ダン・メイザー監督作「ダーティ・グランパ」("Dirty Grandpa" : 2016)[BD]
結婚式を目前に控えた青年が、妻と死別したばかりの祖父に運転手を頼まれ、ある猥雑な悲願を叶える為の破茶目茶な旅路に繰り出す様を描くコメディ作品。
アトランタの企業弁護士ジェイソンは、勤務する父デビッドの事務所の同僚で婚約者のメレディスと一緒に、癌で死んだ祖母の葬儀に出席する。祖父の通称ディックは、葬儀を終えるや、妻が毎年楽しみにしていたフロリダ旅行に行く事を希望し、白内障で免許を失効した自分に代わって、成人後は親交が乏しかった孫ジェイソンに運転を依頼する。ジェイソンは結婚を来週に控え、親族を招く食事会などの準備も忙しい事から難色を示す。ディックは久しぶりに孫と一緒に過ごしたいのだと懇願し、ボカラトンまで行って一泊で帰れると説く。ジェイソンは応諾する。
翌日、メレディスがジェイソンのSUVの使用を希望した為、ジェイソンはメレディスのピンクのミニに乗って、ディックをアパートへ迎えに行く。ジェイソンは、部屋で酒を呷り、ポルノを見ながらオナニーに耽る祖父を見て面食らう。ディックは何食わぬ顔で準備を済ませ、意気揚々と車に乗り込む。ディックはジェイソンが高校の頃に写真家になって世界中を旅して回りたいと語っていた事を述懐する。ジェイソンは写真の勉強をしていたものの、大学で法学に転向した事を明かす。
二人は途中で寄ったレストランで、ジェイソンとフロリダ大の写真の授業で面識のあるシャディアとその友人レノーア、ブラッドリーと、ひょんな事から知り合いになる。ディックは自らをジョージア大の教授、ジェイソンをプロカメラマンと偽って紹介する。シャディア達はデイトナビーチに行く予定を明かし、一緒に来るよう勧めるが、ジェイソン達はそれを拒み、予定通りゴルフ場に向かう。
ディックはゴルフ場に着くや、二人組の女をナンパする。ジェイソンは祖母の葬儀の翌日の愚行を非難する。ディックは妻が死に際に「好きに生きて欲しい」と自分に望んだ事を明かし、40年ぶりに独身に戻った今こそ再びセックスしたいのだと主張する。ジェイソンは呆れ果てる。そこへレノーアからディック宛に、デイトナビーチへの誘いのメールが来る。ディックは、レノーアと楽しんだ後で旧友スティンキーに会いに行く意向を示す。
デイトナビーチに着くや、束縛の厳しいメレディスからジェイソンに連絡が入り、目的地のボカラトンでは無く、デイトナビーチにいる事が知られる。二人はサーフショップを訪ね、店主にしてドラッグの密売人パムと出会う。二人はその足でビーチに向かい、シャディア達と再会する。そこへシャディア達の友人でフロリダ大の同級生コーディとブラーが現れ、ジェイソンとディックに一気飲みゲームへの参加を促す。
二人は大学生の集うプール脇のホテルで一気飲みゲームに挑む。ジェイソンはディックが密かに抗不安薬を盛った酒を飲み干す。ジェイソンとディックはコーディとブラーとの対決に勝利するが、ジェイソンは完全に正体を失う。夜になり、ジェイソンは股間に蜂のぬいぐるみを着けただけの裸姿で学生達と乱痴気騒ぎに興じる。ジェイソンはパムにコカインを勧められて更にハイになると、ホテルを飛び出し、酩酊状態のままバイクに乗って走り去る。
翌朝、ビーチで寝入っていたジェイソンは、メレディスからの電話で目を覚ますと、ディックが取り乱してボカラトンに着くのが遅れたと嘘を付き、平静を装う。そこへ子供がやってきて、股間の蜂に興味を持ち、それを引っ張って外す。傍にいた子供の父親はジェイソンを変態と誤解する。そこに警官が駆け付け、ジェイソンは逮捕され、留置所に入れられる。程なく、ディックがやってきてジェイソンは釈放される。ジェイソンはディックが来るのが遅かった事に憤り、スティンキーの元まで送り次第、直ちに帰る意向を示す。
二人はディックの軍人時代の僚友スティンキーの暮らす老人ホームを訪ねる。スティンキーは肝不全で余命一ヶ月である事を明かし、人生が終わりだと悲嘆する。ディックはスティンキーを連れ出すのを諦めると、再びデイトナビーチに戻ってレノーアとセックスする事を決意する。ジェイソンはそれに反発する。ディックは妻を亡くし、友人を失い、残された時間も僅かで、自分にあるのは恐怖だけだと説き、死が遠い将来のジェイソンには理解できないのだと諭すと、自らの望みを叶える為に協力を請う。ジェイソンは渋々もう一日帰りを遅らせる事を決める。
