チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ヴィレッジ

M・ナイト・シャマラン監督作「ヴィレッジ」("The Village" : 2004)[DVD]

化物が棲むという深い森により、町と隔絶された小さな村で、不可解な事件が頻発し、やがて村に隠された秘密が明らかになっていく様を描くミステリー作品。

鬱蒼と茂る深い森により町と隔絶された小さな村に、エドワードを筆頭に数名の年長者メンバーを中心とした村人達が、集団で慎ましくも自給自足の生活を送っている。森には「語ってはならぬ物」と称される赤いローブを纏った怪物が棲みついているとされ、村と森を隔てる境界が設けられており、互いに出入りしない協定が結ばれている。年長者はこちらから森に入らない限り、相手も何もしてこないと子孫に説き、また怪物の纏う赤色は不吉な色とされ、赤い物は見つけ次第、地中に埋めるのが村の習わしとされている。

ある時、年長者メンバーの一人オーガストの幼い息子ダニエルが病死する。その直後、村の中で首を折られ、皮を剥がれた動物の死骸が発見される。村人達は俄に森の化物の仕業だと疑い始める。

年長者メンバーのアリスの一人息子ルシアスは、ダニエルの病死を受けて、森を超えて町へ行き、新しい薬を入手して来る許可を求める。ルシアスは化物が感情や恐れを感知する為、純粋な気持ちを理解し、通してくれるはずだと主張するが、町には邪悪な人々が住んでいるという共通認識を覆せず、年長者達に却下される。その後、更に動物の死骸の発見が相次ぎ、年長者達は協定が破られたのでは無いかと危惧し、見張りの強化が図られる。

エドワードの長女キティは、ルシアスとの結婚の許可を、本人に相談する前に、エドワードに求める。エドワードが結婚に同意すると、キティは意を決してルシアスに告白するが、ルシアスはそれを拒否する。次女で盲目のアイヴィは傷心のキティを慰める。

後日、アイヴィは友人で知的障害を持つノアと共にルシアスと会い、ルシアスの自分への好意を予てから察していた事を明かし、ルシアスが本心を悟られない様に隠していると指摘する。そこへノアが自ら詰んできた赤いベリーをアイヴィに手渡す。ルシアスはノアから詰んだ場所を聞き出し、ノアが密かに森に入っていた事を知る。ルシアスはその事実を年長者達に報告し、ノアが無邪気だから襲われなかったのだと主張すると、改めて森を抜けて町へ行く許可を求める。

その夜、アリスは父がかつて森に入った後、所持品を奪われ、死体で発見された事をルシアスに打ち明けると、ルシアスの身を案じ、森への侵入が村に危険を招くと諌める。ルシアスは年長者達が各々鍵を掛けて保管する箱の事を知っており、村に秘密が多すぎると指摘すると、アリスが管理する箱の中身について尋ねる。アリスは忌まわしい記憶を忘れぬ様に封じ込めてあると告げ、忘却が新たな悪を生むと説く。

翌日、ルシアスは密かに森に侵入してベリーを摘むが、その際、化物の気配を感じ取る。その夜、アイヴィはルシアスと会い、町へ行くのを制止する。アイヴィはキティが村の若者クリストップと結婚する事を明かし、キティが結婚すれば自分も思いに応えられるとルシアスに告白を促す。

程なくして、見張りが化物の侵入を察知し、鐘で知らせる。村人達はそれぞれの家に設置された地下室に避難する。キティは家族と居合わせたノアを地下室に避難させ、アイヴィにも避難を命じるが、アイヴィはルシアスが自分を助けに来るのを信じて待つ。そこに化物が接近すると、駆け付けたルシアスがアイヴィの手を取って避難させる。村人達は不安な夜を過ごす。

翌朝、各戸のドアに化物の付けた印が見つかる。年長者達は村人を集め、脅かされたと思い込んだ化物による警告だと伝える。ルシアスは自分が森に入り、化物に目撃されたのが理由だと申し出て、許しを請う。エドワードはそんなルシアスに勇敢だと諭す。

後日、キティの結婚式が開かれ、村を挙げて盛大に祝われるが、その最中、村内で化物の侵入が目撃される。その後、村の至る所で皮を剥がれた家畜の死骸が見つかり、更にドアに警告の印が付けられた為、結婚式はお開きとなる。その夜、ルシアスはアイヴィの元を訪ねる。アイヴィは翌日、審問会が開かれ、村人が化物について一人ずつ質問される事を明かす。アイヴィはルシアスになぜそんなに勇敢なのか尋ねると、ルシアスは先の事より今すべき事を考えると答える。ルシアスはアイヴィに促されるままに、アイヴィに対する思いを打ち明け、結婚の意志を伝える。その後、ルシアスはアイヴィとの結婚をアリスに報告する。

翌日、ルシアスとアリスの結婚の一報が村を駆け巡る。アイヴィはキティに許しを請い、キティは快諾する。程なくして、ノアはルシアスの元を訪ねると、突然ナイフでルシアスを刺して致命傷を負わせる。ノアは両手を血で染めたまま、両親の元へ戻る。不安がよぎったアイヴィは、ルシアスの自宅を訪ね、そこで昏睡状態のルシアスを発見する。

