チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ピッチ・パーフェクト

ジェイソン・ムーア監督作「ピッチ・パーフェクト」("Pitch Perfect" : 2012)[BD]

存続の危機に貧した女子アカペラクラブが、新規メンバーの加入を経て、再生していく様を描くミュージカル・コメディ作品。

バーデン大学のアカペラクラブ、ベラーズとトレブルメーカーズは共に大学アカペラ選手権に出場を重ねるライバル同士。2011年の選手権において、リーダーのバンパー率いる男性グループのトレブルは高いパファーマンスで好評を博す。一方でオーブリーとクロエが中心のベラーズは、セクシー路線を売りとしながら地味なパフォーマンスで観衆はいまいちな反応を示す。しかも歌の最中でオーブリーが緊張でゲロを吐いてしまい、大失態を演じる。選手権はトレブルが見事優勝を果たす。

それから4ヶ月後。DJとして名を馳せ、将来はLAで音楽プロデューサーになる事を夢見るベッカは、バーデン大の教授である父ミッチェルの意向を受け、半ば強制的にバーデン大へ入学する。ミッチェルは大学に到着したばかりのベッカを寮に訪ねる。人付き合いを避けがちなベッカを気遣い、ミッチェルは交友関係を広げ、大学生活を楽しむ様に促す。ベッカは自らの夢を主張するが、ミッチェルはそれに否定的で、大学での教育を優先させる。

ベッカはクラブ勧誘で賑わう構内に繰り出す。名誉挽回に焦るオーブリーとクロエは、新規メンバーの獲得に躍起になるも、新入生に見向きもされずに手をこまねく。オーブリー達は通りがかったベッカに声をかけ、アカペラの魅力を訴えて協力を請うも、ベッカはアカペラに興味を抱く事無くその場を後にする。程なく、ベッカはインディーズ音楽専門のラジオ局でインターンとして働くことに決める。そこでベッカは同じく新入生のジェシーと出会う。

入学から一ヶ月経つも、ベッカは交友を拒み、寮にこもって編曲作業に没頭する。ミッチェルはそんなベッカに何か新しい事を始める様に促し、大学で1年間本気で何かに取り組んでモノにならなかったら、LA行きを認める意向を伝える。

ある時、ベッカがシャワー室で歌っていると、偶然居合わせたクロエはその歌唱力を高く評価し、アカペラクラブの合同オーディションへの参加を請う。オーディションが始まると、参加者が次々に審査に臨み、パフォーマンスを披露する。終了間際、ベッカが現れ、独自のパフォーマンスでクラブの面々を惹きつける。

審査の結果、ベラーズにはソプラノにジェシカ、メアリー、リリー、メゾソプラノにシンシア、ステイシー、コーリ、アルトにはエイミー、デニース、アシュリー、そしてベッカが選出される。リーダーのオーブリーは、トレブルのメンバーとのSEXを禁じる掟を一同に厳命する。一方、ジェシーはトレブルに選出されるが、ジェシーと僚友のベンジーは落選する。その夜、アカペラグループ合同の入会式が催され、互いに親交を深める。

翌日、ベラーズは訓練初日を迎える。オーブリーはコーリとメアリーがトレブルのメンバーとSEXした事を暴露し、メンバーから脱退させる。ベッカはやり過ぎだと非難するが、オーブリーはこれが戦争だと主張し、毎日2時間を練習に費やし、4ヶ月で鍛えあげる意向を示す。オーブリーの伝統を重んじる方針で、昔ながらの楽曲リストが再び用いられる事になり、心身ともに鍛える猛特訓が開始される。オーブリーは古式蒼然とした楽曲への不満を口にするベッカに反感を抱く。

程なく、ベラーズは学生クラブのパーティで余興として呼ばれるが、練習不足が顕著で酷いパフォーマンスを披露し、顰蹙を買う。オーブリーがクロエの高音不足を指摘すると、クロエはポリープができた事を打ち明ける。

ベッカはインターンを通じて次第にジェシーと意気投合していく。将来、映画音楽の作曲を希望しているジェシーは映画を好まないベッカに驚き、映画の楽しみを熱弁する。

アカペラグループの学内行事リフ・オフが催され、ベラーズとトレブルのメンバーらが持ち味を活かしてパフォーマンスを競う。ベッカがベラーズのメンバーをリードし、会場を一つに纏めて盛り上げるが、些細なルールミスを指摘されトレブルが勝利を収める。オーブリーはベッカのリーダー的振る舞いを戒める。

その後、ベッカはジェシーを寮室に招き、自ら編曲した音楽を紹介する。ジェシーは自ら最高と称する作品「ブレックファスト・クラブ」の結末を見せ、ベッカといい雰囲気になる。

ベラーズのメンバーはリハーサルに励むが、クロエの不調が響き、クロエはベッカをソロに提案する。ベッカは選曲とアレンジを自分に任せてくれるように請う。クロエはそれに賛同するが、オーブリーはそれを一蹴する。ベッカは退屈な曲では勝てないと主張するが、オーブリーはリストの曲で決勝に進出すると強弁し、エイミーをソロに指名する。

