チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ハーフネルソン

ライアン・フレック監督作「ハーフネルソン」("Half Nelson" : 2006)[DVD]

コカイン中毒を患う中学校教師が、孤独で荒んだ暮らしの中で一人の女子生徒と心を通わせる内に、人生を見つめ直していく様を描くドラマ作品。

 

教師ダンはブルックリンの中学校で歴史の授業の教鞭を執り、放課後には学校の女子バスケットチームのコーチを務めている。その一方で、ダンは長らくコカイン中毒を患っており、一度はリハビリ施設で更生を試みるも失敗し、相変わらずコカインを手放せないでいる。ダンは自分を見失いそうになる度に生徒達を心の支えにしつつ、片手間に児童向けの絵本を描きながら、飼い猫と孤独に暮らしている。

ある時、かつて共に更生を図った元カノのレイチェルから久しぶりに会いたいという留守電メッセージが入るが、ダンは返事をせずに放置する。程なくして、レイチェルがバスケの試合中にダンを訪ねてくる。ダンはレイチェルと久しぶりに再会するも、レイチェルのコーヒーへの誘いを拒む。レイチェルはダンが留守電を聞きながら連絡を返さなかった事を知って気分を害する。その直後、ダンは生徒達が帰って無人になった女子トイレに忍び込み、コカインを吸い始める。そこへ、帰ったはずの生徒ドレイが用を足しに来る。ドレイがダンに気付くや、ダンは中毒症状を起こして倒れ込み、ドレイに介抱してもらう。ダンは自転車通学のドレイを車で家まで送り届ける。ドレイは救命士として長時間勤務を余儀なくされる母カレンと二人で慎ましく暮らしており、父は別居し、兄マイクは刑務所に服役している。

ダンはコカイン中毒を悟られぬ様に勤務を続けるが、校長から授業の進め方や態度について批判される。ドレイはダンの裏の顔を知って以来、ダンを気にかける様になる。ダンは同僚の教師イザベルを食事に誘う。一方、マイクの親友でコカインの密売を生業とするフランクは、マイクに借りがある事からドレイの世話を焼くと共に、自宅に招いて密売の手伝いをさせ、生活が苦しいカレンに対価を支給している。ドレイは一人でマイクに面会しに行き、近況を伝える。

ダンはレイチェルと再会する。レイチェルは人生の再起を果たし、更生中に出会った男と結婚した事を明かす。ダンは自らが相変わらずの中毒であり、更生は無理だと卑下する。ある時、フランクがバスケの試合を観に来る。ダンは判定ミスに憤慨し、審判に暴力的な言動を示して退場させられる。試合後、ダンはドレイを送っていく際に、フランクについてドレイに尋ねるが、ドレイは知り合いでは無いと偽る。その後、ダンはイザベルの家に招かれ、ストレス解消にコカインを用いている事や、リハビリに失敗した事、元カノの結婚、生徒のおかげでまともでいられる事などを明かし、イザベルと親睦を深める。

程なく、ダンはドレイに頼まれ、再び家まで送っていく。ドレイは鍵を失くしたと嘘をつき、車に戻ってくる。そこにフランクが車でやってきて、ドレイに世話を焼こうとする。ダンは心配は無用だと説き、フランクを追い払うと、ドレイにフランクとの関係を問い質す。ドレイは家が近いだけで大丈夫だと答える。ダンはドレイを自宅へ招くと、夜中に女を招く事を明かし、一緒に料理の下準備を行う。ドレイは女がジョークを好むとダンに助言する。ドレイはまた、興味本位からコカインを吸うとどうなるのかダンに尋ねるが、ダンは言葉を失う。その夜、ダンはイザベルを自宅へ招くと、料理を振る舞い、ジョークを披露する。その後、二人はセックスする。一方、ドレイは自宅でカレンの化粧品を使ってメイクする。

ある夜、学校でダンスパーティが催される。ダンとドレイはそれぞれダンスを楽しむ。フランクがドレイを迎えに来ると、ダンはドレイがフランクと関わるのを心配し、自らが送っていく意向を示すが、ドレイはそれを拒み、フランクと一緒に帰る。ダンはコカインへの依存を高め、家を空ける事が多くなり、そのせいで猫を死なせてしまう。ダンは身持ちを崩し始め、授業もままならぬ状態に陥っていく。

ある日、ダンは生徒達と科学館へ校外学習に出かける。ドレイは自らもマイクの様になりそうかダンに尋ねる。ダンは明言を避ける。その後、ダンはフランクの家を訪ねると、フランクにドレイに近づかぬよう命じる。フランクはドレイが家族であり、友達だと反論し、ダンが必要以上にドレイに関わる理由を訝る。ダンは放っておけないだけだと答える。フランクはダンがコカイン中毒だと悟り、自宅に招き入れる。その夜遅く、ダンは酔っ払った状態でイザベルの家を訪ね、拒むイザベルを押し倒して体を求める。イザベルはダンの顔を殴って押し退ける。ダンは自分を見失っている事を嘆き、心から謝意を示して立ち去る。

翌日、ダンは同僚教師に疎外された挙句、校長に呼び出され、解雇される。ダンは久しぶりに実家に戻ると、両親と弟夫妻が開いたホームパーティに加わるが、解雇については伏せる。とりわけ母はダンとの再会を歓び、更生と再起を促す。ダンは帰る前に弟の妻からジョークを教えてもらう。一方、ドレイはフランクの家でコカインの袋詰を手伝う。ドレイはフランクにコカインをダンに売ったか尋ねる。フランクは明言を避けると、ダンとの関係を疑う。ドレイはダンが友達だと答える。フランクはダンがコカイン中毒であり、中毒者に友達はいないと諭す。その夜、ドレイはフランクに同行し、コカインと現金の受け渡しを任される。ドレイは指定されたモーテルの一室にコカインを届けに行く。そこにはコカインパーティに耽る数人の男女に混じってダンがおり、ドレイはダンから無言で現金を受け取って車に戻る。帰宅後、ドレイは失意に暮れる。カレンは帰宅するや、ドレイの異変を察知し、何があったのか尋ねる。ドレイはマイクの事を考えていたと答える。カレンは休みが取れたら一緒に会いに行こうと提案する。ドレイは落涙する。

翌日、歴史の授業にダンに代わる新任教師がやってくる。放課後、ドレイは迎えに来たフランクとは一緒に帰らず、再び昨夜のモーテルの部屋を訪ねる。一人残っていたダンは、ドレイと共に自宅に戻る。ダンは放置していた髭を剃り落とした後、弟の妻から教わったジョークを飛ばしてドレイを楽しませる。その様子からダンの再起に向けた決意が示唆される。

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