チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ラスト・ワールド

ジョン・ハドルズ監督作「ラスト・ワールド」("The Philosophers" : 2013)[DVD]

高校卒業を間近に控えた20人の生徒達が、哲学の最後の授業で教師から終末を想定した思考実験を課され、人類存亡を懸けた極限の判断に挑む様を描くSFサイコ・スリラー作品。

 

ジャカルタ市街の高校。ペトラとその恋人ジェームズを始めとする20人の生徒達は卒業を目前に控え、一年間学んできた哲学の最後の授業に臨む。教師エリックは生徒達が社会で活躍する力を十分に身に着け、大学へ進学して幸福になる能力を備えていると評価すると、もし社会が滅びて、備えた能力に価値が無くなり、将来への期待すら無意味になったらどうするかと問いかけ、最後の授業に相応しい思考実験と称した、世界の滅亡をいかにして生き残るかを試す演習を課す。

舞台はプランバナン寺院群。世界各地に核爆弾が落ちた直後、エリックと20人の生徒達に放射能汚染の脅威が迫る。寺院の傍には最新型の堅牢なシェルターがあるが、収容人数は10人。内部には居住空間や各種設備が完備され、酸素供給タンクと発電機と食料は10人が一年間生存できる量が用意されている。地球規模で汚染される為にシェルター以外では生存はできない。シェルターは世界に1000ヶ所あり、全世界で生存した一万人が人類を復活させる。そこで、死の灰が降るまでの一時間以内に、限られた資源を使って生存する価値のある人間10名を選別する必要がある。

ペトラは不快感を示して実験への参加を拒む。エリックは過去最高の成績を棒に振る事になると説き、翻意を促すが、ペトラが尚も応じようとしない為、ジェームズの成績を下げてコーネル大への入学を取り消させる意向を示すと、精度の高い結果を得る為に、実験には最優等生が必要なのだと説く。ペトラはやむを得ず実験に参加する。エリックは誰を生存者とすべきかの判断に用いる為の職業が書かれたカードを、生徒達に箱から一枚ずつ引かせる。

その結果、ペトラは構造技術者、ジェームズは有機栽培農家、ジョージナは整形外科医、チップスは大工、ジャックは化学博士、ボニーは兵士、アンディは電気技術者、ヴィヴィアンは動物学者、ベアトリスはファッションデザイナー、パーカーはジェラート店主、ウタミはオペラ歌手、ポピーは心理療法士、オモセデは米国上院議員、カヴィは不動産業者、ラッセルはハープ奏者、プラムは投資信託業者、ネルソンは家事労働者、ミッツィはワイン競売人、ヨシコは宇宙飛行士、トビーは詩人に決まる。エリックはトビーを真っ先に拳銃で射殺し、実社会では何の役にも立たないと言い放つと、短時間での選別の判断に用いるのは論理だと説く。更にエリックは、技能はカードに書かれた職業に基づき、個性は現実のまま実験に反映される事、人類存続が目的の為に同位であれば女性が優先される事、自らは技能不明のワイルドカードであり、その価値の判断は皆に委ねられる事を明かす。

一同は議論の末にジョージナ、チップス、アンディ、オムセド、ジェームズ、ジャック、ポピー、ペトラ、ボニーを選出し、最後にエリックが加わる事で、10人が決定する。エリックは直ちに残りの10名を射殺する。それを受け、ペトラはエリックを入れる事に抵抗感を示す。そこでジェームズは一計を案じ、尤もらしい理由を付けてエリックを欺く事で、生徒だけで先にシェルターに入って扉をロックし、エリックを閉め出す。

9人はシェルターでの生活を始める。夜、ペトラとジェームズは共同の寝室を抜け出して愛し合う。その後、ペトラは扉までエリックの様子を観に行く。放射能で爛れたエリックは、ガラス越しに『脱出コードは自分しか知らない』と記したメモを提示する。ペトラはそれを皆に知らせに行く。皆はエリックが揺さぶりをかけて仕返ししているのだと考え、扉を開けずにエリックを放置する。9人は各々娯楽や運動に時間を費やし、淡々と日々を過ごす。エリックはやがて朽ち果て、野犬の餌食となる。

9人は想像以上の苦痛を感じながら一年を終えると、扉を開けようとするが、脱出コードの入力を求められる。一同は備え付けの銃火器などを用いて扉を破ろうと企てるが、扉には傷一つ付かず、途方に暮れる。程なく、貯蔵庫の食料が尽きると、一同はペットに飼っていた亀や病死した者の肉を喰らって飢えを凌ぐ様になる。酸素の供給が尽きる頃、一同は自殺を図り、実験は悲劇的な結末を迎える。

エリックは知らない事を判断基準にすべきだったと説くと、自らがシェルターを作った事を明かし、次の実験を始める。舞台はブロモ山。地球規模の大噴火が発生し、人類は先の実験同様の終末を迎える。エリックは人を技能だけで判断せず、もっと深く考察する為に用いる新たなカードを生徒達に引かせる。その結果、新たにペトラは電気技術者、ジェームズはゲイ、ジョージナはエボラウィルス感染、チップスは無精子症、ジャックは病気と無縁の優れた遺伝子、ボニーは映像記憶能力、アンディは体が骨化していく難病、ヴィヴィアンはブログ執筆、ベアトリスは右脳と左脳が共に発達、ウタミは七ヶ国語を駆使するが三年後に喉頭がんを患って声を喪失、ポピーは子宮がんで子宮摘出、オモセデは最も有能な法律専門家、カヴィは助産師、ラッセルは発達障害、プラムは宝石・金・プラチナ所持、ネルソンは心の美しさ、ミッツィはIQ200という属性が付与される。エリックはまたしても詩人を射殺する。結局、一同はジェームズ、プラム、チップス、ペトラ、ジャック、カヴィ、ネルソン、オムセド、ヨシコを選出し、エリックが加わる事で10人が決定する。残りの10人は車に乗って逃走を図るが、その直後に衝撃波に巻き込まれて死ぬ。ペトラ達はシェルターに駆け込む。