デイトナビーチに戻った二人は、パムが主催する肉体自慢のショーへの参加を唆される。二人は再びコーディ、ブラー組と対決し、ジェイソンが子供の頃にディックとやっていた凄技を披露する事で勝利する。パムは観客に写真を撮るよう促す。ジェイソンは写真がネットにアップされ、キャリアを失う事を恐れて逃げ出す。コーディとブラーが繰り上げの勝者に決まると、ディックは特効に細工してコーディの顔面を狙い撃ちし、怪我を負わせる。ジェイソンはディックがアラビア語を話したり、鍵無しで車を動かしたりする様を見てきて、その素性を訝しく思っていた為、いよいよ何者なのかと問い質す。ディックは元特殊工作員でゲリラ兵の指導を担当していた事、妻以外の誰にもそれを知らせていない事を明かす。
その夜、二人はナイトクラブでレノーア達と酒を飲み交わし、ダンスに興じる。その最中、ブラッドリーがタイ率いる不良グループにゲイである事を理由に誂われる。ディックは不良グループを外に連れ出すと、全員を容易く捻り上げた後、追い払う。ディックはレノーアとのセックスの機を逸し、ジェイソンと同じベッドで一泊する。
翌日、ジェイソンはシャディアの参加する環境保護活動に同行する。シャディアは船を借りて一年間、海上で気候変動の記録映像を撮る予定を明かす。ジェイソンとシャディアはカメラを通じて意気投合し、互いに好意を寄せ合う。そこへブラッドリーから、不良グループにディックとレノーアが連れ去られたとの報せが入る。ジェイソン達はグループが泊まるホテルへ駆け付け、大麻を吸ってすっかり意気投合したディック達を目の当たりにする。一同は揃ってカラオケ・バーへ繰り出す。そこへコーディが忍び込み、ディックの免許証から本名を確認する。
その後、ディックはジェイソンとホテルのプールサイドで語らい合う。ディックはレノーアとセックスできる見込みが立った事で、ジェイソンに感謝する。ジェイソンはメレディスとの結婚を辞める決意を示す。ディックはそれに理解を示すと、人生の全てを共有した自分の妻の様に、好きでいられる女を選ぶ様に促す。ジェイソンはシャディアと信頼関係を築く為に真実を打ち明ける意向を示す。ディックはレノーアとのセックスが済むまで待つように頼むが、ジェイソンはそれを拒み、シャディアの部屋へ向かう。そこにコーディとブラーが待ち伏せしており、ジェイソンを殴り飛ばすと、ディックの免許証を元に調べたディックとジェイソンの素性を明かす。シャディアはジェイソンがディックと孫と祖父の関係であり、結婚式を目前に控えている事を知ると、嘘を付かれていた自分が惨めだと非難する。年寄り好きなレノーアはそれでもディックとのセックスを希望する。そこへ警官二人が駆け付け、ジェイソンはコーディの仕込んだ大麻が原因で再び逮捕される。
翌朝、釈放されたジェイソンは、免許失効が嘘だった事についてディックを非難する。ディックは、ジェイソンが自分を偽って父親の決めた人生を歩み、メレディスと結婚する事で父親と同じ様に不幸になるのが忍びなかったのだと弁解すると、自らは息子の成長に手を貸さなかった為に、女の尻に敷かれる男にしてしまった事を悔悟する。ジェイソンは呆れ果てると、父親としてだけで無く、祖父としても最低だと詰り、式に来ない様に釘を刺して一人で帰る。
帰宅後、失意に暮れるジェイソンの元に、ディックからメッセージを添えたカメラが届くが、ジェイソンはそれを送り返す。程なく、親族を集めた食事会が開かれ、メレディスとジェイソンの思い出の写真がスクリーンにスライドで表示される。ディックは知人を介してPCをハッキングし、デイトナビーチで撮ったジェイソンの破廉恥な写真の数々を表示する。親族はそれを見てドン引きする。ジェイソンは意を決して釈明に応じ、「痛みを受け止めれば進める」というディックの教えを説くと、メレディスに結婚できない旨を伝える。
ジェイソンは会場を飛び出し、ディックと再会する。ディックはシャディアがフロリダを横断するバスに乗っており、四時間後に出航する船に乗る予定だと報せると、シャディアを連れ戻すよう、ジェイソンに発破をかける。ジェイソンとディックはパムのトラックに乗り込む。そこへ駆け付けたデビッドが止めに入り、行けば事務所をクビにすると牽制する。パムはスタンガンでデビッドを気絶させる。ジェイソンは已むを得ずデビッドをトラックに乗せ、出発する。トラックは爆走の末に、シャディアを乗せた環境保護グループのバスに追いつくが、その矢先にパトロール中のパトカーに見つかる。ディックは卓越した運転でパトカーを振り切り、バスを強引に止める。ジェイソンはシャディアに留まる様に請うが、シャディアはそれを拒む。ジェイソンは自らも同行する意向を示し、シャディアは快諾する。ジェイソンはその旨をディックに伝えると、謝意を告げる。ディックは改めてカメラと愛用のナイフを授け、ジェイソンを送り出す。ディックがアパートに戻ると、居場所を突き止めたレノーアが待っており、二人は晴れて激しいセックスに興じる。
その後、ディックとレノーアは男児を儲け、夫婦となる。ジェイソンは名付け親として複雑な気持ちで、シャディアと共に洗礼式に出席する。