2012年の南東地区予選の開催日。ベラーズは毎度恒例の曲で客を呆れさせるが、終盤のエイミーによる型破りなソロパフォーマンスで持ち直し、観衆を沸かせる。一方、トレブルは更に圧倒的なパフォーマンスを披露する。トレブルが優勝、ベラーズは2位に収まり、両者とも準決勝に進む事が決まる。その直後、トレブルのメンバーがアカペラOBグループと諍いを起こし、止めに入ったベッカが意図せず会場の窓ガラスを破損させ、一人だけ逮捕される。ジェシーがミッチェルに連絡し、ベッカは保釈されるが、ベッカはミッチェルに知らせたジェシーを詰る。ベッカは誤解だとミッチェルに弁明するが、憤慨したミッチェルはLA行きの支援を行わない事を告げる。

寮に戻ったベッカをベラーズのメンバーが迎える。オーブリーはエイミーのアドリブによるパフォーマンスを問題視する。ベッカはリスクも必要だと主張し、トレブルが毎回違う曲で勝負している事を例に挙げ、ベラーズもアレンジ次第で変化すると訴えるが、オーブリーはリーダーが自分であると釘を差し、練習により精を出すように求める。

準決勝当日、メンバー一同は強豪フットノーツのパフォーマンスに圧倒される。べラーズは再び同じ曲で勝負に臨み、観衆を白けさせる。ベッカはそんな雰囲気を察し、独断でソロのアドリブを入れ、好評を博す。終了後、オーブリーはベッカに反感を抱くと同時にジェシーとの関係を疑い、ベッカの脱退を命じる。そこにジェシーが現れ、オーブリーの誤解を解こうとするが、ベッカはジェシーの助けを拒み、会場を後にする。結局、ベラーズは敗退する。

春休みに入ると、ベッカはインターンを続けながらも、寮室にこもって編曲にのめり込む。その最中、「ベッカはブレックファスト・クラブ」を鑑賞し、感動する。

程なくして、フットノーツの不正が発覚し、ベラーズの決勝への繰り上げ進出が決まる。ベラーズのメンバーは再び一同に介す事になり、クロエはオーブリーに無断でベッカにも声をかける。ベッカはジェシーの元を訪ね、八つ当たりした事を詫びるが、ジェシーは気にかける人を遠ざける性格を改める様に促し、関係の終わりを告げる。一つに纏まれずに困惑するメンバーは、ベッカが必要だと訴えるが、オーブリーはそれを頑なに拒否する。ベッカはミッチェルの元を訪ね、逃げていても解決せず、受け入れてくれる人を拒絶すべきでないと諭される。一方、決勝を目前に控えたトレブルでは、バンパーがメジャーにスカウトされ、離脱する。そこでジェシーベンジーに加入を打診する。

ベラーズのメンバーはオーブリーがメンバーへの扱いが悪く、支配しすぎだと非難し、心が離れてしまう。オーブリーがクロエに促され、溜まっていた蟠りをゲロと共に吐き出すと、メンバーはリーダーの座を明け渡す様にオーブリーと争う。そこへベッカが現れ、迷惑をかけた事を謝罪し、戻りたい意向を伝える。オーブリーはベッカにとりわけ厳しくしすぎた事を詫び、和解する。その後、ベッカの提案で、改めてメンバー皆が自分の秘密を告白しあう事で、より親密な関係を築く。その中でクロエは、春休みにポリープの手術を行い、高音が出せなくなった事を告白するが、副作用でこれまで出無かった低音が出せる事に気付く。オーブリーはベッカをリーダーに指名すると、ベッカは自らの編曲でベラーズのパフォーマンスをより洗練させる。

決勝当日、リンカーン・センターに全米の大学アカペラ・グループの強豪が集う。トレブルはベンジーを加えた新しいパフォーマンスを披露し、大好評を博す。ベラーズはコスチュームも一新し、見違える様なパフォーマンスで観衆を圧倒する。その中でベッカは歌詞に乗せて、会場のジェシーにメッセージを送る。パフォーマンスを終えると、ベッカはジェシーの元に駆け付け、キスをする。決勝はベラーズの優勝で幕を閉じる。

 

 

女子の女子による女子の為のコメディでかなり女子力高めでサレオツな一作。落ち目のアカペラグループが再起を果たすまでの過程を描いており、メリケンらしくほんのりおバカなノリの演出もあるのだが、全体的には実に良くできていて傑作だと思う。こんなオモシロ作品が日本で3年近く遅れて公開なのが不思議だ。本番までトントン拍子に行き過ぎて練習風景が若干端折り過ぎな印象は受けたが、この手の作品はテンポが大事だしこれがベストかな。年頃の女子達が歌ったり踊ったりするのを見ているだけでも楽しいのに、アナ・ケンドリックを始め、みんな本当に上手だから感服してしまった。もちろん男子グループも超絶上手い。しかしアナはかわいいくて絵になるわ。あと、レベル・ウィルソンも持ち味を存分に発揮していて存在感たっぷりだ。なにげに年齢が僕と近くて親近感が湧くんだよな。続編も是非観たい。

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