チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

胸騒ぎのシチリア

ルカ・グァダニーノ監督作「胸騒ぎのシチリア」("A Bigger Splash" : 2015)[DVD]

シチリアの島で恋人と療養生活を送るロック・シンガーの女の元に、かつての恋人が娘を連れて訪ねてきた事で、穏やかな生活が乱されていく様を描くドラマ作品。

 

世界的に有名なロック・シンガーのマリアンは、声帯手術を受けた後、シチリア州のパンテッレリーア島にある知人から借りた邸宅で、恋人で映像ディレクターのポールと優雅な療養生活を送っていた。ある日、マリアンがかつて六年間交際していた音楽プロデューサーのハリーが、ローマからマリアンに会いにやってくる。マリアンとポールは空港に迎えに行き、ハリーと久しぶりの再会を果たす。ハリーは娘のペネロペをサプライズで紹介すると、自らの知る穴場のレストランへマリアン達を連れて行く。ペネロペは米国で母と暮らしている大学生であり、昨年父親がハリーと知って出会ったばかりだと明かす。ポールはかつて親交のあったハリーが、自らの浮気がきっかけでマリアンと別れたのを機に、マリアンを紹介してもらった恩があったが、がさつで自己中心的なハリーにマリアンとの生活をかき乱される事を嫌い、ハリーを邸宅に招くのに難色を示す。マリアンは自らの意向でハリー達を邸宅に宿泊させる。ペネロペは陽気なハリーとは逆に寡黙で独りを好む。

翌日、ハリーは旧友のミレイユとシルヴィを我が物顔で邸宅に招くと、一年前のポールの突発的な自殺未遂を知りながら、無配慮な話題を持ち出す。マリアンはそれとなくハリー達の会話を打ち切る。ハリー達は島中が総出で楽しむというサン・ガエターノの祭りに出かけるが、ポールだけは仕事で残る。ハリーはマリアンと二人きりになると、ポールの前で酒を飲んだり、自殺に関する話をするのに気が引けると不満を漏らし、ポールの様な過去に生きている堅物にマリアンを与えた事を後悔する。マリアンはポールを紹介してくれた事への謝意を示すと、今が幸せなのだと理解を求める。仕事を終えて祭りにやってきたポールは、独りでいるペネロペを見つける。ペネロペはハリーから聞いた、ポールの自殺と遺書の件について尋ねる。ハリーは不快感を示す。夜、マリアンとハリーは二人でダンスを楽しんだ後、カラオケ・バーに訪れ、ドラッグを飲んで羽目を外す。程なく、マリアン目当てに大勢の客が詰めかけ、そこへポールとペネロペもやってくる。ハリーはペネロペとデュエットに興じるが、マリアンとポールはハリーがペネロペをあたかも恋人の様に扱う様子に違和感を覚える。

翌日、マリアンはペネロペと二人きりの時に、昨晩の件について話を向ける。ペネロペはハリーが自分と外見が違い過ぎる事を訝しく思っており、近々鑑定する意向を示す。一方、ポールはハリーから帰路で車を脱輪させたとの報せを受け、迎えに行く。ポールはハリーの配慮に欠ける言動に辟易して咎める。ハリーは正直は美徳だと説いて開き直り、マリアンとの別れが人生最大の悲劇だったと説く。その後、ハリーはマリアンを連れて町へ買い物に行く。マリアンはペネロペに対する誤解を招く様な接し方を慎むべきだとハリーに諭す。ハリーはマリアンに会いに来た目的が復縁だと明かし、マリアンも同じ気持ちのはずだと訴える。マリアンはポールと別れるつもりは無いと答える。一方、ポールは暇を持て余しているペネロペに島巡りを勧めるが、ペネロペが案内を求めた為、一緒に散策に出かける。ポールは自殺を図った時に残した遺書を、退院した時にマリアンと一緒に破り捨てた事を明かす。ペネロペは海岸に裸で横たわり、ポールを誘惑する。

マリアンとハリーは日暮れ時に帰宅する。マリアンはポール達がいないのを心配するが、ハリーと夕食の支度を始める。ハリーはマリアンの体を熱烈に求め、セックスに及ぶが、マリアンのポールに対する愛情が揺るがない事を悟って復縁を諦め、もう会わない意向を示す。ポールとペネロペは日が落ちた後で帰宅する。一同は夕食を取る。ハリーはペネロペの意向に従い、明日帰る事を決断する。ハリーはポールがペネロペと関係を持ったと悟り、逆にポールはハリーがマリアンと関係を持ったと悟る。ポールはマリアンにハリーと絶縁する意向を示す。

夜更け、ハリーは出先から車で戻ってくるや、プールに飛び込む。プールサイドで酒を飲みながら、ハリーの帰りを待っていたポールは、ハリーに話し合いを求める。ハリーはそれを嫌い、すぐにも荷造りしてペネロペを連れて出ていく意向を示す。二人のマリアンを巡る啀み合いは口論に発展する。ハリーはポールに平手打ちを浴びせる。ポールはハリーをプールに突き落とすが、自らも引きずり込まれる。ポールは水中での闘争の末にハリーを溺死させてしまう。ポールはハリーの思い出のレコード盤を一緒に沈める事で、ハリーが自殺した様に偽装を図って、部屋に戻る。

翌朝、メイドがハリーの遺体を発見し、マリアン達に報せる。マリアンはポールの脇腹にできた真新しい傷に気付く。マリアンはハリーの遺体を目の当たりにするや当惑し、ポールが宥める。マリアン、ポール、ペネロペは警察署長の命令で聴取の為に署に出頭し、パスポートを提出する。マリアンはペネロペにポールが昨日怪我したかどうか尋ね、ペネロペはそれを認める。ペネロペは署長に対し、初めて流暢なイタリア語を話して見せ、マリアン達を驚かせる。警察はマリアンに対し、プールの底の砂を検分した結果、複数の人間がプールにいた可能性を説く。マリアンはポールを疑うなら弁護士を呼ぶと主張する。署長はプールに繋がる誰でも入れる小道がある事を知ると、相次いでいる不法移民の仕業だという筋書きで落着を図る意向を示し、三人の帰宅を認める。その際、マリアンはペネロペが実は17歳だと知る。 

ポールは帰宅するや、自らがハリーの死に関わった事をマリアンに打ち明け、許しを請う。マリアンはポールを抱き締め、宥める。程なく、マリアンとポールは帰国するペネロペを空港へ送る。マリアンはペネロペが年齢を偽り、イタリア語が話せるのに黙っていた事を詰ると、人が苦しむのを見ているのが好きなのかと問い質す。ペネロペは独りが好きなだけだと答える。マリアンは不遜な態度を示すペネロペに平手打ちを浴びせる。ペネロペは泣きながら出国便に乗り込む。帰り道、マリアン達はパトカーに停車を命じられ、固唾を呑む。パトカーから出てきた署長はマリアンのファンだと明かし、CDにサインを求める。マリアンはそれに応じ、署長は歓喜する。マリアンとポールは安堵し、帰路に就く。

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