チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

アデライン、100年目の恋

リー・トランド・クリーガー監督作「アデライン、100年目の恋」("The Age of Adaline" : 2015)[DVD]

ある日を境に年を取らなくなった女が、長い年月と数多の喪失を経て出会った男との恋路に苦悩する様を描くロマンチック・ファンタジー作品。

 

1908年1月1日、サンフランシスコの小児病院でアデライン・ボウマンは誕生する。1929年6月16日、アデラインは母と一緒に、3年後に竣工を控えたゴールデンゲートブリッジの見物に訪れ、そこで若き技師クラレンスと運命的に出会う。それからおよそ3ヶ月後にアデラインはクラレンスと結婚し、その3年後に女児フレミングを儲ける。ところが1937年2月17日、橋の工事中の事故でクラレンスが帰らぬ人となる。その10ヶ月後、アデラインは5歳のフレミングが待つ、両親の別荘へと車で向かう。その道中、奇妙な事に温暖なソノマ郡に雪が降り始める。アデラインは運転を誤り、車は道路脇の池に転落する。アデラインの体は冷たい水に浸かり、体温の急激な低下を経て、心停止に陥る。その時、稲妻が車を直撃し、アデラインの体に通電する。アデラインは奇跡的に蘇生を果たすが、それに伴い、時間による破壊作用を受けない体、即ち年を一切取らない体へと変化を遂げる。

経年変化が生じないアデラインに、周囲の人間は好奇と不審の目を向ける様になる。アデラインは食事、運動、遺伝と運の為だと説明を尽くすも、やがて警察にも身分の詐称を疑われる事態に至る。アデラインは医大の事務職に就き、自らの体に生じた変化について調べを尽くすも、科学では説明が付かないと悟る。程なく、アデラインは居住記録が無い事を理由に、FBIに拘束される。護送中、アデラインは隙を見計らって逃亡すると、身を隠すべく、大学生のフレミングに愛用する指輪を託して別れを告げる。以後、アデラインは自らとフレミングの安全を図るべく、10年ごとに身分と風貌を変え、居場所を転々とし、運命を決して口外せぬ様に生きる誓いを立てる。

2014年12月31日。アデラインはジェニー・ラーソンとして、サンフランシスコの市立図書館に勤務しつつ、チャイナタウン内のアパートに、愛犬リースと共に身を潜める様に暮らしている。ジェニーは7週間後にサンフランシスコを離れ、フレミングが暮らすオレゴンに移ろうと計画しており、知人の少年トニーの協力を得て、新たな身分証を偽造する。

夜、ジェニーは旧友の盲人ピアニスト、レーガンの誘いを受け、新年を祝うパーティに参加する。ジェニーはそこで一人の男に目を奪われるが、新年の訪れと共に会場を去る事にし、エレベーターに乗り込む。そこへ先ほどの男エリス・ジョーンズが飛び込んできて、ジェニーに好意を示す。ジェニーは深入りを避ける意向を態度で示して会場を後にするが、エリスは再会を熱望する。

翌日、フレミングがサンフランシスコに駆け付け、ジェニーの誕生日を祝う。フレミングはアリゾナの高齢者専用住宅へ移る意向を明かす。ジェニーはフレミングのためにオレゴンに移ろうと考えていた事を明かすが、フレミングはそれを拒む。

程なく、エリスが遺産保存教会の理事を務める篤志家として図書館に姿を現し、5万ドル相当の初版本を寄贈する。エリスは困惑するジェニーに三冊の本を贈ると、以前からジェニーを見知っていた事を明かし、寄贈式での受け取り役を依頼する。ジェニーは写真撮影を忌避する意向を示し、拒否する。エリスは代わりにデートに誘い、ジェニーはその熱意に押されて承諾する。エリスは、ゴールドラッシュ当時に遺棄された船が見つかった掘削現場へジェニーを招く。エリスはジェニーに資金源について問われ、大学時代に気象データ解析アルゴリズムを開発し、それが経済予測にも使える事が分かると、友人と会社を起こし、成功させた後に売却した取り分で寄付活動を始めた事を明かす。ジェニーは直にサンフランシスコを離れる意向を伝える。エリスはもう一度だけデートする様に請い、ジェニーを自宅での夕食に誘う。

