と告白の角」("Horns" : 2014)[BD]

恋人を殺され、その容疑をかけられた男が、突如額に備わった告白を促す角で、真実の究明に奔走する様を描くダーク・ファンタジー・ホラー作品。

ラジオ局でDJを務めるイグナティウス(イグ)は、幼馴染で恋人のメリンに対するレイプ殺人の容疑をかけられる。イグはマスコミに容疑者として付け回され、集まった近隣住民には罵声を浴びせられ、また職場では休職を命じられる。イグは信頼を寄せてくれる幼馴染リーに弁護を依頼するが、時を同じくして、鑑識ラボが火災に見舞われ、メリンの死体に残っていた体液サンプルが焼失し、またイグの犯行を裏付ける新証人の噂が立ち始める。イグは自分の両親でさえ、疑いを寄せている事を察知し憤慨する。イグは馴染みの酒場でも店主や客達に疎まれるが、店員で幼馴染のグレンナはイグを庇う。

その夜、メリンの父デイルが殺害現場で追悼式を開き、住民が集まる。デイルは家族の様に接してきたイグがメリンを殺した上に、野放しになっている事を嘆く。イグは皆が帰った後に現場に訪れると、生前に教会に通い、十字架のペンダントを着けていたメリンへの神の仕打ちを恨み、悪態を付く。そこに現れたグレンナに宥められ、イグは酔った勢いで夜を共にする。

翌朝、目覚めたイグは、額から二本の角が生え始めているのを知って驚く。ところがグレンナはそれに驚かず、自らの欲望を露わにする様な不可解な言動を見せ、イグは困惑する。角は更に大きくなり、イグは病院に駆け込むが、角を見た者達は誰も驚かず、不可解な言動を現す為、イグはやがて角が人の心の内に隠した本性を露わにしているのだと悟る。更にイグは人に接触する事で、その者の考えている事を見透す事ができる様になる。医師に麻酔をかけられると、イグはメリンとの出会いを回想する。

子供の頃、教会の集いに両親と共に参加したイグは、十字架のペンダントの反射光で意志の疎通を図ってきた女の子メリンの存在を知る。集会の後、イグはメリンの座席に落ちていたペンダントを拾い、リーに修理を頼むが、リーもまたメリンに好意を抱き、自分から返却する事を望んだ為、イグは友達エリックから貰ったチェリーボムとペンダントを交換する。イグはペンダントを返却するが、その直後、リーはチェリーボムで左手の指を損傷する。メリンと親しくなったイグは、森の樹上に見つけた隠れ家にメリンを招く。イグはペンダントを直したのがリーだと明かし、気が咎めると告げるが、メリンはイグに見つけて欲しくてわざと置いたのだと明かす。二人はそこで始めて口づけをし、大人になってからも隠れ家を二人の愛の巣としてきたのだった。

医師が頼りにならないと知ったイグは、教会の神父の元に訪れ、角を消す方法を尋ねる。神父は自業自得だと告げ、神に見放され、楽園を追放されたサタンは蛇となり地を這う運命であり、救済が無いと説くと、自殺する様にイグに促す。

イグはリーと会うが、リーには角が見えていない事を知り、善人には見えないのだと悟る。リーはイグがメリンを亡くしたストレスで正気を失っていると諭す。イグはその足で実家に戻り、両親と会うが、両親は角を見るや、心の内を告白し、イグを露骨に忌避して遠ざけようとする。更に父はイグが殺したという疑いを深める余り、イグを服役させまいと考え、旧友に頼んでラボを放火させた事を打ち明ける。イグは真犯人に繋がる証拠を失った事に憤るが、父はイグがメリンを愛しているからこそ殺したのだと指摘する。イグに問い質されたリーは、火災の件を神の恵みだと考え、黙っていた事を打ち明けるが、イグは自ら真犯人を突き止め、罪を告白させようと決意する。

イグは再び酒場を訪ね、客達に告白を促すと、いとこが警官だと称する男が新証人について聞いており、それがダイナーのウェイトレスで、事件当夜にイグがメリンを車に載せたと証言している事を明かす。イグは当夜の事を回想する。