夜、ペトラはジェームズとジャックが愛し合っているのを目の当たりにする。ジャックは現実でもゲイだと告白する。ジェームズはゲイの属性を付与された事から、女性との性交渉に対する拒否感を示すと、子供を作らない事で種を存続させたり、進化させているかもしれないと主張する。カヴィはペアを作る事を提案し、助産師としての見地からペトラの精子提供者にエリックを指名する。ペトラはそれに従い、エリックを連れて部屋に向かう。ジェームズは困惑する。一同は定められたパートナーと愛し合う。

10週間が経過しても妊娠の兆候が見られない事から、エリックは自分達の命より種の存続が大切だと説き、女は複数の男と性交渉し、男はゲイであっても強制参加するよう提案する。ボニーはそれに強く反対し、強制するならエリックを殺すと脅す。エリックは拳銃を持ち出すと、ボニー以外をリビングから閉め出し、ボニーに命令に従うよう脅すが、ボニーはそれに抗う。その時、潜んでいたジャックがエリックに飛びかかり、ボニーは拳銃を奪う。ジャックは格闘の末にエリックの頭に鉛筆を突き刺す。エリックはリビングを出てシェルターの扉へ向かうと、脱出コードを入力して扉を開ける。その途端、爆炎がシェルターに流入する。一同は全滅し、実験はまたしても悲劇的な結末を迎える。

ジェームズは最初にエリックが箱からカードを引かせた際に、自分とペトラの時だけ咳払いをして箱を遠ざけた事の不可解さを指摘する。エリックはしらを切るが、ジェームズは不意を突いて箱を奪うと、ペトラとジェームズだけ決まったカードを選ばせる様に細工が仕込まれていた事を看破する。ジェームズは自分をゲイにしたのは、出来の悪い生徒で目障りだから嫌がらせの意図があったのでは無いかと詰る。エリックはジェームズが備え持つ特権や幸運を当然のものだと考えている事を指摘すると、嫌がらせでは無く指導だと反駁する。ジェームズは納得せず、再度の実験を提案する。エリックはジェームズの職業を生花店主に変更する。

舞台は南海の無人島。世界的な核戦争が起きる直前。ペトラは皆にこれまでとは別のやり方と称して、自分を信頼してくれれば公平に10人を選別すると提案する。皆はそれに従い、エリックは静観する意向を示す。ペトラはミッツィ、ベアトリス、トビー、ラッセル、ジョージナ、ウタミ、ジャックらに、一見して分からない良さを見出して選出する。ジャックは恋愛対象を求め、他の男らにゲイの告白を希望し、パーカーが名乗り出る。ペトラはパーカーと更にジェームズを加え、9人が決定される。エリックは理に適わないペトラの選択を真っ向から否定すると、先にシェルター入りした9人に出るよう命じ、バッグから拳銃を取り出そうとする。ペトラは直前にエリックとハグをした際に盗んだ拳銃と二発の弾丸を差し出すと、それを持って去るようエリックに促す。ジェームズもまたエリックがシェルター内に隠していた小銃を持ち出して、エリックに立ち去るよう命じる。ボニーは二回目の実験の最後に、エリックが扉を開ける際に映像記憶したコードを明かし、エリックは用済みになる。ジェームズはペトラに入るよう促す。ペトラは自分の代わりにボニーを選ぶが、ボニーがそれを拒んだ為、チップスを選ぶ。ペトラは残った者達と船に乗って安全な島を探す意向を示す。チップスは船の鍵を手渡す際にペトラと入れ替わり、扉をロックする。チップスら10人は直ちに船で島を離れる。

ペトラ達はシェルターでの生活を始めるが、これまでと違ってポーカー、演劇、詩、ワインなどの効用で予想外に喜びに満ちたものとなる。一同は芸術、文学、工学を発達させ、独自の文化を編み出していく。ペトラとジェームズは愛を深め合う。一同は神が最高の未来を用意してくれるよう、世界中の生存者らの為に祈り続ける。やがて一年が経ち、扉を開けて外に出た一同は、核爆弾が落ちておらず、晴れ渡った世界を目にする。都会へ戻る為の技能も住居も無く、食べ物も作れず、死を待つしかない様に思われた一同だが、拙くも生き延びようと努力する。程なく、不発の核ミサイルが島に着弾する。一同は死を受け入れ、ジェームズがミサイルに付いた起爆ボタンを押そうとする。その時、島の洞窟の奥底で生き延びたエリックが現れ、銃撃で起爆を阻止すると、種の絶滅を防ぐべく、残り一発の弾でジェームズを殺そうとする。ペトラを始めとする9人はジェームズの前に立ち並んで庇う構えを示す。ジェームズは起爆ボタンを押し、島は核爆発に飲み込まれる。

思考実験が終わり、エリックは皆にノートの提出を命じる。生徒達は各々のエリックに対する好悪を示しながらノートを提出して退出する。留まったペトラはエリックに対し、八つ当たりがみっともないと詰ると、ジェームズは自分とエリックの関係を知らず、当たっても無駄だと説く。ペトラはジェームズを愛している事を明かすと、エリックに自分達に構わぬよう請う。エリックは関係の継続を望むが、ペトラはそれを拒むと、エリックと最後のキスを交わす。エリックは"Apocalypse"の語源はギリシャ語で「秘密の暴露」であり、闇を抜けられると説く。ペトラが去って程なく、エリックは孤独に苛まれ、拳銃自殺を企図する。

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