後日、ジェニーはエリスの自宅を訪ねる。エリスは父についてスタンフォード大を退官した天文学者であり、珍しい彗星を発見した事、その彗星は計算上、1981年の冬に地球を横切るはずだったが、結果的にそうはならず、父がその日を今でも待ち続けている事を明かす。エリスはジェニーについて知りたいと願う。ジェニーは躊躇いながらもエリスのキスを受け入れ、一夜を共にする。翌朝、ジェニーは再び会えるかどうかは明言せずに、その場を後にする。

ジェニーはこれまで経験してきた数多の恋と同じ様に、エリスとの関係を実らせられない事を悲しむ。そんな折、リースが急病を患う。ジェニーは医師から手の施しようが無い事を聞くと、リースの安楽死を選択する。ジェニーは幾度と無く繰り返される喪失感に打ちひしがれ、エリスとの関係を終わらせる事を決意する。

その直後、ジェニーは、資料館でジェニーの住所を調べてチャイナタウンにやってきたエリスと遭遇する。ジェニーは自分との関係を諦める様に告げ、敢えて冷たくあしらう。ジェニーはフレミングに、嘘をつき続ける事への疲れを吐露する。フレミングはもう疑って追ってくる様な人はいないと説き、一生孤独に過ごすのでは無く、愛する人と暮らす様に促す。ジェニーは二人で共に老いていく将来が無ければ、愛は辛いだけだと嘆くと、エリスとの出会いがありながらも諦めた事を明かす。フレミングはそれが間違いだったと伝えに行くべきであり、ジェニーの為では無く、自分の為にそうする様にと望む。その夜、ジェニーはエリスの元へ赴き、心からの謝意と償いをする意向を伝える。ジェニーはエリスを埠頭傍のかつて街一番の映画館だった倉庫へ招くと、天井に飾り付けられた電球で星座に見立てた仕掛けを紹介する。エリスは週末に両親が実家で結婚40周年パーティを開く事を明かし、ジェニーに同行を求める。ジェニーはそれを快諾する。

週末、ジェニーはエリスと共に郊外のジョーンズ邸を訪ね、父ウィリアム、母キャシー、妹キキと対面する。ウィリアムは、かつて求婚を決意する程に愛したアデラインと生き写しの様にそっくりなジェニーの容貌に驚愕し、アデラインとの関係を問い質す。ジェニーもまたかつて愛したウィリアムとの思わぬ再会に動揺を隠せず、アデラインが母だと偽る。異変を察知したキャシー達にウィリアムは、アデラインがロンドンで親しくしていた友人だと明かす。ジェニーはアデラインが6年前に亡くなったと伝える。

26歳当時、ロンドンで医大生だったウィリアムは、エンストして立ち往生するアデラインを助けた事がきっかけとなり、二人の5週間に渡る交際が始まった。アデラインはウィリアムに本名を明かし、あだ名をデラと称した。ウィリアムが大学の休みを利用して米国へ帰省すると、アデラインもそれに同行した。当時のウィリアムは勉強に退屈し、中退をも考えていたが、やり直すには遅すぎると恐れていた。アデラインはそれを笑い飛ばし、人生は短いのだから迷ってはいけないと諭した。その言葉がウィリアムを天文学との出会いに繋げ、現在があるのだった。