その日、イグはメリンにダイナーでプロポーズをする為に、密かにリングを購入し、リーと兄テリーを呼んで、皆で祝おうと考えていた。夜、イグはメリンとダイナーで落ち合うが、メリンは突然別れ話を始める。困惑したイグは理由を尋ねるが、メリンは自分の人生を現実的に考えなおしたいと主張する。イグはメリンに他に好きな男ができた事を疑い、問い質すが、メリンはイグにはもっと良い女がいると理解を求め、もう愛していないと告げる。イグはメリン無しでは生きていけないと訴え、引きとめようとするが、メリンは店を後にする。自暴自棄になったイグは車で走り去る。そこへ駆け付けたテリーは困惑し、メリンに事情を尋ねる。翌朝、車で眠っているイグの元に警察官エリックが現れたのだった。

イグはダイナーを訪ねると、ウェイトレスの告白から、注目を浴びたくて作り話をした事を知る。イグが殺してやると叫んだ後、メリンを車に引きずり込んで走り去ったと証言したという。その後、イグはテリーに会うために、酒場を訪ねる。グレンナはイグに対し好意を告げ、イグがいるから町に留まっている事を明かす。イグは自分を大切にする様にグレンナに告げ、町を離れるべきだと促す。イグは、ダイナーのウェイトレスの証言が作り話だと証明する様にテリー請うが、テリーは事件当夜メリンと会っていないと話していたにも関わらず、実はメリンと一緒に店を出ていた事を告白する。イグはテリーの回想から真相を暴き出す。

テリーはメリンを車に乗せ、ダイナーを後にすると、イグと何があったか尋ねる。メリンはそれに答えず泣き続け、自分は苦しみに向き合うべきだと主張する。突然、メリンが車を降りると言い出し、大雨に打たれながら森の中に入っていく。テリーは車で待つと伝えると、酒を飲んで寝入る。翌朝、目覚めたテリーは、傍に血に塗れた岩を見つけ、自分の手も血塗れだと知って当惑し、森の中にメリンを探しに向かう。テリーは森の奥で額を割られたメリンの死体を発見すると、疑いがかかるのを恐れ、岩と服を海に捨てたのだった。

イグの追求にテリーは殺していないと釈明する。そこに通報を受けたエリックが駆け付け、イグを州跨ぎの逃走の罪で逮捕する。エリックは証拠をでっち上げてでも殺人罪に問いたいと告白する。

翌日、リーの計らいによりイグの保釈が認められる。リーはイグに自制を促す。イグはウェイトレスの作り話と、テリーがメリンを連れだした事についてリーに伝える。その時、イグはリーがメリンのペンダントを付けている事に気付いて指摘する。リーはメリンに貰った事を認め、二人が関係を持っていた事を明かす。イグはメリンの相手が信頼していたリーだと知ってショックを受ける。

イグはその足でデイルの元に訪れ、メリンから自分と別れたい意向や、他の男の有無について聞いていないか尋ねる。デイルはメリンの不実を責めるイグに憤慨する。イグがメリンの事が分からなくなったとその困惑を明かすと、デイルはメリンの様に一人で怯えながら死ぬ様に告げ、イグを追い返す。

イグは自暴自棄になり、角を強引にへし折ろうと企てるが、その矢先にイグの周囲に大量の蛇が集まり始める。イグはそれらが神の計らいと悟り、真実を明らかにする角を受け入れる。イグはウェイトレスを蛇に襲わせ、罰を与えると、追い回すエリックを唆し、互いにゲイ同士の同僚に関係を仕向ける。

イグはテリーの元を訪ね、メリンを発見しながら救急車も警察も呼ばずに逃げた事を責め立てると、自分が逮捕されても真実を明らかにせずに見捨てた、身勝手で薄汚い野郎だと詰る。イグは、内なる悪魔に向き合う以外に救済は無いと説き、テリーにドラッグの大量吸引を促し、急性中毒を起こして罰する。

程なくして、港に探しに来たリーに、イグはいつから関係を持っていたか尋ね、リーは2ヶ月前からだと答える。イグはリーに不信感を募らせ、弁護人を解任すると、ペンダントを引きちぎる。その途端、リーにも角が見える様になり、イグは全てを告白する様に迫る。リーは殺す気は無く、弾みで殺した事を明かす。イグはリーに触れ、回想から真実を暴き出す。

