チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ルポ 中年童貞

中村淳彦 著「ルポ 中年童貞」(2015)

ルポ 中年童貞 (幻冬舎新書)

ルポ 中年童貞 (幻冬舎新書)

 

著者は不安定なライター業の先行きを案じて、一から介護事業所の運営に乗り出した人で、その詳しい経緯は前著「崩壊する介護現場」に著されている通り。著者は、介護業界では慢性的な人手不足が続く余り、募集をかけても質の低い人材しか集まらない事を嘆いていたが、その最たる存在が中年童貞で、その扱いには非常に苦労した事を吐露していた。本書の執筆動機はその体験に基づき、その書きぶりはもはや私怨の様でもある。それ故、中年童貞にはかなり手厳しい内容となっている。まさに中年童貞ど真ん中の僕も、自分に照らし合わせれば、おいそれと否定も反論もできないだけにツライ(笑)一口に中年童貞と言っても、ヲタクを抉らせていたり、コミュ障だったり、完全に現実逃避していたりと、そのパターンと深刻度は様々だが、社会ズレしているという点ではほぼ共通している。結婚への動線が見合いから恋愛市場にシフトして久しいが、恋愛やSEXにあぶれる男が増え、中年童貞は増加傾向にあるそうだ。SEXが、人間としてのある種の通過儀礼と考えた時、中年童貞の増加は、すなわち社会ズレした人間が世に蔓延する事に等しく、将来的に社会不安をもたらすと、著者は警告している。