チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

コーヒーをめぐる冒険

ヤン・オーレ・ゲルスター監督作「コーヒーをめぐる冒険」("Oh Boy" : 2012)[DVD]

ある平凡な青年の、数奇な1日の顛末を描くトラジコメディ作品。

ベルリンで暮らす青年ニコは、大学で法律を専攻しながら、中退し、その後も定職に就かず、暇を持て余していた。ある日、彼は恋人に愛想を尽かされ、別れてしまう。追い出されたニコは、アパートの一室に移る。途方に暮れるニコは、その日、運転適性診断の面接が行われる事を知り、慌てて部屋を飛び出す。ニコは以前、飲酒運転で免停を食らっており、結果如何で免許が返納される大事な面接だった。ところが面接官による嫌味な質問に、ニコはつい苛立ってしまう。結局、情緒不安定とみなされ、免許は返納されず仕舞いとなった。

ニコはその足でカフェに立ち寄るが、手持ちが乏しく、一杯のコーヒーすら買えず、さもホームレスの様に扱われる。ATMで金を下ろそうとするも、カードが吸い込まれ出てこず、ニコは呆然とする。一旦、部屋に戻り、父に連絡するも留守電となる。その時、階上の男が、妻の手製のミートボールを携え、挨拶に訪れる。ニコが男を渋々部屋に招き入れると、彼の妻が乳がんで乳房切除した事の愚痴を聞かされる。

男が帰ると、親友のマッツェの運転でレストランへ向かう。金欠のニコはミネラルウォーターで凌ぐ。店内で偶然、同じ学校の生徒だったユリカと13年ぶりに再会する。当時のユリカは肥満児で、ニコが体型をからかっていたのだが、ユリカはニコに好意を寄せていた事を明かす。ユリカは劇団員で、夜に行われるパフォーマンスに2人を招待し、その場を去る。役者のマッツェは乗り気だったが、ニコは消極的だった。その後、2人はマッツェの友人の俳優が出演する映画の撮影現場の見学を訪れる。

父から電話が入り、ニコはゴルフ場で父と落ち合う。不慣れなゴルフに渋々付き合ったニコは、ATMの件を話し、父に金の無心をする。ニコは中退した事を父に報告せず、順調だと嘘を付く。ところが既にその事を知っていた父はニコを叱りつけ、援助の打ち切りを通告して去る。金が無いニコは、列車を無賃乗車で乗り継ぎ、街へ戻る。

部屋で酒を飲んでいると、マッツェが迎えに来る。マッツェが友人の部屋に寄り、大麻に興じている内に時間が経ち、劇場に遅刻してしまう。辛うじて途中入場が許可されるも、ユリカ達の演じる劇は前衛的で、2人の理解が及ばない内容だった。劇が終わると、2人は打ち上げパーティにも招かれるが、マッツェと劇の脚本家とで口論になる。パーティを抜けだしたニコをユリカが追ってくる。ユリカが芝居を熱く語っているところへ、3人組の不良が絡んでくる。ユリカが挑発した為に不良達は激昂し、制止に入ったニコが殴られる。トイレでユリカの治療を受けたニコは、彼女に誘惑されるが、違和感を覚え、拒絶する。途端にユリカはヒステリックな一面を見せ、過去に誂われた事を詰る。

追い出されたニコは、バーに立ち寄る。独りで酒を呷るニコに、老いた男が絡んでくる。男は人間の話が分からないと切り出し、ニコは困惑するが、ベルリンを60年離れていたという男は、尚も昔語りを続ける。ひとしきり話し終えた男は、店を出た途端に倒れこんでしまう。救急車で搬送される男にニコも同伴し、病院に到着する。ニコは男の回復を願い、院内で夜明けまで待つが、男はそのまま死んでしまう。ニコはカフェでコーヒーを飲み、新しい1日を迎える。

 

ドイツ作品。宙ぶらりんの生活を続ける青臭い青年が、泣きっ面に蜂的な諸々の出来事を通じて、その人生観に変化を来すみたいなハナシ?の様で、それ以上の理解はできなかった。導入部で恋人がコーヒーを勧め、ニコがそれを断った事で、彼の不遇な1日が始まるのだが、その後、要所要所でコーヒーを飲もうと試みるも、飲めずにもどかしい思いをする。邦題はそれを端的に表現している。しかし、コーヒーの示唆するところは分からない。現代劇なのに、敢えて白黒で表現する意図も分からないが、こうする事でサレオツな作風が醸し出るのだから不思議だ。ドイツ文化に通じていないと、楽しめない作品なのかも知れないな。

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