村人達はルシアスの回復を願い、祈りを捧げる。アイヴィは懲罰部屋に監禁されたノアに、平手打ちを何度も浴びせる。ルシアスが傷からの感染症で重篤な状態に陥ると、アイヴィは森を抜けて町へ行き、薬を入手する許しをエドワードに請う。祈るしか無いと主張する年長者達に、エドワードは町で薬を入手する案を諮る。年長者達は「平和な暮らしの為にはつらい選択も」という年長者全員で誓った掟を挙げ、二度と町へ戻らないという誓いを説く。

エドワードはアイヴィを連れ出し、祖父の話を聞かせる。祖父は町で一番裕福で、金儲けに長けた人だった。しかし、金は邪悪な物で、善人の心も悪に染めてしまう。祖父は才能と人格に優れていたが、その事が見抜けず、睡眠中に頭を撃たれて殺されたのだという。エドワードは村の誰よりもアイヴィを信用していると告げると、村外れの小屋にアイヴィを招き、村の秘密を打ち明ける。エドワードはそこに隠されている化物の衣装の存在をアイヴィに伝え、化物に纏わる一切合切が、誰も町へ行かせない為に年長者が偽装して行ってきた茶番だった事を明かす。エドワードは、年長者の誰もがかつて大切な人を失い、悲しみに耐えかね、生きる事の価値にさえ疑問を抱いた末、子供達にそんな心の闇を経験して欲しく無いと考えたが故の行いだと説き、アイヴィに理解を求める。

エドワードはアイヴィに薬のリストと金の懐中時計を手渡すと、森を抜けて町へ出る道のりを教える。その後、アイヴィは身支度を整えて森に入る。エドワードは年長者達にアイヴィを使いに出した事を伝える。年長者達はエドワードが相談無しに決め、村を危険に晒した事に反発する。エドワードは、町を捨てたのは正しい世界を望んだからだと反論する。エドワードは子孫の未来の為に村があり、必要ならリスクを冒すと説き、それができないのなら自分達が志向し、守り抜いてきた無垢の世界とは言えぬと主張すると、アイヴィは愛によって導かれており、愛が全てを可能にすると、年長者達に理解を求める。

森の中で夜を明かしたアイヴィは、更に先へ進む。その最中、アイヴィは深い陥没に転落しそうになるも、辛うじて難を逃れる。歩き続ける内に方角を見失ったアイヴィは気が動転する。彷徨うアイヴィの前に存在しないはずの化物が現れ、アイヴィに襲いかかる。アイヴィは化物から逃げ惑う内に、再び陥没に戻り、化物を誘い込んで転落させる。盲目のアイヴィは気付かなかったが、それは懲罰部屋の床下に隠された化物の衣装を纏って抜け出してきたノアだったのである。ノアは穴の底で息絶える。やがて森を抜け、小道に出たアイヴィは、外部との仕切りに到達する。

一方、村でアイヴィの帰りを待つエドワードは、妻と共に秘密の箱を開け、封じてきた過去に思いを馳せる。かつて町で別々の生活を営んでいた年長者達は、それぞれに大切な人を殺され、心に傷を抱えていた。やがて彼らはカウンセリングセンターで一同に介し、意気投合すると、大学教授だったエドワードの発案で、町と隔絶した村を作り、自給自足の生活を始めたのであった。

仕切りを乗り越えたアイヴィの元に、野生生物保護区のパトロール車に乗ったケヴィンが現れる。ケヴィンは森から来たというアイヴィを不審者として扱うが、アイヴィがリストを手渡して薬の提供を請うと、切迫した状況だと察する。アイヴィは金の代わりに懐中時計を差し出す。アイヴィを信用したケヴィンは詰め所に戻ると、上司の目を盗んで薬を持ち出し、アイヴィに手渡して森に帰す。その際の上司の話から、昔、役人が金を貰って地域一帯の上空飛行を禁じた事が明らかになる。

村に戻ったアイヴィは化物に襲われたが殺した事を打ち明け、ノアの両親はノアの死を悟る。エドワードはノアが化物に殺された事にして、立派に弔う事で、この暮らしを継続する決意を年長者達に確認する。アイヴィは薬を持ち帰り、病臥のルシアスと再会する。

 

 

冒頭からクセのあるシャマラン節の効いた世界観が繰り広げられ、すっかり前近代を舞台にしたファンタジー風な作品だと思い込んでいたのだが、クライマックスが近づくにつれ、村の成り立ちが明らかになってくると、その思い込みがひっくり返る様な仕掛けとなっており、それが心地よいと思えるなら楽しめる作品だと言える。町に蔓延る悪を忌避し、その為に理想を共有する者達だけで村を作り、理想の為に子孫を欺いてまで村を守ろうと腐心する様子は涙ぐましいものがあった。上空を飛行禁止にしたところで、現代の様に衛星が全てを丸裸にしてしまうような時代なら、人知れず存在する村とて容易に発見されてしまうだろうが。しかし、あのオドロオドロしい化物が偽物だとは予想できなかったな。ブライス・ダラス・ハワードは本作と、レディ・イン・ザ・ウォーターで、シャマラン作品の主役を演じているが、どちらもやや不思議ちゃんな雰囲気を醸しだしているのが印象に残った。

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