アデラインに感謝し、その聡明さを褒め称えるウィリアムに、キャシーは気分を害す。ウィリアムは一瞬の出来事に過ぎず、キャシーへの愛は揺るがないと諭す。家族との談笑中、ジェニーはウィリアムが見つけた彗星に自らの愛称を冠した「デラC1981」と命名した事を知る。ジェニーはウィリアムと二人きりの時に、その真意を尋ねる。ウィリアムはかつて指輪を用意し、プロポーズするつもりだったがアデラインがいなくなった事を明かすと、200年間で最も地球に近づくであろう彗星がそうはならなかったのが、アデラインと同じニアミスだったと述懐する。その夜、エリスはジェニー無しの人生がもはや考えられないと説き、結婚を仄めかす。ジェニーは返事に窮し、苦悩する。

翌日、皆が留守にしている時、ウィリアムは偶然にもジェニーの左手に、かつて一緒にハイキングに出かけた際に負傷し、自らが縫って治療をした跡を見つけ、ジェニーがアデライン本人だと確信する。ウィリアムはジェニーに真実を話す様に迫る。ジェニーは原因は分からないものの、ある日を境に年を取らなくなり、その事を政府に知られたら捕らえられ、標本にされる事を危惧し、話せなかったと明かし、苦悩を吐露する。ジェニーは真実を伝えるとしたら、それがエリスだった事を明かす。ウィリアムはエリスのために姿を消さぬ様に請い、失われた人生を取り戻すべきだと諭す。しかし、当惑したジェニーは荷物を纏めると、理由は言えないがもう無理だという旨のメッセージをエリスに残し、ウィリアムの制止を振りきってジョーンズ邸から車で逃げ出す。

間もなくそれを知ったエリスは、ウィリアムに理由を問い質す。ウィリアムは、説明はできないがジェニーは「変化」が無理だと考え、もう戻らないのだと伝える。しかし、ウィリアムはエリスのジェニーへの強い愛を確認すると、自らの車を貸し、後を追わせる。

日が暮れ、ジェニーはエリスとの別れに悲嘆しながらも車を疾駆させるが、意を決して林道脇で車を止めると、フレミングに連絡し、もう逃げないという決意を伝える。ところが、ジェニーが引き返そうとした矢先に、後方から来た車両が衝突する。ジェニーの車は道路から外れて転落し、ジェニーは車外へ投げ出される。その直後、78年ぶりにソノマ郡に再び雪が降る。ジェニーの体温は急低下し、仮死状態に陥る。程なくしてエリスが駆け付けるも、ジェニーは心拍を停止し、エリスによる懸命な蘇生措置も奏功せず、107歳で息を引き取る。間もなく、駆け付けた救急隊がAEDを使用すると、ジェニーは奇跡的に蘇生を果たす。

ジェニーは直ちに病院に搬送され、負傷の度合いが軽度だと判明する。エリスは自分が無理強いしたせいで、ジェニーを怖れさせたのだと自責の念を説く。ジェニーはそれを否定し、ついに真実を打ち明ける。程なく、病室にフレミングが駆け付けると、ジェニーは真実を話した事を明かす。その頃、ウィリアムはキャシーと共に予定通り、パーティを開き、集まった客人達の前でキャシーへの深い愛情を語る。

それから一年後、エリスと暮らすジェニーは徐ろに自らの髪の中に一本の白髪を発見し、体が元に戻っている事を悟り、歓ぶ。電流が心臓に作用した際に、再び老化現象を取り戻していたのである。期せずして、デラC1981が半世紀の遅れを経て、予言通りに地球に戻ってくる。

f:id:horohhoo:20160812164825j:plain

f:id:horohhoo:20160812164828j:plain

f:id:horohhoo:20160812164831j:plain

f:id:horohhoo:20160812164834j:plain

f:id:horohhoo:20160812164837j:plain

f:id:horohhoo:20160812164841j:plain

f:id:horohhoo:20160812164844j:plain

f:id:horohhoo:20160812164849j:plain

f:id:horohhoo:20160812164852j:plain

f:id:horohhoo:20160812164856j:plain

f:id:horohhoo:20160812164858j:plain

f:id:horohhoo:20160812164902j:plain

f:id:horohhoo:20160812164905j:plain

f:id:horohhoo:20160812164908j:plain