事件当日、メリンはイグからプロポーズされそうな気配を察知し、自分の体に生じた変化を理由に、イグと結婚できない事をリーに打ち明けていた。メリンはイグと別れた後にそばに居てほしいと告げ、ダイナーに来る様にリーに請い、リーは快諾する。夜、リーはメリンを乗せたテリーの車を追いかけ、メリンを追って森の中へ向かう。思わぬリーの出現に、メリンは一人にさせて欲しいと告げるが、リーはメリンを抱き寄せて宥めると、キスをする。当惑したメリンは、リーの誤解を指摘して突き放すが、リーは自分達こそ運命の二人だと主張する。メリンはリーを激しく拒絶し、イグを世界の誰より愛していると告げると、リーは激昂してメリンをレイプした後、岩で額を殴って殺す。その後、リーはテリーの車に血の付いた岩を放置して去ったのだった。

告白を終えると、リーは繋船鎖でイグを痛めつけると、イグを車に乗せてガソリンを撒き、炎上させる事で、イグが罪を告白した後、罪悪感に耐えかねて自殺を図ったように工作を企てる。イグは炎に焼かれながらも、咄嗟に車を海に突っ込ませて沈める。その後、イグの遺体は発見されなかったが、リーの思惑どおり、警察には自殺と判断される。

程なく、イグは全身に大火傷を負いながらも生還し、デイルの元へ訪れる。イグはなぜ死なないのか自分でも分からないと告げると、デイルはイグの死を聞いても心が晴れなかった事を明かす。イグは自身の潔白を訴え、真犯人を知っていると明かし、自分に任せて欲しいと請う。罪を裁くには自分も罪を犯すしかないと告げるイグに、デイルはメリンから預かっていた鍵を手渡す。イグはペンダントをデイルに返却しようとするが、デイルはメリンが守ってくれると称し、イグが持っている様に促す。イグがペンダントを着けた途端、角が消え、火傷が治癒し、元通りの姿になる。イグは角が呪いでは無く、真実へと導く祝福だったと悟る。

イグはデイルから受け取った鍵で隠れ家の小部屋を開け、そこにメリンの残した遺書を見つける。その中でメリンは、母と同じ遺伝性のガンを患っている事を明かし、病気に付きあわせてイグの未来を棒に振ってしまうのを拒む為に遠ざけたのだと告げる。メリンはイグの幸せを望み、いつの日か再び隠れ家で会う事を願う。メリンの親愛を知ったイグは、入院中のテリーの元を訪ね、リーが真犯人だと明かし、両親の為に無事でいるように告げて立ち去る。

イグはリーと会い、自分への仕打ちを覚えていない事を知ると、メリンの殺害現場に連れて行き、罪を認めるように迫る。イグはメリンが望んだ正しい男でありたいと告げ、リーを殺さずに自首を求める。そこへテリーがエリックを連れて駆け付ける。エリックはテリーから一部始終を聞いており、リーに銃を突きつけ真実を話す様に迫る。リーは罪を償うと欺き、不意を突いてエリックに襲いかかり、銃を奪うと、格闘の末にテリーを負傷させ、エリックを殺す。窮地に立たされたイグはペンダントを引きちぎり、天使の姿から業火に包まれた後、サタンへとその姿を変える。イグはリーに銃撃を受け、更にフォークで突かれて深手を負いながらも、角でリーに致命傷を与えると、蛇による裁きを与えてリーを殺す。イグはテリーに抱えられ、そのまま炭と化す。死後、イグはメリンと森で再会し、永遠の愛を囁き合う。

 

 

ダニエル・ラドクリフに角が生えているというビジュアルだけで、もう観るっきゃないという気にさせる作品。どんな話か全く想像できなかったのだが、ベースはストレートな純愛物語でなかなか微笑ましい作品という鑑賞後感。角が生えるというぶっ飛んだ世界観はファンタジーならではで、この角を前にするとどんな者も心の内を洗いざらい自白してしまうという設定は面白い。犯人が分かり易すぎたから、結果は同じにしても、もう少しだけ展開に意外性が欲しかった。しかし、いつ見てもラドクリフは美男子だな。ジュノー・テンプルのラブシーンも美しくて良かったが、それだけにメリンの殺害シーンの残酷さが際立っていた。この監督らしく、映像が凝っているんだよね。

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