チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

脳内ニューヨーク

チャーリー・カウフマン監督作「脳内ニューヨーク」("Synecdoche, New York" : 2008)[DVD]

舞台演出家の中年男が、家族や恋人との関係に悩み、徐々に体を蝕む病に苦しみながらも、現実世界のニューヨークを複製する空前絶後の大規模な舞台に取り組む様を描くコメディ・ドラマ作品。

 

2005年10月、ニューヨーク州北部スケネクタディ。舞台演出家のケイデンは、画家の妻アデルと4歳の娘オリーヴと暮らしながら、町の劇場で目下「セールスマンの死」の公演を控え、稽古に励む。ケイデンとアデルは倦怠期を迎えており、しばしば口論する。ある朝、ケイデンは蛇口の破裂で額に裂傷を負い、外科で手当を受ける。その際、外科医はケイデンに眼科に行くよう促す。眼科医はまた、ケイデンに神経科で検査してもらうよう促す。程なく、ケイデンは便に血が混じっているのを確認する。ケイデンとアデルは精神科医マドレーヌの元で、結婚生活改善のカウンセリングを受ける。アデルはしばしばケイデンの死を想像する事を明かし、楽になりたいと告白する。期せずして、ケイデンは劇場のチケット売り場で働くヘイゼルと親しくなる。

公演初日、ベルリンでの個展を控えるアデルは立て込んだ仕事を理由に、観劇をドタキャンする。ケイデンは初演を成功裏に終えるが、主演のクレアは自らの出来に不満を漏らす。ケイデンはヘイゼルに遊びに誘われるが既婚者ゆえに断り、つまらない男と詰られる。翌朝、ケイデンは各紙の批評記事による絶賛ぶりを見て、上機嫌で帰宅すると、アデルが友人マリアと朝まで遊んでいた事を知る。一方、ヘイゼルは不動産屋から常に火事で燃えている家を内見する。不動産屋は、離婚して以来その家の地下室に住んでいる息子デレクをヘイゼルに紹介する。公演二日目、アデルはマリアと共に観劇すると、郊外の小劇場で年寄りの娯楽の道具に甘んじているとケイデンを批判する。

アデルは少しだけ離れ離れになるだけであり、それが夫婦の為と称して、ケイデンを残してオリーヴと二人でベルリンへ旅立つ。ケイデンは心身に不調を来し始める。ケイデンはマドレーヌの元を訪ね、もうすぐ死ぬ事になるからその前になにかを成し遂げたいと訴える。マドレーヌは快復と称した自著をケイデンに売りつける。ケイデンは歯科医に促され、歯周病の手術を受ける。一方、アデルは個展を成功させ、ケイデンの連絡に応じなくなる。そんな折、ケイデンは発作を起こし、病院で唾液や涙が出なくなる神経性の重症と診断される。

ケイデンはヘイゼルに改めてデートに誘われ、燃えている家で酒を飲み交わした後、セックスに臨むも上手くいかず、ヘイゼルを失望させる。ケイデンは自分がもう長くないのだと弁解する。ケイデンはアデルからのFAXで、オリーヴが枕の下に忘れた日記を読まぬよう促され、その日記を見つける。その直後、ケイデンは天才賞とも称される2009年度マッカーサー・フェロー賞に選出され、高額の賞金を獲得する。ケイデンはそれを元手に、本当の自分を投影する大規模で誠実で困難な舞台を作る決意を固める。ケイデンはマンハッタンの劇場街の中心地で、演劇に最適な巨大倉庫を紹介してもらう。ケイデンはヘイゼルに舞台の構想を語り、助手になって欲しいと請うが、ヘイゼルはまだ怒っている事を理由に断る。ケイデンはオリーヴの日記の鍵をこじ開けて目を通し、オリーヴの嗜好に合ったプレゼントを買ってベルリンに送る。

ケイデンは巨大倉庫に演者を集め、自らの死生観を織り交ぜた舞台のテーマを伝える。クレアはそれに感銘を受ける。ケイデンはレストランでクレアと待ち合わせた際に、偶然ヘイゼルがデレクとデートしている現場に遭遇する。ケイデンは急逝したクレアの母の葬儀に同伴する。急接近した二人は程なく結婚し、アリエルを儲ける。

数年後、ケイデンは現実のニューヨークを街並みから人々までそっくりそのまま再現した、演者1300万人規模の舞台の準備と稽古を続ける。ある時、ケイデンは雑誌で世界初の全身タトゥーの少女フラワーガールとして紹介されるオリーヴを見つける。ケイデンは居ても立っても居られずに、単身ベルリンへ出かける。ケイデンはアデルの個展を訪ね、受付でアデルに二人の夫がいる事を知らされ、門前払いされる。その直後、ケイデンの前にマリアが現れ、アデルとオリーヴと同居している事を明かす。ケイデンはオリーヴの居場所を問い質す。マリアは会うのはまだ早く、オリーヴが作品だと嘯く。ケイデンは憤激してマリアに掴みかかり、マリアは退散する。ケイデンはマリアが逃げ込んだ廃屋の前で、かつてオリーヴに送ったプレゼントが捨てられているのを見つける。ケイデンはそこで発作を起して病院で手当を受け、帰国する。

舞台は大規模かつ複雑化していく。ケイデンはクレアと別居し、症状は悪化していく。ある時、ケイデンは街中でヘイゼルと遭遇する。ヘイゼルはデレクと子供達と一緒に休暇で遊びに来ている事、メガネ店で働いている事を明かす。ケイデンはヘイゼルを尾行し、ヘイゼルがデレク達と楽しそうに過ごす様子を覗き見すると、飛び降り自殺を図ろうとして傍にいた男に止められる。

