チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ファーナス/訣別の朝

スコット・クーパー監督作「ファーナス/訣別の朝」("Out of the Furnace" : 2013)[DVD]

身を賭して弟の復讐を果たすべく、ギャングのリーダーと対峙する兄の姿を描くクライム・ドラマ作品。

ペンシルバニア州ノース・ブラドックの小さな田舎町に住むラッセル(クリスチャン・ベール)は、地元の製鉄所で働きながら、恋人のリナ(ゾーイ・サルダナ)と共に、慎ましくも充実した日々を過ごしていた。一方、ラッセルの弟ロドニー(ケイシー・アフレック)は、兵役に着いていながら、借金をしてはギャンブルに明け暮れる生活を続けていた。ラッセルはロドニーの怠惰ぶりを窘める一方で、しばしばロドニーの借金の肩代わりをしていた。また、ラッセルは病に伏した父の容態も気掛かりであった。

ある夜、ラッセルはロドニーと親交があるペティ(ウィレム・デフォー)の店に、ロドニーが借りた金の一部を返済しに訪れる。その帰り道、ラッセルは酒酔い運転で衝突事故を起こし、相手を死亡させてしまう。ラッセルは収監され、長期の服役を余儀なくされる。ロドニーが面会に訪れ、ラッセルはリナの気持ちが次第に離れていく事を知る。

月日が流れ、ロドニーがイラク派遣から帰国し、ラッセルの面会に訪れる。ラッセルは父の死を聞かされ、葬儀に出席できなかった事を悔やむ。

出所の日が訪れ、ラッセルはロドニーの迎えで帰宅する。ラッセルは、リナが町の警察長ウェズリー(フォレスト・ウィテカー)と幸せに暮らしている事を知る。その頃、ロドニーはペティの元でボクシング賭博に参加する様になっていた。ロドニーは八百長試合で負ける役回りだったが、しばしば指示に従わず、ペティは手を焼いていた。ロドニーは少額の報酬ではいつまで経っても借金が返せない事に苛立ち、ニュージャージーのラマポ山地で行われているボクシング賭博への参加を、ペティに願い出る。そこではデグロートという、意に沿わない者はお構いなしに殺す事で知られる、凶暴な男が取り仕切っていた。デグロートの危険な性分をよく知るペティは、ロドニーに翻意を促す。

ラッセルは再び製鉄所で働き始めるが、程なく閉鎖する事が決まる。ロドニーが危険な行為に首を突っ込んでいる事を知ったラッセルは、事情を問い詰め、戒める。自分やかつての父と同じ様に製鉄所で働く事を勧めるが、ロドニーは反抗する。ロドニーはイラクでの壮絶な体験を経て、人生観が変わってしまっていた。

ロドニーは再びペティにラマポ山地でのボクシング賭博参加を頼み込む。根負けしたペティは承諾する。ラッセルは出所後初めてリナと会い、復縁を願い出る。しかし、リナは既に身籠っている事を告げる。ラッセルは祝福し、リナと別れる。

ラッセルは叔父と父の墓参りをした後、鹿狩りへ出かける。その頃、ロドニーはペティに連れられ、ニュージャージーのラマポ山地へ向かう。ロドニーはデグロートと対面し、試合への参加を認められる。ペティもデグロートに借りがあり、ロドニーが上手く立ちまわる事を願う。試合に臨んだロドニーは、深手の傷を負いながら八百長をこなす。ペティはデグロートに借りが帳消しになった事を確認し、帰路に着く。

ところが、デグロートは手下を引き連れ、ペティ達を追って来る。ペティ達の車を止めたデグロートは、ペティを殺し、更にロドニーを殺して山林に埋める。その頃、帰宅したラッセルはロドニーの書き置きした手紙を読む。手紙の中で、ロドニーはラッセルに反抗した事を詫び、その日を境に心を入れ替え、製鉄所で働く事を誓っていた。

ペティが誤操作で携帯電話を通話状態にし、ペティの店の店番ダンに発信していた為に、ペティがデグロートに殺害された事が発覚する。まだロドニーが発見されていない事から、ラッセルはウェズリーに捜索を要請する。しかし、デグロートの一味は極めて凶悪であり、その上、現場が州を跨ぐ為に管轄が及ばす、警察は二の足を踏んでいた。

業を煮やしたラッセルは、ダンにデグロートの所在を尋ね、叔父と共に山地でクスリの売人に接触を図る。売人に導かれ、廃れた一軒家に到着したラッセル達はクスリを買い、そこがデグロートのアジトである事を知る。一旦アジトを出たラッセル達は夜まで待ち、再度アジトへの侵入を企てるが、警察に発覚し、州外に出るように命じられる。それでもロドニーの消息を知りたいラッセルは諦めきれずにいた。

翌日、ラッセルはロドニーの遺体が発見された事をウェズリーから知らされる。リナはラッセルの身を案じ、ウェズリーに任せる様に促す。デグロートのアジトを警察の特殊部隊が急襲するが、既にもぬけの殻となっていた。

苛立ちを募らせたラッセルは、ペティの取引帳簿からデグロートの連絡先を知ると、ペティの借金を返済すると偽り、デグロートを店に呼び出す。ラッセルはライフルを手に、デグロートを待ち伏せする。ラッセルはデグロートを負傷させ、廃工場に追い詰める。通報を受けたウェズリーが駆けつけ、ラッセルを制止するが、ラッセルはデグロートを射殺する。

 

田舎町を舞台にした兄弟愛と復讐劇を描いているのだが、これまた硬派なドラマで、実に見応えがあった。アメリカの田舎町。勤勉に働いても、その日暮らしの様な生活の兄。度重なる出征の末、帰国しても、大した見返りもない理不尽さに諦観する弟。兄の事故、弟のイラクでの経験が互いの人生を大きく変えてしまい、やがて陰鬱な惨劇に繋がっていくと。事故の後、父が死に、愛する女とは別れ、仕事を無くし、その上、弟まで失うラッセル。クリスチャン・ベールの哀愁漂う演技が心を打つんだな。最後に挿入されているシーンは、ラッセルが罪に問われなかった事を示唆している様だが、これまた切ない。

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