米村耕一 著「北朝鮮・絶対秘密文書 体制を脅かす「悪党」たち」(2015)
北朝鮮・絶対秘密文書: 体制を脅かす「悪党」たち (新潮新書)
- 作者: 米村耕一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/02/16
- メディア: 単行本
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タイトルが過剰にアジっている感は否めないのだが、著者が入手したという北朝鮮の検察文書から、彼の国の内部事情を分析・推察するという趣旨の一冊。彼の国でどんな犯罪が多発し、検察はそれらにどう対処しているのか。検察文書は事細かにそれらを綴っている。そこから浮かび上がってくる犯人達、本書で言うところの「悪党」達の素顔や、彼らが犯行に至る経緯を知ると、一党独裁で厳しい統制下にあると思われがちな彼の国の足元が、実は想像以上に脆く、ひょっとしたらそう遠くない日に崩壊するかも知れない、そんな風に感じさせられる。それほどリアルで、ある意味ドラマチックな(一部の)国民の生活の実態が詳らかにされていて、こう言ってはなんだがなかなか面白い。著者はまた、中朝国境付近で北朝鮮出身の住民に裏付け取材を重ねており、彼らが本音と建前を巧みに使い分けて、リスクを背負ってでも窮乏する生活から成り上がろうと、必至に足掻いている様を浮き彫りにしている。