ケイデンはオリーヴの日記に目を通し、オリーヴがいかに自分を嫌っていたかを知る。ケイデンはクレアに復縁を求め、受け入れられる。その矢先に、ケイデンは父の訃報を受け、クレアと共に葬儀に出る。その後、ケイデンはヘイゼルの家を訪ね、自分がどうすべきか尋ねる。ヘイゼルは自分の人生は自分でなんとかすべきだと諭す。ケイデンは勇気がなくてヘイゼルの気持ちに応えられなかったと弁解し、悔悟を示す。ヘイゼルは自分にはデレクがいるから大丈夫だと応える。ケイデンは再びベルリンに渡り、覗き小屋で働くオリーヴと窓ごしに対面するものの、無視された挙げ句、追い出される。

ケイデンは大量の投薬を続ける。舞台の準備を始めてから17年が経ち、演者らはいつ上演するのかとケイデンに問い詰める。ケイデンは自分自身も誰かに演じさせる意向を示す一方、演者らが担う膨大な役割を自らの手でメモに綴り始める。そんな折、ヘイゼルがケイデン連絡を寄越し、メガネ店をクビになった為に仕事を融通して欲しいと請う。ケイデンはヘイゼルを助手に雇うと、早速自分の役のオーディションを始める。演技未経験のサミーは、ケイデンを20年間追ってきた為になんでも知っていると自負し、雇えば真の自分が分かるはずだと説くと、ケイデンを模倣して見せる。ケイデンはサミーを採用する。

サミーはクレアのアパートに一緒に住み着く。サミーはアデルのニューヨークの住所を教えると、役作りの研究の為にケイデンが今より自分を見失う姿を見たいと説く。ケイデンはニューヨークのアデルの個展に寄った後、アデルのアパートを訪ねる。隣室の老婦はケイデンを清掃員のエレンと誤解して、ケイデンに鍵を渡す。ケイデンはその鍵で部屋に忍び込むが、アデルと夫は不在にしており、ケイデンはアデルがエレンに残したメモを元に掃除をして、朝帰りする。

サミーはヘイゼルの役が必要だとケイデンに訴える。ケイデンは再びアデルの部屋を訪れ、掃除をして帰る。ケイデンとクレアの関係は悪化する。ケイデンはヘイゼル役にタミーを採用する。クレアはケイデンに愛想を尽かして自分の役から降り、別の舞台に移ると、ケイデンを家から追い出す。ケイデンはアデルからメモを通じて、クローゼットを寝室に使う事を許可される。ケイデンはそこでオリーヴの日記を見つけ、オリーヴが重病だと知る。ケイデンは病臥のオリーヴを見舞いに行く。オリーヴは病がタトゥーの細菌に因るものであり、マリアがタトゥーという生きがいをくれ、また女同士の愛に目覚めさせてくれたのだと説く。オリーヴは死ぬ前に自分を捨てた件に対する許しを乞うようケイデンに求める。ケイデンはそれに従うが、オリーヴはケイデンを許さないまま息を引き取る。

ケイデンは舞台のテーマを人生そのものに設定し、稽古が進められる。ケイデンはエレン役にミリセントを採用し、アデルのアパートを舞台に再現する。ヘイゼルはサミーと懇意になり、ケイデンは嫉妬する。その矢先に、ケイデンはスケネクタディ市警から連絡を受け、母が押し入った強盗の犠牲になって死んだ事を知る。ケイデンはヘイゼルの代わりにタミーを同伴して葬儀に参列する。ケイデンは母が暮らしていた実家にタミーを招くと、孤独の余り、タミーに誘われるままセックスに応じる。ケイデンはニューヨークに戻ると、ヘイゼルにサミーと付き合う理由を問い質す。ヘイゼルはケイデンのせいでデレクと別れた事を明かす。ケイデンはタミーとセックスした事を明かすと、ヘイゼルが自分の一部だと説く。二人はその場で和解するが、その様子を見たサミーは失望し、かつてのケイデンに倣って飛び降り自殺を図って死ぬ。

ケイデンはヘイゼルと共にサミーの葬儀に参列する。ヘイゼルはケイデンを燃える家に招く。ケイデンは一緒に暮らす家を探す事を提案すると、遠回りしながらも遂に結ばれた事を喜ぶ。二人は寄り添って眠る。翌朝、ヘイゼルは煙を吸って死亡する。ケイデンは舞台の方向性を、人生最高の日を永遠に追体験できる様に、ヘイゼルが死ぬ前日に定める。ミリセントは老いて発想が枯渇したケイデンを慮り、サミーに代わるケイデン役に志願すると、ケイデンに仕事から離れて元気になるよう促し、エレン役を演じるよう勧める。

エレン役のケイデンはアデルのアパートのセットで、ケイデンから渡すよう頼まれたというイヤホンを老婦から受け取る。ケイデンはイヤホンから受けるミリセントの指示に従って、エレンの半生を追体験する。ケイデンは部屋のメモでアデルが肺がんで死んだ事を知り、部屋に留まる事を認められる。ケイデンはしばしの時をクローゼットの中で過ごす。やがて、アパートの外で暴動が発生する。アパートから出たケイデンは、荒廃した街並みと無数の死体を目の当たりにする。ケイデンは指示に従って歩みを進め、カートに乗って辿り着いた先で、放置されたソファに腰掛けるエレンの母役の女と遭遇する。ケイデンは女の隣に座ると、肩に頭をもたれかけて泣く。ケイデンは舞台の方向性が見えたと告げた途端、ミリセントに死ぬよう命じられる。

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