チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

さよなら、アドルフ

ケイト・ショートランド監督作「さよなら、アドルフ」("Lore" : 2012)[DVD]

終戦直後、ナチス高官の父を持つ子供達が住処を追われ、自力で遠方の祖母の家へ向かわんとする命懸けの旅路の行方を描く歴史ドラマ作品。

 

第二次世界大戦の末期、ナチス高官の父を持つ少女ローレは、ドイツ南部の屋敷で母、妹リーゼル、双子の弟ギュンターとユルゲン、赤子の弟ペーターと共にドイツの勝利を信じて暮らしていた。ある朝、久しぶりに帰還した父は、家族に直ちに屋敷を離れるよう命じると、ナチスに関する書類を全て焼却し、飼い犬を射殺する。一家は銀食器や貴金属を持ち出し、夜逃げの様に屋敷を発ち、片田舎の農家に移り住む。父が再び家を離れると、暗鬱に過ごす母とは裏腹に、ドイツの敗戦を知らない子供達は田舎の生活を楽しむ。

ある日、銀食器を携えて出かけた母は、暴行を受けて帰宅すると、ローレに総統の死を伝え、もう終わりだと嘆く。翌日、ローレは放心状態の母に代わって近隣の農家に食料を譲ってもらいに行くが、その際に母が刑務所へ行くべきだと詰られる。間もなく、母はローレに当局へ出頭する意向を示すと、自分が戻らなければ汽車でハンブルクへ行き、フーズムを経て干潟を通り、祖母の家に行くよう命じ、指輪と貴金属を託す。ローレは不安で狼狽えるが、母は収容施設に行くだけだと説くと、ペーターをローレに預け、誇りを失わぬようにと言い残して出ていく。ローレは母がもう戻らないと悟り、無言で見送る。ローレはリーゼル達に父と母が次に住む家を探しており、すぐに戻ってくると嘘をつく。

程なく、ローレ達は近隣の住人に疎まれ、食料を融通してもらえなくなる。そんな折、ギュンターが食べ物を盗んだせいで、ローレ達は家から出ていくよう命じられる。ローレはリーゼル達に両親の待つ祖母の家に向かう意向を示し、ローレ達はハンブルクを目指して旅を始める。ドイツは米英仏ソに占領されており、住民に対しては帰宅命令が出されると同時に外出可能な時間が厳しく制限されていたが、ローレ達はそれを知る事も無く歩き続ける。道中、ローレ達は打ち捨てられた廃屋に立ち入り、食べ物を探す。ローレは屋内に潜んでいた青年と遭遇し、その場から立ち去る。

ローレ達は荒廃した町に立ち寄り、貴金属と交換で食料を分けてもらうと同時に、赤子を抱える女に頼んでペーターに母乳を与えてもらう。その町の一角に、ホロコーストの惨状を収めた写真の数々が掲示されており、人だかりができる。ローレは写真を目にするや、言葉にならない激しい衝撃を受ける。その夜、ローレは起き出して再び写真を観に行くと、その一部を切り取る。そこへ廃屋で遭遇した男が現れ、何をしているのか問い質すや、突然ローレに抱きつく。ローレは男を退け、その場を後にする。

翌日、町を発ったローレ達は、男が付いてくる事に気付き、逃げる様にして先を急ぐ。ローレ達は民家に立ち寄り、主の女からペーターがナンキンムシに咬まれている事を指摘される。ローレは母から貰った指輪と交換でパラフィンと食料を融通してもらう。ローレは近所の廃屋で拳銃自殺を図った男の亡骸を見つけ、腕時計を奪う。民家の女はナチスの熱心な支持者であり、国民がヒトラーへの恩を仇で返していると嘆くと、ホロコーストの写真が米軍のでっちあげだと主張する。ローレは不快感に耐えかね、リーゼル達を連れて直ちに出ていく。

程なく、ローレ達は米軍の兵士を乗せたトラックと遭遇し、身分証の提示を求められる。そこへ付いてきた男が現れ、ローレ達の兄トーマスだと主張し、身分証を提示する。ローレはそれを見て、トーマスがユダヤ人だと知る。トーマスはブーヘンヴァルト強制収容所を出た事を兵士に明かすと、リーゼル達の話に合わせ、ハンブルクの祖母の家に向かう途中だと説き、その場を切り抜ける。ローレ達は途中までトラックに乗せてもらう。

成り行きでトーマスが同行する事になり、ローレ達は旅を再開する。間もなく、ローレは病を患って倒れ、一行は廃墟に身を寄せる。リーゼル達は、食料を貰ってきたり、遊び相手になってくれるトーマスを慕う様になるが、ローレはユダヤ人のトーマスへの敵意を露わにし、弟達に触れぬようトーマスに命じる。トーマスはローレを誘惑する様にその体に触れる。ローレはかつて父が母にそうしていた様に、トーマスの手を自らの陰部に誘うも、すぐにそれを止める。ローレは父がホロコーストに加担していたと確信し、弟が所持していた父の写真と町で切り取ったホロコーストの写真を密かに埋める。

ローレ達は森を抜け、川に出るが、橋が壊れて通れない事を知る。ローレは川で漁を営む男に舟で渡らせて欲しいと請うが、男は露骨に体を求める。ローレは廃屋で奪った腕時計を差し出すが、男はそれを拒む。そこへトーマスが男の背後から忍び寄る。ローレは上着を脱いで男の注意を惹きつけ、トーマスは男を石で殴り殺す。ローレ達は奪った舟で川を渡る。自責の念に駆られたローレは、渡り終えるやペーターを抱いたまま入水自殺を図るが、トーマスは直ちにそれを止める。

程なく、ローレ達は検問所に差し掛かるが、通行禁止を言い渡された為、夜間に森を抜けようと企てる。ローレ達はそこかしこに死体が転がるソ連の占領地区に侵入する。トーマスはローレ達に動かぬよう命じて偵察に行くが、食料を盗んで戻ってきた際に、駆け寄っていったギュンターがソ連軍に射殺される。ローレ達は悲しむ間も無く、森を離脱し、イギリスの占領地区へと急ぐ。ローレはトーマスが去ってしまう事を恐れ、置いて行かないで欲しいと哀願する。トーマスはもう頼りにしないよう諭す。ローレは両親から教わってきた事が全て嘘であり、ホロコーストの惨状が頭に焼き付いて離れないのだと悲嘆する。

ローレ達はようやく汽車に乗るが、途中で身分証の提示を求められる。トーマスは身分証を収めた財布が無い事に気付き、ローレ達と別れて一人下車する。ローレ達は母から伝え聞いた干潟を経て、荷車に乗る。ユーゲンはトーマスを引き止める為に財布を隠した事を打ち明け、財布をローレに手渡す。ユーゲンは、トーマスが成り済ましであり、本人は既に死んでいると聞いた事を伝える。

長い旅路の末に、ローレ達は遂に祖母の家に辿り着く。祖母はローレ達を招き入れると、刑務所に行った両親を恥じる事は無く、間違ってはいないのだと説諭する。ローレは部屋の衣装棚に並んだ幾つかの鹿の置物の中に、母から別れ際に貰った一つを加える。リーゼル達は平穏無事な暮らしを始めるが、ローレはホロコーストに思いを馳せ、苦悩する。祖母は食事前のユルゲンの行儀の悪さを叱りつける。ローレはそれに反発し、悪態をついてその場を後にすると、鹿の置物を踏みつけて全て壊す。

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