チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

セッションズ

ベン・リューイン監督作「セッションズ」("The Sessions" : 2012)[BD]

全身麻痺の障害を持つ詩人が、セックス・サロゲートとの出会いを経て、初めての性経験を得る過程を描くドラマ作品。

 

6歳の時にポリオを患い、全身麻痺となったマークは、それ以来、寝たきりの生活を余儀なくされるが、頭脳は明晰であった為に、作家を目指してカリフォルニア大学で英文学を専攻する。1988年、カリフォルニア州バークレー。38歳になったマークは、アパートでヘルパーのジョーン、ロッドによる介護を交代で受けながら、常に呼吸補助装置「鉄の肺」の中で過ごす。マークは詩人として活動する一方で信仰に厚く、ストレッチャーで足繁く教会に通う。

ある時、マークは勤務態度の悪いジョーンに嫌気が差し、教会に新たに赴任してきたブレンダン神父に懺悔と称して相談を持ちかける。マークは力を誇示する様で気後れするものの、ジョーンをクビにする事の是非をブレンダンに問う。ブレンダンはマークに理解を示してそれを認め、優しい人を探す様に促す。

マークは早速求人のビラを出し、未経験のアマンダを採用する。アマンダは甲斐甲斐しくマークの介助をする。マークは優しく、障害に理解があり、何より美しいアマンダに好意を抱く。ある時、マークは気持ちが昂じて、アマンダに愛を打ち明ける。アマンダは困惑の余り、返答に窮し、マークの元を去る。

マークは新たに経験者のヴェラを採用する。程なくして、新聞社の知己サンディが、セックスと障害者についての記事の執筆依頼を持ちかけ、マークはそれに応じる。マークはヴェラと共に近隣に暮らす障害者カルメンとグレッグを訪ね、セックスに関する取材を行うが、性経験の無いマークは二人の赤裸々な話に混乱を来す。

マークはブレンダンにセラピストを勧められたのを機に、大学の障害者性問題センターに問い合わせ、セックスセラピストのローラを紹介してもらう。マークはローラに性経験も自慰も無い事を打ち明けると、ローラは特殊なニーズにも応えてくれるセックス・サロゲートの存在を伝え、仲介に応じる。

ブレンダンはセックス・サロゲートと売春婦との違いが判然としない事から、教義的に難色を示すが、マークのセックスに対する真剣な意向を尊重し、サロゲートとのセックスを認め、マークと共に神に加護を祈る。マークはカルメンの自宅の寝室を借り、サロゲートのセラピーを受ける段取りを整える。セックス・サロゲートのシェリルは、仕事に理解のある夫ジョシュと一人息子と共に暮らしている。ローラから仲介を受けたシェリルはマークに連絡を取り、その意思を確認するとセラピーのアポを取る。

セラピー初日。マークと初対面の挨拶を交わしたシェリルは、まず売春婦との違いを説き、固定客を持たず、全六回のセラピーを通して、将来マークが誰かとセックスする為の手助けをするのが自らの役割だと伝える。二人は互いに服を脱ぎ、ベッドインする。シェリルはマークに上半身から優しく愛撫を行うと、マークの手を取り、自らの体を愛撫させる。その後、シェリルがマークのペニスに触れた途端、マークは射精してしまう。シェリルは進歩だと説き、次回は挿入を試す事を提案する。マークは空いた時間でシェリル自身の事について尋ねるが、シェリルは顧客に対して秘密主義を貫いている事を明かす。マークは浄化された気分に浸り、初日のセラピーに満足する。

二回目のセラピーで、マークはベッドインした途端に射精し、自己嫌悪に陥る。シェリルはマークを労ると、不安で当惑するマークを優しく諭し、性交に挑戦するが、マークは挿入直前に射精する。その日のセラピーが終わると、シェリルはマークが自罰的でセックスする資格が無いと思っている事について、両親と信仰の影響だと分析する。一方、ブレンダンは内省的なマークに楽しむ様に促す。

三回目のセラピーの日。カルメンの手違いで家が使えなくなると、シェリルは近所のモーテルの使用を提案する。マークは、生前の両親が、施設に入ったポリオ患者の平均寿命が18ヶ月だと知った事で、自分を施設に入れず、人生を投げ捨ててまで自分を生かした事を明かす。シェリルはマークに客観的に幼少期の自分をイメージする様に促す事で、心の問題を取り除こうとする。その後、マークは再び性交に挑戦し、挿入直後に果てる。シェリルは自称哲学者のジョシュの希望で、カトリックからユダヤ教に改宗する意思を明かす。シェリルは性経験を得た一人前の男だとマークを労い、自信を持つ様に諭す。マークはシェリルにオーガズムに達したか否かを尋ね、シェリルをイカせたいという望みを伝える。

性交を終えて一安心したマークは、その経験を記事にしようと図る。その後、マークは唐突にシェリル宅に電話をかけ、シェリルをデートに誘う。シェリルは困惑し、仕事以外では顧客に会わないと伝えるが、無碍に出来ず応じる事にする。シェリルはマークが性交の影響で、自分に好意を抱き始めている事を悟る。程なく、二人はカフェでデートをする。その夜、マークはシェリルに手紙を認めて送る。

後日、ジョシュが届いた手紙を先に見つけて開封する。ジョシュはシェリルが顧客と個人的な付き合いをしないという約束を破った事を詰る。シェリルは勝手に手紙を読んだ事を非難し、返却を求めるが、ジョシュは既に捨てた事を明かす。その後、ジョシュはシェリルに詫び、シェリルはジョシュと和解する。ジョシュは手紙の内容がマークの心の込もった素敵な詩だった事を明かす。シェリルはジョシュが眠った後にゴミ箱で手紙を回収し、その内容に心を打たれる。

ある日、アマンダがマークの前に姿を表す。アマンダはドイツ留学が決まり、別れを告げに来た事を明かすと、マークに対する恋愛感情とは異なる愛を涙ながらに伝え、マークにキスをして立ち去る。

四回目のセラピー。マークは再びシェリルとの性交を試み、マークと共にシェリルもまたオーガズムに達する。マークはシェリルに愛を伝えるが、シェリルがそれに応じられない事を知り、男女が交際するとどうなるのか尋ねる。その時、マークはシェリルの悲しみを悟り、もう二度と会えない事を知りながら、残り二回のセラピーの中止を決断する。シェリルは後ろ髪を引かれる思いでマークに別れを告げると、報酬を置き忘れる程に悲嘆して立ち去り、ヴェラが届けに行く。

マークはセラピー後の人生が代わり映えしない事で、虚しさに苛まれる。一方、シェリルは程なく改宗する。ある夜、マークの部屋が停電に見舞われた事で鉄の肺が停止する。窮地に陥ったマークは、電話で助けを呼ぼうとするが、途中で口で扱う操作用のスティックを誤って落としてしまい、為す術を失くして最期を覚悟する。その後、マークは病院に搬送され、一命を取り留める。

マークは病室で知り合ったボランティア職員のスーザンに、話し相手になる様に請う。間もなく二人は意気投合し、マークの退院後、交際を始める。ブレンダンはマークに愛は旅だと説く。マークとスーザンは互いに愛しあい過ごすが、二人が出会って5年後に、マークは49歳で早世する。葬儀にはシェリル、アマンダ、ヴェラといった、マークと気脈を通じた者達が多数訪れる。ブレンダンが賛辞を送った後、生前マークがシェリルに送った愛の詩をスーザンが代読する。

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