チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

スイッチ・オフ

パトリシア・ロゼマ監督作「スイッチ・オフ」("Into the Forest" : 2015)[DVD]

人里離れた山奥で電気に依存する生活を送る姉妹が、突然の大規模停電に見舞われた事で、生き延びる為に悪戦苦闘する様を描くドラマ作品。

 

近未来の米国西海岸地区。人里離れた山間部の森林の中に居を構える、父ロバート、長女エバ、次女ネルからなる一家は、母が病死した後も互いに協力しあって暮らしていた。志望大学への試験を目前に控えるネルは勉強に、コンテンポラリーダンサーを志望するエバは稽古に、それぞれ励んでいた。

ある夜、米国全域で原因不明の大規模停電が発生する。ハイテク設備に依存する一家は直ちに生活に行き詰まるが、すぐに復旧する事を期待してライトやロウソクを灯すなどしてやり過ごす。翌朝、ロバートは麓の町までガソリンの入手に出かけようとするが、昨晩にネルがバックドアを開けっ放しにしたせいでバッテリーが上がり、動かせない事に気付く。予備のバッテリーを試すも車は回復せず、徒歩で町まで行くには三日かかる事から、三人は途方に暮れる。その時、ソーラー充電式ラジオで、電力網が過負荷に陥って崩壊した事で、発電所の緊急停止装置が作動し、都市部では俄にパニックが生じている事が報じられる。三人はロウソクを頼りに夜を過ごす。その内、ラジオの電波が途絶える。ロバートは試験の行方を案じるネルを励ます。

停電から10日後。ロバートは一計を案じ、チェーンソーから外したモーターを転用する事で、車のバッテリーを復旧させる事に成功する。三人は意気揚々と町へ出かけ、スーパーを訪ねるが、既に商品が買い尽くされた事を知る。略奪者に備えてライフルで武装するスタッフのスタンは、僅かなガソリンとサービスでロウソクを三人に提供する。ロバートらは更に売れ残りの塩や缶詰などを購入する。その後、エバは稽古場でインストラクターとレッスンに励み、ネルは恋人イーライや友人らと酒を飲んで羽目を外す。日が暮れた後、三人は帰路に着く。エバはダンサーとしての自らの限界を吐露する。道中、三人は略奪を働く暴漢をやり過ごし、無事帰宅する。

翌日、ロバートはガソリンの残量が少なく、電気の復旧の見通しが立たない事から、当分の間、町へは行かず、水も薪も食料もあって安全な家に留まる意向を示す。ネルはイーライらに会えなくなる事から、それに反発する。その後、ロバートはチェーンソーを組み直し、森へ木の伐採に出かけるが、作業中にチェーンソーが分解し、脚に致命傷を負う。ネルとエヴァはロバートの悲鳴を聞いて直ちに駆け付けるが、ロバートは間もなく失血死する。ネルとエバは悲しみに打ちひしがれながらも、森に穴を掘ってロバートを埋葬するが、二人だけになった事で途方に暮れる。

停電から二ヶ月後。二人は備蓄分の粗末な食料で日々を凌ぐ。エバは音楽の代わりにメトロノームを使って稽古を続けるが、いよいよ苛立ちを募らせ、ガソリンで発電機を動かして音楽をかける事をネルに哀願する。ネルは非常時の為に必要だと反対する。エバはネルを拒絶し、稽古場を仕切りで覆って篭り始める。間もなく、家畜の鶏が全て動物に食い荒らされてしまい、二人は豆や穀物などのより粗末な食事を余儀なくされる。更に邸宅が雨漏りし始める。ある夜、エバはネルが偶然見つけた菓子を先に食べた事を非難し、ネルはエバを呼んでも無視するからだと反論する。その時、イーライが大雨の中、訪ねてくる。イーライはネル達を心配して、徒歩で数日かけて来た事を明かす。ネルはイーライに食事を振る舞う。イーライは町に病気が蔓延しており、ガソリンや電気が枯渇している事を明かす。

