チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

北朝鮮・絶対秘密文書 体制を脅かす「悪党」たち

米村耕一 著「北朝鮮・絶対秘密文書 体制を脅かす「悪党」たち」(2015)

北朝鮮・絶対秘密文書: 体制を脅かす「悪党」たち (新潮新書)

北朝鮮・絶対秘密文書: 体制を脅かす「悪党」たち (新潮新書)

 

タイトルが過剰にアジっている感は否めないのだが、著者が入手したという北朝鮮の検察文書から、彼の国の内部事情を分析・推察するという趣旨の一冊。彼の国でどんな犯罪が多発し、検察はそれらにどう対処しているのか。検察文書は事細かにそれらを綴っている。そこから浮かび上がってくる犯人達、本書で言うところの「悪党」達の素顔や、彼らが犯行に至る経緯を知ると、一党独裁で厳しい統制下にあると思われがちな彼の国の足元が、実は想像以上に脆く、ひょっとしたらそう遠くない日に崩壊するかも知れない、そんな風に感じさせられる。それほどリアルで、ある意味ドラマチックな(一部の)国民の生活の実態が詳らかにされていて、こう言ってはなんだがなかなか面白い。著者はまた、中朝国境付近で北朝鮮出身の住民に裏付け取材を重ねており、彼らが本音と建前を巧みに使い分けて、リスクを背負ってでも窮乏する生活から成り上がろうと、必至に足掻いている様を浮き彫りにしている。