翌日、ネルは森の奥の大木に設えた秘密の隠れ家にイーライを連れていき、愛し合う。エバはイーライが留まる事への不満を露わにし、妊娠したら捨てられるはずだとネルを詰る。程なく、イーライは東部で復興が始まっている事を明かすと、ボストンまで一緒に行くようネルに打診する。ネルは復興について黙っていた理由を尋ね、イーライは一緒に行く相手がネルで大丈夫か確かめたかったのだと答える。ネルはエバに相談する。エバは徒歩で八ヶ月かかる為に途中で冬になる事を危惧する。イーライは冒険になるが留まっても先は見えず、エバを置いていくのはネルにとっても酷だと訴える。しかし、エバは納得せず、留まる事を決意すると、一緒に留まろうとするネルにこれが自分の道だと説き、ネルとイーライを送り出す。ネルとイーライは森の中で野宿する。翌朝、ネルは思案の末にエバの元に戻る事を決意する。イーライはそれに理解を示し、ネルに愛を伝えると、別れ際にファイアスターターを譲る。エバはネルが戻ってきた事に甚く喜ぶ。

停電から半年。二人は図鑑を元に野草の採集と保存食の調理を始める。ネルは妊娠していない事を知って安堵する。ネルはエバと完全に和解し、ガソリンで発電機を動かして音楽をかける事をエバに提案する。電気を復旧させると、二人は生前の両親と撮ったホームビデオを観て在りし日を懐かしむ。また、エバは音楽をかけて踊る。ネルはエバに内緒でガソリンの予備を分けて、別の場所に保管しておく。翌日、ネルは森へブルーベリーの採集に出かけ、エバは家の前で薪割りに精を出す。そこにスタンがやってきて、様子を見に来た事を明かす。エバはロバートが死んだ事を伏せ、森に出かけていると嘘をつく事で牽制する。スタンはロバートの帰りを待つ意向を示した矢先に、エバを殴り倒してレイプする。その後、スタンはガソリンのタンクを持ち出し、車を奪って逃走する。一足遅く戻ってきたネルは激情しながらも、エバを家の中に入れて介抱すると、最後の鎮痛剤を与えて休ませる。ネルは翌日からバリケードを張って家の守りを固め始める。ネルは悲痛の余り寝込むエバを励ます為、隠していたガソリンを使って音楽をかけ、おどけてみせるが、逆にエバに不満を抱かせる。

停電から八ヶ月。備蓄していた食料が尽きる。ネルはキッチンの棚を漁っている内に、パンプキンと記された封を見つける。ネルはロバートにしばしば「パンプキン」というあだ名で呼ばれていた為、それが非常時に備えておいた自分への手紙だと考えて浮足立ち、エバにそれを伝えるが、いざ開封するとかぼちゃの種が入っているだけで落胆する。ネルは庭に穴を掘って種を植えようとするが、その際に岩を土中から取り除こうとして背骨を痛める。エバはネルを介抱すると、将来への恐怖に悲嘆し、慟哭する。程なく、エバに妊娠の兆候が現れる。ネルは安全に中絶する方法を模索するが、エバは子供に責任は無いと説き、産んで育てる決意を示す。

停電から一年三ヶ月。エバは次第に栄養失調の様相を呈し始める。ネルは動物性食品が欠乏していると考え、ライフルを携えて森へ狩りに出かける。ネルは野生化した豚を仕留め、書物を頼りに肉を解体すると、エバと共に調理し、保存食と石鹸を作る。二人は久しぶりのまともな食事に舌鼓を打つ。程なく、エバは家にいぶした様な不快な匂いを感じ始める。やがて家が大雨に見舞われ、崩れ始める。二人は家が腐蝕し始めているのだと悟る。その矢先にエバは産気付く。二人は今にも崩れ落ちそうな家を離れ、ネルの隠れ家に身を寄せる。激しい嵐の中、ネルの介助を受け、エバは無事に健康な男児を出産する。嵐が収まると、エバは腐蝕した家で赤子を育てる事を拒み、家を焼き払う意向を示す。ネルは困惑するが、エバはもはや修理はできず、湿気で山火事にもならないと説得する。二人は思い出の品々と食料を出来る限り持ち出した後でガソリンを撒き、最後にネルがファイアスターターで火を放つ。二人は家が炎上する様を見届けた後、その場を後にし、森の中に仮の居を構える。

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